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  • ラノベ・ロワイアル @ wiki
  • 大崩壊/フォールダウン(地獄姉妹)

ラノベ・ロワイアル @ wiki

大崩壊/フォールダウン(地獄姉妹)

最終更新:2008年02月26日 21:30

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だれでも歓迎! 編集

第543話:大崩壊/フォールダウン(地獄姉妹) 作:◆eUaeu3dols



「……どうして?」
シャナは静かに問い掛けた。
「おまえはどうして、こんな事をしたの?」
刃を突きつけて、命を質に問い詰めた。
フリウ・ハリスコー。
彼女にとってそんな問いに何の意味が有るというのか。
それでも答えざるを得なかった。突きつけられた刃に脅され、破壊精霊は収納した。
生き残るには相手の気まぐれを狙うか、念糸で絡め取る隙を作り出すしかなかった。
そうしなければ全てを壊すことが出来ないなら、そうするだけだろう。
「答えろ!」
「破壊に、理由なんて無いよ」
だからフリウは答えた。
目の前の少女は何故か髪が黒くなり、遂に涙も枯れた瞳で、悲鳴のように問い掛けていた。
戦いの刹那に感じた“彼女”の面影は欠片も残ってはいなかった。
少女はフリウがかつて見た絶対殺人武器でも、絶対者でもなかった。
無傷で制されたと思った数秒も、実は違う。
避けられたと思った最初の一撃は、避けきられてはいなかった。
シャナが飛び退いたのは確かに破壊精霊が拳を振り下ろす一瞬前だ。だが完全な回避には僅かに遅い。
それでもその巨大な腕に纏われた篭手の一端が、シャナの腹部を大きく抉っていた。
腹部からだくだくと流れ落ちた血流は足下に大きな血溜まりを作っている。
それでも、フリウには喉元に突きつけられた刃を防ぐ術は無かった。
少女の機嫌を損ねればフリウは容易く殺されてしまうだろう。
だけど小細工を弄した虚言を吐けるような器用さもなかった。
この傷なら時間を稼げば好転するかもしれなかったけれど、それさえも思いつかない。
だから目の前の少女にどんな反応を与えるか想像する事も出来ず、ただ答える。
「破壊には良いも悪いも無いよ。全てを壊し尽くす。ただそれだけだもの」
(やっぱりこいつは……敵だ)
シャナは少なくともその論理が“正しい道”とは相反する物だという確信を得る。
刃に力を篭めようとして、しかし。
「でも何が正しいのかというのなら、壊すことは正しいこと。
 壊すことは正しくて、だから生きるのを許される」
その断言に生じた迷いに更に言葉が連ねられる。

「もう潤さんもミズー・ビアンカも居ないんだ」
少女が信じた二つの名前。
「アイザックとミリアも、要も死んでしまった。チャッピーを壊してしまった」
少女を救った幾つもの優しい名前と、壊してしまった名前。
「『──お前は間違っていない。もし間違っていたのなら、ここまで生きられるはずは無い。だから嘆くな悔やむな謝るな』
 そう言った潤さんは、正しいはずのあの人は死んでしまった。
 何もかもを壊してしまうあたしだけが生き残った」
遺された言葉。
「誰かを護るために戦ったから死んでいき、誰かを壊さなかったから死んでいった。だって――」
与えられた現実に少女は狂い。
「誰かを壊す事は自分が生きる事だから」
壊す者が生まれおちた。

『耳を貸すな、シャナ!』
「アラストール!?」
足下に横たわるダナティアの遺骸から、コキュートスからアラストールの言葉が響く。
これまでアラストールはシャナに話しかけようとはしなかった。
ダナティアを殺した少女、フリウはシャナの隙を狙っている。
だからシャナに隙を作らせまいと、シャナに話しかけはしなかった。
それでも見るも無惨な程に喪心するシャナを見ていられず思わず叫んでいた。
しかしアラストールの不安は、杞憂だった。
シャナの刃はぶれる事無く、驚きコキュートスを捜しながらもフリウから警戒を外さない。
シャナはすぐにダナティアの血に埋もれるコキュートスを見つけた。
それでもフリウを視界の外には出さなかった。
「……そっか。ダナティアはコキュートスを見つけてくれていたんだ」
『そうだ。皇女は我を見つけだし、おまえを治療できる者も見つけだしていた』
その言葉にまた、シャナはダナティアへの信頼を強めた。
(ダナティアはわたしを助けようとしてくれていたんだ)
暖かく、大きく、厳しくも優しさと慈しみにみちた、アラストールすら入りうる“偉大なる者”。
坂井悠二の母親の坂井千草を思わせる包容力を持っていた、大切な人。
――失われてしまった人。
『今ならまだ間に合う。傷は治り吸血鬼の呪いとて解ける。だから……!』
「もう遅いよ、アラストール」
シャナはその言葉を断ち切って、空いている片手で首もとの服をずらした。
曝け出されたそこには何の変哲も無い白い肌が有った。ただそれだけだった。
つまりそこには何もなかったのだ。有るはずの物さえも。
吸血鬼化がまだ終わっていない事を示す吸血痕は、失われていた。
『まさか……!』
アラストールは息を呑み、更に気づく。
先程深く傷つけられた筈の腹部から流れ広がっていた血の池が、広がるのを止めていた。
シャナは夜傘をまくりそこも見せる。そこでは泡立つほどに異様な速度で再生が始まっていた。
『再生が早すぎる……!?』
「そう。存在の力で再生もしているけれど、それだけじゃない。
 “魔女”に言われた。わたしはこれを望み、選んでしまったんだって。
 それからは……一瞬だった」
その声は、言葉は、全てが痛みに満ちていた。
シャナは傷の痛みを感じてはいないのに、聞いている方が痛々しくなる程の痛み。
聴覚から脳を蝕まれるようなじくじくとした疼痛に満ちていた。
「でも安心して、アラストール。
 わたしは人喰いの化け物には、なってやらない。
 喰うために殺しはしない。絶対に」
『シャナ……』
その意思は理想の形なのに。
「無理だよ。破壊する事こそが正しい。過ちはただ淘汰される」
「うるさい、そうじゃない。おまえは間違っている」
フリウの言葉を否定するその言葉は正しいのに。
何故か、感じるのだ。
(どうして胸騒ぎが収まらない!?)
それはアラストールがこの島に居る誰よりもシャナを知っていたからだ。
誰よりも長くシャナと共に居て、それなのにずっとシャナと言葉を交わせなかった。
だから誰よりもシャナの変化を感じ取った。
だから、気づいたのだ。

「もう坂井悠二もダナティアも居ないんだ」
少女が信じた二つの名前。
「セルティも、テッサも死んでしまった。平和島静雄を殺してしまった」
少女を救った幾つもの優しい名前と、殺してしまった名前。
「『――あたくしのルールに従いなさい』……そう言ったダナティアは失われてしまった。
 でもルールは残っている。正しい道を進まなければならない。
 ……ようやく、わたしがやるべき事が判ったんだ」
遺された言葉。
「殺そうとしなかった甘さが相手を殺して、敵を殺さなかった事で別の誰かが殺された。だって――」
与えられた現実に少女は狂い。
「誰かを殺す事は誰かを生かす事だから」
殺す者が生まれおちている事に。

「殺した者が生き延びるんじゃない。殺した事で誰かが生き延びるんだ」
それがシャナの見つけた誤った真実。
「ダナティアは何も奪わず殺さずに進もうとした。それは正しい事。
 だけどそれじゃダナティアが殺されてしまうから、別の誰かが殺さなきゃいけなかったんだ」
正しい道を見失った少女はそれでも前に進もうと走り続け。
「それはわたしがしなきゃいけなかった。わたしがダナティアの敵を殺さなきゃいけなかったんだ」
いつしか踏み入ってはならない場所へと迷い込む。
「セルティが死なないように、静雄を殺さなくて済むように、他の敵を殺さなきゃいけなかったんだ」
それでも少女は進み続けていた。
「ベルガーや保胤、リナや臨也が死なないように、彼らの敵を殺さなきゃいけないんだ」
正しい道を見失い夜に迷い。
「ぜんぶ……そうして来なかったわたしのせいなんだから!」
地べたを這いつくばって闇を行く。

「………………」
フリウはシャナの言葉を、否定できなかった。
全てを破壊する。ただそれだけを考え、他に考える必要は無いと思っていた。
誰の言葉を聞いても考えを変える気なんてなかった。
だからあの演説を行ったダナティアだって壊して、ルールを否定した。
それなのにどうして目の前のシャナの言葉を否定できないのだろう。
(筋が通っているから?)
殺す事により誰かが生き延びる。その理論でもフリウの辿った悲劇は説明出来る。
きっとフリウが生きていたのはフリウが自分のために、あるいは誰かがフリウの為に、
人を、敵を殺していたからなのだろう。
(潤さん……)
そう、哀川潤がフリウや皆を護るために襲撃者と戦って殺したように。
それにより潤は死んでしまった。
殺さなかったフリウの代わりに潤が死んで、フリウが壊そうとした襲撃者は逃げ延びた。
(あたしが、チャッピーを壊してしまったから)
だから代わりに襲撃者が生き延びた。
あの時、襲撃者を壊せた筈の一撃は、チャッピーを壊してしまった。
「ぜんぶ……あたしのせい……?」
だけど。
(どうして、あたしはこの子の言葉を聞いているのだろう)
その疑問の答えは理屈じゃなかった。
どんなに理解できる答えでも、言葉が心に届かなければ通じない。
なのにシャナの言葉はフリウの心に届いていた。
その理由に唐突に気づき、フリウは思わず声を漏らした。
「…………そっか。あたしと、同じなんだ」
それはフリウとシャナの心が一つの想いで繋がっていたからだ。
二人の少女の心を繋げた想い。
その想いの名は、絶望といった。
絶望が絆を結んでいた。
『シャナ!!』
アラストールの言葉は最早届かず、シャナは結論に辿り着く。

「そう、わたしとおまえは同じなんだ」

シャナはフリウを見つめていた。
正しく強く優しかったダナティアを殺した、忌まわしい怨敵を見つめた。
そして言う。
「おまえは殺す。必ず殺す。もしもわたしが死んだ時、絶対におまえを道連れにしてやる」
切っ先を進めずに。
「だけどまだ殺さない。わたしはおまえを利用するから。
 わたしと同じおまえを利用するから。
 ダナティアを、セルティを、みんなを傷つけた敵を一人残らず殺す為に。
 この人達の告げたルールに従わない敵を一人残らず殺すために。
 その為に壊させてやる。
 おまえに思う存分壊させてやる。
 わたしが示した敵を思う存分壊させてやる。

 ――おまえは、何かを壊せればそれで満足なんでしょう?」

その言葉はどこまでもその通りだったのだ。
だからフリウは、ゆっくりと頷いて。

殺人の意思と。
破壊の意思が。

絶望によって結ばれた。


     * * *


「ダナティアが……死んだ? あの傲慢女王様が!?」
「この島では誰もが死に呑まれうる」
メフィストの言葉にリナは驚愕し……歯を食いしばり、嘆く前に思考する。
ギリッという音が微かに聞こえて、それだけだった。
(どうすればいい?)
「…………どうするの?」
焦燥と動揺に満ちるのを歯痒く思いながら、問う。
「どうするの? 旗は、もう無いわ」
「……継ぐ。それしかねえだろ」
「誰が?」
「全員でだ!」
ベルガーは断言する。躊躇を振り払うように。
やる事は依然、山のようにある。
悼みたい。嘆きたい。悲しみたい。悔やみたい。痛みたい。想いたい。
失われた者達とこれまでの多くの事。
そのどれもが今は振り返る間さえ無い。
「リナ、君はこのメガホンを持って一度戻れ。
 こいつは最悪に危険な代物だが……それでも意味はある。壊すわけにはいかない。
 俺達は迎撃に出る。追撃になるかもしれない」
「千絵の事はどうする気? 尋常な状態じゃないわ」
「必ず戻るとも」
メフィストは断ずる。
「約束する」
誰もが死に呑まれうるこの島で、それでも約束には意味がある。
それは誓いなのだから。
「一つ忠告しておく。彼女の錯綜は坂井悠二の残した物と同じ『物語』によるものだ。
 努々、呑まれるな」
「……判ったわ、ありがとう」
リナはメガホンを受け取る。
同じく意志を伝える道具、携帯電話はベルガーのポケットで鳴り続けていた。
「こっちはまだ俺が持っている。事が終わったら連絡をする」
「おいみんな、それより早く行かないと!」
終が焦るように叫ぶ。
「あんなのに殴られ続けたらこのマンションだっていつまで保つか判んねえだろ!?」
「……いや、待ちたまえ終君」
メフィストが制止する。
ベルガーも、リナも、そして終も気づいた。
いつの間にか、巨人の拳がもたらす地震のような激震は終わっていた。
周囲は、痛いほどに静かだ。


     * * *


少女は拗くれた意志を胸に進み出す。

「……ダナティア、少し血を貰うね。血が足りなくなったから、人を襲って喰わない為に」
 それからアラストール。コキュートスは置いていくよ」
シャナは痛みに満ちた言葉と共に体を動かす。
ダナティアの血の中からコキュートスを避け、そして少しだけ血を汲み取った。
それからダナティアの死に顔を見ているのが辛かったから、そっと目を閉じて寝かせた。
「わたしは死ぬつもりは無いけれど、もしもわたしが死んだ時に誰かが望んだなら、契約して。
 ダナティアには12人も仲間が居たのなら、きっと誰かが居るでしょう?
 あなたを容れる事の出来る偉大なる者も」
『……その12人には我と、そしておまえも含まれていた』
シャナは一瞬だけ静止した。
息を呑んで、それから。
もう枯れたと思っていた涙が、またもう一滴だけ零れ落ちて。
それが地面に辿り着くより早く。
シャナはフリウの首根っこを掴み、夜空へと消えた。
全ての優しさから逃げ出すように。

「……わたしにはもう、そんな権利は無いよ」

如何にシャナに仲間が残っていたとしても。
大切な人がまだ残っていたとしても。
仲間と言ってくれたとしても。
シャナの心はもう、救いを受け入れるには傷付きすぎた。
どれだけ赦しを注いでも、そこら中に開いた穴から全て零れて消えてしまう。
フリウ・ハリスコーと同じように。


     * * *


「シャ……」
その時になってようやくベルガーは、メフィストと終はそこへ辿り着いていた。
リナとの遭遇と連絡、会話は僅かな遅れを生みだした。
シャナとフリウの戦いも、その後の問答も、あまりにも早くて短かった。
それでもベルガーは飛び去る前のシャナと彼女に掴まれた少女を目撃していた。
だが、声が出なかった。
片肺を損傷していたベルガーは再度の全力疾走の直後にシャナの名を叫ぶ事が出来なかったのだ。
リナとの会話の合間のメフィストの処置により損傷した右肺から空気が漏れる事こそ無くなっていたが、
それでも酸素不足は全力の運動中に言葉を紡ぐ事を禁じてしまう。
「今のがシャナ君かね?」
「ゼェ……ゼェ……ああ、そうだ! また、届かなかった。…………だが」
ベルガーはシャナが飛び去った方を見る。
煌々と明かりの付いたマンションから離れ、炎の翼は夜空を行く。
「……今度は、追いつくさ」
今度だって言葉が届くかは判らない。
それでもベルガーは遠ざかるシャナの姿を睨む。
今度こそ言葉を彼女の心まで届けるその為に。
「痕跡から見て、どうやらダナティアを殺した少女とシャナ君が戦ったという事のようだ」
「ちょっと待ってくれ、一体何が起きたんだよ!? どっちが勝ったんだ!?
 シャナって奴はどうして、何処に行ったんだ!?」
メフィストの分析に動揺する終。それに答えたのは。
『勝ったのはシャナだ』
「コキュートス!」
ダナティアの遺体の横にそっと置かれたコキュートスだった。
『誰か我を持って、そしてシャナを追ってくれるならば急いでくれ!』
アラストールは緊迫した様子で嘆願を叫ぶ。
『シャナはダナティアを壊した少女を“使って”我らの敵を全て討ち果たすつもりだ!
 倒すべき敵だけでなく、話し合いも歩み寄りも無く立ち塞がる者を平等に!』
「!?」


     * * *


少女達は闇夜を舞っていた。
そこに在るのは少女達だけだった。
他には誰も居ない。誰も見えず、誰も聞こえない。
二人だけの世界。
「ねえ、あなたはどうして進めるの?」
そこでフリウは疑問を呈した。
「全てが破滅に帰結するこの島で」
眼下に見えるのはこの島の姿。
闇に包まれたこの島は市街地に僅かな明かりが灯るだけ。
「どうして誰かの為に殺すの。
 どうして奪われた事を恨まないの?」
シャナは答えた。
「何が正しい事なのかなんて、ほんとはもうわからない」
フリウの疑問に返す言葉はどこか唄うようだった。
「だけどあの人達は正しかった。奪われたあの人達は正しかった。
 だからあの人達を助けたい。奪われたあの人達を認めたいの」
「もう死んでしまったのに?」
「まだ消えてはいないもの」
合唱は自己の発露で有りながら同時に他者と自らを同一化していく。
そこに生まれるのは自己でも他者でも有り得ない新たな一つ。
「正しい破壊は誰かを助ける」
「あたしには出来ない事だよ。あたしは全て壊すだけ」
「わたしはおまえの破壊で殆どを奪われた。だけど一つの傷を癒された」
「そんな事起きるはずがない」
「起きた。おまえの破壊はわたしの腹に残った傷跡を抉り出して消し去った」
問いはピアノ。答えはフォルテ。悩みはビブラートで確信はスタッカート。
合唱の音色はいつしか合奏となって曲となる。
「わたしは殺す。あの人達が生き残るように。
 そうすればきっとあの人達が元凶を殺してくれるから」
「元凶って何?」
「未知の精霊。わたし達が失った者達の姿を被るモノ」
「!!」
動揺が不協和音となって、それさえも合奏は自らの音とする。
「おまえは何か知ってるの?」
「アマワにもう意味はない。
 あたしはアマワを意味なくしたはずなのに」
「だけどアレは現れた。そしてわたしはアレを殺せない。
 アレが悠二の姿を被るそれだけで、戦う事すらできはしない」
「そもそもアマワを壊す事に意味はない」
「じゃあどうすれば滅ぼせる?」
「わからない。あたしにはもうわからない。前はわかったはずなのに」
「……良いよ。きっとあの人達が答えを見つけてくれるから」
「……良いよ。きっとあたしにはもう関係出来ない事だから」
多くを失い終末と化した二人の少女は眼下に広がる闇に包まれた、未知に包まれた島を見下ろして。

「わたしは生かす為に誰かを殺す」
「あたしは生きる為に誰かを壊す」

一つの楽曲の最終楽章を奏で始めた――


     * * *


パイフウは絶句していた。
沈黙し、言葉を失っていた。
それは心の底では望んでいた再会のはずだった。
彼女の笑顔が、彼女があの街で生きる姿が好きだったから、パイフウはゲームに乗った。
そして再会を諦めた。
彼女と再び会える事はもう無いと諦め、彼女と会わないと心に決めた。
そんなついさっきの信念を、彼女は容易く打ち破った。
「ほのちゃん…………」
火乃香はじっとパイフウを見つめて、もう一度、訊いた。
「…………どういう事なの? 先生」
火乃香にとってはまだ確信できない事だった。
ゲームに乗っているのがパイフウなのか、それともマンションに居るダナティア達なのか。
あるいは不幸な擦れ違いで全面対決になってしまったのか。
だからパイフウが冷静になれば言いくるめる手段も有ると気づけたはずだ。
だがパイフウにそんな事を考える猶予など有りはしなかった。
この島における彼女の思考の基底には常に火乃香の存在があった。
彼女に報せず、彼女以外の存在をひたすらに殺し尽くす。
管理者達が満足するまで。し続けるように。
それがパイフウの目的だったのに。
(ほのちゃんに、ゲームに乗った事を知られてしまった)
そう思いこんでしまった時点で、それは事実と決定した。
(私は、どうする? どうすればいい? ……どう答えれば良いの?)
思考が回る。廻って迷う。
(……まだゲームに乗ったことしか気づかれていないなら)
それなら身勝手な理由で乗ったフリをすれば……?
(いいえ、それでもやっぱりほのちゃんは、泣く……)
どうすれば、いい?
「先生……何とか言ってよ」
いつの間にか火乃香はすぐ近くまで歩み寄って、肩に手を掛けていた。
彼女の背後では男が二人、油断の無い様子でこちらを見ている。
彼女の仲間なのだろう。
もしも敵対すれば、古泉は戦力にならない以上1対3では逃げる事も出来るかどうか。
(どうする……?)
「旧縁を暖めるのもいいですが」
古泉の声が事態の変転を伝える。
助かったと、パイフウがそう思う暇も無く。
「空から、何かが来ます」
焦った様子の声が敵の来襲を告げた。

合唱が聞こえてきた。



  • 2007/02/10 修正スレ290

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第541話 火乃香 第544話
第541話 パイフウ 第544話
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第541話 古泉一樹 第544話
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第541話 メフィスト 第544話
第541話 コミクロン 第544話
第541話 ウルトプライド 第544話
第541話 アラストール 第544話



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