第541話:大崩壊/ディストピア(憎いし苦痛) 作:◆eUaeu3dols
全ては圧縮される。
参加者達は一点に圧縮される。
悲劇もまた一点に圧縮される。
時間すらも一点に圧縮される。
参加者達は一点に圧縮される。
悲劇もまた一点に圧縮される。
時間すらも一点に圧縮される。
23時10分。
大集団の待機組で起きた惨劇が一つの終わりを迎えた時刻だった。
23時13分。
ダナティアの透視と、待機組から舞台組への電話。そしてパイフウが姿を消した。
23時15分。
緑地に飛び下りていた茉衣子はようやく立ち上がり、よろよろと逃げ始めた。
23時16分。
一人の少女が、徐々にマンションへと近づいていた。
23時17分。
ダナティアはパイフウを見つけだすためにもう一度透視を使った。
23時18分。
一人の少女が、徐々にマンションへと近づいていた。
23時19分。
パイフウが奇襲を仕掛け舞台組の一室では目まぐるしい激突が繰り広げられていた。
23時21分。
一人の少女が、舞台組のマンションに近づいていた。
一人の少女が、待機組のマンションに近づいていた。
23時23分。
待機組に居たリナは部屋を飛び出し地下駐車場を経由して舞台組の部屋へと向かった。
――23時24分、マンション。
舞台組で、爆発が起きた。シャナは待機組の居る一室に到着した。
大集団の待機組で起きた惨劇が一つの終わりを迎えた時刻だった。
23時13分。
ダナティアの透視と、待機組から舞台組への電話。そしてパイフウが姿を消した。
23時15分。
緑地に飛び下りていた茉衣子はようやく立ち上がり、よろよろと逃げ始めた。
23時16分。
一人の少女が、徐々にマンションへと近づいていた。
23時17分。
ダナティアはパイフウを見つけだすためにもう一度透視を使った。
23時18分。
一人の少女が、徐々にマンションへと近づいていた。
23時19分。
パイフウが奇襲を仕掛け舞台組の一室では目まぐるしい激突が繰り広げられていた。
23時21分。
一人の少女が、舞台組のマンションに近づいていた。
一人の少女が、待機組のマンションに近づいていた。
23時23分。
待機組に居たリナは部屋を飛び出し地下駐車場を経由して舞台組の部屋へと向かった。
――23時24分、マンション。
舞台組で、爆発が起きた。シャナは待機組の居る一室に到着した。
途中から、何かがおかしいと思っていたのだ。
遠目にあの人達のマンションから飛び下りる誰かの姿が見えた。
気になって近づけばそれはシャナの知らない黒いドレスの少女で、
たまたまシャナには気づかずよろよろとどこかへ走って行ってしまった。
(あんなのに、あの人達を殺す事なんて出来っこ無い)
その確信を持っていて、だけど誰かが傷つけられているかもしれない。
隣のマンションで爆発が起きたけれど、この場所じゃない。今は、後で良い。
だから急いでマンションに駆け込んであの人達と使っていた部屋に向かった。
シャナは知る由も無かったが、待機組の部屋はそこから移動していなかった。
彼らがそこに居るのを知っている者は居なかったから、
どこかに行ってしまったシャナが迷わず帰ってこれるように、そこを移動しなかった。
その気遣いは功を為し、シャナは迷うことなくその部屋に帰り着いた。
部屋の前に立ち、少し言葉に詰まる。
どう言えば良いのだろう。何をすれば良いのだろう。
それは判っている、だからそれをするだけ。
今のままじゃいけないから、どこかに進まなければいけないから。
ほんの欠片だけど持つ事が出来た決意を篭めて。
大きく息を吸い込んで。言葉に出来ずに吐いて。もう一度吸い込んで。
…………………………言った。
「ごめんなさい」
部屋の中で複数の気配がびくりとなる。
精一杯の勇気を振り絞って、怯える子供の震える指でドアのノブを掴む。
夜気に冷やされたドアノブは氷のように冷たくて、心が凍えてしまいそうになる。
脈拍は早鐘の様に早まり、呼吸は荒く安定しない。
やる事はそう難しい事じゃない。ドアを開けて、謝って、どうすれば良いか教えてもらう。
それだけの事なのに足が挫けて腕の力が萎えてしまう。
それでも、それでも腕に力を入れて必死にドアノブをゆっくりと回す。
「ごめんなさい。もう合わせる顔なんて無い。正しい道も判らない。
だけどそれでも……もう一度、会いに来た。
正しい道を捜したいから。……あなた達を、信じてるから。
だから、セルティ」
遠目にあの人達のマンションから飛び下りる誰かの姿が見えた。
気になって近づけばそれはシャナの知らない黒いドレスの少女で、
たまたまシャナには気づかずよろよろとどこかへ走って行ってしまった。
(あんなのに、あの人達を殺す事なんて出来っこ無い)
その確信を持っていて、だけど誰かが傷つけられているかもしれない。
隣のマンションで爆発が起きたけれど、この場所じゃない。今は、後で良い。
だから急いでマンションに駆け込んであの人達と使っていた部屋に向かった。
シャナは知る由も無かったが、待機組の部屋はそこから移動していなかった。
彼らがそこに居るのを知っている者は居なかったから、
どこかに行ってしまったシャナが迷わず帰ってこれるように、そこを移動しなかった。
その気遣いは功を為し、シャナは迷うことなくその部屋に帰り着いた。
部屋の前に立ち、少し言葉に詰まる。
どう言えば良いのだろう。何をすれば良いのだろう。
それは判っている、だからそれをするだけ。
今のままじゃいけないから、どこかに進まなければいけないから。
ほんの欠片だけど持つ事が出来た決意を篭めて。
大きく息を吸い込んで。言葉に出来ずに吐いて。もう一度吸い込んで。
…………………………言った。
「ごめんなさい」
部屋の中で複数の気配がびくりとなる。
精一杯の勇気を振り絞って、怯える子供の震える指でドアのノブを掴む。
夜気に冷やされたドアノブは氷のように冷たくて、心が凍えてしまいそうになる。
脈拍は早鐘の様に早まり、呼吸は荒く安定しない。
やる事はそう難しい事じゃない。ドアを開けて、謝って、どうすれば良いか教えてもらう。
それだけの事なのに足が挫けて腕の力が萎えてしまう。
それでも、それでも腕に力を入れて必死にドアノブをゆっくりと回す。
「ごめんなさい。もう合わせる顔なんて無い。正しい道も判らない。
だけどそれでも……もう一度、会いに来た。
正しい道を捜したいから。……あなた達を、信じてるから。
だから、セルティ」
罵倒されるだろうか。憎まれるだろうか。怨まれているだろうか。
それとも許してくれるのだろうか。それはとても都合の良い解釈にしか思えないけれど。
(私は誇りを失った化け物で、体は穢れ、心は穴だらけで、もう何も残っていない)
残っているとすればそれは自分自身と、ダナティアの言葉だけだ。
ダナティアは言った。悔い改めて進め。奪うな、失うな、過つなと。
悔い改めろと言った。
(それは正しい事なんだ)
だから悔い改めなければならない。勇気を持って。
それが正しい事は判っている。
だから迷ってはいけない。悩んではいけない。進まなきゃいけない。
それはほんの少し体を動かすだけの事なのに、千里を進むよりも苦しく思える。
それでも進まなきゃ、進まなきゃ、進まなきゃ、進まなきゃ…………
「ごめんなさい。お邪魔します」
吸血鬼になって強まった筈の全身に渾身の力を込めて、ゆっくりとドアノブを押していく。
鍵は掛かっていなくてドアと壁との隙間は少しずつ少しずつ開いていく。
ドアを押し開ける1秒にも満たない時間が長く永く長く長く感じられてられて…………
そこに開かれた光景は。
何かを延々と呟き続ける千絵。こちらを呆然と見つめる保胤。立ちつくしている臨也。
そして床に横たえられた、シーツを掛けられた二つの……
それとも許してくれるのだろうか。それはとても都合の良い解釈にしか思えないけれど。
(私は誇りを失った化け物で、体は穢れ、心は穴だらけで、もう何も残っていない)
残っているとすればそれは自分自身と、ダナティアの言葉だけだ。
ダナティアは言った。悔い改めて進め。奪うな、失うな、過つなと。
悔い改めろと言った。
(それは正しい事なんだ)
だから悔い改めなければならない。勇気を持って。
それが正しい事は判っている。
だから迷ってはいけない。悩んではいけない。進まなきゃいけない。
それはほんの少し体を動かすだけの事なのに、千里を進むよりも苦しく思える。
それでも進まなきゃ、進まなきゃ、進まなきゃ、進まなきゃ…………
「ごめんなさい。お邪魔します」
吸血鬼になって強まった筈の全身に渾身の力を込めて、ゆっくりとドアノブを押していく。
鍵は掛かっていなくてドアと壁との隙間は少しずつ少しずつ開いていく。
ドアを押し開ける1秒にも満たない時間が長く永く長く長く感じられてられて…………
そこに開かれた光景は。
何かを延々と呟き続ける千絵。こちらを呆然と見つめる保胤。立ちつくしている臨也。
そして床に横たえられた、シーツを掛けられた二つの……
「…………………………………………………………え?」
――23時25分、灯台。
灯台の頂上から唐突に血の塊が流れ落ちた。
灯台の壁面を伝い、灯台の足下にぱしゃん。
勢いをそのまま利用して飛び散った血が見る見るうちに血文字を速筆した。
【動きが有った。なにか爆発が起きたようだ】
「戦闘か?」
【おそらくは】
ブルーブレイカーの問いに素早く答える。
灯台の壁面を伝い、灯台の足下にぱしゃん。
勢いをそのまま利用して飛び散った血が見る見るうちに血文字を速筆した。
【動きが有った。なにか爆発が起きたようだ】
「戦闘か?」
【おそらくは】
ブルーブレイカーの問いに素早く答える。
EDは、帰って来ていない。
いや。
EDは、帰ってこない。
【放送まであと30分と少しだが、動いた方が良いかもしれない】
「そうね。戦闘まで起きてしまったなら、グズグズしてはいられない」
「危険だが」
「判ってるわよ、そんなの」
風見とブルーブレイカーは灯台の一階で待機していた。
EDの予定は『放送までに帰る』、だ。放送までで考えればまだ帰って来るかもしれない。
だが今から2時間ほど前にあったあの放送を見て、EDは寄り道をするだろうか?
“予定を早めて”帰って来る、そう考えるのが普通だ。
それから2時間。EDは“予定通り”まだ帰って来ていない。
【……彼の名は、放送で呼ばれる可能性が高いだろうね】
子爵は断腸の思いで宣言する。
彼の生存を期待するのは希望的観測に感じられた。
そもそも彼が行っていた事は危険な綱渡りだ。
話が通じない相手に遭遇してしまう危険を敢えて呑んで、歩き回って仲間を集める。
帰って来れなくなる可能性は何時でも有ったのだ。
【もし帰って来た時の為にメモは残しておいた。
放送で君の名前が呼ばれなければすぐに灯台に戻るとね。
だから今は、あちらの事について考えるとしよう。さあ、出発だ!】
「……ええ」
「了解した」
彼らは渦中へ向かって歩き出す。
いや。
EDは、帰ってこない。
【放送まであと30分と少しだが、動いた方が良いかもしれない】
「そうね。戦闘まで起きてしまったなら、グズグズしてはいられない」
「危険だが」
「判ってるわよ、そんなの」
風見とブルーブレイカーは灯台の一階で待機していた。
EDの予定は『放送までに帰る』、だ。放送までで考えればまだ帰って来るかもしれない。
だが今から2時間ほど前にあったあの放送を見て、EDは寄り道をするだろうか?
“予定を早めて”帰って来る、そう考えるのが普通だ。
それから2時間。EDは“予定通り”まだ帰って来ていない。
【……彼の名は、放送で呼ばれる可能性が高いだろうね】
子爵は断腸の思いで宣言する。
彼の生存を期待するのは希望的観測に感じられた。
そもそも彼が行っていた事は危険な綱渡りだ。
話が通じない相手に遭遇してしまう危険を敢えて呑んで、歩き回って仲間を集める。
帰って来れなくなる可能性は何時でも有ったのだ。
【もし帰って来た時の為にメモは残しておいた。
放送で君の名前が呼ばれなければすぐに灯台に戻るとね。
だから今は、あちらの事について考えるとしよう。さあ、出発だ!】
「……ええ」
「了解した」
彼らは渦中へ向かって歩き出す。
――23時26分、マンション。
―――――――――――――――――――――――――。
「おかえりなさい……シャナさん」
保胤の声が聞こえる。
ああそうか、わたしはマンションに帰ってきたのだ。
謝るために。前に進むために。
帰ってこれたのだ。この場所に、みんなの集まるこの場所に帰ってこられたのだ。
――それじゃみんなは、何処に行ったの?
「ダナティアやベルガーは仲間達と共に、あっちのマンションに移ったよ。
リナも今、あっちに向かってる。
俺達は居残りさ。そしてセルティは……」
臨也の優しい声は詰まり、そっと屈み込んだ。
そして手を伸ばし、そこに有るシーツの一枚を、はだける。
ゆっくりと開かれたシーツの下には、白い裸体が見えた。
意外と起伏の有るその体が誰の物か、考える必要は無かった。
首の有る場所に何も無くて、そこからは何も流れ出していない。
首を切り落とされたのなら流れ出ている筈の血が、当然の様に一滴すらも流れ出ない。
ずっと前から、生まれた時からそうだったように。
――どうして?
「黒い服の女の子を、見なかったかな? 元は保護していた女の子なんだけどね。
突然暴れて志摩子……ああ、由乃ちゃんの友人だったらしいよ。
それを殺して、飛び下りて逃げて行ってしまったんだ。
その時にセルティまで、殺されてしまった……」
臨也の声は深い悲しみと落胆に包まれた静かな物だった。
あの少女が……黒いドレスの少女が彼女達を、殺した?
どうでも良いと見逃した、あの少女が?
――ウソだ。
「本当だよ。そうだろう、保胤?」
「…………ええ」
………………。
………………………………。
「おかえりなさい……シャナさん」
保胤の声が聞こえる。
ああそうか、わたしはマンションに帰ってきたのだ。
謝るために。前に進むために。
帰ってこれたのだ。この場所に、みんなの集まるこの場所に帰ってこられたのだ。
――それじゃみんなは、何処に行ったの?
「ダナティアやベルガーは仲間達と共に、あっちのマンションに移ったよ。
リナも今、あっちに向かってる。
俺達は居残りさ。そしてセルティは……」
臨也の優しい声は詰まり、そっと屈み込んだ。
そして手を伸ばし、そこに有るシーツの一枚を、はだける。
ゆっくりと開かれたシーツの下には、白い裸体が見えた。
意外と起伏の有るその体が誰の物か、考える必要は無かった。
首の有る場所に何も無くて、そこからは何も流れ出していない。
首を切り落とされたのなら流れ出ている筈の血が、当然の様に一滴すらも流れ出ない。
ずっと前から、生まれた時からそうだったように。
――どうして?
「黒い服の女の子を、見なかったかな? 元は保護していた女の子なんだけどね。
突然暴れて志摩子……ああ、由乃ちゃんの友人だったらしいよ。
それを殺して、飛び下りて逃げて行ってしまったんだ。
その時にセルティまで、殺されてしまった……」
臨也の声は深い悲しみと落胆に包まれた静かな物だった。
あの少女が……黒いドレスの少女が彼女達を、殺した?
どうでも良いと見逃した、あの少女が?
――ウソだ。
「本当だよ。そうだろう、保胤?」
「…………ええ」
………………。
………………………………。
「そして千絵さんは、奇妙な恐慌状態になって……
向こうに電話を掛けているのですが、一向に繋がらないのです」
――繋がらない?
「そうだよ。……見てみなよ、あれを」
臨也はカーテンの隙間から外を指し示す。
ふらふらと靴を脱ぐのも忘れて部屋に踏み入り、窓際に歩み寄った。
その外には、ある一室から黒煙を上げているマンションが有った。
「あれが舞台組、ダナティア達の居る部屋なんだけどねぇ。
今さっき、凄い爆発が起きた」
言葉が頭に入らない。声が耳に届いているのに、それ以上が聞こえない。
ダナティアとベルガーの居る筈の一室からは黒い煙が上がっていて、下を見ると。
吸血鬼の夜目はそこで起きた事を、全て捉えた。
……逃げ去る二人の影。転がるダナティア。起きあがったダナティアに近づく少女。
「――っ!!」
「シャナさん!?」「シャナ!?」
制止の声も耳に入らず反射的に飛び下りる。
――少女から伸びた銀色の糸がダナティアの首に巻き付く。
大気が逆巻く。夜の風が。地面が迫る。夜の大地が。膝を曲げて、着地。
――少女とダナティアが何かを話す。数言。
声を出そうとするが着地の衝撃で息を吐き出している。
――少女がにっこりと笑う。
息を吸って立ち上がり酸素を全身に送り込み足を動かし走り出そうとした目前で。
向こうに電話を掛けているのですが、一向に繋がらないのです」
――繋がらない?
「そうだよ。……見てみなよ、あれを」
臨也はカーテンの隙間から外を指し示す。
ふらふらと靴を脱ぐのも忘れて部屋に踏み入り、窓際に歩み寄った。
その外には、ある一室から黒煙を上げているマンションが有った。
「あれが舞台組、ダナティア達の居る部屋なんだけどねぇ。
今さっき、凄い爆発が起きた」
言葉が頭に入らない。声が耳に届いているのに、それ以上が聞こえない。
ダナティアとベルガーの居る筈の一室からは黒い煙が上がっていて、下を見ると。
吸血鬼の夜目はそこで起きた事を、全て捉えた。
……逃げ去る二人の影。転がるダナティア。起きあがったダナティアに近づく少女。
「――っ!!」
「シャナさん!?」「シャナ!?」
制止の声も耳に入らず反射的に飛び下りる。
――少女から伸びた銀色の糸がダナティアの首に巻き付く。
大気が逆巻く。夜の風が。地面が迫る。夜の大地が。膝を曲げて、着地。
――少女とダナティアが何かを話す。数言。
声を出そうとするが着地の衝撃で息を吐き出している。
――少女がにっこりと笑う。
息を吸って立ち上がり酸素を全身に送り込み足を動かし走り出そうとした目前で。
ダナティアの首が、ねじ切られた。
――23時27分、石段。
彼らはその場所まで辿り着き、言葉に詰まった。
「……随分と派手にやってるじゃない」
「ライトアップの次は狼煙を上げたか。目立ちたがりな奴らだ」
「ンなわけねえだろ! “何か”が起きてるんだ!」
「……随分と派手にやってるじゃない」
「ライトアップの次は狼煙を上げたか。目立ちたがりな奴らだ」
「ンなわけねえだろ! “何か”が起きてるんだ!」
火乃香が、コミクロンが、ヘイズが声を上げる。
場所は石段。マンションを見晴らす事が出来る場所。
彼らは焦り、しかし同時に期待もしている。
放送の時にあれ程の力を見せたダナティア達なら何ともないのではないか。
あんな爆発が起きる戦闘でも平気で生き残っているのではないか。
「……下手に突っ込めば無駄に巻き込まれたりするかもしれねえな」
「そうだね。放送まで、あと30分か……」
放送まで待って、生死を確認。それからでも良いはずだ。
そもそも自分達はダナティアと少年の声しか知らないのだから。
下手に突っ込めば敵も味方も判別がつかない。
「待て、向こうから誰か来たぞ」
「……隠れろ」
三人が茂みに隠れてから少しの後。
その場に現れた二人を見て、火乃香は思わず声を上げそうになった。
(先生!?)
パイフウと古泉が石段に現れた。
場所は石段。マンションを見晴らす事が出来る場所。
彼らは焦り、しかし同時に期待もしている。
放送の時にあれ程の力を見せたダナティア達なら何ともないのではないか。
あんな爆発が起きる戦闘でも平気で生き残っているのではないか。
「……下手に突っ込めば無駄に巻き込まれたりするかもしれねえな」
「そうだね。放送まで、あと30分か……」
放送まで待って、生死を確認。それからでも良いはずだ。
そもそも自分達はダナティアと少年の声しか知らないのだから。
下手に突っ込めば敵も味方も判別がつかない。
「待て、向こうから誰か来たぞ」
「……隠れろ」
三人が茂みに隠れてから少しの後。
その場に現れた二人を見て、火乃香は思わず声を上げそうになった。
(先生!?)
パイフウと古泉が石段に現れた。
――23時28分、外灯と月明かりの隙間。
…………………………………………………………どうして、だろう。
どうして、この世界はこんなにもひどいのだろう。
どうして、みんな死んでいくのだろう。
どうして、なにもかもが失われていくのだろう。
どうして。
どうして。どうして。どうして?
どうして、この世界はこんなにもひどいのだろう。
どうして、みんな死んでいくのだろう。
どうして、なにもかもが失われていくのだろう。
どうして。
どうして。どうして。どうして?
「どうして。そう、『どうして』だ。問い掛けろ。捜せ。答えを探せ」
ハッと反射的に顔を上げる。
マンションの足下。明かりの届かない闇。未知の底。
マンションの足下。明かりの届かない闇。未知の底。
そこに……『坂井悠二』が立っていた。
「悠二――!?」
シャナの驚愕の声に、しかし『坂井悠二』は反応を返さない。
『坂井悠二』は一方的に、坂井悠二の声で語り始めた。
「かつて地図の上には空白が有った」
少年の声で不可解な言葉を語り始めた。
「人々は地図の空白にある未知の領域には怪物が住まうと信じていた」
「悠……二……?」
「だが地図の空白は埋められていき、やがて全てが埋め尽くされた。
人々が信じていた怪物は何処にも見つからない」
「悠二……何を、言ってるの…………?」
「ならば怪物は何処へ行った? 未知に住まう怪物は何処へ行った?」
違う。
当たり前の事だけど、こいつは違う。
坂井悠二の体をして坂井悠二の声をしているのにまるで違う。
当然だ、坂井悠二はもう居ないのだから。殺されてしまったのだから。
シャナは埋めるところは見ていない、けれどもう埋葬されている筈なのだから。
「この島にも、怪物は居る」
別のモノ、違うナニカ。
「それなのに地図の空白が埋め尽くされても怪物は見つからない。
怪物は何処へ消えた? 人を喰らう怪物達は何処に行った?」
そう、こいつは。
「おまえたちが自ら以外の全てを死で埋め尽くした時、そこには何が見えるだろう?」
人の姿をした怪物だ。
シャナの驚愕の声に、しかし『坂井悠二』は反応を返さない。
『坂井悠二』は一方的に、坂井悠二の声で語り始めた。
「かつて地図の上には空白が有った」
少年の声で不可解な言葉を語り始めた。
「人々は地図の空白にある未知の領域には怪物が住まうと信じていた」
「悠……二……?」
「だが地図の空白は埋められていき、やがて全てが埋め尽くされた。
人々が信じていた怪物は何処にも見つからない」
「悠二……何を、言ってるの…………?」
「ならば怪物は何処へ行った? 未知に住まう怪物は何処へ行った?」
違う。
当たり前の事だけど、こいつは違う。
坂井悠二の体をして坂井悠二の声をしているのにまるで違う。
当然だ、坂井悠二はもう居ないのだから。殺されてしまったのだから。
シャナは埋めるところは見ていない、けれどもう埋葬されている筈なのだから。
「この島にも、怪物は居る」
別のモノ、違うナニカ。
「それなのに地図の空白が埋め尽くされても怪物は見つからない。
怪物は何処へ消えた? 人を喰らう怪物達は何処に行った?」
そう、こいつは。
「おまえたちが自ら以外の全てを死で埋め尽くした時、そこには何が見えるだろう?」
人の姿をした怪物だ。
「私は御遣いだ。これは御遣いの言葉だ」
唐突に、ソレは別の言葉を始めた。
唐突に、ソレは別の言葉を始めた。
「――心の実在を証明せよ」
怪物の問い掛け。
未知の、問い掛け。
『忌まわしき未知の問い掛けに弄ばれる者達よ』
突如、全てが繋がった。
未知の、問い掛け。
『忌まわしき未知の問い掛けに弄ばれる者達よ』
突如、全てが繋がった。
「おまえが」
ダナティアの演説の冒頭にあった不可解な言葉と。
「おまえが」
薔薇十字騎士団がビジネスと言った背後に居る誰かと。
「おまえがっ!」
目の前の存在が。
「元凶かあっ!!」
一瞬でソレの目前まで踏み込み、刃を振り下ろそうと、して。
「…………ずるい」
ソレは何もしていない。
「ひどいよ……」
ソレは何も起こしていない。
「どうして」
ただ、ソレは人として、存在としてあまりに冒涜的な存在だった。
ソレは何もしていない。
「ひどいよ……」
ソレは何も起こしていない。
「どうして」
ただ、ソレは人として、存在としてあまりに冒涜的な存在だった。
「どうして、悠二の姿を使うの!!」
ソレが坂井悠二の姿を冒涜し、使っていただけ。
怪物は冒涜的な笑みを浮かべて、ただ繰り返した。
怪物は冒涜的な笑みを浮かべて、ただ繰り返した。
「心の実在を証明せよ」
その言葉を最後に。
そこにはまるで最初から何も居なかったかのように、坂井悠二の姿は消えていた。
理解できない悲劇。
理解できない意思。
理解できない物事。
理解できない元凶。
理解できない怪異。
理解できる、絶望を植え付けて。
そこにはまるで最初から何も居なかったかのように、坂井悠二の姿は消えていた。
理解できない悲劇。
理解できない意思。
理解できない物事。
理解できない元凶。
理解できない怪異。
理解できる、絶望を植え付けて。
(わたしは、この怪物と戦うことすらできない)
抗う事すら叶わない絶望がシャナを打ちのめした。
――23時29分、フリウ。
「通るならばその道」
少女は唄う。
「開くならばその扉。吼えるならばその口」
軽やかに、しかししめやかに。
「作法に記され、望むならば王よ、俄にある伝説の一端にその指を、慨然なくその意思を」
甘美な絶望に心を浸して。
「もう鍵は無し」
より多くの絶望を撒き散らす為に。
「開門よ、成れ」
世界を破滅で埋め尽くす為に。
少女は唄う。
「開くならばその扉。吼えるならばその口」
軽やかに、しかししめやかに。
「作法に記され、望むならば王よ、俄にある伝説の一端にその指を、慨然なくその意思を」
甘美な絶望に心を浸して。
「もう鍵は無し」
より多くの絶望を撒き散らす為に。
「開門よ、成れ」
世界を破滅で埋め尽くす為に。
突如現れた銀色の巨人に、ダナティアが落ちた部屋の住人達は俊敏に反応した。
部屋の奥に退いたのだ。
耳を澄ませば騒がしく部屋の奥に逃げる足音がする。
いや、これは逃げる足音ではない。物々しい装備の音が、騒がしい音がする。
(こっちに攻めて来るんだね)
窓から飛び下りて来るほどに無謀ではないらしい。
足下を見下ろすとそこには無惨に首をねじ切られた死体と、その血に埋もれた喋る石が有る。
安否の確認をしないのだろうか? それとも、遠くから一瞬でそれを済ましたのだろうか?
――ダナティアの死体から一本の針金が飛び出ているのは、目に映る物ではなかった。
それはかつてメフィストが坂井悠二に仕込んだ針金と同じ物だった。
(じゃあそれまでにさっきの喋る石を、死体ごと……)
そう思ったその時、混ざる別の、近い足音を聞いた。
音の先に立っていたのは、赤い髪の一人の少女。シャナ。
シャナを見つめると、フリウはくすりと笑い、破壊精霊に命じた。
壊せ、と。
部屋の奥に退いたのだ。
耳を澄ませば騒がしく部屋の奥に逃げる足音がする。
いや、これは逃げる足音ではない。物々しい装備の音が、騒がしい音がする。
(こっちに攻めて来るんだね)
窓から飛び下りて来るほどに無謀ではないらしい。
足下を見下ろすとそこには無惨に首をねじ切られた死体と、その血に埋もれた喋る石が有る。
安否の確認をしないのだろうか? それとも、遠くから一瞬でそれを済ましたのだろうか?
――ダナティアの死体から一本の針金が飛び出ているのは、目に映る物ではなかった。
それはかつてメフィストが坂井悠二に仕込んだ針金と同じ物だった。
(じゃあそれまでにさっきの喋る石を、死体ごと……)
そう思ったその時、混ざる別の、近い足音を聞いた。
音の先に立っていたのは、赤い髪の一人の少女。シャナ。
シャナを見つめると、フリウはくすりと笑い、破壊精霊に命じた。
壊せ、と。
そして、23時30分。
シャナは駆ける。一直線に。炎髪灼眼を燃やして、赤い髪を翻して。
「壊れろ!」
フリウはその瞬間、襲い来る少女の双眸に――
少女の右眼に――
銀色の巨人が笑う姿が映るのを確かに見た。
デジャ・ヴュ。
シャナは“偶然”にもフリウの回想を再現する。
黒いマントのような夜傘で体を包み、後方に飛び退いた。
一瞬前までシャナがいたその場所に、銀色の柱が突き刺さる。
衝撃はただ一度だけ。
たった一撃の拳が踏み石を粉塵に砕き潰し緑地を赤茶の土で抉り返し大地の深くまで貫く。
――外れた。
それはかつてフリウが歯が立たなかった赤い髪の剣士を、殺人精霊を彷彿させる。
(でも今は、あたしも怪物だ)
ならば壊せる。壊せるはずだと言い聞かせる。
この殺し合いの渦中、マンションの前の緑地に立ち――破壊精霊ウルトプライドが上体を起こす。
床に突き刺さった右腕を引き抜き、天になにかを差し出すように両腕を掲げ、破壊の王たる精霊は雄叫びをあげた。
そして炎に包まれた。
「嘘……」
何から何まで同じだった。
シャナが放った幾重にも束ねられた紅蓮の光跡が破壊精霊に叩きつけられていた
気温が上昇し、抉られ宙に舞う緑地の草花に次々と火が灯る――眩しい吹雪のように、
火の粉が激しく渦巻く気流の中、さらに烈火のごとく輝く巨人は突き上げた拳を強く固めた。
(この後、あの時は小さな音と共にアレは破壊精霊を飛び越えて来た)
だからそれを警戒しフリウは破壊精霊の肩を見上げ。
――あの時と同じように、想像もしない現実が迫った。
轟っと音がして。
シャナは小柄な肉体と信じがたい速度で破壊精霊の足の間をくぐり抜けて、迫った。
銀色の柱が、巨大な拳が穿った穴は彼女に追いつけない。
(……勝てない……また、勝てない!?)
フリウがそれを認識した次の瞬間。
シャナは一瞬で、フリウの懐まで踏み込んでいた。
「壊れろ!」
フリウはその瞬間、襲い来る少女の双眸に――
少女の右眼に――
銀色の巨人が笑う姿が映るのを確かに見た。
デジャ・ヴュ。
シャナは“偶然”にもフリウの回想を再現する。
黒いマントのような夜傘で体を包み、後方に飛び退いた。
一瞬前までシャナがいたその場所に、銀色の柱が突き刺さる。
衝撃はただ一度だけ。
たった一撃の拳が踏み石を粉塵に砕き潰し緑地を赤茶の土で抉り返し大地の深くまで貫く。
――外れた。
それはかつてフリウが歯が立たなかった赤い髪の剣士を、殺人精霊を彷彿させる。
(でも今は、あたしも怪物だ)
ならば壊せる。壊せるはずだと言い聞かせる。
この殺し合いの渦中、マンションの前の緑地に立ち――破壊精霊ウルトプライドが上体を起こす。
床に突き刺さった右腕を引き抜き、天になにかを差し出すように両腕を掲げ、破壊の王たる精霊は雄叫びをあげた。
そして炎に包まれた。
「嘘……」
何から何まで同じだった。
シャナが放った幾重にも束ねられた紅蓮の光跡が破壊精霊に叩きつけられていた
気温が上昇し、抉られ宙に舞う緑地の草花に次々と火が灯る――眩しい吹雪のように、
火の粉が激しく渦巻く気流の中、さらに烈火のごとく輝く巨人は突き上げた拳を強く固めた。
(この後、あの時は小さな音と共にアレは破壊精霊を飛び越えて来た)
だからそれを警戒しフリウは破壊精霊の肩を見上げ。
――あの時と同じように、想像もしない現実が迫った。
轟っと音がして。
シャナは小柄な肉体と信じがたい速度で破壊精霊の足の間をくぐり抜けて、迫った。
銀色の柱が、巨大な拳が穿った穴は彼女に追いつけない。
(……勝てない……また、勝てない!?)
フリウがそれを認識した次の瞬間。
シャナは一瞬で、フリウの懐まで踏み込んでいた。
* * *
「チクショウ! チクショウ、チクショウ!」
少年は怒り悔やみ嘆き、走る。
「メフィスト! ダナティアは……本当に死んだのか!?」
「彼女が首だけで生きでもしない限り、間違いない」
併走するメフィストは淡々と答える。
「あの巨人……足下に一人、少女が居た。彼女にやられたのだろう」
「あの二人じゃねーのか!?」
「おそらくはまた別だ」
投げ落とされた衝撃は防護服の加護もあって大した損傷にはならなかったはずだ。
だが、態勢が崩れ完全に無防備な状態となってしまう事は避けられない。
「この島では誰も彼もが死の危機に脅かされている。何者さえも死に呑まれうる」
無力でありながらも機知に長けた少年、坂井悠二のように。
新宿の魔人、秋せつらのように。
「判るだろう?」
「……ああ。チクショウ!!」
竜堂家の長兄であり東海竜王とも呼ばれる竜、竜堂始のように。
そして……ダナティア・アリール・アンクルージュのように。
悲劇はまたも起きてしまった。それどころか終がそれに一役を買ってしまった。
(おれのせいだ……!)
さっき怒りに任せて暴走しなければダナティアはパイフウを解放する必要が無かった。
古泉が隙を作ろうとも逃げる機会は無く、あの二人はそのまま捕らえられたはずだ。
そうなればダナティアが投げ落とされる事も、そこで殺される事も無かった。
パイフウは許せない。鳥羽茉理を無惨にも殺したパイフウは絶対に許せない。
だけどその憎しみを止めるために、ダナティアが死んだ。
(おれが……!)
「前を向け……竜堂終。君らしくも、ない……!」
少年は怒り悔やみ嘆き、走る。
「メフィスト! ダナティアは……本当に死んだのか!?」
「彼女が首だけで生きでもしない限り、間違いない」
併走するメフィストは淡々と答える。
「あの巨人……足下に一人、少女が居た。彼女にやられたのだろう」
「あの二人じゃねーのか!?」
「おそらくはまた別だ」
投げ落とされた衝撃は防護服の加護もあって大した損傷にはならなかったはずだ。
だが、態勢が崩れ完全に無防備な状態となってしまう事は避けられない。
「この島では誰も彼もが死の危機に脅かされている。何者さえも死に呑まれうる」
無力でありながらも機知に長けた少年、坂井悠二のように。
新宿の魔人、秋せつらのように。
「判るだろう?」
「……ああ。チクショウ!!」
竜堂家の長兄であり東海竜王とも呼ばれる竜、竜堂始のように。
そして……ダナティア・アリール・アンクルージュのように。
悲劇はまたも起きてしまった。それどころか終がそれに一役を買ってしまった。
(おれのせいだ……!)
さっき怒りに任せて暴走しなければダナティアはパイフウを解放する必要が無かった。
古泉が隙を作ろうとも逃げる機会は無く、あの二人はそのまま捕らえられたはずだ。
そうなればダナティアが投げ落とされる事も、そこで殺される事も無かった。
パイフウは許せない。鳥羽茉理を無惨にも殺したパイフウは絶対に許せない。
だけどその憎しみを止めるために、ダナティアが死んだ。
(おれが……!)
「前を向け……竜堂終。君らしくも、ない……!」
ゼェゼェと荒い息に混じった叱責が終を打つ。
併走するベルガーはまだ片肺を失ったままだったが、それでも走り、話してみせる。
「ベルガー……?」
「今回は不運すぎる偶然が悪魔的に重なった……君に有る責任なんて……一部だ」
「だけど……!」
「それに!」
ベルガーは片肺だけから酸素を全身に送り、その余剰で言葉を紡ぐ。
「忘れたか? ……ルールを。ダナティアの言葉を!」
「…………っ」
終は息を呑む。
嘆きを呑み込む。憎しみも今は我慢する。
そして、ゆっくりと答えた。
「『過ちを犯した者として告げましょう。悔い改めて進みなさい』」
「やれるか……?」
「……当然!」
終には悲しむ事も悔やむ事も落ち込む事も山ほど有る。
だけどそれでも、竜堂家の三男は単純であり続ける。
「なら、どうする? 竜堂終!」
「ごちゃごちゃ考える前に走ってやる!」
前に。未来に。光に。
振り向いて折れるよりも前に走って突き破る。
それが竜堂終の出した、単純にして明朗な結論だった。
少年はひたすら前に走り続ける。
廊下を駆け抜けて階段を駆け下りる。
その時、下からも駆け上がってくる足音が聞こえた。
「誰だ!?」
「あたしよ! リナ・インバース! 一体何が起きているの!?」
「パイフウと古泉は逃げ、巨人を使役する少女が襲撃を行い、ダナティアが死んだ」
駆け付けたリナにメフィストが答え、息を呑む音がした。
併走するベルガーはまだ片肺を失ったままだったが、それでも走り、話してみせる。
「ベルガー……?」
「今回は不運すぎる偶然が悪魔的に重なった……君に有る責任なんて……一部だ」
「だけど……!」
「それに!」
ベルガーは片肺だけから酸素を全身に送り、その余剰で言葉を紡ぐ。
「忘れたか? ……ルールを。ダナティアの言葉を!」
「…………っ」
終は息を呑む。
嘆きを呑み込む。憎しみも今は我慢する。
そして、ゆっくりと答えた。
「『過ちを犯した者として告げましょう。悔い改めて進みなさい』」
「やれるか……?」
「……当然!」
終には悲しむ事も悔やむ事も落ち込む事も山ほど有る。
だけどそれでも、竜堂家の三男は単純であり続ける。
「なら、どうする? 竜堂終!」
「ごちゃごちゃ考える前に走ってやる!」
前に。未来に。光に。
振り向いて折れるよりも前に走って突き破る。
それが竜堂終の出した、単純にして明朗な結論だった。
少年はひたすら前に走り続ける。
廊下を駆け抜けて階段を駆け下りる。
その時、下からも駆け上がってくる足音が聞こえた。
「誰だ!?」
「あたしよ! リナ・インバース! 一体何が起きているの!?」
「パイフウと古泉は逃げ、巨人を使役する少女が襲撃を行い、ダナティアが死んだ」
駆け付けたリナにメフィストが答え、息を呑む音がした。
* * *
石段に現れたパイフウは、焦燥して落ち着かない様子だった。
火乃香達に気づく事もなくナイフを取りだすと、右足を刺した。
それから両腕も刺して何かを抉り出して、よく見もせずに森に向かって投げ捨てた。
火乃香達が隠れる茂みにそれは転がってきた。
(二つに切られた……針金? 何、これ)
火乃香は気になったが、それよりも冷静に様子を見る事にした。
何か様子が可笑しい。
「さすがですね。文字通り僕とは住む世界が違うようです」
パイフウと居た青年、古泉が拍手と共に賞賛する。
パイフウはそれに応えず、黙って座り込んでいる。
「ところで、一つ疑問があるのですが、お聞きしてもいいですか?」
パイフウはそれにも応えようとしない。それを肯定と受け取ってか、青年が質問した。
「なぜあなたは僕を助けたんですか?」
「なぜあなたはわたしを助けたの?」
(助けた?)
火乃香は考える。それはつまり、マンションの方で危険な目に遭ったという事だろう。
(何が有ったの?)
胸騒ぎが広がっていく。
「共感したものですから」
「え?」
「まぁもちろん、あなたのように割り切っている方のほうが利用しやすそうというような利己的判断や、
大人数は何かと問題が多そうだからという消去法的な判断もあるかもしれませんがね?」
「…………」
前半はドライだがこの状況なら常識的な信頼関係だ。
だけど……後半は、どういう事なのか?
ちょんちょんとヘイズの指が火乃香の肩を叩く。
(何?)
ヘイズは指を口に当てて静かにとジェスチャーをしてから、有機コードを繋いだ。
火乃香達に気づく事もなくナイフを取りだすと、右足を刺した。
それから両腕も刺して何かを抉り出して、よく見もせずに森に向かって投げ捨てた。
火乃香達が隠れる茂みにそれは転がってきた。
(二つに切られた……針金? 何、これ)
火乃香は気になったが、それよりも冷静に様子を見る事にした。
何か様子が可笑しい。
「さすがですね。文字通り僕とは住む世界が違うようです」
パイフウと居た青年、古泉が拍手と共に賞賛する。
パイフウはそれに応えず、黙って座り込んでいる。
「ところで、一つ疑問があるのですが、お聞きしてもいいですか?」
パイフウはそれにも応えようとしない。それを肯定と受け取ってか、青年が質問した。
「なぜあなたは僕を助けたんですか?」
「なぜあなたはわたしを助けたの?」
(助けた?)
火乃香は考える。それはつまり、マンションの方で危険な目に遭ったという事だろう。
(何が有ったの?)
胸騒ぎが広がっていく。
「共感したものですから」
「え?」
「まぁもちろん、あなたのように割り切っている方のほうが利用しやすそうというような利己的判断や、
大人数は何かと問題が多そうだからという消去法的な判断もあるかもしれませんがね?」
「…………」
前半はドライだがこの状況なら常識的な信頼関係だ。
だけど……後半は、どういう事なのか?
ちょんちょんとヘイズの指が火乃香の肩を叩く。
(何?)
ヘイズは指を口に当てて静かにとジェスチャーをしてから、有機コードを繋いだ。
『どう思う?』
『どうって……』
『あの女の方、おまえの知り合いなんだろう? 何だかきな臭いぞ』
『………………』
火乃香は応えずにパイフウを観察し続ける。
「少し休んだ後、零時の放送が終わったら動くわ」
「怪我の方は大丈夫なんですか?」
「そのうち治るからどうでもいいわ。狙撃くらいは出来るもの」
「あのマンション自体もそうですが、どこかにいるもう一方の集団にも立ち寄らない方がいいですよ」
「言われなくても、もうあの同盟には関わりたくないわ」
その会話を聞きながら考える。
『先生は、あの放送を行った集団と敵対した?』
『みたいだな。だが、どっちが原因かはさっぱりだ』
『………………』
火乃香はパイフウの方を信じたかったが、彼女の様子はどこか怪しい。
その時、パイフウが立ち上がって。
「……!」
「? 何か……!」
『見つかった!?』
『違う、方向が逆だ! あのマンションの所に……!』
ヘイズが示した通り、マンションの隣に、音もなくそれが現れていた。
銀色の、巨人。
それはゆっくりと拳を振り上げ、一室に叩き込んだ。
「どうやら僕達は、かなりタイミングがよかったようですね」
「……行動を変更するわ。ここであれから逃げてきた人間を狙撃する」
『な……っ!?』
『無差別攻撃かよ……?』
火乃香とヘイズが驚愕し、更にこれまで仕方なく黙っていたコミクロンも小声で呟いた。
「……どう見てもそこの女が相棒共々極悪人に見えるのだが。本当に知り合いか?」
「………………!」
『どうって……』
『あの女の方、おまえの知り合いなんだろう? 何だかきな臭いぞ』
『………………』
火乃香は応えずにパイフウを観察し続ける。
「少し休んだ後、零時の放送が終わったら動くわ」
「怪我の方は大丈夫なんですか?」
「そのうち治るからどうでもいいわ。狙撃くらいは出来るもの」
「あのマンション自体もそうですが、どこかにいるもう一方の集団にも立ち寄らない方がいいですよ」
「言われなくても、もうあの同盟には関わりたくないわ」
その会話を聞きながら考える。
『先生は、あの放送を行った集団と敵対した?』
『みたいだな。だが、どっちが原因かはさっぱりだ』
『………………』
火乃香はパイフウの方を信じたかったが、彼女の様子はどこか怪しい。
その時、パイフウが立ち上がって。
「……!」
「? 何か……!」
『見つかった!?』
『違う、方向が逆だ! あのマンションの所に……!』
ヘイズが示した通り、マンションの隣に、音もなくそれが現れていた。
銀色の、巨人。
それはゆっくりと拳を振り上げ、一室に叩き込んだ。
「どうやら僕達は、かなりタイミングがよかったようですね」
「……行動を変更するわ。ここであれから逃げてきた人間を狙撃する」
『な……っ!?』
『無差別攻撃かよ……?』
火乃香とヘイズが驚愕し、更にこれまで仕方なく黙っていたコミクロンも小声で呟いた。
「……どう見てもそこの女が相棒共々極悪人に見えるのだが。本当に知り合いか?」
「………………!」
『お、おい、待――』
止める間もなく、火乃香はコードを引き抜いて茂みから立ち上がった。
ガサリと茂みから立った音は石段を登っていこうとしたパイフウ達の耳にも届く。
「なっ!?」
反射的にパイフウは振り返りライフルを構え引き金に指を掛けて――
「…………ほの……ちゃん……?」
――凍り付いた。
止める間もなく、火乃香はコードを引き抜いて茂みから立ち上がった。
ガサリと茂みから立った音は石段を登っていこうとしたパイフウ達の耳にも届く。
「なっ!?」
反射的にパイフウは振り返りライフルを構え引き金に指を掛けて――
「…………ほの……ちゃん……?」
――凍り付いた。
「先生……どういう事なの?」
マンションの手前で破壊精霊が上げた雄叫びが、一拍を置いて石段に届く。
茂みが震え木々が鳴る。
風が咆哮を叫ぶ。
茂みが震え木々が鳴る。
風が咆哮を叫ぶ。
「どういう事なの!? 先生!!」
楽園だったはずのその場所で。
その周辺で。
詰め込まれた絆が絡まり、もつれ合い。
その周辺で。
詰め込まれた絆が絡まり、もつれ合い。
そして――
【C-6/マンション前/1日目・23:35】
【決着、そして――?】
【シャナ】
[状態]:吸血鬼(身体能力向上)/????
[装備]:贄殿遮那/神鉄如意
[道具]:支給品一式(パン6食分・水2000ml)
/悠二の血に濡れたメロンパン4個&保存食2食分/濡れていない保存食2食分/眠気覚ましガム
/悠二のレポートその2(大雑把な日記形式)/タリスマン
[思考]:????
[備考]:体内に散弾片が残っている。
手術で摘出するまで激しい運動や衝撃で内臓を傷つける危険有り。
ただし吸血鬼の再生能力と相まって高速で再生する。
18時に放送された禁止エリアを覚えていない。
C-8は、禁止エリアではないと思っている。
【決着、そして――?】
【シャナ】
[状態]:吸血鬼(身体能力向上)/????
[装備]:贄殿遮那/神鉄如意
[道具]:支給品一式(パン6食分・水2000ml)
/悠二の血に濡れたメロンパン4個&保存食2食分/濡れていない保存食2食分/眠気覚ましガム
/悠二のレポートその2(大雑把な日記形式)/タリスマン
[思考]:????
[備考]:体内に散弾片が残っている。
手術で摘出するまで激しい運動や衝撃で内臓を傷つける危険有り。
ただし吸血鬼の再生能力と相まって高速で再生する。
18時に放送された禁止エリアを覚えていない。
C-8は、禁止エリアではないと思っている。
【フリウ・ハリスコー】
[状態]:全身血塗れ。右腕にヒビ。正常な判断が出来ていない
[装備]:水晶眼(眼帯なし、ウルトプライド召喚中)、右腕と胸部に包帯
[道具]:デイパック(支給品一式・パン5食分・水1500ml)、缶詰などの食糧
[思考]:勝てない……!?
[状態]:全身血塗れ。右腕にヒビ。正常な判断が出来ていない
[装備]:水晶眼(眼帯なし、ウルトプライド召喚中)、右腕と胸部に包帯
[道具]:デイパック(支給品一式・パン5食分・水1500ml)、缶詰などの食糧
[思考]:勝てない……!?
【C-6/マンション2・1F/1日目・23:35】
【大集団/舞台組+】
【Dr メフィスト】
[状態]:物語に感染
[装備]:支給品不明、針金
[道具]:デイパック(支給品一式・パン5食分・水1700ml)
[思考]:現状を把握し、収拾する。病める人々の治療(見込みなしは安楽死)
【大集団/舞台組+】
【Dr メフィスト】
[状態]:物語に感染
[装備]:支給品不明、針金
[道具]:デイパック(支給品一式・パン5食分・水1700ml)
[思考]:現状を把握し、収拾する。病める人々の治療(見込みなしは安楽死)
【竜堂終】
[状態]:健康
[装備]:騎士剣“紅蓮”、コンバットナイフ
[道具]:なし
[思考]:前へ! 前へ! 考えるな!
[状態]:健康
[装備]:騎士剣“紅蓮”、コンバットナイフ
[道具]:なし
[思考]:前へ! 前へ! 考えるな!
【ダウゲ・ベルガー】
[状態]:右肺損傷(行動の合間のメフィストの治療により、なんとか戦闘をこなせる程度)
[装備]:強臓式武剣“運命” 、単二式精燃槽 (残り四つ)、黒い卵(天人の緊急避難装置)、
PSG-1(残弾20)、鈍ら刀
[道具]:携帯電話(呼び出し中)、コキュートス
[思考]:現状を把握し、収拾する。
[備考]:天人の緊急避難装置:所持者の身に危険が及ぶと、最も近い親類の所へと転移させる。
[状態]:右肺損傷(行動の合間のメフィストの治療により、なんとか戦闘をこなせる程度)
[装備]:強臓式武剣
PSG-1(残弾20)、鈍ら刀
[道具]:携帯電話(呼び出し中)、コキュートス
[思考]:現状を把握し、収拾する。
[備考]:天人の緊急避難装置:所持者の身に危険が及ぶと、最も近い親類の所へと転移させる。
【リナ・インバース】
[状態]:疲労困憊。魔法は一切使えない。
[装備]:光の剣(柄のみ)
[道具]:メガホン
[思考]:!!
千絵が心配、美姫に苦手意識(姉の面影を重ねています)
仲間集め及び複数人数での生存。管理者を殺害する。美姫を許す気はない
[状態]:疲労困憊。魔法は一切使えない。
[装備]:光の剣(柄のみ)
[道具]:メガホン
[思考]:!!
千絵が心配、美姫に苦手意識(姉の面影を重ねています)
仲間集め及び複数人数での生存。管理者を殺害する。美姫を許す気はない
【C-5/石段/1日目・23:35】
【戦慄舞闘団+パイフウと古泉】
【ヴァーミリオン・CD・ヘイズ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:有機コード、デイパック(支給品一式・パン6食分・水1100ml)
船長室で見つけた積み荷の目録
[思考]:警戒
[備考]:刻印の性能に気付いています。ダナティアの放送を妄信していない。
【戦慄舞闘団+パイフウと古泉】
【ヴァーミリオン・CD・ヘイズ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:有機コード、デイパック(支給品一式・パン6食分・水1100ml)
船長室で見つけた積み荷の目録
[思考]:警戒
[備考]:刻印の性能に気付いています。ダナティアの放送を妄信していない。
【火乃香】
[状態]:健康
[装備]:騎士剣・陰
[道具]:デイパック(支給品一式・パン6食分・水1400ml)
[思考]:先生、どういう事?
[状態]:健康
[装備]:騎士剣・陰
[道具]:デイパック(支給品一式・パン6食分・水1400ml)
[思考]:先生、どういう事?
【コミクロン】
[状態]:右腕が動かない。
[装備]:エドゲイン君
[道具]:デイパック(支給品一式・パン6食分・水1000ml) 未完成の刻印解除構成式(頭の中)
刻印解除構成式のメモ数枚
[思考]:警戒している。
[備考]:かなりの血で染まった白衣を着ています。
[状態]:右腕が動かない。
[装備]:エドゲイン君
[道具]:デイパック(支給品一式・パン6食分・水1000ml) 未完成の刻印解除構成式(頭の中)
刻印解除構成式のメモ数枚
[思考]:警戒している。
[備考]:かなりの血で染まった白衣を着ています。
[チーム備考]:火乃香がアンテナになって『物語』を発症しました。
[チーム行動予定]:EDとエンブリオを探している。刻印の情報を集める。
[チーム行動予定]:EDとエンブリオを探している。刻印の情報を集める。
【パイフウ】
[状態]:両腕・右脚・脇腹に浅い刺し傷(すべて止血済)。
両腕にヒビ(ヒーリングによる治療中)
[装備]:ライフル(残弾29)
外套(数カ所に小さな血痕が付着。脇腹辺りに穴が空いている。
偏光迷彩に支障があるかは不明)
[道具]:なし
[思考]:激しく動揺
[備考]:外套の偏光迷彩は起動時間十分、再起動までに十分必要。
さらに高速で運動したり、水や塵をかぶると迷彩に歪みが出来ます。
[状態]:両腕・右脚・脇腹に浅い刺し傷(すべて止血済)。
両腕にヒビ(ヒーリングによる治療中)
[装備]:ライフル(残弾29)
外套(数カ所に小さな血痕が付着。脇腹辺りに穴が空いている。
偏光迷彩に支障があるかは不明)
[道具]:なし
[思考]:激しく動揺
[備考]:外套の偏光迷彩は起動時間十分、再起動までに十分必要。
さらに高速で運動したり、水や塵をかぶると迷彩に歪みが出来ます。
【古泉一樹】
[状態]:左肩・右足に銃創(縫合し包帯が巻いてある)
[装備]:グルカナイフ
[道具]:デイパック(支給品一式・パン10食分・水1800ml)
[思考]:ひとまずパイフウと共闘。出来れば学校に行きたい。
手段を問わず生き残り、主催者に自らの世界への不干渉と、
(参加者がコピーではなかった場合)SOS団の復活を交渉。
[備考]:学校にハルヒの力による空間があることに気づいている(中身の詳細は知らない)
[状態]:左肩・右足に銃創(縫合し包帯が巻いてある)
[装備]:グルカナイフ
[道具]:デイパック(支給品一式・パン10食分・水1800ml)
[思考]:ひとまずパイフウと共闘。出来れば学校に行きたい。
手段を問わず生き残り、主催者に自らの世界への不干渉と、
(参加者がコピーではなかった場合)SOS団の復活を交渉。
[備考]:学校にハルヒの力による空間があることに気づいている(中身の詳細は知らない)
【C-6/マンション1・2F室内/1日目・23:35】
【大集団/待機組】
【慶滋保胤】
[状態]:かなりの精神的ダメージ。不死化(不完全)
ボロボロの着物を包帯のように巻きつけている
[装備]:携帯電話(呼び出し中)
[道具]:デイパック(支給品一式(パン6食分・水2000ml))、不死の酒(未完成、残り半分)
[思考]:シャナの事が気になる。千絵を落ち着かせたい。味方になる者の捜索。
【大集団/待機組】
【慶滋保胤】
[状態]:かなりの精神的ダメージ。不死化(不完全)
ボロボロの着物を包帯のように巻きつけている
[装備]:携帯電話(呼び出し中)
[道具]:デイパック(支給品一式(パン6食分・水2000ml))、不死の酒(未完成、残り半分)
[思考]:シャナの事が気になる。千絵を落ち着かせたい。味方になる者の捜索。
【折原臨也】
[状態]:不機嫌(表には出さない)
[装備]:なし
[道具]:デイパック(支給品一式・パン6食分・水2000ml)、
ジッポーライター、救急箱、スピリタス1本(少し減った)、
セルティとの静雄関連の筆談に使った紙
[思考]:保胤を集団内で孤立させたい。危なくなれば集団から抜ける。
クエロに何らかの対処を。人間観察(あくまで保身優先)。
ゲームからの脱出(利用出来るものは利用、邪魔なものは排除)。
残り人数が少なくなったら勝ち残りを目指す
[備考]:クエロの演技に気づいている。
コート下の服に血が付着+肩口の部分が少し焦げている。
[状態]:不機嫌(表には出さない)
[装備]:なし
[道具]:デイパック(支給品一式・パン6食分・水2000ml)、
ジッポーライター、救急箱、スピリタス1本(少し減った)、
セルティとの静雄関連の筆談に使った紙
[思考]:保胤を集団内で孤立させたい。危なくなれば集団から抜ける。
クエロに何らかの対処を。人間観察(あくまで保身優先)。
ゲームからの脱出(利用出来るものは利用、邪魔なものは排除)。
残り人数が少なくなったら勝ち残りを目指す
[備考]:クエロの演技に気づいている。
コート下の服に血が付着+肩口の部分が少し焦げている。
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第537話 | パイフウ | 第543話 |
第537話 | リナ | 第543話 |
第537話 | 折原臨也 | 第544話 |
第540話 | 子爵 | 第542話 |
第537話 | 慶滋保胤 | 第544話 |
第540話 | 風見・千里 | 第542話 |
第537話 | ベルガー | 第543話 |
第537話 | 古泉一樹 | 第543話 |
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第537話 | 竜堂終 | 第543話 |
第537話 | メフィスト | 第543話 |
第566話 | コミクロン | 第543話 |
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