こんにちわ!
とつぜんですが、みなさんは原子たちがなぜ分子を作るのかと質問されて答えることができますか?
中学生、高校生くらいまでの知識だと分子を作ることによって原子のまわりが希ガスの電子配置になるからという答えになると思います。
この章を読むと、数式を使って原子たちがなぜ分子をつくるのかという問いに対して答えられるようになります!
え?うれしくないって?
僕は感動したんだけどなぁ…
では、さっそく!
この章では、LCAO近似と変分原理というものを使います。
一応最初に簡単な説明だけ!
LCAO近似
水素分子を考えて下さい。片方の水素をA、もう片方をBとすると、その分子軌道は原子軌道φA,φBを用いて
と、表すことができるというものです。ちなみにLCAOとはLinear Combination of Atomic orbitalsの略で原子軌道の線形結合という意味です。そのまんまですね!
変分原理
あまり端折ると本当に怒られそうなんですが、変分原理は自然界はなるべく安定でいたい!というものだと考えていいと思います。なるべく安定とはなるべくエネルギーが低い状態ということです。
つまり、取りうるエネルギーの中で最もエネルギーが低くなる状態になってるって感じですかね・…
つまり、取りうるエネルギーの中で最もエネルギーが低くなる状態になってるって感じですかね・…
さ、説明を終えたところでいよいよ参りましょうか!
まず、原子軌道ψをLCAO近似して
ここでシュレーディンガー方程式は
この両辺に左からψ*をかけて全領域Hで積分すると(*はすべてのiを-iに変えろという記号です)←あまり気にしなくてもいいです!
よって
これに、さきほど近似したものを代入して
みにくいので整理していきます。まず分子を展開して
分母は
ここで、
とおく。水素原子Aと水素原子Bは等価なので
と、できる。
と、できる。
また、
とおく。水素原子Aと水素原子Bは等価なので
と、できる。
さらに、
とする。
とする。
また、φA,φBは規格化されているので
このα,βとかSとかを元の式に代入すると
分子
分母
以上より
ここで変分原理を使います。
すなわち、この式の中にでてくるEは取りうる中で最小の値をとる、とするのです。
最小値ってどうするのさ? → 微分します。
最小値ってどうするのさ? → 微分します。
この式の両辺をCA*で偏微分して(ただしEはCA*の関数だととらえます)
ここで、Eは最小値を取っているとすると
これを代入してやると結構きれいになって
変形して
CB*について同様のことを行うと
ここで少しトリッキーな手法を使いましょう(でもよく使います)。
今導いた上の2式、よく見るとCA,CBの2元一次連立方程式になっていますよね?!
この連立方程式を見た瞬間思いつく答えが一つあります。なんだと思いますか?
答えはCA=CB=0です簡単すぎましたね(笑)
答えはCA=CB=0です簡単すぎましたね(笑)
しかしこんな当たり前の答えを見ても物理学者たちが許すわけもなくもっと他の面白い解を見つけようとします。
このような場面は結構よく出てきます。そんな時はどうすればいいかというと
これより
という2次方程式がでてきます。これを解いてやると
と、なります。この解説はまた後ほどします。
これで、とりあえずエネルギーは出ました。続いてCA,CBについて解きましょう!
E1をさっきの連立方程式に代入すると
E1をさっきの連立方程式に代入すると
よって
こいつを規格化してやると
したがって、
E2も同様にして
規格化して
規格化して
よって
となる。