「機動戦士GUNDAM SEED―Revival―」@Wiki

強襲

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だれでも歓迎! 編集
(注)これは残虐なグロ描写があり、明らかに住人が作る物語の趣旨と指針が違いますが、勝手に判断して削除したという前例を作るわけにもいかないのでおいてあります。
なにとぞご理解下さい



わたしたちは逃げています。まあ、このレジスタンス組織、リヴァイヴと行動を共にす
るようになってしまってから、しょっちゅうのことです。何べんアジトを移ったかはもう
忘れてしまいました。それは、わたしが女子トイレの穴を掘った回数とイコールなのです
から。
 ただ今回は特別です。ガルナハンを離れるのです。行き先は下っ端のわたしなんかには
教えてもらえません。確かに遠くに逃げないと不味い状況なのはわかってます。
 発端は昨日のことでした。

 リヴァイヴがしぶといレジスタンス組織だということは、世界のレジスタンス仲間だけ
でなく、治安警察や地上軍ピースガーディアンにまでよく知られたことでした、えっへ
ん。でもまあそれは、しつこく追い掛け回されるということで、わたしが来てからでもす
でに戦死者が3名出ています。新規加入者も4人いるので特に所帯は変わりませんが。
 内通者からオーブ本国から地上軍の精鋭がやってくるという情報が入ったのが、一週間
前。それがなんと、司令官アスラン・ザラに率いられているという報が入ったのが二日前
。それ以来、地元出身でガルナハンの坑道に精通したコニールさんの情報を元に、ウィラ
ードさんとAIレイさんが主になってリヴァイヴは作戦を練り上げました。
 坑道を利用して数的不利(こっちにはMSは4台しかないのです)をなくし、アスラン・
ザラとシンさんが他の人に邪魔されず戦えるようにしたのです。ウィラードさん、AIレイ
さん、シンさんの三人はザフトの出身ですから、彼らにとってアスラン・ザラというのは
二度もザフトを脱走した、脱走兵の大悪人なのです。オーブにいたころのわたしにとって
は、きれいな緑の瞳をしたハンサムな、カガリさまの恋人、ステキ!な存在でしたが、そ
んなこと思っていても、わたしがリヴァイヴと一緒にいる以上見つかったら問答無用で殺
されてしまいます。なのでわたしはセンセイとじっと息を潜めて作戦の成功を祈っていま
した。

 神様、仏様、宇宙クジラ様。なんということでしょう!

 リヴァイヴはオーブ地上軍の攻撃を見事に撃退、隊長機トゥルージャスティスを落とす
ことに成功したのです。みんなの作戦と献身、シンさんの熱闘のおかげです。みんなおお
よろこびでしたが、特に普段はあまり戦闘の結果に一喜一憂しないセンセイがすごーく嬉
しそうな顔をして、なにか呟いていたのが印象に残りました。
 捜索隊が来るのは時間の問題でしたから、みんなはトゥルージャスティス(こんな豪華
な戦利品、初めて!)からパイロットの死体を出すと、機体をカーゴに積み込みました。
そこで思ってもみなかったイベントがあったのです。
 シンさんがパイロットの死体の頭を掴んで引き起こすと、腰のコンバットナイフを抜い
て、カガリさまの恋人だった人の首に突き刺すと、ぐいぐいと無造作に一周させました。
あんがい簡単に人間の首は切れるものです。あ、シンさんはコーディネーターなので、力
を入れてなくても、ナチュラルのわたしが想像する以上の力を出していたのでしょう。
 彼は、目を閉じてあげることもしないで、首を持ち上げると、「……あんたって人は」
と呟いて、蝋色の肌に唾を吐きかけました。
 その間にアスラン・ザラの首なし死体はパイロットスーツを脱がされて裸にされました(国家元首の男のハダカ見ちゃった、死体だけど)。
 シンさんは首を持って、他の人たちが体を持って森に入っていきます。
 彼らが戻ってきたのは20分ほどあとでした。

逃亡中でもおなかは減ります。ベーコンを炒めて、その脂でスクランブルエッグを作り、
温めたベイクドビーンズとコーンブレッド、これが朝ごはんです。センセイからパイロッ
トにはたくさん食べさせるよう言われているので、シンさんと三尉(大尉、中尉、少尉を
まとめてこう呼んでます)にはベーコン一枚サービスです。正規軍だとパイロット食はと
ても豪華だそうですが、これも貧乏レジスタンスの宿命です。
 パソコンに向かって作業中で呼んでもやってこないカイエさんに、食事を持っていきま
した。いつもは呼べば10秒で来る人です。意地汚いのではなくて、几帳面なのです。
「ありがとう、ソラ。今どうしても手が離せなくてね」
 カイエさんのパソコンにはいくつもウィンドウが開いています。そのなかのひとつは、
森の中の画像です。いえ、木々がかすかに揺れてますから動画です。土の上になにやら、
白黒まだらの丸いものと、肉色と血と肌色と骨がまじった物体。これはもしかしないでも
アスラン・ザラの死体の末路でしょうか。
 わたしが固まって、ついでに朝食も固まって、10分ほど経ったでしょうか。
「終了」
 とカイエさんが言いました。そして食事に取り掛かります。
 お食事中にこういう話はぶしつけかなと思ったのですが、聞いてしまいました。
「何をなさってたんですか?」
「ネットにアスラン・ザラの件を載せたんだよ、ほら」
 彼がパソコンを操作します。すると「リヴァイヴのシン・アスカ ザフトを二回裏切っ
た男 アスラン・ザラを一騎打ちで処刑」と大見出しがでました。写真は倒れたトゥルー
ジャスティス、下に動画が4つ並んでいます。「シン・アスカ、アスラン・ザラの首を切る」
「首と体をさらされるアスラン・ザラ」(短縮版)(ノーカット版)(Live映像)。
 はあ、こういうことですか。
「ぼくのアイデアなんだよ。これだけの大きな戦果だから、宣伝しないとね。これでビッ
グなスポンサーがついてくれるかもしれないだろ」
 後ろを通りかかったユウナ隊長が言いました。
 わたしが黙っていたら、カイエさんに問いかけられました。
「軍隊とレジスタンスの違いは何か、君はどう思う?」
「え? うーん、軍隊は税金で運営されててお金持ち、レジスタンスは地下資金を集めて
貧乏、ですか?」
「それも事実だが、一番大きな違いは、軍隊は勝ったらその土地を占領する。レジスタン
スは戦利品を集めて逃げ出すということだ」
 確かに。隊長が仮面の下で笑っているのが分かるほどの戦果を上げたのに、わたしたち
は逃げてます。逃げなきゃ追い詰められて殺されるだけです。あれ、この記事を見るのは
統一連合嫌いのお金持ちだけとは限りません。統一連合の軍隊だって見るのです! Live
映像に変化がないので、まだ死体は見つかっていないでしょうが時間の問題です。わたし
はとりあえず、短縮版を見せてもらうことにしました。

昨日の森です。斜め上にカメラをすえつけたようです。体の上に、20センチくらい間
を置いて首が置かれています。
 いたちが三匹、やってきました。一匹は頭にかじりつききれいな緑の目をほじりだして
食べます。一匹はカガリさまを悦ばしたであろう男性自身にかじりついています。もう一
匹はおへそのあたりに噛み付いて、頭を死体の中に突っ込んで食べています、内臓、です
ね。その次は狐。太腿のお肉をがぶりと食べてます。あと、ねずみなんかも飛び散った肉
や内臓をひろいにきたり、森の生き物大集合。
「……人間、しょせんお肉なんですね」
「そうだ。だかこういう映像に、故人に愛着を持っている人間は怒りを感じる。人間だけ
の思いだ。彼を愛しているカガリ・ユラ・アスハは怒るだろう、泣くだろう。元婚約者の
ラクス・ヤマトも涙くらいながすかもしれない。そして親友のキラ・ヤマトは、敵を討ち
に我々の行方を捜すだろう」
 え? それってむちゃくちゃやばいじゃないですか。キラ・ヤマトさまといえば、モビ
ルスーツに乗らせたら宇宙一、とにかくそんじょそこらのコーディネーターとは桁が違う
優れた遺伝子を持つ、スーパーコーディネーターなんですから。
「だから、早いうちに我々もレジスタンス、ゲリラであることを止め、軍隊を作る。その
ための準備はほぼできている」
 日々のことだけじゃなく、将来の準備もしてたんですね。
「軍隊? じゃ、わたしも軍人になるんですか???」
「軍属というかたちがある。軍隊になって、これからは統一連合と地球と宇宙で戦争とい
う名前の陣取りゲームが始まる」
 まあ、ここまできたからには付いていきますけど。
「キラ・ヤマト。人類でもっとも優秀な遺伝子を持つというが、これまでその真価をモビ
ルスーツの操縦にしか発揮してこなかった。彼が全才能、能力を使って政治や経済で戦い
をはじめたらどうなるか、非常に興味がある。多くの為政者がなりたがった究極の独裁者
が生まれるかもしれない」
「それじゃこっちに不利じゃないですか」
「ヒトは自分より優れたものを嫌い、憎む傾向がある。ナチュラルとコーディネーターの
対立が生まれたのが一例だ。キラ・ヤマトは一人。人類は80億人」
「……80億人分の嫉妬、ですか?」
「受け止めて支配するだけの器を彼が持っているだろうかが問題だ」
 カイエさんは多分楽しいんだと思います。でもわたしは楽しい気分になれません。パソ
コンの画面ではアスラン・ザラが熊に足をひきちぎられていました。

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