二人がここにいる不思議 ◆BOMB.pP2l.
生存競争というゲームの舞台となる孤島。
その南端に位置し、白く高く聳え立つ海を渡るものへと光を送る一本の塔――灯台。
夜明けもまだで岸壁から見下ろす海も黒い奈落としか見えない頃、一人の男がその中へと入り込んだ。
その南端に位置し、白く高く聳え立つ海を渡るものへと光を送る一本の塔――灯台。
夜明けもまだで岸壁から見下ろす海も黒い奈落としか見えない頃、一人の男がその中へと入り込んだ。
「どうやら一騒動あったようだな」
黒いスーツに身を包んだ壮年の男――衝撃のアルベルトは、砕かれ押し倒された扉の残骸を見てそう言葉を漏らす。
ここに誰かがいて、そして何かがあった。しかし今は無人。
アルベルトは人の気配がないことを確認すると奥へと入り、螺旋階段を上って行く。
ここに誰かがいて、そして何かがあった。しかし今は無人。
アルベルトは人の気配がないことを確認すると奥へと入り、螺旋階段を上って行く。
「……つまらんな」
灯台の頂上へと辿り着いたアルベルトは誰に言うでもなくそう零す。
つまらない。それが現在の彼のこの殺し合いに対する率直な感想であった。
彼がこの場において求めるのは、至上の闘争。極上の死闘。究極の激闘である。
だが、彼が求めるに足りる強者の気配は未だ感じられていなかった。
つまらない。それが現在の彼のこの殺し合いに対する率直な感想であった。
彼がこの場において求めるのは、至上の闘争。極上の死闘。究極の激闘である。
だが、彼が求めるに足りる強者の気配は未だ感じられていなかった。
「ふん」
懐から葉巻を一本を取り出しアルベルトは口に銜える。次の瞬間、手も触れていないのにその先端に火が点った。
吸い込み、そして紫煙を吐き出すとアルベルトは灯台の先端より殺し合いの舞台となる島を睥睨する。
闘争の気配はする。すぐさまにそこへと駆け参じ自らもそれに加わるのも悪くは無い。だが――
吸い込み、そして紫煙を吐き出すとアルベルトは灯台の先端より殺し合いの舞台となる島を睥睨する。
闘争の気配はする。すぐさまにそこへと駆け参じ自らもそれに加わるのも悪くは無い。だが――
「何故、お前は来なかったのだ?」
――宿敵であり、仇であり、好敵手であった戴宗はここにはいない。
彼と匹敵しうる強者の気配が感じられない。
最早アルベルトに命を惜しむ気持ちなどはないのだ。ならば闘争の相手は強ければ強い程よかった。
しかし、今現在感じ取れるのはBF団の十傑集を満足させるには足らぬものばかり。
彼と匹敵しうる強者の気配が感じられない。
最早アルベルトに命を惜しむ気持ちなどはないのだ。ならば闘争の相手は強ければ強い程よかった。
しかし、今現在感じ取れるのはBF団の十傑集を満足させるには足らぬものばかり。
「蛙などではは座興にもならぬわ。あの道化共め、何故ワシと匹敵しうる強者を集めて揃えんのか」
戻ることも、先に進むことも諦めた。故に思いは焦がれる。
無念の残る形で戴宗が死に、再会の機会は与えられたがそれは適わず、そしてもうその可能性は遠く離れた。
終わった事に駄々をこねる子供ではなかったが、後悔と苛立ちが募ることは否定できなかった。
無念の残る形で戴宗が死に、再会の機会は与えられたがそれは適わず、そしてもうその可能性は遠く離れた。
終わった事に駄々をこねる子供ではなかったが、後悔と苛立ちが募ることは否定できなかった。
「ここにいる者共を皆殺しにすれば、あの道化に今度は修羅の国へ送れとでも言うてみるか」
冷たい海風にも動じずアルベルトは眼前に広がる海原を見つめる。
海の色は漆黒から藍色へと変わろうとしていた。
これから昇る朝日をまた次の日に見られるかはわからない。しかし、後悔だけは、二度とあんな苦い思いは……。
海の色は漆黒から藍色へと変わろうとしていた。
これから昇る朝日をまた次の日に見られるかはわからない。しかし、後悔だけは、二度とあんな苦い思いは……。
「未練か……なぁ、戴宗?」
海は静かで、それに答える者は誰もいない。
☆ ☆ ☆
その瞬間。アルベルトの身体がぞわりと震えた。
「――まさか!?」
一瞬遅れて脳が理解し、そして更に遅れて歓喜と活力が身体の中へと満ちる。
「流派東方不敗! マスターアジア! あやつがここにいるというのか!?」
朝日を背に葉巻を吸っていたアルベルトへとその気配は届いた。
それは紛れもなく、あの東方不敗と名乗った老人のもの。先の殺し合いで互角の実力を見せ付けた者の気配。
歓喜と同時に疑問を浮かぶ。名簿の上に彼の名前はなかった。ならばどうして存在するのか?
それは紛れもなく、あの東方不敗と名乗った老人のもの。先の殺し合いで互角の実力を見せ付けた者の気配。
歓喜と同時に疑問を浮かぶ。名簿の上に彼の名前はなかった。ならばどうして存在するのか?
「いや、考えるまでも無い。あの気配こそがただ一つの真実よ!」
所詮名簿に記された名前などというものはあやふやなものだ。
実際、衝撃のアルベルトという名前も自身が持つ呼び名の一つにしかずぎない。
ならばあの東方不敗やマスターアジアと名乗った老人が別の名前で参加していたとしても不自然でもなんでもなかった。
実際、衝撃のアルベルトという名前も自身が持つ呼び名の一つにしかずぎない。
ならばあの東方不敗やマスターアジアと名乗った老人が別の名前で参加していたとしても不自然でもなんでもなかった。
「ふはははは! 今度こそ決着をつけに行くぞ――チェリャアアアアアアアアアアアアア!!!!」
半ば程まで吸った葉巻を吐き捨てると、アルベルトは両の掌より衝撃波を発し空へとロケットの様に飛び上がった。
そして、向かう先を灯台が光を送る南へと定め、一気に加速してゆく。
しかしその先は地図の外。向かえば脱走と見なされ首輪が爆破される領域である。
それでもアルベルトは飛んでゆく。東方不敗の気配はその先にあると感じたのだ。ならばその直感を信じるのみであった。
そして、向かう先を灯台が光を送る南へと定め、一気に加速してゆく。
しかしその先は地図の外。向かえば脱走と見なされ首輪が爆破される領域である。
それでもアルベルトは飛んでゆく。東方不敗の気配はその先にあると感じたのだ。ならばその直感を信じるのみであった。
「やはり、こういうカラクリであったか!」
瞬間。アルベルトの前の風景が姿を変える。先程までは遥かに広がる海原で、今は目の前に新しい島。
否。それは新しい島ではなく、先程自身が立っていた島と同一のものだ。
恐らくは参加者を逃さぬための処置であろう。この島を囲む四方には見えぬ壁があり、それらは通じているらしい。
否。それは新しい島ではなく、先程自身が立っていた島と同一のものだ。
恐らくは参加者を逃さぬための処置であろう。この島を囲む四方には見えぬ壁があり、それらは通じているらしい。
程なくしてアルベルトは港の一角へと到着する。
そして、島の南端より南に気配を感じ壁を越えてループしたのだから、ここは島の北端に位置するのだろうと理解した。
そして、島の南端より南に気配を感じ壁を越えてループしたのだから、ここは島の北端に位置するのだろうと理解した。
「ふむ。もう気配はせぬか……だが、まぁよい。ならば探し出すまでよ」
海上を飛んでいる間にあの東方不敗の強烈な気配は幻がごとく消えていた。
だがしかしアルベルトが感じたものは幻でもなんでもない。
だがしかしアルベルトが感じたものは幻でもなんでもない。
アルベルトは歩き出す。己の内にある修羅を満足させ得る強者を探して――……
【A-7/海沿い/1日目-早朝】
【衝撃のアルベルト@アニロワ2】
[状態]:健康
[装備]:衝撃のアルベルトのアイパッチ@アニロワ2
[持物]:デイパック、基本支給品一式、葉巻のケース@なのはロワ、不明支給品x0-1
[方針/行動]
基本方針:闘争に身を殉じる。勝利よりも『戦うこと』を優先。
1:東方不敗を探し勝負を挑む。
2:強者を求め徘徊。誰であろうと手当たりしだいに勝負を挑む。
3:この地の『柊かがみ』に対して……?
[状態]:健康
[装備]:衝撃のアルベルトのアイパッチ@アニロワ2
[持物]:デイパック、基本支給品一式、葉巻のケース@なのはロワ、不明支給品x0-1
[方針/行動]
基本方針:闘争に身を殉じる。勝利よりも『戦うこと』を優先。
1:東方不敗を探し勝負を挑む。
2:強者を求め徘徊。誰であろうと手当たりしだいに勝負を挑む。
3:この地の『柊かがみ』に対して……?
[備考]
※死亡後より参加。
※死亡後より参加。
※アルベルトが感じ取った東方不敗の気配は、スバルが持つマスターボールからのものです。
※会場の四辺がそれぞれループしています。
※会場の四辺がそれぞれループしています。
【葉巻のケース@なのはロワ】
HELLSINGのインテグラ嬢が所有していた葉巻のケース。中に数本の葉巻が入っている。
HELLSINGのインテグラ嬢が所有していた葉巻のケース。中に数本の葉巻が入っている。
063:プレデター | 投下順 | 065:彼 ら の 行 方 |
063:プレデター | 時系列順 | 065:彼 ら の 行 方 |
026:鳥獣闘劇戯画 | 衝撃のアルベルト | 100:MURDER×MURDER(前編) |