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きらきーのプレゼント

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rozen-yuri

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だれでも歓迎! 編集


「…いいな~…」
 週末の街角で、ショーウィンドウを羨望の眼差しで見つめる雛苺。
 もうかれこれ10分近く見ているが、未だにそこを動こうとしない。
「…欲しいな~…」
「あら、苺姉さま。どうしたんですか?」
 不意に声を掛けられその方を向く。その方を見ると雪華綺晶がいた。
「きらきー。奇遇なのよ」
「何か熱心に見てたようですが…」
 雛苺はもう一度ショーウィンドウの方を見、雪華綺晶もその方を向いた。
 そこにはくんくん探偵の形をした、雛苺と同じくらいの大きさの抱き枕が飾られてあった。
「抱き枕…これをずっと見てたんですか?」
「そうなのよ」
「…買われるんですか?」
「…そうしたいけど…」
 恨めしそうな目で視線を落とす。
 そこにあった値札には15000¥というなかなか厳しい値段が書かれていた。

「…もう今月お金無いのよ…」
「来月に買えばいいんじゃないですか?」
「これ限定品だから…来月じゃ間に合わないと思うのよ…」
「そうですか…」
 いつも明るい雛苺には似合わないような溜息を吐く。
 その顔は本当に残念そうだ。
「…これ以上見ても空しいだけだから帰るの…」
「そう…ごきげんよう」
「ばいばい…」
 雪華綺晶に小さく手を振ってその場を後にする雛苺。
 残された雪華綺晶はもう一度その抱き枕の値札を見る。
「…1万5千円…いけるかも知れませんわね」
 そうボソリと呟いた。


 一週間後、雛苺宅。
 ピンポーン、と玄関のチャイムが鳴って雛苺が玄関を開ける。
「ごきげんよう、苺姉さま」
「きらきー、いらっしゃ…何それ?」
 そこには雪華綺晶がいたのだが、大きな包みを抱えており雛苺はそれを思わず凝視する。
「これは後のお楽しみですわ」
「うゆ…とりあえず、どうぞなのー」
 こんな大きな包みを抱え続けるのは大変だろうと、雛苺は雪華綺晶を自分の部屋へと案内した。
「ジュースでも持ってくるから、ゆっくりしててなの」
「お気遣いなく」
 雛苺は出て行き、雪華綺晶が部屋に残される。
 それから数分もしないうちに雛苺が二人分のジュースとクッキーを持ってやってきた。
「…そう言えばそれは何なの?」
 ジュースを出しながら尋ねる雛苺。それを聞いて笑みを浮かべる雪華綺晶。
「ふふふ、驚かないでくださいね」
 そう前置きしてから雪華綺晶は包みを剥がしていく。
 やがて包みを剥がし終えると、それを雛苺を抱えるようにして見せた。
 それを見た雛苺の目が驚きで大きく開かれた。

「くんくん抱き枕なのー!」
「そうですわ。苺姉さまが喜ぶと思って」
 優しい笑みを浮かべて抱き枕を雛苺に差し出す雪華綺晶。
「え、え、いいの!?」
「ええ。差し上げます」
「わーい!! ありがとうきらきー!!」
「喜んでいただけましたか?」
「すっごく嬉しいのー!! 本当にありがとう!!」
 差し出された雛苺は嬉しさを隠す事無く、喜色満面の笑みを浮かべて抱き枕に抱き付いた。
 その様子を、雪華綺晶もまた嬉しそうに見つめていた。
「喜んでいただけて嬉しいです」
「…でもこれ、かなり高かったけど、大丈夫なの?」
「ええ。それだけ喜んでいただければ頑張った甲斐もあるというものです」
「頑張った?」
「…いえ、こちらの話です」
 聞き返してきた雛苺にぼかして答える雪華綺晶。
 それに雛苺は首を傾げた。


 一週間前…雛苺とあった後、雪華綺晶はとある定食屋へと来ていた。
 その雪華綺晶を他の客が唖然と見ている。
「…すげぇ…」
「もう2杯目半分…」
「ギャル○根より凄いな…」
 客が思わずそう漏らす。
 雪華綺晶が頼んだのはドカ盛りカツ丼二杯…よくあるフードファイト系のメニューだ。
 一杯で3人前で一杯食べきれば一万円だが、それをなんと二杯頼んだのだ。
 その二杯目ももう既に半分で食べきるのも時間の問題である。
 そして。
「ごちそうさま。結構な味でした」
 平然と二杯を食べ終え、優雅に紙ナプキンで口を拭う雪華綺晶。
 シーンと静まり返る店内。その中で雪華綺晶だけが、見に来ていた店長と思われる店員へと近付いていく。
「二杯で合計二万円、いただけますか?」
「は、はい!」
 我を取り戻した店長は慌てて奥へ引っ込み、すぐに賞金と思われる封筒を持ってきた。
 封筒を受け取り中身を確認すると、満足そうに雪華綺晶は微笑んだ。
「確かに受け取りました。ありがとうございます」
「どういたしまして…」
 封筒をハンドバッグの中に入れ雪華綺晶はその店を後にする。
「ふふ、これで苺姉さまにプレゼントできますわ」
 その足で迷う事無く、さっきの抱き枕が売ってある店へと向かって行った。

 雛苺の知らない雪華綺晶の頑張りが、ここにあったのだ。

終わり

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