「アーガイルさん、シグナスの電送系の整備、完了しました」
作業着姿の少年がそう報告する。
その言葉に彼――サイ=アーガイルは顔を上げて応えた。
その言葉に彼――サイ=アーガイルは顔を上げて応えた。
「ご苦労様シゲト君。こちらももうすぐ終わる。そしたら少し休憩にしようか」
「了解です、……それは何しているんですか?」
「OSのカスタマイズだよ。こういうのも搭乗者の動きや癖なんかに細かく合わせていかないとね。
こっちは向こうと違って質で勝負しなきゃならないんだから尚更だ」
「なるほど……」
「了解です、……それは何しているんですか?」
「OSのカスタマイズだよ。こういうのも搭乗者の動きや癖なんかに細かく合わせていかないとね。
こっちは向こうと違って質で勝負しなきゃならないんだから尚更だ」
「なるほど……」
関心したようにシゲトはこちらの作業を覗いている。
「良し、これで終了」
「お疲れ様です。コーヒーで良いですか」
「ああ、有難う」
差し出されたカップを受け取り、口に含む。疲れた身体に苦味が染み込んでくるようで心地良い。
一息ついたあと、サイは今まで自分が操作していた画面に目を向けた。
「――だけど相変わらず大したものだよ、このシステムは」
「システムって……何のですか?」
「お疲れ様です。コーヒーで良いですか」
「ああ、有難う」
差し出されたカップを受け取り、口に含む。疲れた身体に苦味が染み込んでくるようで心地良い。
一息ついたあと、サイは今まで自分が操作していた画面に目を向けた。
「――だけど相変わらず大したものだよ、このシステムは」
「システムって……何のですか?」
サイの、半ば独り言に近い言葉に反応したシゲトが疑問を返す。
「ナチュラル用のOS。細かい所の修正はあったりするけれど基礎構造は7年も前から殆ど変わってない。
つまりはその時点、7年前の時点で殆ど完成されていたってことだからね」
「言われてみれば……そうですよね。オーブのモルゲンレーテでしたっけ、これの開発元」
「そうだけど正確にはちょっと違う。このシステム自体は殆ど1人の男が完成させたんだ、技術協力という形でね」
「1人で、ですか?」
「ああ……それにその人は当時、今の君と同い年ぐらいだった筈だよ」
つまりはその時点、7年前の時点で殆ど完成されていたってことだからね」
「言われてみれば……そうですよね。オーブのモルゲンレーテでしたっけ、これの開発元」
「そうだけど正確にはちょっと違う。このシステム自体は殆ど1人の男が完成させたんだ、技術協力という形でね」
「1人で、ですか?」
「ああ……それにその人は当時、今の君と同い年ぐらいだった筈だよ」
7年経った今なら自分にもシステムの構造は理解出来る。
――でも彼はそれを7年前にやってのけたのだ。それもあの短期間で。
――でも彼はそれを7年前にやってのけたのだ。それもあの短期間で。
「本当ですか!?それはまた凄いですね……」
コーディネイターですか?とはシゲトは聞かなかった。
どうでもいい事なのか、それとも察した上で何も言わないのか。
サイはそんな思考に陥る自分に自嘲する。きっと――未だ彼は純粋なのだろう、昔の自分とは違って。
でも、そうであって欲しいとも思う。
どうでもいい事なのか、それとも察した上で何も言わないのか。
サイはそんな思考に陥る自分に自嘲する。きっと――未だ彼は純粋なのだろう、昔の自分とは違って。
でも、そうであって欲しいとも思う。
「ああ凄いよ。これが無ければ僕達ナチュラルはMSを満足に動かすことなんか……出来やしないんだからね」
まともに歩かせることも出来ず、無様に倒れるだけだ。かつての自分のように。
「?、何か実感こもってますね」
「色々あるのさ。けど、その人のおかげで僕たちも今こうやって戦い――抗うことが出来る、皮肉だね」
「皮肉?」
「作った本人は僕達が戦うことなんて望んでもいないだろうから」
「そうなんですか」
「きっと、ね。何しろ――」
「色々あるのさ。けど、その人のおかげで僕たちも今こうやって戦い――抗うことが出来る、皮肉だね」
「皮肉?」
「作った本人は僕達が戦うことなんて望んでもいないだろうから」
「そうなんですか」
「きっと、ね。何しろ――」
その人は僕等の敵だから。
その言葉を切るように格納庫に警報が響き渡った。治安維持部隊の先遣隊がこの宙域に近づいているとのこと。
警戒レベルが赤になり、周りも慌しくなってくる。
警戒レベルが赤になり、周りも慌しくなってくる。
「ここの位置も割れたか……」
「アーガイルさん!」
「ああ――整備を急ぐ。早く、そして正確に。僕たちは僕たちの出来るコトで戦おう」
「了解です!」
「アーガイルさん!」
「ああ――整備を急ぐ。早く、そして正確に。僕たちは僕たちの出来るコトで戦おう」
「了解です!」
――彼の者がこの時代に残した力を振るって。彼の者の理想の世界に抗う為に。
「それが僕の選んだ道だよ、キラ」
進む道を別れた、かつての友人に向けてそう言い放った。