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ティータイムを貴方に

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rozen-yuri

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だれでも歓迎! 編集


「どう、真紅ちゃん…?」
 紅茶を一口飲んだ真紅に、のりがおずおずと尋ねる。
 真紅はふう、と一息吐くと目を開いてのりの方を見た。
「…今一ね。紅茶本来の味が上手く引き出せてないわ」
「あう…そう…」
 良くない評価を貰ってのりはガクッとうな垂れた。
 今日は自信があったのだが。落ち込んだのりを見て、真紅は少しだけ微笑む。
「そう落ち込まないで。のりの紅茶は優しい味がしてるから好きよ」
「ありがとう…」
 そう言って真紅は一口紅茶を飲み、のりも紅茶を飲む。
(…美味しいと思うんだけどなぁ…)
 自分の中では上出来なのだが、真紅の舌にはまだまだ敵わないようだ。

 自分の淹れた紅茶を真紅から「美味しい」と言ってもらいたい。
 それもお世辞ではなく、心の底から美味しいと。いつ頃からかそう思っていた。
 ジュンがお世話してもらってるからそのお礼に、と言うこともあるが…それ以上にもっと真紅に気に入られたい。
 …いや、好かれたい、と言った方が正しいだろう。その一心でのりは紅茶の淹れ方を工夫していた。
 だが、実際はなかなか上手くいかない。
 一応今日みたいに「優しい味がする」とフォローを入れてくれるがそれでは満足できない。
 フォローではなく、美味しいという感想が欲しかった。

『これがキミが犯人と言う証拠だ!』
「なるほど…さすがくんくんなのだわ」
「さすがくんくんなのー」
 真紅達がくんくん探偵に夢中になってる間に、のりはこっそりとジュンの部屋に向かった。
 ジュンの部屋の扉を叩くと、中から「なに?」とぶっきらぼうな返事が聞こえてきて、それから扉を開ける。
「どうしたの?」
「ジュン君、ちょっとパソコンやらせてくれない?」
「パソコン? …まあ、いいけど」
 ジュンの承諾を得てパソコン机のイスに座った。
「珍しいなのりがパソコンなんて。何すんの?」
「えっと、インターネット。ちょっと調べ物」
「へぇ」
 そう言ってる間にのりはインターネットを始めようとするが、その手がキーボードを見て止まる。
 しばらくのりはそれを眺めていたが、やがて情けない声を出しながらジュンの方を向いた。
「ジュンく~ん…どうやってやるの~…?」
「……」
「…で、結局何を調べたいわけ?」
 やれやれと言った様子で変わり、ジュンが尋ねる。
「えっと…紅茶の美味しい淹れ方を調べたいんだけど…」
「紅茶の淹れ方? それぐらい知ってるんじゃないのか?」
「…真紅ちゃんが美味しいって言ってくれるような淹れ方が知りたくて…」
「ああ、なるほど」
 相槌を打ち、ジュンは検索欄にキーワードをキーボードで打ち込んでいく。
 それを検索すると多くのヒットページが出た。
「わぁ、こんなに…」
「後は自分で調べてって。ここで前のページに戻るから。クリックぐらいは分かるよな?」
「うん」
 のりは頷き、ジュンが座ってたイスに変わりばんこに座る。
 それから色んなページを見ていき、気になった部分をメモしていく。
 その様子をジュンは退屈そうに傍観していた。
「でも、紅茶の淹れ方なら真紅に直接聞いた方が早いんじゃないの?」
「教えてもらったら意味無いの。私が考えて淹れたのを美味しいって言ってもらいたいの」
「ふーん…なんで?」
「なんでって…その、ジュン君がいつもお世話になってるし」
「お世話って、お世話になってるのはむしろ向こうの方だろ」
「あら、でも真紅ちゃん達といるジュン君は楽しそうよ?」
「…そう言うんだったらもう終わらせるぞ」
 少しムッとした様子でジュンがそう言うと、のりは慌てて口を押さえた。

 試行錯誤を繰り返し紅茶を淹れていくうちに、キッチンに紅茶の香りが染み付いてきた。
 そして、やっと今までよりも格段美味しいと言える紅茶が出来た。
「…美味しい。本当に淹れ方で味がこんなに変わるのね…」
 ほう、と溜息を吐きカップを置く。それと同時にキッチンに真紅達が入ってきた。
「うわ、キッチンが紅茶臭いですぅ」
「紅茶臭いって…翠星石…」
「のり、何してるのー?」
「あ、真紅ちゃん達。今ちょっと紅茶飲んでたのよ」
「そう。ちょうど良いわ、私達にも頂けるかしら?」
「ええ、もちろん」
 真紅に言われて、のりはメモを片手に紅茶を淹れに掛かる。
 さっきの手順と分量などを思い出しながら手を進めていった。
(…これで良いはず…)
 こうしてさっきと同じ紅茶が出来上がり、真紅達4人に差し出した。
 紅茶を受け取った4人はそれぞれ紅茶を飲み始める。
「ん、なかなか美味しいですぅ」
「そうだね。いつもより美味しいかな」
「おいしいのー!」
 皆思い思いに賛辞の言葉を言い、それでのりも嬉しくなる。
 だが、まだ肝心の真紅が感想を言っていない。やがて真紅も紅茶のカップを置いてふうと一息ついた。
 のりは緊張して真紅の方を見る。しばらくして真紅は閉じていた目を開いた。
「美味しいわ。上出来よ、のり」
(やった…!)
 初めて真紅からそう言われて、のりの顔に満面の笑みが広がっていく。
 苦労した甲斐があった、心の底からそう思った。
 そうしている間にも真紅は紅茶を飲み干し、空になったカップを差し出した。
「もう一杯頂ける?」
「ええもちろん! たくさん飲んでね!」
「いや、紅茶ばかりそんなに飲めないのだわ…」
「あ、そうね。今お菓子持ってくるわね」
 そう言ってのりはお菓子を取りにキッチンを出た。
(やっと、やっと美味しいって言ってもらえた…!)
 その事が嬉しくて、思わずその場で小さくガッツポーズを取った。
 このまま小躍りしてしまいそうだ。
「…何してんの?」
「え?」
 声がした方を見ると、ジュンが階段でのりを不審そうに見ていた。
「い、いや! なんでもないの!」
「…その様子じゃ、上手くいったみたいだな」
「え…う、うん」
「まあ、頑張れよ。意外と狙ってるやつ多いから。水銀燈とかさ…」
「へ?」
「まあそういう訳だから。じゃ」
 ニヤニヤとそう言って部屋に戻ろうとするジュン。
「こ、こら! お姉ちゃんをからかうんじゃない!」
 ジュンは顔を赤くして怒るのりを無視して部屋に戻って行った。
 残されたのりは顔を赤くしたまま立ち尽くす。
「…水銀燈も真紅ちゃん狙ってるのね…あまりうかうかしてられないわ」
 一人、心の中でそう決意するのりだった。

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