バーナビー・ブルックス・Jr.
◆顔出しヒーロー設定との矛盾
4歳の頃何者かに殺害された両親の仇を探す為、己のプライバシーや人生の全てを投げ打つ覚悟で、
ヒーロー史上初の【本名・顔出しヒーロー】として華々しいデビューを飾った筈が、「ライジング」で新たに登場した顔出しヒーローのゴールデンライアンにより、その特性や存在意義を否定されてしまった。
(詳細は
ゴールデンライアン/ライアン・ゴールドスミスの項目を参照)
◆寄付方法のおかしさ
自分のギャラを孤児院に寄付しているが、それが元で誤解を生み虎徹と仲違いをしてしまう(その後一部に昇格、アポロンメディアをクビになった虎徹と入れ替わるように、コンチネンタルエリアから移籍してきたライアンと新コンビを組む事になる )。
実に現実主義者、合理主義者らしくない非効率な慈善活動をしている。何故自身の立場や特性を生かしたチャリティや基金を立ち上げる等をしないのか?
松井千夏氏(以下、松井氏) 「ヒーローとして復活した上で稼いだお金を施設に寄付するというのは、両親のメッセージを受けてのものでもある。 彼はそうして自分の目的を問い続けているんですね。『僕、寄付してるんです』みたいなことを言わない性格なので(笑)」 (ファンムックより) |
欧米社会では日本以上に慈善活動への認識が浸透しており、特に芸能人やセレブにとっては、売名行為の側面もある一方でノブレス・オブリージュ(社会的地位の高いものは、それに応じた社会的な義務も負うべきである)の精神が強い。
有名人で街の英雄でもあるバーナビーが大々的に慈善事業を行えば、【マーベリック事件】の影響を払拭&ヒーローのイメージアップで事件以降経営の芳しくなかったアポロンメディアや『HERO-TV』のアニエス、スポンサーも大喜びで食いつくだろうし、より多くの孤児院や子供達を助ける事ができるのだが、作中では一箇所の孤児院への支援のみに留まっている。
本来セレブが寄付や支援の類を行う場合、本人直筆のカードやビデオ等を添えて代理人に届けさせるのがスマートな方法で、自ら赴くのは年に数回あるかないか、それも本当に特別な日だけである。
理由としては、自らが行く事によって起こるであろう混乱を避ける為と、元来セレブは他にすべき事が沢山あるので頻繁に通えるほど暇ではない。
更に【顔出しヒーロー】のバーナビーが孤児院を訪れる事で、犯罪者やその関係者の逆恨みがバーナビー本人や孤児院に向く危険性が出てくるのだが、その事をまるで理解していないように見受けられる。
◆ヒーローであるという職業意識と自覚の希薄さ
孤児院に通っていた為に本職である二部ヒーローの出動に遅刻。その際も「遅れを取り戻せばいいんでしょう」と、まるで悪びれていないような態度を取っていた。
「やはり凄いですね1部は……スケールが違う」
「あと半年、僕たちも更に厳しくいかないと」
「実践感覚は日々鈍っていきますから」
【ライジング版kING OF WORKS(以下KOW)完成台本よりバーナビーの台詞を抜粋】 |
一部に上がりたい(そして、孤児院を助けたい)焦りからか、本来どのような仕事も真面目にこなすバーナビーが、二部の仕事を端から舐めてかかっているような言動が目立つ。
(現に、二部では私用による遅刻や仕事に対する軽視ぶりを披露しておきながら、一部に昇格した途端自主的にライアンと街のパトロールに出かけている)
一部昇格後も、女神の伝説になぞらえた事件から、フェスティバルの日に犯人たちが襲撃に来る事を予想しておきながら、フェスティバルの会場に子供達を招待(更にそれをチケットの販売元であるジャスティスフェスティバル事務局のスタッフに自ら漏洩)したまま放置している。
更に犯人襲撃後も、子供達を気にかけたり他者に保護を依頼する等の言動が一切ないまま、シュナイダー救出に向かってしまった。
エンドロール後、フェイスオープンの状態でダブルチェイサーを運転している(尚、ライジング公開以降のMJ版でも同様のシーンあり)。
裸眼で運転するバーナビーとチェイサー(右側赤丸) |
※wiki以外への転載禁止 |
私服時はメガネ着用、ヒーロースーツ時もフェイスガードを下げなければ視力矯正されないので、裸眼視力が0.03のバーナビー(TV版ゴシップスより)では運転など到底無理な上、ヒーローが道交法(日本では両目で0.7以上、モデル国やEU圏では概ね0.5以上)を違反している事にもなる。
メガネをかけていますが、視力はどれくらい悪いのですか?
バーナビー 「かなり悪いですね。極度の近眼で視力は0.03。 最近は測ってないのでもっと悪いかもしれません。」
(TV版ゴシップス内「ヒーローに100問100答」より抜粋) |
マーベリックに両親を殺害され、己の人生や記憶を翻弄され続けてきた被害者なのだが、そのマーベリックのお膳立てでヒーローデビューし活躍していたバーナビーにとって、ヒーローを続ける限りマーベリックの事はずっとついて回る。
TV版ではバーナビー本人やヒーロー達の活躍、アニエスの機転で最悪の事態は免れたが、街を揺るがす大事件の首謀者であるマーベリックと長年密接な関係にあったバーナビーには、世間から同情だけではなくマーベリックとの共謀・八百長等疑惑の目や、過去にマーベリックから被害を受けた者達からの逆恨み等マイナスの感情を向けられてもおかしくないのだが、ライジングではそれらを全てなかった事のようにされていた。
(TV版BD最終巻の特典ドラマCDでは「バーナビーはマーベリックの被害者」という事で結論づけられているようだが、購入者やそのCDを視聴した者にしか解らない要素を、新規の客層を取り込みたいと思っていたライジングの設定に何の伏線もなしに組み込むのはどうなのだろうか?)
シーズンの途中からも一部リーグに参加できるという発表を受けての契約のシーンで、高額のギャラに目が眩んだのかロクに契約書の内容を確かめずにサインしている。
0155:歩いてくるシュナイダー。迫りつつヴィルギルを呼ぶ。 シュナイダー「心配いらないよ ヴィルギル(←語尾こぼす)」
0156:すでに歩いてきているヴィルギル。バーナビーに契約書を渡す。 シュナイダー「好きな額書いていいから」 虎徹・バーナビー「へ?(え?)」
0157:バーナビーなめのシュナイダー。 シュナイダー「それだけ評価してるんだよ」
0158:バーナビーうれしそうにペンを取る バーナビー「ありがとうございます」
(ライジング版KOW完全台本より抜粋・一部編集) |
街の英雄でもあるヒーローの契約となれば、契約書の内容はそれこそ芸能人並に具体化・細分化されていると思われるのだが(モデル国では日本以上に契約が物を言うので締結時には職種によってはエージェント等を雇い、少しでも怪しい・納得がいかないと思った時には、決してサインしてはいけないのが常識である)。
いくら虎徹(とアポロンメディア)に促されたとはいえ、契約書にサインをした以上はすべてバーナビー自身の責任になるのだが、何故かライジング作中や公式陣の発言からは、そんなバーナビーの迂闊さを責めるどころか逆に「騙されて可哀想なバーナビーは悪くない」という認識がまかり通っている。
松井氏「バーナビーは、悪くないんです!」 (ライジング公開前のPVでライアンが登場する事が判明し「虎徹はどうなるんだ?」というファンの質問に対して) |
その理由として、バーナビーの孤児院への援助やそれにまつわる虎徹との諍いがあるからだろうが、ライジングでのバーナビーを目にするシュテルンビルトの市民には、そのような背景は知る由もない。
虎徹と二部でコンビを組み、その約3ヶ月後にまた解散して自分だけ一部に上がるというのも、バーナビー本人の意志はさておき、見方によっては【マーベリック事件】のマイナスイメージを払拭するために、事件の冤罪被害者で今では正体も露呈しているワイルドタイガー(WT)を利用した後で切り捨てたように思われる可能性もある。
上記の事から、己の立場を利用した支援もせず、緊急時に一番助けるべき社会的弱者である子供を放置する等、慈善事業を行う者としても街及び市民の安全を守るヒーローとしてもどっちつかずになってしまっている。
◆ライジング時のバーナビーの生活環境や経済観念について
ここで、「ライジング時点でのバーナビーの個人資産その他は、どれ程なのか?」という疑問が出てくる。
TV版では【マーベリック事件】を経て己の過去にある程度の決着はつけたものの、同時にヒーローを続ける意味を失ったバーナビーは、事件の後でヒーローを一時引退している。
(その一年後、亡き両親の墓前で彼らの愛情と願いを再確認したバーナビーは、今度こそ誰かのお膳立てではなく自分の意志でヒーローをする事を決意。復帰
直後の出動先で虎徹と再会した)
シーズン途中にして個人的理由での退職という事で、本来ならば所属先のアポロンメディアやスポンサーとの契約破棄による違約金が発生する所だが、事件の経緯や理由
から、おそらくそれらについての支払いはアポロンメディア側が負担したものと思われる。(例えバーナビーに支払いの義務があったとしても、長年マーベリックに操られていた
事情等を鑑みて、せいぜい少額程度であろう)
となると、それまでにバーナビーがヒーロー活動その他で稼いできた収入は全てバーナビーの個人資産になり、当時の活躍・人気ぶりからもかなりの額である事が
予想されるが、ライジングでは自分の生活を切り詰めてまで孤児院の子供達に援助をするバーナビーの姿が描かれており(ノベライズ版によれば、節約のために食事をホットドッグ
で済ませている描写がある)、まるで以前の稼ぎがすべて無くなっているかのような印象も受ける。
カタカタカタカタ…。 アポロンメディア・ヒーロー事業部オフィスに、経理のおばちゃんが叩くキーボードの音が響き渡っていた。 そんな中バーナビーは自分のデスクに座り、ホットドッグを頬張っている。 勿論特別に好物というわけではない。 一つには節約の意味があり、一つには今はホットドッグの気分だったというだけだ。
(劇場版TIGER&BUNNY ‐The Rising ノベライズ(著:高橋悠也)P110より。書式のみ横書きに変更。原文ママ) |
公式側の発言によると、亡き両親の遺産はマーベリックに着服されてしまったようであるが(ライジング公開前のイベントより)、流石にバーナビー自身の稼ぎまでは
取り上げられてはいないだろう。(まして公式の見解では「バーナビーはマーベリックの被害者」なのだから、共犯の疑いやそれに伴う財産等の徴収・没収の可能性も
著しく低いと思われる)
まさか僅か一年で、莫大な稼ぎを子供達の為に運用したり基金を立ち上げる事もしないまま全て使い果たしてしまった・あるいは食事をホットドッグで済ます程節約をする一方で、住居は以前と変わらずゴールドステージの高級マンションである事から、松井氏の発言の通り「あくまでヒーロー復帰以降の稼ぎのみで子供達に支援する」だけで、これまでの資産は孤児院の子供達の為には使うつもりがないという事なのだろうか?
いずれにしても、ノブレス・オブリージュへの無理解さや長きにわたり己の生活を犠牲にしてまで他者への支援にあたる事は、賢明なバーナビーらしからぬ行為である。
◆落ちた品格と人格
「ヒーローはイメージが大事」と常日頃言っているバーナビーにあるまじき、ホットドッグの汚い食べ残し。
TV版ゴシップス及び小説版ビギニングでは「好き嫌いはない」とされていたバーナビーだが、ライジング本編とライジング版KING OF WORKS(以下ライジング版KOW)において、実はピクルスと納豆が苦手である事が判明。
(ちなみにTV版ゴシップス・小説版ビギニング・ライジング版KOWは、いずれも公式監修の発行物であり、中でもTV版ゴシップスに収録された「ヒーローに100問100答」は、西田氏本人による書き下ろしである)
好きな食べ物、嫌いな食べ物を教えて下さい
「好きなものは、ビーフストロガノフとロールキャベツ。 嫌いなものはありません。何でも美味しく食べますよ。」
(TV版ゴシップス・ヒーローに100問100答より) |
脚本の西田氏によると「好き嫌いなしというのは、メディア向けの回答で本音ではない」との事。
実際、ライジングBD・DVDに収録されたタイバニスタッフのオーディオコメンタリー(オーコメ。副音声の事)によると、キャラクター原案の桂氏及び監督の米たに氏と以下のような会話をしているのが確認できる。
西田 「前にヒーローゴシップでインタビューに答えてて、バーナビーというていで、 僕が答えたインタビューで嫌いな食べ物はないんですって言ってるんですけど 僕はそれはだから表向きにはそうだけどほんとはってのがあってもいいかなって」
桂「めっちゃありそうだ、じゃあ」
西田「あるんじゃないですか?」
米たに「そうそうそう、いっぱいありそうですよ」
西田「偏食っぽい部分はありますよ」
米たに「おばあちゃんに育てられちゃったから、あ、おばあちゃんじゃ…」
西田「(食い気味に)おばあちゃんは虎徹」
米たに「おばあちゃんじゃねぇや」
西田「おばさん」
米たに「(被って)おばさんに育てられちゃったからね」
西田「サマンサですよね」
(ライジングBD・DVD内オーコメより抜粋・敬称略) |
この西田氏達の会話に登場するサマンサことサマンサ・テイラーは、バーナビーが幼少の頃ブルックス家の屋敷でメイドをしていた女性で、両親亡き後もバーナビーの誕生日に日持ちのする手作りのパウンドケーキを贈るなど若干の交流を続けており、ヒーローとして活躍する彼を遠くから気にかけてくれていた大事な昔馴染みではあるが、伯母・祖母などの血縁関係にはない。
(余談だが、同時にオーコメで西田氏が語っているような『虎徹が自身の祖母に育てられた【おばあちゃん子】』といった事実も、TV版・劇場版本編では確認されていない)
しかし、ライジングより先に発表されている下記の小説版ビギニングでの記述は、バーナビーの独白による本音であり、メディア向けの表向きの発言ではない。
元々食べ物の好き嫌いはないが、誰かと一緒に嗜む酒や食事を美味しいと感じたことはあまりない。 不必要な会話を強制される空間が好きではないし、やはり何事も他人に干渉されない事が一番だ。 語りたくないことを無理に語ることもせずにすむし。
そう、僕はぼんやりと考えた──。
(高橋悠也:著「小説版ビギニングvol.1」P192より) |
これが、ノベライズ版の著者である高橋氏が間違えており、スタッフ間で認識が共有されていなかったのか、それともライジングで突如バーナビーの食べ物の好みまで改変されてしまったせいなのかは謎である。
シュテルンビルトのモデル国のホットドッグスタンドなら、注文時にパンや具材の種類は自由にカスタマイズできる(更に言えば、ホットドッグのピクルスの形状も、従来はライジング本編に出てきたようなものではなく細かく刻まれたレリッシュピクルスである)。作中冒頭で虎徹に渡された物はともかく、自身で購入した物については予め苦手なピクルスを抜いて貰えばいいし、せめてペーパー等にこっそり包んで処分する方が彼らしい。
孤児院への支援を誰にも言わずに成すのではなく、虎徹には話さない事の意図が不明。
広く顔が知れているバーナビーが、あれだけおおっぴらに孤児院支援している事はいずれ外部に知れる。現にフェスティバル事務局のスタッフには自ら話している(余談だがそのスタッフには守秘義務は無いらしく、客の情報を駄々漏らしである)。
虎徹に能力の使い方について説教をする傍ら、出動中ライアンの能力の巻き添えを食らった時に彼に指摘されるまで自分が動ける事に気づかなかったり、移動の為だけに能力を開放、結果敵との決着をつける際バーナビーの回復を待つ事になった。
(但し、後者についてはライアンがチェイサーを切り離さないまま乗り去ってしまったのもあるので、一概にバーナビーだけのせいとはいえない)
シュナイダーに復讐を企てるヴィルギルに対しての言動。復讐への思いやそれに伴う様々な葛藤や感情は、誰よりもバーナビー自身が理解している筈なのだが、「復讐しても死者は帰ってこない、それが現実です」とは、陳腐にも程がある。かつてのバーナビーが同じ事を言われたらどう思うか。
(TV版ではバーナビーの事情を知った虎徹に「同情はしねぇ、仕事はきっちりやれ」と言われている)
ライアンやマリオに促されて「貴方がいれば僕が引き立ちますから」と虎徹とのコンビ再々結成を宣言。
公式曰く「照れ隠し」という事だが、生中継の全市民の前で虎徹の事を貶めるような発言に加え、【対等なバディ】ではなく、あくまで【自分が優位に立つ為の引き立て役】として選んでやったと誤解されかねない印象を受ける。
エピローグにて、事件の傷跡も完全に癒えていない中子供達にトラウマを与えかねない(実際バーナビーは、フェスティバルの会場に子供達を招いたまま置き去りにしている)女神の絵本を読み聞かせるという、非常に独善的&本末転倒ぶりが目立つ。
子供達に女神の絵本を読み聞かせるバーナビー(ライジング本編より) |
◆特定孤児院へのこだわり
孤児院をはじめとした児童養護施設の子供達は、大抵18歳前後で施設を退所しなければならないのだが、ライジング本編で特定の孤児院に入れ込んでいると思しきバーナビーの姿と、ライジング版KOWに山本美佳氏による「10年後のバーナビーと子供達(子供達の名前や彼らに関するエピソード付)」のイラストが掲載されている。
これにより、彼らが未だバーナビーの支援する孤児院に滞在、又はバーナビーが個人的にその孤児院を買い取り、彼らに就学・就職などの社会的自立へのサポートや、里親との養子縁組の仲介や斡旋もせずただ保護を続けているのではないかという疑惑が浮上している。
左:孤児院の子供達の設定画 右:10年後の子供達とバーナビーのイラスト(いずれもライジング版KOWより)※wiki以外への転載禁止 |
最終更新:2016年05月21日 22:46