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ローゼンメイデン百合スレまとめ@ウィキ
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ローゼンメイデン百合スレまとめ@ウィキ

embrace

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匿名ユーザー

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だれでも歓迎! 編集


Part 1

「いただきます」というのりの号令で始まる桜田家の食卓。見慣れた光景。
だが今日は、いつもと少し様子が違っていた。
食器の載った盆を両手に、席を立とうとするものが一人。

の「あら真紅ちゃん、今日も二階で食べるの?」
紅「ええ…」
ジ「昨日もそうだったけど、おまえが一人で食べたいだなんて…どういうつもりだ?」
紅「少し、考え事をしながら食事を摂りたいだけ。いけない?」
ジ「いや、悪いとは思わないけど…」

席を立ち、振り向きざまに真紅が言う。

紅「それじゃあ、食べてる間は上がってこないで頂戴」
ジ「言われなくても。…つーかお前、昨日はドアの鍵閉めてただろ。言っとくけど僕の部屋だってこと忘れるなよ」

とんとんとん…と階段を登る足音が聞こえてくる。

翠「どーも怪しいですぅ…。真紅が鍵まで閉めてジュンの部屋にこもるだなんて…」
ジ「つーか、一人で飯食いたいって時点で変だろ…」
雛「うゆー…」

皿に注がれたスープをスプーンですくいながら、ジュンは窓の外を見やった。

ジ「雨…止んだな…」



Part 2

さかのぼること二日前。
連日降り続いた雨が、街中から雨音以外の音を掻き消している。
そんな鳥の一羽さえ飛ばない空を翔ける、一体の影があった。

真紅は、桜田家の玄関から拝借した大きな傘を手にし、自らの鞄に乗り込み空中を移動していた。
特に明確な目的があって外に飛び出したわけではなかった。
ただ、何か…誰かがこの空の下で待っているような、そんな予感がしたのだ。

気のせいか…。そう思い、引き返そうとしたとき。足下に、見覚えのある姿を見つけた。

紅「あれは…」

真紅が持つものと同じ鞄を引きずり、雨に打たれながら、ふらふらとおぼつかない足取りで歩く、黒いドレスを着た少女がそこにいた。

紅「水銀…燈…!!」

真紅は、全速力で彼女のもとへ飛び、水銀燈の眼前に降り立った。

紅「水銀燈!…貴女、いったいどうし…」
銀「…しん…く……?」

そうつぶやくと水銀燈は、膝から崩れ落ちるように倒れた。それを真紅が慌てて受け止める。
彼女の息は荒く、再び立ち上がる気力さえないようだった。

紅「こんなに衰弱して…この子にいったい何があったというの…」

真紅は水銀燈にに肩を貸し、ひとまず彼女を桜田家に連れ帰ることにした。



Part 3

二体のドールと一個の鞄を載せ積載量オーバーギリギリの鞄が、桜田家までたどり着く。
二階の窓は開いていたが、誰も部屋には居なかった。
そこで真紅はふと冷静な考えに戻る。

この子がここに居るのを見たら、皆は何と言ってくるだろうか…
特に翠星石に知られるわけにはいかなかった。
かけがえのない双子の妹を奪われた恨みなど、そうそう忘れられるはずもないだろう。

真紅は思案を巡らす。どこか、この子を隠すのに良い場所はないものか…

紅(……!そうだ、あそこなら…)



Part 4

紅「げほっ、げほっ……想像以上に汚い場所ね…」

数分後、真紅はホコリが舞う屋根裏に立っていた。
そして、ホーリエを呼び出し、命令する。
ホコリの積もったその場所が、みるみるうちに輝きを得てゆく。
この空間の時間のゼンマイを巻き戻し、新築の状態まで戻したのだ。

紅「さて…と」

水銀燈をそこに連れて上がると、真紅は再びひとり下へと降りた。
風呂場からバスタオルを持ち、また二階へ戻る。
桜田家の住人たちは、テレビに釘付けだったり食事の後片付けに追われていたりで、真紅の行動に気付く者は誰も居なかった。

水銀燈はもちろん、真紅自身も雨に打たれずぶ濡れだった。
真紅は、水銀燈のドレスを脱がし、彼女の髪や顔、身体をタオルで拭う。
それが済むと、真紅もドレスを脱ぎ自らの身体を拭いた。

ふと、気を失っていた水銀燈が眼を覚ました。

紅「あら、気がついた?」

目の前に居る真紅の姿に、彼女は戦慄の表情を向けたが、

紅「怖がらなくていいわ…。貴女のローザミスティカを取ったりするつもりはないから」

という言葉に少し安堵し、こわばった顔を緩めた。



Part 5

水銀燈が、ぶるっ、と肩を震わせ、自らの身体を抱いた。
長い間、雨空の下に晒されてきたのだ。しかも今は下着姿。冷えて当然だ。

紅「寒い?」

と真紅はバスタオルで彼女の肩を覆う。
だが、その震えは止まりそうにもなかった。
どうすれば…と思案するうち、真紅はあることを思い出した。

真紅は、水銀燈の下着も剥ぎ取った。
呆然とする彼女を横目に自身も裸になる。
そして、冷え切った彼女の身体を、ぎゅっ、と抱きしめた。

紅「どう?…こうすれば、私の体温を感じられて、寒くはならないはずよ…」

ドールに心臓は無い。だが二人は、互いの胸の鼓動を感じた気がした。
そのうち水銀燈は、すぅ、すぅ、と寝息を立て始めた。

紅「あらあら…」

そうつぶやき、真紅はバスタオルを二人分の身体に纏わせる。
そして、自らもゆっくりと眠りに落ちることにした。

梁の上に干された二つのドレスから、ぴちゃっ、と一滴の雫が零れ落ちた。



Part 6

翌日。昨日ほどの勢いは無いが、未だ雨の降り続く憂鬱な朝。
真紅は下着とドレスを身につける。
まだ眠っている水銀燈にも同じようにしてあげた後、屋根裏から二階のジュンの部屋に降り立つ。
幸いにも、まだ他に目を覚ましている者はいなかった。

そして階段を下り、冷蔵庫からいくらかの食料を手にし、そっと屋根裏の彼女のもとにそれを置く。
家の者たちが起き出した後は、何事も無かったかのように日常を過ごした。
何人かには、昨日どこへ行っていたのかと問われたが、適当なことを言ってごまかした。

やがて昼食の時間になり、二人の人間と三人のドールが食卓に顔を並べる。

紅「のり」

その言葉に、真紅の方を向くのり。

の「なぁに?真紅ちゃん」
紅「今日は、二階で食べてもかまわないかしら」

ジュンと翠星石が、不思議そうに顔を見合わせる。

の「別にいいけど…」
雛「じゃあヒナもいっしょに食べるー!」

雛苺は明るく申し出たが、真紅はそれをやんわりと断った。

紅「ごめんなさい。今日は一人で食べたいのよ」
雛「うゆー?」



Part 7

ジュンの部屋に入ると、真紅はまず鍵を閉めた。
そして押入れの戸を開け、鞄をエレベーター代わりに上昇する。
ベニヤの蓋を押し上げ、屋根裏に足を踏み入れる。
ホーリエが灯り代わりとなり、暗かった空間に光を流し込む。

水銀燈はすでに目を覚まし、梁を背に座り込んでいた。
しかし、今朝真紅が彼女のもとに置いた食料には一切手がつけられていなかった。

紅「食欲、無いの?…」

真紅がそう訊くと、水銀燈は横に小さく首を振った。
そういえば、ここに来てから彼女が一言も言葉を発していないことを真紅は思い出す。
もう、喋る気力すら残されていないのだろうか。
だとすれば、今はものを握る力も、噛む力もないのだろう。

ふたたび真紅は考える。このままでは、ますますこの子は弱ってしまう。
どうにかものを食べさせる方法はないものだろうか。

そして彼女の脳裏にある閃きが浮かび上がる。だが、それと同時に顔がぼっと赤くなった。
その行為は彼女にとって恥ずかしく、ためらわれることだった。しかし――――

紅(この子の命には代えられないわ――――)



Part 8

意を決した表情で、真紅は料理を自らの口に含み、もぐもぐと咀嚼した。
それと同時に、手のひらで水銀燈の頬を支え、口を開かせる。

次の瞬間、真紅は水銀燈の唇に自らのそれを押し当て、食物を自分の口から彼女の口へと流し込んだ。
何が起こったかわからない、という表情で目を見開く水銀燈。だが抵抗するだけの力も残っていなかった。
舌を使い食物を押し込むうちに、意図せず互いの舌が絡み合う。

水銀燈が、ごくり、と食物を飲み込むと、ぷは、と二人の唇が離れる。
二人とも真っ赤な顔をしていたが、真紅は構わず、続けざまに次の一口をすくい、一連の動作を繰り返した。

そして、皿の上にあった料理があらかたなくなったころ。

銀「ありがとう…」

と、水銀燈が弱々しく言った。 

紅「よかった…力が戻ってきたのね」
銀「貴女に助けられていなかったら、私、今頃――――」

消え入りそうな声で続ける。

銀「でも、どうして私を助けてくれたの?…私、貴女にさんざん酷いことしてきたのに…」
紅「何故って…」

ふ、と微笑み真紅は言う。

紅「貴女がスキだからに決まってるじゃない」

水銀燈の顔が再び紅潮する。

銀「は…はぁあ…??」
紅「あら、もうこんな時間。そろそろ戻らなきゃ怪しまれるわ。じゃあね、また夜に来るわ」



Part 9

時計の短針が再び「1」を指す頃。真紅は、皆が寝静まったのを確かめ、天井裏へ昇った。
ベニヤの蓋を押し上げ、中を覗き込むと、今度はすでにメイメイが灯りとなって、水銀燈を照らし出していた。

紅「あら…、もう鞄を開けられるぐらい回復したようね」
銀「もう、遅いわよぉ」
紅「ごめんなさいね。夜食までは用意できなかったわ」
銀「いいわよぉそれぐらい。一日一食あれば十分だわぁ」

真紅は、鞄に載せて持ってきたティーポットとカップを取り出す。

紅「紅茶を持ってきたわ。さっき飲んだものの残りだから、すっかり冷めてしまっているけど」
銀「逆にありがたいわぁ。私、熱いの苦手だから」
紅「あら、あなたが猫舌だったなんて、初耳だわ」

二人揃って、くすっと微笑みを交わす。

紅茶を二つのカップに注ぎ、それを一口飲んで、真紅が訊ねた。

紅「ところで…、どうして貴女はあんなにふらふらになって、さまよっていたのかしら」

ぴく、とその言葉に反応し、水銀燈は少し沈んだ面持ちで俯く。
そして、彼女のマスターであるめぐの事を静かに語りだした。
彼女との出会い。彼女の病気のこと。彼女との思い出。彼女の歌のこと。
水銀燈は話を続ける。



Part 10

銀「めぐがね…大きな手術を受けるから、しばらく集中治療室にいなきゃならない、って」
銀「だから、しばらくこの病室には戻れない、って」
紅「だから、居場所が無くなって、あても無く…」

水銀燈は、こくり、と小さく頷く。

紅「その、めぐという子が、貴女の闘う理由なのね?」

心を見透かされたようで少し恥ずかしくなったが、水銀燈は再び小さく頷いた。

そうだ、と真紅は何かを思い出したように、鞄から何かを取り出す。

銀「なぁに?この本…」
紅「私のお気に入りよ。きっと貴女も気に入るはずだわ」

真紅は、水銀燈の前に一冊の本を差し出した。 

銀「ありがとう。貴女が来ない間ずっと暇だったから助かるわぁ」
銀「でも、こんな暗がりで読んでたら、目が悪くなっちゃうかもねぇ」
紅「ドールが近眼になるのかしら?」

再び、二人同時に、ぷっ、と笑いが込み上げてきた。

紅「もうそろそろ眠たくなってきたわね」
銀「私もぉ…。じゃあ、先に鞄に入ってるわぁ」

鞄に自らの身体を収め、蓋を閉じる。

銀「おやすみなさぁい」
紅「おやすみなさい」



Part 11

午前はいつもどおりの日常を装って過ごし、昼食時になると昨日と同じように水銀燈のために料理を持って上がった。
屋根裏では水銀燈が梁に腰掛け、本を読みながら待っていた。

銀「あ、真紅ぅ。ありがと。この本、すごく面白いわぁ」
紅「そう。気に入っていただけて何よりだわ」

分厚いハードカバーの本だが、その約半分以上を読破したらしい。

紅「この分だと、夜までには新しい本を用意しなくちゃいけないわね」
銀「そんなに気を遣ってくれなくてもいいわよぉ。それに、そんなに長居するわけにもいかないから」
紅「そうね…このままじゃ、いつ皆にばれるかわからないわ」
銀「それに、もし隠し通せたとして、ごまかし続けるのも大変でしょお?明日にはここを出るわぁ」
紅「申し訳ないわ…大した心配りもできなくて」
銀「何言ってんの。もう十分すぎるぐらいよぉ」



Part 12

紅「そうそう。お昼を持ってきたのだけれど」
銀「ん、…ありがと」

真紅は皿の上のスパゲッティをフォークでくるくると巻き取り、それを水銀燈の前に掲げた。

紅「はい。あーんして」
銀「も、もう、フォーク持つ力ぐらいあるわよぉ」

水銀燈はいじけた表情を見せたが、真紅は聞く耳を持たない。
そういえば、めぐにもこんなことされたことがあったっけ、と思い出しながら、差し出された料理を口に入れた。
噛み、味わい、飲み込む。

紅「おいしい?」
銀「わ、悪くないわぁ…」

次の瞬間、何かを思いついた水銀燈は、真紅の手からフォークを奪った。
そして、同じように料理をフォークに絡ませ、真紅の方に向ける。

銀「はい、あーん。お返しよぉ」

はじめはキョトンとしていたが、すぐに満面の笑みで真紅はそれを口にくわえた。

紅「ふふ、おいしい。…」

まったくもう、と水銀燈のため息が一つ。
こうして、交互に食べさせあってゆくうちに、皿の上はすっかり空っぽになっていった。



Part 13

三度目の夜が訪れた。真紅は、また紅茶を手に、水銀燈のもとへと向かう。
冷めた紅茶を嗜みながら、二人でさまざまな話をした。
そして、また時間が過ぎゆく。
ふああ、とあくびをかきながら、真紅が言う。

紅「今日も、たくさんお喋りしたわね。すっかり眠たくなっちゃったわ」

ふと水銀燈の方を見ると、彼女は何かを言いたそうにもじもじとしている。

紅「?…どうしたの?」
銀「あ、あのね、真紅ぅ…」
銀「キ、キッ…」

口ごもった後、押し出すように言った。

銀「キスっ、してほしいのぉ…!!」
紅「えっ…!?」
銀「こっ、こんなこと言うなんて、へっ、変だと…思うかもっ、し、しれないっ、けどっ…」
紅「いいわ。言ってごらんなさい」
銀「最初の、食事のときね…くっ、口移しで食べさせてくれたじゃない…」
銀「あ、あの感触を思い出すと、い、今も私、どっ、ドキドキするのぉ…」
紅「うれしいわ…だって、私も、同じ気持ちだから…」

二人の火照った顔が、すぐ近くまで迫っていた。
互いの呼吸を肌で感じられる近さ。近づく。もっと…近づく。



Part 14

二人の唇が、ゆっくりと一つに繋がる。

紅「むぐ…ちゅうっ…はぁっ、水銀燈…んちゅ…愛してる…むちゅっ…ちゅぷっ…」

舌を絡ませると、くちゅ、くちゅ、と粘り気のある音が響く。

銀「わ、私も、むちゅ…ちゅく…はあっ、大好きよぉ…ちゅぷ…んちゅ…真紅ぅ…」

同時に、指と指を絡ませ、もう一方の手では、相手の身体をぎゅっと強く抱きしめる。

自然と、呼吸が荒くなってゆく。

繋がった唇の間で、互いの熱い吐息を交し合う。

何十秒、いや、何分間そうしていただろう。

時間の感覚がなくなってゆく。

もはや、それは永遠にすら感じられた。

ぷはぁっ、と唇を離すと、粘液が銀色に輝くアーチを描き、つう、と零れ落ちた。

銀「お別れのキス…ね…」
紅「いいえ…これは、ただの…おやすみのキス、よ…」

―つづく―


蛇足の補足
おそらくわかる人にはわかると思いますが、タイトルの元ネタはBUMP OF CHICKENです
といっても曲からストーリーを考えたわけではなく、話を考えてるうちに
「あ、そういやバンプの曲にこんなのあったな。じゃあ題名にするか」という後付けネーミングなんですが
細かい部分でもちょくちょく歌詞と一致したりしてますが、あまり意図せずそうなりました
ttp://music.goo.ne.jp/lyric/LYRUTND19765/index.html

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