ドラゴンキッド/ホァン・パオリン(黄 宝鈴)
◆未成年の少女を雇用する大企業の福利厚生
電撃を操るNEXT能力を持つ。幼い頃から格闘技の英才教育も受け、故郷を離れ単身シュテルンビルトへ。
普段は所属会社であるオデュッセウスコミュニケーションの女性社員ナターシャがパオリンの面倒を見ているが、与えられた住居は未成年(おそらくローティーン)が暮らすにはあまり治安の良くないブロンズステージである事が、ライジング版KING OF WORKS(以下ライジング版KOW)により新たに発表されている。
ポセイドンラインCEO「いやぁ、困った事になった……」
ヘリオスエナジーCEO「まさか、ヒーローの信頼までおびやかされる事になろうとは……」
タイタンインダストリーCEO「このまま彼らの存在に疑問の声が高まれば……」
オデュッセウスコミュニケーションCEO「それだけは何としても阻止しなければならん!彼らにどれだけ金をかけてきたか……」
(TV版第8話・ルナティック初登場後の7大企業CEOによる大会議のシーンよりセリフを抜粋) |
仮にもオデュッセウスは7大企業のひとつであり、上記のCEOのセリフの通りヒーローは大金をかけて雇っている企業の貴重な財産でもあるのだから、せめてシルバーステージに社宅や社員寮のようなものがあってもおかしくないと思われるのだが、そういった住居事情には金をかける気がなかったとでもいうのだろうか?
◆ボーイッシュではなくボーイのような外見に
ボーイッシュな性格の、いわゆるボクっ娘。苦手なことは着飾る事(ライジング版KOWより)。女性らしい格好も好まない。
しかし、TV版でのパーティー会場のシーンでは普通に女性物の正装(第1話・第16話共に黒のチャイナドレス)をしたり、最終回では両親の前でフリルのついたワンピースを恥ずかしがりながらも披露していた。
「放送中に最終回用のパオリンのワンピースデザイン依頼あり。 男みたいな女の子が最後に女の子らしい服を着るシチュエーションは、自分の大好きな映画にも出てくるので オマージュとしてほとんど同じワンピースをパオリンに着てもらった」
(桂画集-1P159・最終回のパオリンに関する桂氏のコメントより) |
TV版での正装姿(左:第1話、右:第16話)※wiki以外への転載を禁じます |
ライジングでは、TV版のショートボブ&ブルース・リー風ツナギから一転、ベリショにタンクトップとショーパン(正装時もそれに準じた格好)という、ボーイッシュな女の子というよりは男装と呼んだ方が近い格好に。
なお、
パオリンがベリショになった原因は虎徹のせいである事が、ライジング公開後に連載再開されたミラクルジャンプ(以下MJ)にて明らかになっている(詳細は
MJ版について・
ワイルドタイガー/鏑木・T・虎徹の項目を参照)が、それとは別にキャラクター原案者である桂氏の思い入れもあった事が、桂氏本人のコメント等から確認されている。
「パオリンの衣装は有名な黄色のトラックスーツでと渡された資料にあった」
(桂画集-1P054・パオリンのTV版衣装に関する桂氏のコメントより) |
(「今後描きたいキャラクターやストーリーはありますか?」という質問に対して、他のキャラに関する返答の後で)
桂氏「あとはドラゴンキッド。彼女は、もっと少年っぽく描いてみたいですね」 (ビギニングパンフレット内・桂氏のコメントより抜粋) |
パオリンの体型や衣装の対比。※wiki以外への転載禁止 |
パオリンは以前からもっとボーイッシュにしたかったなあと思っていたので、 思いっきりベリーショートの髪型にしてみました。そして超元気っ娘なのでタンクトップに。 現場の方で「寒そうなので上着が…」との声があると聞いたので、左にある長ソデのも描いたのですが、 なんかあまりにも普通に見えるので、キャラを立たせるためにも「タンクトップで行きたい!」と お願いしました。まあ、でも確かに寒そうだなあ…。
(『桂画集2』P048内・ライジングのパオリンに関する桂氏のコメントより) |
このライジングでのパオリンの変化について、キャラクターデザインの板垣(徳宏)氏はインタビュー内で次のようにコメントしている。
パオリンも成長したように感じられるキャラですね 板垣氏「頭身は変えてない、変化が大きかったのはやっぱり髪型」
最初からショートカットの方向性だったのですか? 板垣氏「最初原案では複数(マッシュルームヘアやツンツンヘア等)あった。個人的には髪が長い方がアクション時に動きが映える。 きっと桂先生がTVシリーズの頃からやりたかった少年っぽさを打ち出す方向性でさらに突き詰めたのだろう」
──TVシリーズではわりと女の子らしく振舞うエピソードもありましたよね 板垣氏「それはパオリンの中でも無意識の迷いがあったのかもしれませんね。 今回はわりとジェンダーな話題も出てきますけど、たとえばネイサンとの関わりの中で、女性らしさとか男性らしさとか 関係なく、「自分らしくすればいい」という結論のようなものが見えたんじゃないかなと。」
──活動的な服装になったのも、考え方が影響しているように感じられますね。 板垣氏「動くキャラクターなので、筋肉質になるんですけどちょっと違うんです。自分のイメージでは、羽山さんが 『The Beginning』で描かれていたパオリンの、割と細めなラインがいいかなと思っていたんですよ。」
(ライジング版KING OF WORKS(KOW)内、板垣氏インタビュー記事より抜粋・一部要約) |
◆ドラゴンキッドのヒーロースーツのヘッドパーツについて
ビギニングのパオリン変身時 ※wiki以外への転載禁止 |
ビギニングの変身シーンによるとヘッドパーツ&自毛でセットしている(上図参照)と思われるが、 ライジングではベリーショートになったので、ヘッドパーツ&ウィッグ着用でなければショートテイルの再現が不可能なのは明白である。
また、ライジング開始直前の時間軸であるMJ版#19では髪を伸ばしているが、冒頭の逮捕劇では従来のドラゴンキッドのヘアスタイルであったため、ウィッグ着用であると考えられる。(下図参照)
MJ版のパオリン(左右共) |
wiki以外への転載禁止 |
前髪その他伸び放題の髪でヒーロー活動や変身するのは逆に出動の度にまとめなくてはならず、その分の手間暇によってポイント取得をはじめ活動そのものに支障が出ることも想定され、かえって本末転倒ではないか?との疑問の声も挙がっている。
(実際にMJ作中にて遭遇した犯人と対峙した際、前髪が邪魔になり危機に陥っている。詳細は
MJ版についてを参照)
ちなみに『ビギニング』では同じ作品でありながら、 ドラゴンキッドのヘッドパーツに関する名称の統一がなされておらず、ヒーロースーツのデザインをした桂氏の画集からも(桂画集1)、パオリンのヘッドパーツに関する名称の記載は特にない。
・小説版ビギニングvol.2 P39(高橋悠也:著)より 「最後に左右対称の二つのリングが備え付けられた【ヘッドセット】を頭につけた」
・ビギニング台本より 「パオリンの頭上にリングパーツが降りてきて自分で被る。 能力発動でスパーク放出とともに【ヘッドバンド】が締まり髪が下り「サァ!」と叫ぶ。 」 |
◆どっちつかずな性自認の表現
ライジングではネイサンと対比されるキャラの位置に配されたらしく、単なるボーイッシュではなくGD(性別違和)寄りの描写にされている模様?
だが、もしも本当にGDならば、その傾向を持つ者は「自分の身体が気持ち悪い・まして他人に自分の身体を見られるなど耐えられない」という理由などから身体のラインがハッキリ出る服装は嫌がる場合が多いとされているのだが、TV版・劇場版共に衣装は身体にフィット気味である。
また、TV版第15話ではキースの恋バナに食いついたり、ビギニングでブルーローズが装着するイヤリングに興味を示しつつ「ボクには似合わないから」と言っていた事などから、女性的な事にまったく関心がないという訳でもなさそうである。
◆イヤボーンするほどに強いネイサンへの思い入れ
戦闘中に、ネイサンについての思いを犯人に向かって言うシーンも陳腐。パオリンとネイサンとの間には同じNEXTでヒーロー仲間という信頼関係はあるだろうが、人間の深い所まで食い込めるほど密な関係になるには、まだまだ人生経験が足りないと思われる。
おそらくネイサンも、年若くてヒーローの中でも最年少であるパオリンの事を、微笑ましく見ている方が近いだろう。
最終更新:2015年10月25日 07:55