ビギニングについて【設定・演出編】


◆ファンに対する誤解を招く表現

ビギニング公開と同時に発売された小説版「劇場版 TIGER & BUNNY -The Beginning- vol.1(高橋悠也:著)」において、米たに氏はインタビュー記事の中で以下の発言をしている。
──最後にファンのみなさんにメッセージをお願いします。

「ネガティブなファースト崇拝に偏らず、愛に満ちた作品ワールドを一緒に楽しみましょう!」

(小説版ビギニングvol.1内・米たに氏インタビュー記事より)
※この小説は公式監修の発行物なので、校了をした公式側もこの米たに氏のコメントを肯定、承認している事になる。

◆史上初?顔出しヒーロー

スチールハンマー像が街を徘徊するシーンで、「ライジング」のゲストキャラクターであるライアンの看板が映っている。
バーナビーよりヒーロー歴が長いライアンは、この時点では既にコンチネンタルエリアで顔出しヒーローとして活躍しているのだが、作中及びTV版第1話でバーナビーを「ヒーロー史上初の顔出しヒーロー」として売り出し、彼を将来Mr.レジェンド以上の英雄にするつもりでいたマーベリックが、ライアンの看板の掲揚を許可するだろうか?


街に飾られたライアンの看板(ビギニング本編より)wiki以外への転載禁止

◆シュテルンビルトのモデルは日本?

「タイバニ」の舞台であるシュテルンビルトの街は、NYのマンハッタンをモデルにしているのだが、「ビギニング」作中NEXT犯罪者のロビンが逃走した遊園地の周辺の風景が、日本の観光名所とほぼ一致と言って良い程酷似している。

左:遊園地周辺の海辺の風景(ビギニング本編)右:横浜のぷかり桟橋(有志撮影) wiki以外への転載禁止

◆正体バレに繋がりかねないヒーロー達の行動

未だNEXTに対する差別があり(TV版2話)、素性がバレれば本人や家族にも危険が及ぶ中で、特に緊急性も必要性もあるわけでもないのに往来や人目につく場所で不用意に素顔で能力を出すヒーロー達。
「虎徹は、素性がバレれば家族にも危険が及ぶということで単身赴任をしていますが、実は、僕がやりたかったのは【出稼ぎのお父さん】なんです。」

(TV版ヒーローゴシップスP93さとう氏コメントより)

新人ヒーローバーナビーの歓迎会の席での安易な能力発動。

歓迎会でのアントニオ wiki以外への転載禁止

歓迎会でのカリーナ
店内の大型モニターには各ヒーローの画像が入れ替わりで映し出されており、「ヒーローズバー」の名の通りヒーローファンが多く集う店である。
ただし、歓迎会の席は階段を昇った半個室のようなコーナーで他の客からはカリーナのグラスは見えないかもしれないが、同じ席でアントニオが能力発動した姿は、1階の客からも見えている。

またこの直後、アニエスから召集が掛かり出動するシーンでも、ヒーロー達は人目のある往来で平気で能力を開放、使用している。

出動前のヒーローズ wiki以外への転載禁止
【1】「暗いのが怖い」と、公園で火をともすネイサン
【2】ショートカットのために皮膚を固くして飛び降り、着地に失敗して石畳にめり込むアントニオ
【3】公園を走り抜けながら、素顔のままで能力発動しつつトランスポーターを呼ぶパオリン
【4】なぜか電撃がちょろっと洩れてしまう
【5】公園の水のみ場で氷の鏡を出現させるカリーナ
【6】悠長にブルーローズ用のイヤリングを装着
【7】天下の公道で「浮くだけさあ!」なキース

パオリンがPDAでトランスポーター呼び出す時、 わざわざ合流する位置情報を走りながら叫んでいるが、素性バレの危険を招かないのか、との疑問がある。(また、上図のように私服と素顔の状態でパオリンは電撃を出している)

特に不自然なのがトランスポーターに向かう途中で、ブルーローズのイヤリングをつけるカリーナである。
ブルーローズのような大き目のイヤリングは、着替えやヘアメイクなどを済ませてから一番最後につけるものだが、なぜか公園では一番先につけている(その際、正体バレを気にもせず堂々と素顔のまま公園で能力を使い鏡を作る)。
衣装、アクセやリキッドガン等の小道具は紛失防止でひとまとめに保管しておくと考えられるが、カリーナはいつもイヤリングを持ち歩いているのだろうか?
ヒーローのブルーローズのイヤリングを素顔のカリーナが持っていることも、正体バレのリスクを上げている。

ヒーロー達がトランスポーターに乗り込むシーンでも、顔出しヒーローとしてデビューしているバーナビーはさておき、彼以外のヒーロー達が人目を憚る事もなく(特にネイサンとキースに至っては、能力発動したままの状態で)トランスポーターに乗り込んでいる。

これらはTV版でいわゆる【変身シーン】のなかったヒーロー達のトランスポーターから出動までわかるファンサービスであり、ビギニングで初めてタイバニを見る人へ、ヒーロー達の能力を分かりやすく紹介するための演出かも知れない。
(実際に出動直前のヒーロー達について、監督の米たに氏は「プロデューサーの田村一彦氏のリクエストである」旨を述べている)
しかし、素顔で能力を使うヒーロー達を見ている市民をわざわざ描いたことによって、全員の正体バレを招きかねない不用意な演出になっている。
米たに氏
「今回は劇場版ですから、田村(一彦)プロデューサーの願いもあり、お客さんに驚いてもらえる仕かけとして描きました」

(ビギニングパンフレット内・米たに氏のコメントから抜粋)

更に事件後、アントニオとネイサンの後ろから多くの市民も見ている中、キースが突如素顔のままで能力を開放して飛び立つような真似をしている。
当時スカイハイはKOHで市民の間でも絶大な人気を誇っており、注目度はさらに高い立場でありながら軽率すぎる行動である。

素顔のまま飛び立つキース wiki以外への転載禁止

このような私生活で差別の対象になったり、ヒーローの正体だと特定されるリスクを考えない登場人物の行動と、ストーリー上必要なくてもアイディアややりたい事優先の制作側の【正体バレへの認識の軽さ】は、ライジングとも共通している。
最終更新:2015年11月07日 23:39