【名前】“脳噛”ネウロ
【出典】魔人探偵脳噛ネウロ
【性別】男
【名ゼリフ】
「フハハハ。どうやら吾輩、このような場面では『少年誌的限界』などというものに気を配らずともよさそうだな」
「“犯人”は……貴様らだ」
【本ロワでの動向】
主催陣営の
シックスと同様、本編終了後より参戦(正確には、最終話で桂木弥子の元へ帰還する前。生命活動維持のため魔界へ戻ってから、回復が中途半端な段階で呼び出されたようだ)。
人の悪意が生み出すエネルギー“謎”を食って生きる魔界の魔人。人間の姿に擬態しているが、その本性は鳥類のような頭部に山羊に似た角を備えた異形の存在である。
回復の途中で呼び出された彼は、自身の能力への大幅な制限に加え、ロワの会場に、どこかで感じたような不快な匂いの横溢を覚える。ただ、その中にあって圧倒的にどす黒い悪意を放つ
ジョーカーや、人間にして人間でない感性を備えたまま彷徨する
十叶詠子の気配などには興味を持ち、主催者への報復とともに、観察をも視野に入れて動き出す。
そうして、最初に遭遇したのは
涼宮ハルヒ。魔人の嗅覚でハルヒの秘める「可能性」を嗅ぎ取り、少なからず困惑している彼女にこの会場の危険性を伝えた上で、行動を共にすることに。女子高生にコンビを持ちかけるのは
お約束なのか。ともかく、彼女を介して、この地で自分好みの“謎”が生まれ得るかを見定めることとする。
心中で新奴隷一号と勘定しているネウロと、嬉しげに臨時SOS団員一号と勘定しているハルヒとで、噛み合わないながらも愉快な道中が始まるかと思われたが、運悪くいきなり
アーカードとラハールの戦闘に出くわしてしまう。人外嫌いの不死王と跳ねっかえりの魔王(一応人間の血が入っているのだが)との接触は、これもまた互いの温度差は凄まじいながら、出し惜しみされない両者の火力のせいで早くも激戦の様相を呈し始めていた。
ロワで目にする初めての戦闘を観察したネウロは、不快な匂いの正体にようやく気付く。かつて絶対悪シックスの供してみせた「養殖もの」の謎を生む極限環境――――この会場は、それに極めて近しい。そう判断し、こちらを視認した二者の戦火が近づいてくるのを見て取ると、方針を一転、魔界777ツ能力「射手の弛緩(イビルスリンガー)」を用い、足手まといなハルヒを遥か遠くへとぶん投げる(弥子ほどの頑丈さとしぶとさはこの短時間では見出さなかったらしく、魔界産らしい怪しげな緩衝材(不快感抜群)をくっつけていた)。
こうして人外連中による三つ巴の小競り合い(小規模という意味ではありません)が巻き起こり、ネウロも相手を侮らず初っ端から魔帝七ツ兵器を発動するなど規模はさらに広がったが、結局、飽きたラハールの撤退をきっかけに、決着はつかぬまま散じる結果に終わる。
この戦闘を機にして、彼は数々の“謎”の可能性を潰しかねないこのバトルロワイアルの破壊を優先して動くことを決定、時間経過とともに、回復の見込みもなく急速に消耗されていく魔力を自覚しながらも、一人歩きだした。
(飛ばされたハルヒはそこで改めてSOS団を作り直す形となり、その後ネウロと再会することはなかった)
方針転換により、本ロワにおけるネウロは単独行動が多い。弥子との日々で魔力の減少については慣れていたためか、計算の上「一手」を残して出し惜しみはしないつもりで動き、基本的には会場内をひたすら観察。「悪意」の流れを追っていたようである。
ただ、あちこちで短い接触は起こしており、例えば、同じく考察を進める千反田える組(初期)と探偵同士の頭ごっつんのノリで出くわしている。が、ヘイズは言うまでもなく、銀時からも「沖田をものすごくヤバくしたような雰囲気」とドン引きの上全力で警戒され、ネウロ自身も先を急いでいたために、興味津々なえるを残し、さしたる交流もなしに別れた。
その後に出会った
天魔・夜刀とは、互いの正体を知りあうやたちまち険悪な雰囲気となり、ネウロを「人間を玩具扱いする下衆」呼ばわりする夜刀に対して、「無間大紅蓮地獄」の渇望に見られるような「進化」の否定にネウロもまた夜刀のことを「つまらん神」扱い、互いに害をもたらさないことから戦闘には至らなかったが、ひとしきり読み手の胃の痛くなるような舌戦を繰り広げた。
さらにその後、機嫌の悪くなった魔人の被害に遭ったのが幻想郷のスキマ妖怪こと八雲紫で、策謀を胸に秘めたまま余裕綽々の表情で接近→なぜか次のカットでいきなり土下座、というキング・クリムゾン状態に。餌場荒らしの妖怪を威圧する魔人に対し、紫もさすがは海千山千、ギャグのノリで何とか事なきを得たものの、早々に退散する羽目となる。
このように中盤までは他の団体と合流するようなこともなく、一人、「悪意」の流れを辿り考察しながら歩きまわっていたネウロだが、その道行の中で、奮闘する仮面ライダーの「変身」に多大な興味を覚えるなど、この場ならではの人間たちの姿に、新たな楽しみも見出してはいたようだ。
そうこうしているうちにロワは中盤に差し掛かり、神州王の能力により会場にはゾンビが溢れ出した。謎も糞もなく進化に逆行するかのような光景にまたもや不快感を抱いていたネウロが出会ったのは、ロワにおいても自由すぎる鼻毛真拳の使い手――――メタ的には非常に因縁の深い、ボボボーボ・ボーボボであった。
……当然、と言うか何というか、同じような雰囲気を持つ外道二人は出会うなりガッチリと握手を決め(ビュティと弥子がいればさぞや鋭いダブルツッコミが見られたであろう)、煩わしいゾンビ群相手に自然に協力体勢に入った。
ネウロが微量な魔力を送ると、それを受けたボーボボが、「鼻毛真拳魔人奥義 “アシ時代から松井君は狂ってた”」を発動、アフロからネウロタッチで描かれた「ゲームボーイ&ブタ(画:アシスタント時代の松井優征。ボーボボ単行本参照)」が出現、ランバダを踊りながら、行く先を阻むゾンビの群れを蹴散らしていった。
再び固い握手を交わした後、ボーボボと別れたネウロは、悪意を辿りながら開かれた道を疾駆する。
そして、その先で彼は、二体の怪人――――「バネ足ジャック」ウォルター・デ・ラ・ボア・ストレイドと、「ホッパー・ドーパント」
フランシス・ボーモン――――の対決に遭遇した。
ウォルターたちのチームの動向はいくらか観察したことがあった。しばし足を止めて見つめるネウロの前で、追い詰められたウォルターは、最高を凍結させるとのたまうボーモンに対して、「『変わってゆく』ことこそが人間にとっての『最高』だ」と不敵に言い放つ。
その言葉に……魔人が、口角を釣り上げた。
僕は至高の存在に進化したんだ、とけたたましく叫びながらとどめの一撃を入れようとするボーモンの前に、愉快げな笑い声を上げながら、長い腕が割って入る。
「――――貴様のそれは『進化』ではない。変わり続ける事をやめ……『変わり果てた』だけだ」
何者かという問いすら許さず、ネウロはその喉首をつかみ上げるや、立て続けに魔界能力を用いて動きを封じる。そうして、
「フハハハ。どうやら吾輩、このような場面では『少年誌的限界』などというものに気を配らずともよさそうだな――――」
と、原作での「制限」を意識したかのようなセリフとともに、人間の矜持を捨て“謎”の芽を潰す「可能性の敵」と認識したボーモンに対して、ウォルターのチームメイトのゼットンが到着するまでの間、惨たらしい拷問を繰り広げた。
……ここに全てを転載すると改めて眩暈がするので割愛するが、対象の頭部から無理やり引きずり出した神経を弦として弾き鳴らす魔界777ツ能力「拷問楽器妖揺・魔(イビルストリンガー)」を使いつつ、「誠意ある命乞いの合奏」を要求、叫び、えずきながら応じようとしたボーモンの頭上で支給されていたハマーの2thシングルをかけ、「雑音で聞こえん、調律が必要か」と、神経に指を這わ…………とにかく、パロロワならではの自重しなさを最も発揮したシーンであったかもしれない。
やがて、不穏な予感に引き返して来たゼットンの姿が見えると、ドーパントの力と最後に残った本能で飛び去りウォルターへ向かおうとするボーモンを、魔界777ツ能力「棘しかない薔薇(イビルローズ)」で拘束、怒りに燃えるゼットンによる一兆度火炎が、怪人を跡形もなく焼き尽くした。
その後、致命傷を負ったウォルターの最期をチーム不良の面々とともに看取り、ここにしてようやく、合流らしい合流を果たす。
なお、
ザ・ヒーロー(フツオ)と顔を合わせた時には、「とてつもなく恐ろしい気配がする…」→「この場にとどまりますか?」という、「魔人」つながりのイベントが発生したりした(そのせいで影狼には大変に警戒された)。
合流してしばらくの間、チーム不良の面々はウォルターを失った悲しみに打ちひしがれていたが、当然それへ慰めの言葉をかけるようなネウロではなく、来るべき主催との対決を見据え、自らの魔力の時間的な限界と、「悪意」の流れの中に見出したものとについて、考えを巡らせていた。
対主催の大規模な合流を経て、引き続くゾフィー戦+BRS戦においては、消耗から不覚を取り、傷を負う。
眼前で散っていった参加者たちの姿に、主催者へ募る不快を隠せぬまま、小休止たる宴会でも、豆缶を貪るロールシャッハと逆の隅で、ひたすら魔力の維持に努める。
そして、主催戦前の最後の障壁とも言えるダークザギとの戦闘。
最初から圧倒的な力で襲いかかるダークザギに、生き残ってきた参加者たちが蹴散らされていく。
非戦闘員のいる場所めがけてビルが投げつけられたのを、ネウロはやむなく魔帝七ツ兵器「朽ちる世界樹(イビルツリー)」で防ぎ支えるが、これをもってして、ついに活動限界を迎えてしまう。
ザギの向こう側に主催の影を見つつ、彼は最後の魔力貯蓄装置「泥の指輪」を噛み破り、この時から奥の手の召喚(ダウンロード)を始めた。人間たちがこの障壁を破り、主催へと肉薄する方へと、ためらいなく自らの命運を懸けたのだ。
ネウロの、主催に対する推理――――。
多大な犠牲を払う中、ヤン・ウェンリーや空目・蒼衣らの考察によって、「大枠」としての主宰者の狙いやその輪郭は、徐々に解き明かされつつあった。
だが、最初期から一貫して、「悪意」という指標からこのバトルロワイアルを観察し続けたネウロは、それらのあまりに巨大で混沌たる「悪意」の中に、共生する小虫の如く、非常に卑小で卑俗な「悪意」が混じり込んでいることに気が付いていた。変態組の横島ら、ネウロと同様にそちらの気配に感づいた参加者との情報交換を経て、「日常に潜む犯罪者」を相手に捕食を続けてきた魔人探偵は、自らの狙いを専らそちらへ定めたのである。
そして、ダークザギが倒され、参加者たちの結束によって、真なる主催の姿が顕現し――最後の戦いの機運が高まり。
その戦乱の中で、ついに、ネウロは捉えた。幕を破られ、また自らも姿を隠すことをやめ、圧倒的なその「悪意」を参加者たちの前に晒す主催陣の背後で、未だ観察者の立場に立って機を伺おうとする者どもの気配を。ありふれた、それゆえにたちの悪い、見慣れた「悪意」を。
両眼を光らせた魔人探偵が立ち上がる。
その指の上には、蝋燭の火のようなちっぽけな刃が出現していた。
魔帝七ツ兵器「二次元の刃(イビルメタル)」――――「斬る」という過程を省略し、「斬った」という結果を付与する魔人の懐刀。
正真正銘、最後の魔力を使い、ネウロは魔界王すら防げない不可避の斬撃を、目の前の卑小な「悪意」へ目がけて叩きつけた。
絶対の安全圏であったはずの空間が無残に斬り払われ、驚愕と混乱の中、人影がまろび出てくる。
阿笠博士と江戸川コナン。
本来の世界線では「探偵」の名を冠されていながら、軽薄で残酷な興味から、他者の運命を掌中で弄ぶ存在と成り果て、ふざけた効力を持つスイッチでバトルロワイアルを動かしてきた二人。
「“犯人”は……貴様らだ」
任意の参加者の命を奪うスイッチ、同志討ちが起こるスイッチ、存在を変質させるスイッチ等を初め、これから対主催者に試すために嬉々として準備されていた数々の怪しげな装置。空間ごと悉く破壊されつくした大事なアイテムを前に呆然とする彼らを指さし、高らかに宣告すると、魔人探偵は力尽き、くずおれた。後は、ここにいる「人間達」次第だと、期待に満ちた笑みを浮かべながら。
最後の瞬間には、かくまでの人間への信頼を自らにもたらした大食の奴隷――もとい無二の相棒の顔を、ほんの刹那その脳裏によぎらせていたかもしれない。
最終更新:2013年12月15日 15:15