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変種第二号

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変種第二号  ◆BOMB.pP2l.



月の光に洗われるようにさやさやと静かにさざめく一面の広い草原。
そこを切り裂くかの様に一本の道路が通っており、そしてその上を一つの影が疾走していた。

「ksk! ksk~!」

ksk(この場合はキョンがスケベなことをするの意味)と叫びながら走っているのは再び殖装したキョンだ。
人間――特に男といったものはどこまでいっても欲望に弱い。それが青春真っ盛りの妹フェチとなるなら尚更だろう。
殺し合いという理不尽な場に放り込まれ、その結果として気が触れて妹祭りなどというものを画策したとしてもそれは仕方がない。
むしろ、いたす場所を選ぶだけの理性が残っていたことを賞賛すべきか。

「すごい! 早い! 俺!」

というわけで、あっという間に娼館へとたどり着いたキョンは小脇に抱えていたゆたかを下ろすとその威容をまじまじと見た。
目の前にあるのはいかにもといった感じのソレっぽい建物だ。
目を回していたゆたかも気づいたのであろう。また、わたわたと逃げ始めたがキョンはがしっとその肩をつかんで引き寄せると、

                ........
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     .:/:八: : : :h: :| r{: : :/: :/〈{ { : Ⅳ   j/ん/:} : : : l/ }        j       //ノ
     :/: ′ヘ : : |ヘ |ヽ|: :/:Ⅳ }  ゞ-'    ム/: :|: : / ヘ j      , ‐-、,__    ,.イ:/   俺と合体したいだろう?
         :\:{ ヾ、Ⅳ{: : : :|    __   }: : j/ |.:.:.:.:ヘ  \  弋,__,/  /.ノ.:.\      常識的に考えて……
            _>ー―f^:ヘ : : :| 、  _ ,   イ | : :/}: }.:.:.:.:.:iヘ  \  ー   /  ./.:.:.:.:.:.\
        ,イノ⌒\ `  ヽ、:{    l>、 }: /j/ ,j/.:.:.:.:.:.:|  `  / `'ー-r<´  ./.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\
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震える彼女を連れてエロスワールドへの扉をくぐった。


 ☆ ☆ ☆


『妹の部屋』――おあつらえ向きなプレイルームがあると知ると、キョンは迷わずそこを選んだ。
使い古しの学習机。その脇にかかった真っ赤なランドセル。あまり大きくはないベッドの枕元のぬいぐるみ。
彼自身の実妹の部屋にも似ており、彼も大体は満足したが――

「妹スメルに欠けるな。作り物だから仕方がないことだが……まぁ、ここで祭りを行えばその点はクリアできるか……」

生活臭。具体的には妹スメルがしないことにいくらかの不満があったようだ。
タンスの中は空っぽだし、こまめに取り替えられるシーツや枕カバーは清潔そのもの。彼としては残念極まりなかった。
がしかし、その問題もこれから実際に妹がこの部屋でいくらかの時を過ごせば解消することができる。
ということで。

「笛を吹いてくれ」
「は?」

キョンはランドセルに刺さっていたリコーダーをベッドの上のゆたかへと突き出した。


「妹が吹いたリコーダーを舐めたいというのは兄として当然の欲求だ。だから、頼む」
「だが断る」
「……く! その返しは泉から教わったのか? あいつめゆたかたんに何を仕込んでいるんだ。
 まぁこれは後でもいいや。じゃあ、そこのクッションに座っておならをしてくれ。後で匂いを嗅ぐから」
「………………」
「そんな白い目でお兄ちゃんを見るんじゃあない!」

キョンは椅子に腰掛けると額に手を当ててやれやれと呟いた。
まずは初歩の初歩からと考えているが、中々に妹祭りへの道は険しく遠いらしい。

「じゃあ、一回部屋から出るからさ。
 その間に着替えを始めて、俺が扉を開いたところで『お兄ちゃんのスケベ』って言ってくれ」
「い、いやです」
「だったら、お互いに電気アンマごっこしないか? 楽しいぞう?」
「やです」
「無防備に足を開くことで神秘の三角地帯を無邪気に曝しインモラルなエロスを醸し出してくれ」
「そんなことしません!」

く――と、キョンの口から吐息が漏れた。
実の妹ならばことはスムーズに運ぶのだが、急造となるとやはり色々と無理があるらしい。
とはいえ、この殺し合いの場で兄と妹の絆を一からじっくりと育むのも難しいだろう。それこそロワが終わってしまう。

「ええい。こうなってはしかたがない!」
「……っ?」

一線を一足に飛び越えようと、彼は服を脱いだ。


 ☆ ☆ ☆


「な~に、俺とゆたかたんの間に血のつながりはない」

故にオールオッケーだと、指をわきわきさせながらにじり寄ってくる男にゆたかはルイズと相対した時よりも強い恐怖を覚えていた。
目の前の男は超がつくほどの変態で自分の貞操は風前のともし火だ。
抵抗しようかと思っても、同じ妹候補であったはずのルイズはあっけなく殺されてしまった。
彼の気分一つで命すらも奪われかねない。となるとそれも怖くてできない。もっとも、そもそもそんな力は持っていなかったが。

「……ふ、笛を吹きますから。あの……その……、……」
「ほう? それは殊勝な心がけだなマイシスター。では早速、俺のホットなリコーダーを吹いてもらおうか」

命。続けて貞操には代えられぬと妥協案を示してみるものの、しかしリピドーの支配された男はその言葉を勘違いしたらしい。
股間のガイバーを突き出すとファランクスよろしくズンズンと突き出してくる。

「あ、あのあの……ちょ、ちょっと待って……」
「何、恐れることはないゆたかたんよ。こいつは噛み付いたりはしない。そっと触ってごらん?」

小早川ゆたかの貞操終了まで後僅か。そして、キョンの理性崩壊ははるか以前の話。
さて、ここよりこの物語の中で一番に純情だといえる彼女はいかなる逆転劇を見せてくれるのだろうか。
よもやこのままキョンにアレされちゃうのであろうか? いや、それは断じて許されはしないだろう。何より私が嫌だ。
ここまで来た以上、色々とあれな意味であれだとは思うがここからでもヒロインの座に戻れると私は信じたい。


「――うちの学校の生徒に何さらすんじゃーい!」


ということで、いささかご都合の感は否めないがここで正義の味方の乱入である。
その金髪が元の持ち主とよく似た黒井ななこは乱入するなり約束された勝利の剣を一閃。
ゆーちゃんの眼前へと突きつけられたそれを叩き落すと、革靴の裏でそれを踏みつけ壊れたクラリネットとした。


無謀な変態の断末魔が、バトルロワイアルの夜に響き渡る――……


 ★ ★ ★


「ふー、こんなもんか……」

そう言うと、一仕事終えたななこは額に浮かんだ汗を拭った。
その足元には哀れな変態の末路。エクスカリバーによって滅多刺しにされたキョンが転がっている。
一度と挿すことなく刺されて逝く。これもバトルロワイアルにおける無常の一つの形であった。よくある話でもある。

「大丈夫やったか? …………と」

振り返り、ベッドの隅で青くなっているゆたかの顔を見てななこの顔も曇った。
男に乱暴されそうになったからその恐怖で青くなっている――それは間違いではなかったが、しかしそれだけでもない。
ゆたかの震える瞳は、それは人殺しを見る目に他ならなかった。

「せやな……まぁ、そうなるわな……」

諦めを含んだ溜息がななこの口からこぼれる。
そう。自分自身は人殺しに他ならない。そうなると決めて、そして実際にその手を血に染めたのだ。
それが生徒達の為とはいえ、決して誰からか理解されるものではないとも解っていた。

「うちはこの通り、この殺し合いっちゅうのをちゃちゃっと終わらせたくてなぁ。
 とはいえ、見知ったもんを殺すいうのは気が引ける話やし……小早川。早ぅ逃げ。殺されたないやろ?」

ことさらに明るく言ってのける。
これが正解だと。理解や同情を求めてはいけない。
教え子達を綺麗なまま生き残らせる為にも、自分との間には……汚れてしまった自分との間には明確な線引きが必要だった。
歩み寄って彼女達を汚してもいけないし、近づくことを許して同じ道を歩ませてもいけないのだ。
最初にそう決めたのだから。

「うちは――殺人鬼や。もう、ほんまもんのな……」

ひ――と、その言葉にゆたかの口から悲鳴が漏れる。
それでいいと、そうななこは思った。恐れられ嫌われれば、その方がよっぽど楽だから。
未練もなく、ただの礎としてこの身を犠牲にできるだろうと。

「さてと、この不届き者から荷物ひっぺがしていかんとな。拳銃でも持ってたら――っ!?」

しかしまだ、黒井ななこは人殺しではなかった。
なぜならば、ガイバーは剣で刺されたぐらいでは死には至らないからだ。
殖装の衝撃に、未だ不完全な殺人鬼は吹き飛ばされる。


 ★ ★ ★


「――やめて! やめてください! なんでもしますからっ!」

少女の悲痛な叫び声が『妹の部屋』に木霊していた。
その目の前では怒りに我を忘れたキョンがぐったりとしたななこを何度も何度も憎ましげに踏みつけている。
普通の人間を遥かに凌駕するガイバーの力で、何度も何度も……。

「この行き遅れが――っ! よくも、よくも俺のシンボルを! 再生できなかったらどうするつもりだったんだ!」

冷静でないから狙いが定まらないのか、それとも甚振るためなのか、血塗れながらもななこは辛うじて生きている。
内臓を痛めたのだろうか、口からは血を吐くばかりで最早悲鳴の一つもあがってはこない。
だが、ゆたかは気づいていた。彼女の口がずっと同じ形を繰り返しているのを――に・げ・ろ、と繰り返しているのを。

「お願いします。先生を殺さないでください。あなたの妹になります。だから――」

どれだけ怒り狂っていてもそれだけは聞き逃さないのか、妹という言葉を聞くとキョンは再び殖装を解いて下卑た笑みを浮かべた。
年増はゴミと言わんばかりにそれを意識から放り出すと、ゆたか――妹が待つベッドへと再び歩み寄る。

「とりあえず。いついかなる時でも俺を呼ぶ時はお兄ちゃん。またはそれに類する言葉を使用するように。
 とはいえ、やはり俺は一番オーソッドクスな”お兄ちゃん”が好きだがな」
「……はい。お、おにぃ……ちゃん」

遂にそれが聞けたとキョンの顔に満面の笑みが浮かんだ。
お兄ちゃん――甘美な響きを持つ言葉である。その言葉一つで彼の中の怒りも何もかもが蕩けてゆく。

「よしよし。では散らかってしまったことだし部屋を移るか……と、どうした? 妹よ?」
「あ……あ……、あぁ……」

さてドタバタも終わり一度仕切りなおそうかと思ったキョンであったが、なにやら目の前の妹の様子がおかしい。
驚愕の色に染まる視線は彼の背後を見ており、一体何がとキョンが振り返るとそこには――

                  _  ,─、
                   / ヽ-,   ヽ、‐、_
                 /,  , ,、 ,ヘ   、 、ヽ
                //  /├ Tヽ !  ! \ヽ
               // ,   LL__ |. Vl、_j_  ヽ|
               / l |   j !  ` !. 「lヽ j  l  l
                  l./| |  l'|.!    !  !| ヽト  ト l  <うちも捨てたもんやないやろ?
              |l |  l  |ヒ≡ミ   モ≡ミ,ヽ |ヽ|
                l  | | '     丶   '' '∧.│ l|/´  ̄`7
                ヽ├N、   ー‐'   ,ノヒl |!:/     /、_
                   〉Lヾ,|ニ>, 、__ ィ1、┤┼、 !′  _/    ̄ ``ヽ、
                       .L 二ニ彡L__」1::|  | ̄ヽ〈         \
                   __>l _ノVVハY´   |::,!  !    〉>ー- 、       〉
               厂     _ノネ之ネ_」     |/|. /   〈         _/
              _ノ__ ∠フ , _/  ``ヽ   l/`ー-_/-──r ''¨´
            , '´      ̄′         ト、  `ヽ_」 「 ̄ ̄
              /        .:;′ .:.:.::::::::::.:. . .::l L _, ん_フ´
           {.::::.:.:. .   .:.:', .:.:.:.::::::::::::::::::::.:.:,'::/ ~^´.-─‐─‐┐
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            「 ̄\.:.:::::::::,:. イ ̄` ー----‐'´^Y          . : :/
          |    「7∧.:.:::::.:.       _, { _ ___. . . . : : :/
          |    l〃 ヽ.:::::::.:. |\       \__      ̄ `¨¨`ヽ、
             \_/     ト、.::::.:.\|_        / \         \
          / ̄l     / }:ーr孑介ト、    /   \- ─‐─‐- 、_ \
         /   /     /, イ.:.::l.:.:// \\ / /     ̄|`ヽ_ _  \ \
        /   , イ     /_」\l_//   \|/ /       」       ̄ ``V´
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     〈〈〈 _Ll/_/   ̄\\ _ ん>、___ ___ _/ _」           Vハ
       ゝ‐'"´         | |  ノソ ノ八__ノ八_」 __ノ             Vハ
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     ./           .:.:.:.:.|/                    \           | |

―― 一人のメイドさんの姿があった。


 ☆ ☆ ☆


”――力が欲しいか?”


朦朧とする意識の中で黒井ななこはその声を聞いた。


”――力が欲しいか?”


それが何者の声かはわからなかった。だが、彼女は力が欲しいとそう心の中で答えを返した。
いかなる決意があろうとも所詮は自分はただの女であったと、それを痛感していたところである。
そして、もう命の火も消えかかっている。ならば、例え声の主が悪魔だろうとかまわないとななこは思った。
自分の生徒達を救える力が得られるならば、どのような代償を払っても構わないと。


”――ならば力をくれてやろう”


 ☆ ☆ ☆


「なん……だと……?」

キョンは困惑していた。
ボロ雑巾の様になっていたはずのババアが立ち上がったばかりか、逆に先程よりも元気な様子を見せている。
しかもいつの間にかにメイド服を着て、妖しい気配を……そう、噎せ返るような濃密なエロスの気配を漂わせて……。

「さっきは若造がようやってくれたのー。Mっ気に火がついて、思わず逝ってしまうところやったわぁ」

ななこは言いながら足を一歩踏み出す。
ただの一歩なのにキョンにはそれがズンと身体に響いたと感じられ、そして彼は自分の手足が震えていることに気づいた。
理性よりも早く雄の本能が察知していたのだ。どちらが”餌”で、どちらが”捕食者”なのか。

「次はうちのターンや。自分、若いんやから少しはもたせーよ?」

口の中に見えた真っ赤な舌にキョンは総毛立ち、次の瞬間には反射的に落ちていた剣を拾い切りかかっていた。
だが、それは空を切る。キョンはたたらを踏み、そのまま倒れかける――が、顎を掴まれ強引に持ち上げられた。
目の前には妖しく笑う女の顔。

「大人のキスちゅーもんを教えたる――……」

次の瞬間。キョンの脳髄に腐った果実の様などこまでも濃厚で甘く、おぞましい刺激が走った。
合わさった唇の感触はまるで溶けているかの様に曖昧で、唾液が酸なのかと思えるほどに熱く、痛い。
口内を蹂躙する舌の感触だけが鮮明で、まるでそれが脳を書き換えているのか意識は落ちて、堕ちてゆく……。


これがキョンの人生初のキスで、そして最後のキスだった。


 ☆ ☆ ☆


「ぷはーっ! ごっそさ~ん♪」

妖しいメイドさんと化したななこは、そう言うと”吸っていた”キョンの身体を放り捨てベトベトになっていた唇を拭った。
床に転がったキョンの身体はからっからのミイラと化しており、最早一切の生体反応はなく蘇って来る様子もない。

「――最初の仕事としては中々上出来ね。少し感心したわ」

その小さな声に、にんまりとしたままななこは振り返る。
彼女の視線の先、床に置かれたデイパックの上にはまるで人形のような小さなメイドさんの姿があった。
夕焼け色の髪をツインテールにしており、よく見ればそれはティアナ・ランスターとそっくりであるとわかる。

「いやー、おおきになー。死にかけとったところを助けてもろうたばかりか、こないな力まで」
「フフフ。私の方こそ貴重なご主人様が死なれても困る訳だしね。事態は掴めないけどしばらくはあなたに協力するわ」

小さなメイド――彼女こそは大人専用デバイス・エロスの鐘に宿る精霊、ミニ・サスペリア。
そして、彼女の導きにより淫らなメイドと化したななこの今の姿こそが、魔法妖女デザイア・ベルである。
本来、エロスの鐘はその名の通り、エロスの鐘の煩悩寺専用のデバイスなのだが、
黒井ななこの危機に瀕した際の生への執着と、27年間溜め込んでいたなにに反応してその力を貸したのであった。

「んー、肌もつるっつるでなんか5歳……いや、7歳は若返った気分やわ~♪」
「喜んでいるところ悪いんだけど、そうはいいことばかりではなくってよ」

姿見の前でしなをつくって悦に浸るななこへと、小さなメイドは冷や水のような言葉をぶつける。

「な、なんや? もう、こないな力手に入れたら手放したくあらへんで?」
「だったらなおのこと頑張ってもらわないといけないわね。
 元々、これは私の本来のご主人様用にカスタマイズされたデバイス。
 魅力に欠けた年増のあなたじゃあ、それをリカバリする分だけ余分な精力が必要になっちゃうわけ」
「ということは……?」
「そう。どんどん若い男の精気を吸っていかないとエネルギーが切れてあなたは元のババアに戻っちゃうってわけよ」
「ババア言うな――っ!」
「それどころか、反作用で二目と見れない醜い姿になってしまうかもね」
「それは嫌やなぁ……」

ななこ――いや、魔法妖女デザイア・ベルは再び姿見に映った自分の姿を見る。
肌はつやつやで唇はぷっくり。目じりに皺ひとつなく、ばさばさだった髪の毛も頭に綺麗な天使の輪を浮かべていた。
バストにもつんと張りが戻っていて、変身前と比べればサイズが1カップは上がっているだろう。
短いスカートから覗く太ももに痛々しさは決してなく、お尻は自分のものとは思えないほど扇情的だった。

「これを……これを、なくすんは嫌や……」
「だったら、精々男漁りに精を尽くすことねー」


ヤったるで――っ! と、ななこは鏡の前でキラッ☆とポーズを決め、新たな決意を胸に秘めるのであった。





 【キョン@やる夫がバトル・ロワイアルに参加しているようです 死亡】

 【D-6/娼館内・『妹の部屋』/1日目-黎明】

 【黒井ななこ@らき☆すた(原作)】
 [状態]:魔法妖女デザイア・ベル、精気満々、魔力全快
 [装備]:エクスカリバー@オールロワ、エロスの鐘(ミニ・サスペリア)@書き手2
 [持物]:デイパックx2、支給品一式x2、チェーンソー@やる夫ロワ、不明支給品x0-4(キョン)
 [方針/行動]
  基本方針-1:こなた、つかさ、かがみ、みゆき、ゆたか、みなみのいずれかを優勝させる。
  基本方針-2:このピチピチボディを維持するんや。
  1:ええ男探すでー☆
  2:女とか対象外は普通に殺すわ☆


 【エロスの鐘@書き手2】
 大人用オリジナルデバイスで、使用することで妖艶なメイド姿の魔法妖女デザイア・ベルへと変身できる。
 変身中は直接、間接的に精気を吸うことができ、最後まで吸われた相手はミイラとなってしまう(枯死)。
 オプションとしてミニ・サスペリアが付属。使用方法などをあれこれ口やかましくレクチャーしてくれる。


 ※0号ガイバーユニット@書き手2はキョンの死体の傍らに落ちています。


 ☆ ☆ ☆


「――にしても、寝て目が覚めたら新しいロワが始まってるなんて前代未聞よね」

月明かりの下にそれが映える紫色の長いツインテールを振りながら歩く少女の姿があった。
柊かがみにそっくりな容姿をしたクールなロリスキーと呼ばれる漫画ロワ出身のの書き手である。

「支給品とかが一から配りなおしっていうのは別にかまわないけど……何も衣装までデフォに戻さなくとも」

かがみにそっくりな彼女はそう言いながら自分の肩を抱いた。
今現在の彼女の格好――つまりは、彼女のデフォの衣装は裸に黒タイツのみ、である。
どうしてこういうことになっているのか、それは今更知ることのできない永遠の謎だがしかし紛れもない現実でもある。

「今更だけど、すごく恥ずかしいわ……そ、それ――クシュン! それに、寒いじゃない……」

鞄からポケットティッシュを一つ取り出して鼻をかむと、ロリスキーはそれを丸めて道端のゴミ箱へと捨てた。
それが支給品なのか、デイパックには大量のポケットティッシュが詰め込まれていたので風邪をひいても困りはしなかったが、
しかしひかないことに越したことはないので適当な衣装はないかとロリスキーは夜の街をうろつく。

「こなたはどこにいるんだろう。あいつに聞けば何か知ってそうな気もするけど……――クシュン!
 ああでも、ここには本物のこなたもいるんだっけか、なんか面倒ねー。私はあいつのことなんて呼べばいいんだ?」

と、夜風の冷たさを紛らわせる為かブツブツと独り言を続けていたロリスキーは近づいてくる足音に気づいた。
その小さな足音は音の間隔からすると走っているようで――と、すぐにその姿が彼女の目に入ってくる。

「あ。あれはゆーちゃんじゃない。本物なのかな?」

まぁ、定番としてマーダーにでも追われていたのだろうと、そう当たりをつけるとロリスキーは彼女を保護すべく近づいた。
できれば着るものなどを持っていたらありがたいな、などと思いつつ。

ゆたかの方も気づいたのであろう。
一瞬驚いたが、それが柊かがみの姿であると確認すると半泣きの表情で駆け寄ってくる。

そして――……


「柊せんぱ……、……………………」


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    | }: : : : : : { : : ヽ、_|: : : l: l           / }
    |八: : : :∧ヽ`゛<ム : : h:{   ____ , く: : :│
    |{ }: : /  ヽ{     }: : :|ヘヽ、 /} : 八 } : : |
.      j/       ∧ : ト、\  ヽ\}  |: /リ
              / ヘ: :l \   } ヽ. j/
           /     ヽ{ ,ィー―ヘ   \
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  ノ l Jヽ 〔/ / , -/´ ̄: : : : : :\: : : : : \___
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 ム ヒ    7_//.: : : : : : : 厶∧: : : : : : ',: : : : : : : : :\\
 月 ヒ      / : : : : : //l: {  \ : : : : :, :ヽ :\: : : : :ヽ/
 ノ l ヽヽノ   /∨ : : : : :.' |: l   \: : : |\| : : :ヽ: :}\ヽ
    ̄ ̄   ./  | : : : : :/  |: |     ヽ、}  ヽ: : : :}: {  ヽ}
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  | ー      ̄フ',: : : : :{   ,ィ气       `ヾヽ/: :ヘ: :',
  | ヽー     ./ ∧: : : ∧〃          { : j: : : }\}
   |      > :ハ:ヘ: : :{: :ヽ.     rー、  fY^}j : |ヘ : l
   |      \.. ヽヽ :|: : : :\   、__ノ,ヘ}  ト、:| Ⅳ
   |     トーゝ  ^Ⅵ>、;_;_;≧ー‐ ヘヽ  ,/ :}ノ
   |     |        / . : /´ ̄ヽ ,ィ} ,/: /:j
   |      i     /. :/       } fこ´_:/:∧
 | | | |  .{.   /. : :/         | ヘ:_:_:_://}
 | | | |  l.   /. : : :/       | jー― '  .′
. ・. ・ ・. ・  ヽ| /. : : :/ {        |ー}     ,/

     ヽ.、______ .ノ|: : : : : : : : : : : : : :`ヽ、           ミ川川川川川川川彡
       ` ー―ァ‐: , : : : : :| : : : : : : :\: : : : : : : : \          三          三
        ,..イ´ : : /: : : :/__l!_:{___ヽ j|: : \:.、ソ^マヽー‐-....、  三 ちょ!     三
       / ,/. - 7  ̄/ .小--ヘ.:\ ̄ ̄ハ: : : :∨:.:-.、:ノ:..:.:.:.:.:.:.:\ 三  おま!?  .三
     / /     ′‐: :「 / |:l!: : :lト : :ト., :イ__厂 : : ∨:.:.:.\:::..:.:.:.:.:.:./ .三          .三
    /  /   / l ,:-―トl、 |ハ: : l! >イ\: : :∨. : : : V:.:.:.:.:.\::.:.:.:/  彡川川川川川川川ミ
   ′ イ /i:ハ :|′: :/| | \!  Ⅵl′>_z三=ァ : : : V:.:.:.:.:.:.:ヽイ
  //  !: : : :|:し.:|: : :/.z土ー|  ヽ.Vイ¨´}z.ミli、}ト、 : : : |:.:.:.:.:.:.:.:/:|
 /     ! : : | : :| :くf¨ 丁ミ.、    \ 「7!:::ハ}| ヾ ヽ: : :L:.:.:.:/|: |
     | : : : l : :.:.! ハ 「7{:::jj}        V迂ソリ   jヘ : | Y:.:.| : | :|
     l: : : /!: : :.:〉ヘ V{爪リ       `ニ´    jヘ:| リ:.:.| : |:|
       i: :/ l: : :.|:{ハ `ー'   、       ' '  ,、__ .ィ.:.:.:.! : |: :!
       ∨   V: :|:.ト._}  ´     _ .. - 、    .イ :}:.:.:/:.:.:.:.l : :!: :|
          V:|/.:八     {7 ̄.. - 一'  /|/:./:.: : : :|: :i|:. :|
           トl:.: : :.:>  .._  ̄    .  ´ 「:`j/:/ : : : : :l: :l:.|:. :!
           |ハ : : :.:.:.:.:.|:|:.:| ̄,.不丁    {_/j:/ : : : : : :!: l:.:|:. :|
            l! : : : :.:.:.:.:l:!|:.:.∨:..:./ノ    /:/′: : : : : :l: /:.:|:.:|..                  ┼ヽ  -|r‐、. レ |
             | : : : : :.:.:.ハ{:.ノ..:..:/-――-/:./: : : : : : : :/:/|:.:.:!:. :|                    d⌒) ./| _ノ  __ノ


 【D-5/市街/1日目-黎明】

 【小早川ゆたか@らき☆すた(原作)】
 [状態]:疲労(大)、精神崩壊気味、大混乱
 [装備]:なし
 [持物]:デイパック、支給品一式、不明支給品x1-3
 [方針/行動]
  基本方針:みなみちゃんやこなた達を探し出して合流する。
  0:マタヘンタイデスカ……
  1:みなみちゃーんたすけてー;;


 【クールなロリスキー@書き手ロワイアル2nd】
 [状態]:不死者、吸血鬼、健康
 [装備]:なし
 [持物]:デイパック、支給品一式、大量のポケットティッシュ@カオスロワ、不明支給品x0-2
 [方針/行動]
  基本方針:地球破壊爆弾No.V-7を探し出して合流する。
  0:私は変態じゃ……ない。多分、おそらくは……。
  1:ゆたかを保護。
  2:何か着るものを探す。

 [備考]
  ※登場時期は「238:trigger」の冒頭辺り。ウッカリデスが死亡するより前です。


 【大量のポケットティッシュ@カオスロワ】
 あの範馬勇次郎お手製という、他の世界では見られない貴重な(?)ティッシュ。
 ノロウィルス撲滅キャンペーンの為に作られたもので、『牡蠣はしっかり加熱しよう』と書かれている。
 その仕事の早さと仕上がりにはあのアーカードの旦那も感嘆した。


034:おまえら人間じゃねぇ!(読者視点) 投下順に読む 036:パラレルワールドって怖くね?
034:おまえら人間じゃねぇ!(読者視点) 時系列順に読む 036:パラレルワールドって怖くね?
014:せめて歩ませよ我が外道の道を 黒井ななこ 073:ここにいるのは――
019:ど う す れ ば い い ん だ キョン
小早川ゆたか 039:まあ、どうせここヘンタイさんばっかだし。
クールなロリスキー


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