アルマ「いったい誰から……いや、そもそも何故送られてきた?」
アルマ「随分な立場だな。……送ってきた理由は?」
キスケ「アルマさんを研究者として迎え入れたいらしいです」
キスケ「研究に必要な設備や資材の提供、住居と食事の保証……かなりの好待遇みたいですよ」
アルマ「……それは、なんだ。罠なのか?」
キスケ「いやいや、そんなことはないです。印は正当なものですし、こちらで裏取りも済んでます」
キスケ「英雄の名は大陸を越えますからね。特にアルマさんは魔術師ですから、オファーが来ても不思議ではありません」
アルマ「そういうものなのか」
アルマ「ただ、なんだ」
キスケ「純粋に研究者として招くつもりなのかと言われると、ちょっと怪しいです」
アルマ「どういうことだ?」
キスケ「あのですね、アルマさん……に限らず一部を除いたほぼ全員がそうですけど」
キスケ「皆さん、英雄という立場を軽視しすぎているフシがあります」
アルマ「それはそうだろう。そう呼ぶ奴がいるくらいで、普段の生活が変わったわけじゃない」
キスケ「女王様たちが政治に巻き込まないよう頑張ってますからね」
キスケ「療神関係でいろいろ面倒をかけてしまったぶん、気を遣ってくれているんですよ」
アルマ「そうだったのか……」
キスケ「話を戻しますけどね。仮に形式上であっても、英雄を擁するメリットって結構なものがあるんです」
キスケ「単純に国の格を示せますし、敵対的な相手への牽制にもなります。積極的に活用するなら、もっとやれることは増えるでしょうね」
キスケ「そういう副次的な効果も狙っている──というより、そっちが本命だと思いますよ」
アルマ「断れないのか?」
キスケ「露骨に嫌そうな顔をしてますね。でも、問題はないですよ」
キスケ「文面はあくまでも“お誘い”の範疇ですし、そもそも外部との交流が活発な国ですから、著名人の招致は珍しくないんです。辞退もままあるみたいですしね」
キスケ「まあ、国民の間でちょっとした噂くらいにはなってますが……本当にそのくらいです」
アルマ「国が普段からやっていることであって、特別な行為という訳ではない。強制力がある訳でもない。そういうことか」
キスケ「そんなところです。ですので、アルマさんが断ったところでイチイチどうこうはなりません」
アルマ「そうか。それなら辞退して──」
アルマ「まだあるのか?」
キスケ「重要な話ではないんですが……さっき言った通り、アルマさんの招致はちょっとした噂にはなっているんですよ」
キスケ「市井の方々にも期待している人がいるみたいでしてね。アルマさんが来るのを楽しみにしてる小さなお子さんとか、割といるそうです」
アルマ「…………」
キスケ「それだけですね。断るならこっちで対応しますけど、どうします?」
アルマ「……一応、出向いて話すくらいはしよう」
アルマ「断るにしても、そっちの方が後腐れがないだろうからな」
アルマ「ああ、頼む」
キスケ「……それにしても、前から思ってましたけど」
アルマ「なんだ?」
アルマ「黙れ」
ユーシズ読んでて出力された妄想。
特に著名人の招致云々辺りは完全に想像(やってそうではある)。
アルマは蛮族以外には割とちょろいのでゴリ押しすれば結構な要望を通せると思う。
最終更新:2021年12月29日 13:05