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ただこの世界を生き抜けよ/頂点(トップ)極めるまで




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十人程の観客が金網越しに見ている中、コート内にいる目のついたVマークのユニフォームを着た3人の少年達が手を振る。
夜頃、丁度公園のバスケットコートで、中学生バスケットチーム「クロスハート」の練習が終わった。
僅か3人で構成されている小さなチームだが、それでもその熱意は誇っていいと言っていい。
丁度今、放課後から行われていた練習が終わり、チームメンバーが帰宅の途につく時間となったのだ。
学校でも有名なそのチームには、無論同級生の観客も時折見物に来ていた。
特にチーム一の美少年である天野ユウの人気は近辺にある中学でもかなりの物で、ファンクラブも出来ているという。
最上リョウマは今日、久々に彼等の練習を覗いていた。
リョウマは元の世界においては彼等とは知り合いであり、ライバルであった。
だがライバルと言えど、決してバスケで競い合ったわけではない。
ぶつかり合った場所はコートではない、「デジクォーツ」だ。
リョウマと彼等「クロスハート」は、元の世界では異世界の動物「デジモン」を狩る「デジモンハンター」であった。
特にリーダーのタイキは相棒のシャウトモンと共にデジタルワールドのデジモン全てを纏め上げ世界を救った英雄だ。
ユウ、明石タギルもまた、タイキに負けないほどの器量と実力を併せ持っている。

どうやらSE.RA.PHにおいてもクロスハートがNPCとして存在していると聞き、此処に来てみた。
バスケというものにリョウマは然程縁は無かったのであまり来る気はしなかった。
だがやはりコート内においても彼等はデジモンハントの時同様に輝いていた。
ユウの冷静さにタイキのリーダーシップ、それにタギルの明るさが合わさって素晴らしい連携を見せていた。

これこそ、リョウマがレン、アイルと共に目指していたクロスハートだ。
と言っても此方は戦略重視の連携だった上にレンもアイルも自分の都合で動くタイプだったので其処はまだまだだったが。




セイバーもまた、霊体化した状態でリョウマとともにクロスハートの練習をを眺めていた。
工藤タイキ達クロスハートの事は、マスターであるリョウマからも聞いている。
しかしリョウマ同様セイバーも、バスケと言う物にはあまり馴染みがない。
いやルールなどは知っているのだが、何分小卒で働くことになったセイバーにはバスケを遊ぶ暇がなかった。
それに彼は鈴木悟だった頃はあまりスポーツはやらなかったので、ハッキリ言って興味もない。
だが彼等の連携プレーは、素人のセイバーから見てもとても良く出来ていた。
成る程、リョウマが尊敬の念を抱くのも頷けるかもしれない。

最も、「アインズ・ウール・ゴウン」の42人のコンビネーションと比べればまだまだだとは思うが。



◆ ◆ ◆





コートの側に立っている夜光時計の短針が、8時を指す。
思えばもう夜頃だ、マスターに見つからない内に帰ろう。


『私達もそろそろ帰りましょう、セイバーさん。』
『あ、ああ、そうだな。』

セイバーとの念話を交わしたリョウマはそう言うと公園の出口を目指す。
この自然公園はコートがあるだけあってとても大きい。
テクテクとリョウマがが歩く道には、セメントで敷き詰められた道が広がっている。
やがて左右を阻む柵や壁も無くなり、代わりに木々が其処らにある小さな森が見えた。
木々の中に紛れて電灯がアチコチにある。

そして電灯の下には―

「やれやれ、夜はもうこれからだと言うのに、もう帰るのかい?」

リョウマと同年代の1人の少女が、手の甲にある令呪を見せびらかして笑っている。
その言葉に反応してリョウマは立ち止まり、ハッと驚いた顔を見せる。


(マスターか……しかもこんな所で……)


令呪を見せ、何の前ぶりもなく自分達に声をかけたのだとしたら、そうとしか考えられない。
恐らくはセイバーを感知して待ち伏せしていたのだろう。
しかし今のリョウマはあまり聖杯戦争に乗る気はしない。
何せリョウマは今だに迷っている、願いを叶えるか、叶えないかの間で。
それどころか経験上このムーンセルにすら眉間の皺を寄せずにはいられない状況にある。
なのに此処で敵と戦うハメになるとは、自分の運の悪さと詰めの甘さを思わず笑いたくなる。

(やれやれ、もっと早めに帰宅しておくべきでしたよ……)
『マスター、此処は私に足止めさせろ、依頼人をこんな所で死なせるわけには行かない。』

セイバーが頼もしい声で念話をかける。
成る程、確かにセイバーを足止めにすれば、リョウマは無事に拠点に帰還できる
セイバーは最優のクラスだと謳われるだけあって相当な実力者だ。
だが敵の実力は未知数、どんな強敵が出てくるかは分からない。
もしかしたらセイバーですら足元にも及ばないサーヴァントが来るかもしれない。
しかしこんな所で死ぬわけには行かない。
リョウマは答えすら見つけ出せていないし、何より聖杯戦争への疑いすらも晴れていない。
彼は未だスタートラインに踏みとどまっている様な状態だ。
そしてリョウマはセイバーへの号令を、頭ではなく―声から叫ぶ。

「分かりました、お願いします、セイバーさん。
ただし、窮地に陥った時には直ちに念話を掛けてください、私が令呪で呼び戻しますから!」
『随分と冷静な判断が出来るじゃないか、マスター。
だが心配はいらん、私はこんな所で死ぬ程弱くはない。』
「ありがとうございます!」

リョウマはその言葉を聞くと直ぐに暗闇へと続く道へと走って行った。
走り去る彼の後ろ姿を少女、二宮飛鳥は見つめていた。

『マスターの方は背中を向けて離脱したようだけれど、キミはどう思う?』
『尻尾を巻いて逃げた奴に言う台詞などない。』

ランサーの言葉は飛鳥の想像した通りであった。
彼は「強者」との戦いに悦びを感じる生粋の戦士。
背中を向けた弱気な者に興味を示さないのはやはりの一言。
記憶を取り戻した時から彼はそうだった。

しかし逃げて行ったマスターの気持ちも分かる。
飛鳥だって戦いたくはない。
そもそも飛鳥だって最初はそんな気持ちだった。
だが今は違う、彼女は今この戦いに臨む事を「決意」している。
死ぬかもしれないという事を「覚悟」している。
そもそもそうでもしなければあの我儘なランサーが従ってくれるはずもないだろう。

そう思った時、飛鳥の眼の前にサーヴァントが現れた。

「生憎だが此処を通すわけにはいかん。」

低くも威厳のある声とともに光の粒子が収束し、其処に1人の甲冑が現れた。
真紅の布を纏っているがしかし、その甲冑は暗い紺色。
近くに電灯こそ灯っているものの、その暗い色はまるでこの暗闇に溶け込みそうであった。
恐らく、あの逃げて行った少年のサーヴァントであろうか。

(にしても、随分と豪勢なステータスだよ。)

飛鳥は、彼のパラメータを見て苦笑いを浮かべる。
このサーヴァントのステータスは、かなり高い。
クラスはセイバー、そのパラメータもまた全体的に高い水準を行っている。
ランサーも宝具を使えばそこそこは行くが、だがそれでも全体的に見ると心許ない。

『行けるかい?ランサー、恐らくだがあのサーヴァント…セイバーの力はかなりの物だ。キミとて「あの宝具」のままでは勝ち目は……』
『寝言をほざくのも大概にしろ、俺は机上の空論で怯える程臆病ではない。』
『やれやれ、相変わらずキミは怖いもの知らずだね、まるで猪だよ。』
クスッと飛鳥が笑う中ランサーは姿を現す。
見た目は人間時代のセイバーより少し年下ぐらいの青年だろうか。
その赤いコートはまるで中世ヨーロッパの洋服をあしらった様に見える。
そして青年、ランサーは自分が着ている服の赤さにも負けないほどに燃えたぎるその眼光でセイバーを睨みつける。

「ほう、それが君のサーヴァントか。」
「まぁね、少し命知らずで拘りが強いけれど、ボクの信頼には十分値する相棒だ、クラスはランサーかな。」
「ふむ、クラスはランサーか、だが果たして君の槍は私の剣を折る事が出来るかな?ランサー。」
「セイバー、問う暇があるなら、まず俺にその力を示せ、貴様の強さを示せ!」
「言ってくれるな。」
「ふん。」

そう鼻で笑ったランサーは、懐からカッターナイフの様な装飾品を付けた漆黒のプレート、「戦極ドライバー」を取り出す。
腰に当てられたドライバーは、両端から黄色い太線状の光を発する。
光はベルトとなり、ランサーの腰に巻き付けられる。
そしてランサーは更に、「バナナ」の模様が彫られた派手なデザインの南京錠を取り出し、右側のスイッチに指をかける。

「変身」
『バナナ!』

ランサーの言葉とともにスイッチが押され、錠前が開く。

(あれが、奴の宝具か……)

宝具というのは、常に独特な形状が多い。
英雄を英雄たらしめるその力は、まるで英雄の個性を現すかのように特殊な形をしている。
セイバーの宝具である武具も一見只の装備であるもののそのデザインは独特な物であった。
アインズともなればその特殊さはより上になるであろうが。

―ロックシード。
異界の植物「ヘルヘイム」の果実が持つ力を人工的に制御出来る様に無機物に加工したアイテム。
ユグドラシルが生み出した「科学に御されし神の力」。
それがランサーの宝具を開く「鍵」となる。

開かれた錠前は電子音声と黄色い光を発し、ランサーはそのままロックシードをクルクルと指で回転させ戦極ドライバーのコネクタ、「ドライブベイ」に装填する。
そのまま錠前を押し込み、ロックシードはまるで施錠された南京錠の如くドライバーに装着された。

『ロック・オン!』

それが起動プロセス準備完了の合図だった。
ファンファーレの様なやかましい音声がこの静寂の闇の中に響き渡り、同時に上空の空間に突如出現した丸いジッパーがウィンと開く。
ジッパーの中から出現したのは何と巨大な「バナナ」であった。

流石のセイバーもそれには驚きを隠せない。

「バ、バナナァ!?バナナだとぉ!?」
「バナナじゃない、ランサーだ!」

そう叫びランサーはドライバーに付いているカッティングブレードを振り落とす。
プレートに当たったロックシードは切られた果実の如く、カバーをパッカリと開く。
それが宝具開放の合図だった。

『カモン!バナナアームズ!』

その電子音声が響くと同時にバナナはランサーの頭に覆い被さる。
それと同時に彼の全身は紅い西洋風の具足へと包まれていく。
更にバナナも変形を開始し、雑誌の付録の如く複雑に開いたバナナは西洋式のアーマーを模した鎧へと変形する。
見れば彼の頭もいつの間にか西洋風の兜に包まれている。

『ナイト・オブ・スピアー!』

派手な名乗り音と共に変形を完了した鎧は神々しい光を放ち、ランサーの力が上昇したことを見せつける。


―「刺し貫く鮮黄の槍(バナナアームズ)」。

ランサー……駆紋戒斗が「アーマードライダー・バロン」として戦ってきた逸話の再現。
沢芽市のダンスチームの用心棒として動き、やがて世界を壊した反英雄としても名を馳せた彼の象徴たる鎧。
ロックシードのクラスはA、少なくともビートライダーズの中ではトップクラスの性能を誇っていた。

「ほう、随分と騎士らしい姿になったではないか。」

そう言い、セイバーは背中に差した二本の大振りの剣「死を切り裂く双剣(スラッシング・デス)」を引き抜く。
引きぬかれた剣の刃はズシンと地面に落ち、周囲に衝撃を与える。

「うっ!」

その衝撃に一瞬飛鳥も揺れ動くが、しかしランサーは動じることは無かった。
そもそも、この程度で怯える様な者は戦士の風上にも置けない、ならば多くの死線を潜り抜けてきたランサーが怯えぬのも当然のこと。

「来い。貴様の強さを、今此処で示せ。」
『バナスピアー!』

ふざけた電子音声を合図に、バナナの皮を模した特徴的なデザインの洋式スピアー、「バナスピアー」が出現する。
「刺し貫く鮮黄の槍(バナナアームズ)」の専用装備となるこの槍は戒斗がドライバーを巻いたその時から愛用し続けてきた代物である。
そしてそれこそが、駆紋戒斗が「ランサー」のクラスで喚ばれた所以でもあった。
変身した彼の姿を確認した飛鳥は直ぐに回れ右をして後ろへと避難していく。
彼女を一瞥してそれを確認したランサーはバナスピアーを構え、二、三歩後ろに引き下がりセイバーとの間合いを取る。
そしてセイバーもそれを察し、それに応える。

「間合いか……。」

セイバーも双剣を構えランサーを兜の底からジッと睨みつける。
辺りは暗く、電灯の光も僅かな物であった。
特にセイバーの漆黒の鎧は、今にも闇に溶け込みそうだ。
されど、暗闇において無双を誇ったセイバーの眼が獲物を捉えられぬ筈がない。
一方でユグドラシルの科学の粋を集めたランサーの兜にある視覚センサー「バーンサイト」も、優れた暗視機能すら持っていた。

何方が先に動くかを捉えるため、セイバーとランサーは自分の神経を集中させて仮面の底から互いを凝視する。
辺りには風1つ吹かず、コオロギ一匹鳴かず、耳を彩るのはただ静寂のみ。
セイバー、ランサー共に、洞察力においては非常に優れている、決して動くタイミングを誤ったりはしないだろう。
二人はただ只管、刃を振り下ろすタイミングを見つけ出して行った。
それから一分が過ぎ、まず先に動いたのはランサーだった。

「ウォォォォォ!」

勇猛果敢にバナスピアーを掲げ、セイバーに突っ込んでいく。
双剣使いの戦士との戦い方ならもう散々葛葉紘汰に慣らしてもらった、今の彼にとって武器の数など所詮飾りに過ぎない。

「ハァッ!」

ランサーは槍を横に振り上げ、セイバーを斬り裂こうとする。
だが生粋のゲーマーであるセイバーの感の鋭さはそれすらも見通していた。
セイバーはまず左側の剣で槍を防ぎ、続いてもう片方の剣でランサーの装甲が届いていない腹部を狙って其処を横に斬る。

「グァァァッ!」

叫び声を上げてランサーは後方へと吹き飛ばされ、下り坂を転がるボールの様にゴロゴロと地面を転がり倒れる。

「ランサー!」

飛鳥がいつもの気取った態度をかなぐり捨てて叫ぶ。
彼女がランサーがやられるのを見たのは初めてだからだ。
だが無理もない、セイバーが狙ったのは、アームズで纏われていない部分―即ちライディングアーマー。
単体でも必殺技を気絶程度で済ませる程度の耐久力を持つのだが、セイバーの剣は仮にも宝具、ダメージは大きい。
ロックシードが装填されている分耐久力は増しているが、しかしとても痛い部分を突かれた。
更にセイバーの宝具「死を切り裂く双剣(スラッシング・デス)」はアンデッドやモンスターの肉を軽々と削ぎ続けた「魔物殺しの剣」である。
ならばオーバーロードであるランサーに追加ダメージが来るのは必須、彼が受けたダメージは相当に大きい。
オーバーロードになった分戦闘力自体は向上しているはずが、皮肉にもそれが命取りになったというのだ。

「ハァ、ハァ、ハァ……」

バナスピアーを杖代わりにして立ち上がったランサーは息を荒げ、ブルブルと地面に突いた槍を握りしめる力を強くする。

「どうした?所詮は口先だけか?」

セイバーが顎をクイッと上げ挑発する。
だが其処で終わらぬのがランサーだ。

「ハァ、ハァ………ククク、ハハハ……。」

途端にランサーが身体を震わせ笑い出した。
気にでも触れたかとセイバーが首を傾げた。
その直後の事だった。

「ウォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」

ランサーは土から這い上がったモグラの如くガバリと立ち上がり、地面からスピアーを引き抜き空を仰ぎ大声で叫び出す。
先程までの静寂を全て掻き消すかの様な雄叫びをランサーは上げる。

「!?」

セイバーはその姿に驚く。
笑ったり往生際が悪かったりという点はセイバーも言えたものではないが、しかし眼前にするととても驚く物だと改めて気付かされる。
ランサーのスキル「死の超越者」は、ヘルヘイムの侵蝕すら耐え切った彼の往生際の悪さを表したスキル。
幾ら鎧の弱点を見抜こうと、彼の頑丈な肉体と精神は断ち切れなかったのであった。
そしてランサーの目が突然光り出し、ランサーはバナスピアーの先端を眼前にいるセイバーに向ける。
するとセイバーの周りに、あのバナナが出た時と同じように空間からジッパーが出現する。
しかし数は多く、ジッパーの形状もバナナの時とは異なっていた。

「!?来る!」

危険を察知したセイバーは直ぐにジッパーが開いた位置から上空に飛び上がり、離脱する。
セイバーの虫の知らせは当たった。
ジッパーからは無数の蔦が出現し、上にジャンプしたセイバーに向かって絡み付こうと襲い掛かってくる。
蔦が伸びて来るスピードはセイバーの想像を超え、気がつけば蔦の先端は直ぐに彼の頭に近づいていた。

「くっ!」

セイバーは空中にいたまま双剣で蔦を斬り裂き払い、そのまま地面に落ちる。
だがそれがランサーの狙いであった。
ランサーはドライバーのカッティングブレードを3回落とす。

『カモン!バナナスパーキング!』
「うおおおおおお!」

明るい音声とともにロックシードのエネルギーがバナスピアーに注入され、パワーを与える。
ランサーはバナスピアーを握りしめた両手を高く掲げ、そのままスピアーの先端を地面に突き刺す。

「セィィィィィ!」

それと同時に、地面から生えたのは巨大なバナナの如きエネルギー刃。
セイバーの着地地点に生えてきたそれらはまるでセイバーを貫かんとするように立て続けに地面から伸びて来る。
まるでかのルーマニアの串刺し刑の如く突き刺さんとするように思えた。
先程の蔦は囮、ランサーの狙いは、セイバーにこの一撃を与えることである。

「成る程、それが貴様の狙いか!」
「フン!」
「だが其様な小細工に絡まるほど私は弱くはないぞランサー!」

そう言うとセイバーはバナナに突き刺さる直前に双剣を平行に構えながら空中で回転し、その状態でバナナの刃を容易く切り裂く。

「フゥン!!」

まるで空で回転する歯車の様にセイバーは縦に回りながらも連続でバナナを斬り裂く。
彼が着地したと同時に、何本ものバナナのエネルギー波は割れたガラスの如く砕け散った。
セイバーの本領は、技能もそうだが、何よりその卓越した身体能力にある。
成る程ランサーの刃は極めて高い攻撃力を持つであろう。
だがセイバーの双剣の頑強さとその圧倒的な身体能力はそれをも物ともしなかった。


「何!」

それにランサーは驚く。
そして遂に最後の一本がセイバーの手で砕かれた。

「これで終わりだ!」
「くっ!」

セイバーは上空で姿勢を正した後、剣を振りかざしそのままの勢いでランサーに飛びかかる。
だがランサーは後ろに飛び距離を置いた後、再びドライバーのカッティングブレードを落とす。

「終わるのは貴様だ!」
『カモン!バナナスカッシュ!』

ランサーが再びロックシードのエネルギーをチャージしたことにより、バナスピアーにエネルギーが集中される。
今度はバナスピアーに巨大なバナナ状のエネルギー波が纏われる。
そしてランサーはそれをセイバーにぶつけようと振りかざす。

「セィィィィィ!!」

さながらギロチンのごとくランサーに迫るセイバーの刃。
それはもう彼の目前にまで来ている。
だがバナナがセイバーの剣から彼を守ってくれた。

「考えたな!」
「ウォォォォォ!!」

両手に力を込めて槍を押すランサー。
その力に、セイバーの剣は抑えられてしまった。
魔力を込めた槍にランサーのパワーが加わり、筋力において遥かに優っているはずのセイバーを辛うじて抑えられているのだ。
しかし、やはり槍にはパキパキとヒビが入り始める。

無理もない、ランサーのロックシードが解放したエネルギーは先程の3分の1。
あれ程の槍の嵐を潜り抜けてきたセイバーが彼の槍を砕けぬ道理など無いだろう。
況してやランサーのバナナロックシードは決してパワーに秀でているわけではない。
幾ら必殺技で補強しようが筋力で負けている相手には所詮気休めに過ぎないのだ。


ランサーの槍を覆うバナナにヒビが入りに入り、まるで1つの脈になったかのようにアチコチのヒビが一つになった。
果たして、ランサーのバナナはセイバーの剣を前にして砕け散り、ランサーもその勢いで後ろへと弾き飛ばされる。
着地したセイバーは上空に舞うランサーを一瞥した後、追いかけずにそれを確認する。
セイバーの目的は、あくまでもマスターであるリョウマが避難する為の時間稼ぎ。
だからこそ奥の手である魔法アイテムは一切使っていない。
何よりマスターが迷っている以上、ランサーを殺す訳にも行かんだろう。

(さて、奴はどう動くかな?)

セイバーは剣を構えたまま、ランサーの動きを見つめ続けていた。

「ぐああああああああああああああ!」

ランサーの身体はサッカーボールの如く回転しながら宙を舞い、遠くにいた飛鳥が数メートル先で見ている所で地面にぶつかる。
木の下で飛鳥が驚いたような表情を浮かべている。

「ぐはぁっ!」

ぐったりと項垂れるランサーを目の前にして、飛鳥は困惑しながらも彼の前に駆け寄る。
そしてランサーが倒れている所で肘をつき、心配げな言葉を吐く。

「だ、大丈夫かい?ランサー。」
「がっ……当たり前だ……」

ランサーは再びバナスピアーを支え棒にして立ち上がる。
そして遠くから視認できるセイバーを見つめる。

「どうした?まだやるのか、ランサー。」
「当然だ、俺はもう誰にも屈しない……」

余裕じみたセイバーの挑発を跳ね返す。
そしてランサーは思考する。

「やはり此奴では力不足か……」

ランサーには、既に予選においてもう一つの宝具「殴り砕く山吹の戦棍(マンゴーアームズ)」を開放していた。
バナナと同様クラスAの錠前であるマンゴーロックシードをキーとして発動する宝具だ。
パワーに長けており、オーバーロードとなった今では次世代アーマードライダーとも張り合える程の力を有している。
だが反面機動力に長けたバナナとは対照的にスピードは劣っている。
あのパワーのある攻撃ですらもヒラリと躱してしまう可能性は十分にある。

あのサーヴァントの腕は生半可な物ではない。
「刺し貫く鮮黄の槍(バナナアームズ)」の必殺技「スピアビクトリー」すら容易く弾いた程の実力者だ。
だが切り札を使い切った訳ではない、ランサーはまだ2つの宝具を温存している。
その内1つはこんな所で使うわけには行かない代物だが、もう一つはその限りではない。
それを使えば、戦況は更に有利になるであろう。

―戦いには引きどきという物がある。
嘗てランサーに興味を持った女性の言った言葉だ。
為す術がないにも関わらず越えられない壁を目前にして足掻いていた彼に叫んだ言葉。
それがなかったら、恐らく其処で彼は砕け散ったであろう。

だが彼が逃げるのは、出せる手を使い切った時、戦闘の続行が困難だと判断した時の話だ。
だが使える手札ならこの手に残っているではないか。
勝てる可能性が僅かでもある「力」なら、「まだ」ある。
戦い続けることを決めたランサーは、まず側にいる飛鳥に声をかける。

「マスター、貴様は邪魔だ、下がっていろ。」

飛鳥は未だに不安気な表情を浮かべていたが、直ぐにはにかんだ笑みを浮かべる。

「随分と往生際の悪い騎士様だねキミは。まあ、此処はボクが出しゃばるべき舞台じゃない、戦うかどうかはキミの自由さ。」

彼女はそう言うと更に遠くへと走って行く。
避難していく彼女を一瞥したランサーは、もう一度視線をセイバーに向け直し、仮面越しに彼を一瞬睨みつける。

(こんな所で尻尾等振るものか……)

そう考え、新たな宝具を解放することを決意したランサーは、懐から更にジューサー型のアイテムを取り出す。

「まさか此奴を使う事になるとはな……」

ランサーはそのジューサーを、懐かしむような口調で見つめた。


―ゲネシスドライバー。
ランサーが戦極凌馬の気まぐれで貰った次世代戦極ドライバーの内の一機。
今ランサーが巻いているドライバー等から収集した戦闘データを元に設計されており、その性能は従来のドライバーを大幅に凌駕する。
後に回路がショートして焦げてしまったはずだが、宝具の起動装置となった今、それは彼の手の中で元通りの姿を取り戻している。

そしてランサーはゲネシスドライバーを構え、セイバーを仮面の下で睨みつける。

「まだ勝負は付いていないぞセイバー!」

そう叫んだランサーは腰に巻かれた戦極ドライバーを取り外し、代わりにゲネシスドライバーを腰に当てる。
すると銀色の光が両端から発生、ベルトとなり彼の腰に巻き付いた。

「ほう?まだ奥の手があったのか。」
「そういうことだ、此処からは第二ラウンドだ。」

そう言いランサーはスケルトンカラーのロックシードを取り出し、スイッチを押す。

『レモンエナジー!』

錠前が開かれたと同時に電子音声が鳴り響き、ギターのメロディが後に続いて鳴る。

―レモンエナジーロックシード。
「クラスS」に分類される、ゲネシスドライバー専用の次世代型ロックシード。
その性能は従来のロックシードを上回る、例え技術面で勝っていようがその性能差は簡単には埋められない。

ランサーはそれを先程のバナナと同様にクルクルと回転させ、ドライバーのゲネシスコアに装填する。

『ロック・オン!』

先程のと同じ言葉がドライバーから流れる、しかし声はずっと低かった。
まるでホルンの様な待機音がブオンブオンと鳴り始め、ランサーはドライバーのグリップ、シーボルコンプレッサーを押し出す。
それと同時にランサーの真上に開いたジッパーからは、巨大なレモンが出現し彼の上に浮かんだ。
それを見たセイバーはそのプロセスの可笑しさに驚きを隠せず、思わず突っ込みを入れてしまう。

「バナナの次はレモンか!」

『ソーダ!レモンエナジーアームズ!』

ロックシードの蓋が開き、名乗り音とともに上空のレモンは形を変える。
それと同時にランサーを覆っていたバナナの鎧は消滅し、代わりにレモンが頭上に落ちた。

『ファイトパワー!ファイトパワー!ファイファイファイファイファファファファファイ!』

先程よりもずっとハイテンションな音声が鳴り響く中、ランサーの頭上に覆い被さったレモンは徐々に鎧に形を変えていく。
飛び散った果汁の如き余剰エネルギーと共に姿を表したのは、この闇を照らすほどに黄色く神々しく輝かしい鎧であった。
背中にあるケープと頭部の冠が、より一層高貴さを映し出している。
その気高きオーラはまるで「騎士」というより、「貴族」に近い。

これこそ、ランサーの第三の宝具「射り撃つ黄金の矢(レモンエナジーアームズ)」である。
その宝具を顕現させたランサーは直ぐに専用武器である創世弓「ソニックアロー」を出現させ、弦を引き絞る。

「ハァァァァァァ!」


◆  ◆  ◆


(随分と豊富な宝具を揃えているな……)

兜の中でセイバーはそう見る。
バナナを被さったかと思えば次はレモン。
そして槍の次は弓だ。

(ランサーなのに弓って……そんなのありかよ……まあ俺も言えたような物じゃないけど)

だが、相手が武器を弓に変えた以上、戦い方を「対狙撃手」に変えなければならない。
ランサーは自分に向けて弓を引き絞っている。
弦の取っ手から発する黄色い光が弓を流れ徐々に鏃にチャージされていき、動力音からもそれが察せる。

(多分近い内に放たれるな……)

セイバーは剣を構え、ランサーが矢を放つタイミングをジッと伺う。
暗闇ですら見通すその眼で、ランサーが引き絞っている弦をジッと睨みつける。

「ハァッ!」

遂に、ランサーの弓から矢が放たれた。
だがセイバーはその瞬間を狙っていたのだ。

(今だ!)

ランサーの弓から放たれたのは、恐らく魔力で出来ていると思しき金色の矢。
それは真っ直ぐに光の線を描きセイバー目掛けて飛んで来る。
しかもその速さは正に光速、並の戦士なら確実に射抜かれる。
だがセイバーは決して「並の戦士」に当てはまる程弱くはない。
寧ろそんな攻撃などユグドラシルでの新人時代に散々受けてきた。
アインズ・ウール・ゴウンのメンバーからしてみれば、矢避け等朝飯前だ。

「ハッ!」

セイバーはその瞬間右手にある大剣を構え、ランサーの矢をガードしてしまう。

「何!?」

(危なかった……でも慣れればこんな物ただの樹の枝だな)

銃弾は引き金を引かれる直前のタイミングを見極める事さえ出来れば、辛うじて避けることも出来る。
それと同じようにセイバーは、ランサーが弦を離した瞬間に、剣を動かし跳ね返したのだった。
アンデッド狩りにおいて無双を誇った英雄モモン。
その武の腕は、例え光の矢であろうとも物ともしなかった。
そしてこの程度で喜ぶモモンでも無かった。
セイバー…モモンは直ぐにランサーの元へと走りだす。

(第二撃が来る前にとっとと距離を詰めてやる!)

狙撃手にとって的との距離とは命だ。
距離があれば斬られることもなく、且つ正確に射を決められる。
だが距離が低ければ引き金を構えるタイミングも照準を定める時間もなくなってしまうし、直ぐに敵に斬られてしまう。
それを狙ったセイバーは、遠くにいるランサーに向かって走りだす。

「うおおおおおお!」

だがランサーとて何も手を打たないはずがない。
ランサーは直ぐにまた懐から新たなロックシードを取り出す。

「来るか……だが行かせるか!」
『マンゴー!』

ランサーが新たにスイッチを押して錠前を開いたのは、「マンゴーロックシード」。
ランサーの第二の宝具「殴り砕く山吹の戦棍(マンゴーアームズ)」の起動キーたるロックシード。
クルリと指先で回転させたそれをランサーはソニックアローのコネクタ、「エナジードライブベイ」に装填する。

『ロック・オン!』

その手間のかかるプロセスは途轍もない技を発動させる前触れだということはセイバーにも分かる。
大空に掲げられた弓の先端から出現したのは、巨大なメイスを模したエネルギー波。
それは光の線を通してランサーの弓に括りつけられている。
ランサーは勢い良くそれをハンマー投げのボールの如く振り回す。
回転するメイスに周囲の木は薙ぎ倒されていく。
そしてランサーは回転で勢いを着けたメイス状のエネルギーを、セイバー目掛けて振りかざす。



『マンゴーチャージ!』
「セイーッ!」

しかしセイバーはそれをジャンプで躱し、メイスはズシンと地面にぶつかり地面にヒビを入れた後消滅する。
だがセイバーはジャンプした状態で左手の剣を勢い良くランサー目掛けて投げつける。

「お返しだ!」
「フン!」

ランサーは直ぐ様シーボルコンプレッサーをもう一度押し絞る。

『レモンエナジースカッシュ!』

電子音声が鳴り響き、ランサーの弓に黄色い光が宿る。
ランサーはそれを構え思いっきり振りかぶってセイバーの剣を弾き返す。

「ハァァァァァァ……セィィィィィッ!」

ランサーの切っ先は弧を描き、セイバーの剣はそれに弾かれクルクルと回転しながらセイバーの手元へと戻る。
そしてセイバーはそれをキャッチした後落下する勢いをそのまま乗せながらランサーにその剣を振りかざす。
ランサーはエネルギーを込めたソニックアローで剣を防ごうと構える。
だが落下した勢いにセイバーの体重が更に加算された剣の力は凄まじく、ランサーはその勢いに弾き飛ばされる。

「ぐぁぁっ!」

ランサーは勢いのままに後ろに地面を滑るが、直ぐにブレーキをかけ体勢を立て直す。
直ぐに着地したセイバーは剣を構え、ランサーに向かって斬りかかる。
そしてランサーもソニックアローを構え、セイバーにその刃を振り下ろす。

両者の刃は同時にぶつかり、二人は互いにはじけ飛ぶ。
ランサーは弦を引き絞り矢を放って牽制し、そのまま斬りかかる。
だがセイバーは矢を左側の剣で弾いた後、右側の剣でランサーの攻撃を防ぐ。
両者の斬り合いは尚も続く。
セイバーとランサーの剣は互いにガキィン、ガキィンと音を立てて打ち合いもはや互いの甲冑に刃が当たる気配すらなかった。
セイバーが力で剣を振り、ランサーがそれを刃で防いだ後後ろに飛び矢を放つ。
片や力押しな戦法、片やヒットアンドアウェイな戦法による戦いが1分ほど繰り返される。

またもやセイバーとランサーの得物が同時にぶつかるが、しかし今回は刃が滑ることなくギチギチと刃が押し合っている状況になった。
セイバーは双剣を平行に持ち両手の力をソニックアローにぶつけているが、一方でランサーも右手を取手に置き左手でソニックアローを押していた。
互いの筋力を押し合う戦いとなっていた。

だがそんな時、セイバーに念話がかかる。

『セイバーさん!生きていますか!?』
(!?)

リョウマの声だ。
どうやら無事に帰還できたらしい。

『無事か、マスター!』
『ええ、只今自宅に戻りました。』

(良かった……)

セイバーは内心胸を撫で下ろしながらも、しかし剣に入る力は緩まる気配を見せず今だランサーと力を押し合っていた。
だがセイバーは一気に体重を剣にかけてランサーの剣を押し出し、自らは後ろに飛ぶ。

「っ!」

ランサーがまた弓を構えるが、しかしセイバーは対照的に剣を背中に収める。
それを見てランサーはソニックアローを持った腕の力を抜く。

「どういうつもりだ。」

苛立ちの籠った口調でランサーが問いかける。

「マスターの避難が完了した、悪いが此処で引き上げさせてもらう。」
「逃げるのか。」
「逃げるも何も、私の目的は飽くまでもマスターが逃げる時間づくりだ。
だが、貴様と戦えたのも、悪くはなかった。」
「ほう……。」

ランサーが感心した声を上げた後、セイバーの霊体化が始まる。
そしてセイバーは、表情が見えない兜の底からもう一度だけ言葉を残す。

『願わくば、また刃を交えたいものだな、フルーツの騎士よ。』
「ランサーだ。」

そうして、セイバーの姿は完全に光に消えた。
それを見送ったランサーの後ろから声が聞こえてきた。

「名残惜しかったかい?ランサー。」

その声に反応したランサーが振り向くと、其処には飛鳥がいつもの様に達観した笑みを浮かべて立っていた。

「フン、そんなはずはないだろう。だが奴は強かった……それだけは認めてやろう。」
「へぇ、水が差された際のキミは随分と苛立ちを見せていた様に感ぜられたけれどねぇ。
しかし本当に凄まじい戦いだったよ……あれほど激的な戦闘はこれが初だったんじゃないかい?」
「フン。」

だが、そう言う飛鳥の身体が突然よろけた。
だが彼女は気づかないようで、未だ饒舌にランサーに話しかける。

「全く、流石決勝、と断言せざるを得ない勝負だったよ……それにしても、まさかキミの3つ目の宝具をご照覧になるだなんて思わなかっ……。」

そこまで言おうとした時、不意に飛鳥は回転力を失ったコマの様に徐々にヨロヨロとふらついていった。
そしてとうとうバランスを崩し、遂に横に倒れようとする。

それに気づいたランサーは直ぐ様彼女の元に駆け寄り、すんでのところで地面に倒れそうになった飛鳥を受け止め、そのまま抱き抱える。
顔を覗いてみると、彼女は目を瞑ってスヤスヤと眠っている。

(やはり魔力を使いすぎたか……)

無理もない、彼女の言う通り先程の戦闘は本当に激しかった。
本来、ヘルヘイムの森の実を加工したロックシードには魔力が籠っているはずだ。
だがアームズが宝具化した影響で、ロックシードはランサーの魔力を吸い取る形で機能している、という様に変質してしまった。
おまけに先程は必殺技を連発した上にアームズも二度召喚した。

その上序盤ではヘルヘイムの植物まで喚び出した。
あれこそランサーの切り札「運命超越す緋色の王(ロード・バロン)」の力の片鱗だ。
あの力は、アームズ召喚にも使用していた異界に繋がるジッパー型の空間の穴「クラック」を自在に開く能力も保有しているのだ。
最終決戦ではヘルヘイムが地球に侵食していたお陰でそれ程クラックを開く必要は無かったが、今回はそういう訳には行かない。
況してやこの「SE.RA.PH」はクラックすら開く気配を見せていない、強制的にヘルヘイムの植物を呼び寄せる必要があるのだ。
だが電子世界にまでヘルヘイムの世界の空間を通すとなると、その消費魔力は生前以上の物となるであろう。
それらがマスターへの負担となり、かなりの魔力を吸われた事による疲労で彼女は眠ってしまった、と言う事になる。

しかし、それ程に魔力を喰われても尚飛鳥はああも気取った態度を取っていられるのだ。
その疲労を自覚しているのかどうかはランサーの知ったことではないが、とにかく、彼女が体力の消耗にも悲鳴を上げず、弱音を吐かずにランサーの戦いを見届けていたのは、
紛れも無い事実であった。
何より彼女は生きる「覚悟」を予選においてランサーに見せつけていた。

(それで良い……お前は弱くない……)

己のマスターである彼女が決して弱者はないということを、ランサー……戒斗は改めて認めた。
そして、眠る彼女の頭をそっと撫でてやった。


月の海で見る月明かりは、今宵も変わらず美しかった。


【E-3/場所名/1日目 夜(20:40)】

【最上リョウマ@デジモンクロスウォーズ 時を駆ける少年ハンターたち】
[状態] 健康、魔力消費(小)
[令呪]残り3画
[装備]
[道具] クロスローダー
[所持金] 貧乏(一般学生の小遣いレベル)
[思考・状況]
基本行動方針:答えを見つけるまで専守防衛
1. セイバーにはとても迷惑をかけたと思っている。
2. 帰宅しました。
3.明日の方針について考える。
[備考]



【セイバー(モモン)@オーバーロード】
[状態] 健康
[装備] 双剣、漆黒の鎧
[道具] その他多数の装備
[所持金] 無し
[思考・状況]
基本行動方針:マスターの依頼を引き受ける。
1. 「アインズ・ウール・ゴウン」の名はなるべく隠しておく。
2. 自分の正体がバレてマスターの心の傷を抉らないか心配。
3.切り札である魔法アイテムはなるべく取っておく。
4.あのランサーとはまた戦ってみたいものだ
5.にしても頭にフルーツを被るのはちょっと可笑しいよなぁ……
[備考]

  • ランサー(駆紋戒斗)の宝具「刺し貫く鮮黄の槍(バナナアームズ)」、「射り撃つ黄金の矢(レモンエナジーアームズ)」を確認しました。


【二宮飛鳥@アイドルマスターシンデレラガールズ】
[状態] 魔力消費(大)、疲労による睡眠状態
[令呪]残り3画
[装備]
[道具]
[所持金] 貧乏(一般学生の小遣いレベル)
[思考・状況]
基本行動方針:生きて帰る。
1.敵は倒す、「覚悟」はとっくに決めた。
2. にしても、随分と暴れたじゃないかランサー……ムニャムニャ。
[備考]

  • 魔力消費による疲労で眠っています。
  • セイバー(モモン)の宝具は目の当たりにしてますが、宝具だと感づいているかは不明です。
  • 予選時にランサーに「覚悟」を見せつけたそうです。


【ランサー(駆紋戒斗)@仮面ライダー鎧武】
[状態] 健康
[装備] ゲネシスドライバー&レモンエナジーロックシード、ソニックアロー
[道具] 戦極ドライバー、ロックシード一式
[所持金] 無し
[思考・状況]
基本行動方針:願いを叶える
1.聖杯に招かれた英雄達に己の「強さ」を示す。
2. セイバー(モモン)に対し(本人は否定しているが)再戦を望んでいる。
3.お前は弱くない……
4.さっさと此奴を起こして戻るとするか。
[備考]

  • セイバー(モモン)の宝具は目の当たりにしてますが、宝具だと感づいているかは不明です。
  • 「運命超越す緋色の王(ロード・バロン)」を除く全ての宝具を解放しています。
  • 現在マスターの二宮飛鳥を抱きかかえています、彼女が目覚め次第家に送り届ける予定です。



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初めの一捲り~「飢」の章~ 最上リョウマ 11.その名は――
セイバー(モモン)
二宮飛鳥 09.LES ART MARTIAUX
ランサー(駆紋戒斗)
最終更新:2016年11月10日 19:51