ユキ「飲み過ぎだよおねーさん」ベル「よってないれす」

跳ねる飛魚亭、個室席にて~

ユキ「ナタリー、この人どのくらい飲んだの…?」

ナタリー「カクテル数杯ダナ!あまり強くはナイやつ」

ユキ「神官さんだし飲み慣れてないのかな?ちょっと、大丈夫?」ゆさゆさ

ベル「あれぇ…ユキしゃんじゃないれすか、どうしたんれすか?」

ユキ「どうしたもこうしたもないよ、酔いつぶれてたら心配にもなるよ」

ベル「よってないれす、よってないれすよ」

ユキ「酔っぱらいはみんなそう言うんだよ…」

ベル「てんいんしゃん、もういっぱい~」

ナタリー「…大丈夫カー?」

ユキ「しょうがないから付き合うか…ナタリー、紅茶を一杯、あとお水と適当におつまみもお願い」

ナタリー「シラフで酔っぱらい相手はキツくないカー?一杯いっとくカー?」

ユキ「うーん…遠慮しとくよ、紅茶で」

ナタリー「紅茶イッチョー!」

ユキ「まったく…ザイア様に怒られない?大丈夫?」

ベル「ザイアしゃまもどうせわたひのことなんてみてないれすよ…」ぐすん

ユキ「卑屈になりすぎだよ…この前優しくしてあげてって神託もあったし、ザイア様はちゃんと見守ってるよ」

ベル「ユキしゃんはやさしいれすね…どうひてわたひなんかにやさしくしてくれるんれすか…」ぐすん

ユキ「…泣き上戸かあ、怒るよりはマシかなあ」小声

ナタリー「ホレ、カクテルと紅茶にお水、ソレカラおつまみダナー」

ユキ「ありがと」

ナタリー「こっちはサービスのクッキーダナー、紅茶には焼き菓子がイイナ」

ユキ「ほんと?甘いもの好きなんだ、ありがとう」

ナタリー「イイッテコトヨー!カワイコちゃんにはサービスしろってテンチョーも言ってたナ」

ユキ「じゃあナタリーにもサービスしないとだね、今度なにか持ってくるよ」

ナタリー「ヤッター!テンチョーにはナイショだナー」

ベル「うぅ…わたひはかわいくないってことれすか…」

ユキ「おねーさんは美人顔でしょ、めんどうだなあ」

ベル「ぐすん…めんどうっていわれた…」

ユキ「はいはい、ボクが悪かったから泣かないの、綺麗な顔が台無しだよ?」

ベル「なんれそんなあまいことばがすらすらでてくるんれすか…おもいらしたくないことをおもいらしました…」

ユキ「ボクはかわいい女の子も綺麗なおねーさんも好きだからね、かわいいは正義だよ…かわいこぶってる男は大嫌いだけど」

ベル「ますますふるきずをえぐられまひた…ひどいれす」ぐびっ

ユキ「なにかあったの?ボクでよければ聞いてあげてもいいけど」

ベル「おしたいひてたおんにゃのこがいたんれす」

ユキ「お、恋バナ?ちょっと興味でてきた」

ベル「…そうれす、すきらったんれす」

ユキ「いいねいいね、どんなとこが好きだったの?」

ベル「いろいろありますけろ…いちばんはかおれす」

ユキ「うーん面食い、まあボクも否定はできないけど」

ベル「…ユキしゃんのかおはけっこうすきれす、いけましゅ」

ユキ「さっきの仕返しかな?まあボクはかわいいからね、じゃあ次は好きになったきっかけが聞きたいな」

ベル「ひとめぼれれす…」

ユキ「いいねいいね、楽しくなってきた!声はかけなかったの?」

ベル「あーちがうんれすそういうのじゃないんれす、わたひはとおくれみてるらけれよかったんれす」

ユキ「あー…その気持ちはちょっとわかるかも」

ベル「わたひなんかがとなりにたとうらなんて…とても」

ユキ「そうかなあ、おねーさん美人なんだからアタックしてみればよかったんじゃない?とはちょっと思うけど」

ベル「もう!ちがうんれす!わたひなんかとはかくがちがうんれす!つきとアイアンタートルくらいちがうんれす!」ぺしぺし

ユキ「わかったから、ちょっと、やめてよ、もう」

ベル「わたひはただ…とおくれみてるらけれよかったんれす…なのに…」

ユキ「なのに?」

ベル「どうひて…どうひてけっこんなんてするんれすか…」ガンッ

ユキ「あー…」

ベル「しかも!あいてはおんなのこなんれす!しかもわたひのしりあいなんれす!いつのまに…どうして!どうして…!」ぐびっ
ベル「さっきのユキしゃんみたいにすぐおんにゃのこにかわいいとかきれいとかいうこらったんれす…それをおもいらして」ぐすん

ユキ「…おねーさん」

ベル「なんれすか!ユキしゃんもわたひをばかなおんなとおもうんれすか!」バンバンッ

ユキ「わかる…わかるよおねーさん、いやベルさん!」ぎゅっ

ベル「?どういうことれすか…」

ユキ「ボクも…いや正確にはボクの"前世"の話なんだけど、大好きな人が結婚しちゃったんだ」

ベル「ハイマンのデジャヴれすか…?」

ユキ「そうそう、それそれ」

ベル「ユキしゃんこそこくはくすればよかったじゃないれすか…かわいいんれすから」

ユキ「そういうわけにはいかないよ…相手はボクのお兄ちゃんなんだから…それに」

ベル「しょれに?」

ユキ「その…ボクは女の子じゃないんだ、少なくとも肉体的には」

ベル「…えっ」

ユキ「信じてくれなくてもいいよ、流石に服を脱ぐわけにもいかないし脱ぎたくもないから」

ベル「そう…らったんれすね、たいへんらったんれすね」

ユキ「"前世"のボクの想いは届かなかった…だけど」

ベル「らけろ?」

ユキ「ボクが今こうして生きてるんだから、この世界のどこかにお兄ちゃんもいるんじゃないかって思うんだ」
ユキ「だからボクは探してる、ボクの王子様をね」

ベル「ユキしゃん…」

ユキ「…ごめんね、ベルさんのお話を聞くつもりだったのに、つまらない話に付き合わせちゃった」

ベル「いえ…おはなひしてくれてありがとうごらいまふ、このはなひはほかのひとにも?」

ユキ「まさか、誰にでも話すような内容じゃないよ…リンゼには話したけどね」

ベル「そう…れすよね、はなせないれすよね」

ユキ「だから今夜の話はボクとベルさんの秘密だよ?」

ベル「…なにかつらいことがあったらいってくらさいね?わたひでよければそうだんにのりまふから」ぐびっ

ユキ「なんだかんだ優しい神官さんなんだねベルさん…ってあれ?おーい」

ベル「…」

ユキ「…寝てる、しょうがないなあ」

ユキ「リンゼ」

リンゼ「お呼びでしょうか」ずいっ

ユキ「ベルさんがこの通りでね、置いてくわけにもいかないからとりあえず家につれて帰ろう」

リンゼ「Yes, My Lord.」ひょい

ユキ「悪いね、ボクじゃちょっと筋力が足りなそうだったから」

リンゼ「いえ、お嬢様が楽しそうで何よりです」

ユキ「そう見える?キミがそう言うんなら違いないだろうね」
ユキ「じゃあお会計を済ませてくるから外で待ってて」

リンゼ「はい」



ナタリー「合計300Gダナ」

ユキ「その…量にしてはけっこういい値段だね」

ナタリー「お高いカクテルだったからナ」

ユキ「…うん、まあしょうがないか」

ナタリー「マイドアリー!」


そういえば共通点あったわってなった

おまけ・次の日の朝かもしれないなにか


ベル「…あれ、ここは?」

ユキ「おっ、おはようベルさん」

ベル「…どうしてユキさんが?」

リンゼ:なんて説明します?って顔

ユキ:面白そうだからちょっとからかおうって顔

リンゼ「…ゆうべはお楽しみでしたね」

ベル「…え?」

ユキ「ひどいっ!」顔を手で隠す
ユキ「ボクに無理矢理あんなことまでしたのに覚えてないの…?」指の間からチラッチラッ

ベル「…えっ、いやまさかそんな…確かにユキさんの顔はけっこう好みですが…うそ、そこまで?そこまで堕ちました…?」
ベル「ああ…どうかお許しくださいザイア様…」

リンゼ「まあ嘘ですけど」

ベル「こうなったら…責任を取るしか…ああお父様になんと言われるか…って、えっ、嘘…ですか」

ユキ「そうそう、冗談。ほんとに何も覚えてないの?」

ベル「あー、言われてみれば…だんだん…思い出してきました…ご迷惑をおかけしたようで…」

ユキ「まあ何もなかったからいいけどさ、気をつけないとダメだよ?」
ユキ「一人で飲むのは避けたほうがいいよ、ボクでよければ付き合ってあげてもいいからさ」

ベル「…そうですね、お言葉に甘える…かもしれません」

こうして仲良くなったりしたかもしれない。
最終更新:2021年03月15日 16:43