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ローゼンメイデン百合スレまとめ@ウィキ
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ローゼンメイデン百合スレまとめ@ウィキ

夢ステーション

最終更新:

rozen-yuri

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「ん…ここは…?」
 真紅が目を覚ますと、見知らぬ洋室のベッドの中にいた。
 自分の夢の世界も洋室なのだが、それとはまた少し違う。
 ここがどこかは分からないが夢の中であることは間違いない。
「…誰が私を呼んだの? 出てきなさい」
 もしや新たな敵ではないかと、ベッドから降りステッキを構えて声を張る。
 すると、後ろのドアが開き中からトレイを持った女性のドールが現れた。
「あなたが私を呼んだのね?」
 警戒を解かずに呼びかけるが、現れたドールは柔らかい笑みを浮かべて頷くだけだ。
 それを見て真紅は敵意が無いという事を感じ取りステッキを下げた。
「…真紅さま、ずっとこうして話がしたかったです」
 ドールは真紅に近付きニコッと笑った。
「あなた誰なの?」
 とりあえず敵意が無いのは分かったが、このドールとは初対面のはずだ。
 それなのに自分の名を知っている。聞かれたドールはこれは失礼といった様子でアッという表情をした。
「すいません、この姿でははじめましてでしたね」
「この姿?」
 言われてそのドールを改めてじっくりと見てみる。
 スラッとしたスタイルに全体的に赤を基調としたアンティークな服、青い瞳、そして金髪のポニーテール…。
 どことなく自分と似ている部分が多いが、やはり初めて見るドールだ。
 …だが、何故かいつも見ている気がする。それも身近な存在として。
「私はいつも真紅さまの傍にいましたよ?」
「私のそばに? 確かにいつも見ているような気はするのだけど…」
「気がつきませんか?」
「うーん…。……ひょっとしてあなた…」
 思い当たる節を思い出し、真紅の顔が信じられない、といったものに変わっていく。
 そのドールは分かってもらえた事が嬉しくて笑みを浮かべた。

「はい、私は真紅さまの人工精霊、ホーリエです」
「本当にそうなの!?」
「ええ」
 まさかとは思っていたが、本当にホーリエだとは思いもしなかった。

「未だに信じられないわね…。あなたがホーリエだ何て」
 二人ともテーブルに着き、ホーリエが淹れた紅茶を飲みながら雑談をし始めた。
「私も、こうして真紅さまとお話が出来るなんて夢見たいです」
「夢見たいって、これは夢よ」
「あ、そうですね」
 真紅が突っ込みを入れて、二人とも笑った。
 こうして話すのは初めてのはずなのに、不思議とリラックスして会話が弾む。
「…でも、どうしてあなたが私達と同じドールとして現れたの?」
「私はずっと願ってたんです。同じ姿で真紅さまとお話がしたいって。そうしたらお父さまが願いを聞き入れてくださって」
「お父さまが?」
「はい。夢の世界でなら同じ姿にしてくれるって」
「信じられないわね…」
 そこで一旦区切って紅茶を一口飲む。
「…それにしても美味しい紅茶ね。私好みの味だわ」
「ええ。何しろ真紅さまに仕える身ですから」
「ふふ、ありがとう。いつも傍にいてくれて」
「いえ、それが私の使命ですから」
「…良い子ね、ホーリエ」
 考えてみると今まで人工精霊でいた時にはこうしてちゃんと感謝した事が無い。
「ごめんなさいね。今までちゃんとお礼したことも無くって…」
「そんな、とんでもありません。私は真紅さまのお近くにいられるだけで幸せなんですから…」
「…私にはもったいない位いい子ね。嬉しいわ」
 健気にそう言うホーリエに、真紅は愛しさと幸せを感じた。
 自分は何て優しい人工精霊に恵まれてるんだろう、と。

 そうやって話をしていると不意に柱時計が音を立てて鳴り始めた。
 時刻は既にいつも起きる時間を指している。
「いけない、もうこんな時間です」
「本当だわ。もうそろそろみんな起き始めるわね」
 いくら夢の中で起きてるとは言え現実世界では寝てるまま。
 自分も夢から起きなくてはならない。
「私はそろそろ戻るわね」
「ええ…」
 少し寂しげなホーリエの笑顔を見て真紅の胸が痛む。
 会えないわけではないが、この姿ではなく人工精霊本来の姿でだ。
「そんな顔しないの。また夜も会えるわよね?」
「え…? あ、はい。もちろん」
 そう聞かれて、嬉しそうにホーリエは答えた。
「分かったわ。じゃあ、また夜にここで会いましょう」
「はい、真紅さま。美味しい紅茶も用意してますね。それに、ここ以外にも楽しい所を案内いたします」
「ふふ、楽しみにしてるわ」
 撫でるのを止め、真紅も夢から覚める準備をする。
「それじゃあね」
「はい、楽しみにしてます…」
 ホーリエに手を振り、真紅はその場を後にして意識が現実へと引き戻されていった。

 目を覚まし鞄から出ると、雛苺とジュンは既に起きて下へ行っているようだ。
 体を伸ばして凝りを解すと、鞄の中から本来の姿のホーリエが飛んできた。
「おはよう、ホーリエ」
 真紅がそう挨拶するとホーリエは真紅の周りをクルクルと回る。
 言葉は話せないが「おはようございます」と言っているようにも感じた。
「下に行きましょう。みんな起きてるわ」
 真紅は部屋を出て、いつも通りリビングへと向かう。
 リビングに行くとちょうどみんな朝食を食べているところだった。
「あ、おはよう真紅ちゃん。ご飯出来てるわよ」
「今日はお寝坊さんなのねー」
「珍しいな、真紅が寝坊なんて」
 みんなそれぞれに言う。真紅はそれを聞き流しながらテーブルに着いた。
「楽しい夢を見ていたから、起きるのが遅くなってしまったわ」
「楽しい夢? どんなのー?」
「ふふ、秘密よ」
 もったいぶって答え、真紅は用意された朝食を食べ始めた。
 答えを流された雛苺は「えー、けちー」と頬っぺたを膨らませ、それを見て真紅は笑った。

 時間は過ぎて夜になり、真紅は自分の鞄に向かった。
「じゃあ、私はもう寝るわね」
「もう寝るの? なんだか早いの」
 確かに時間はまだ9時前。いつも寝る時間より早い。
 だがホーリエと会うのが楽しみな真紅は一刻でも早く夢の世界へ行きたかった。
「ちょっと疲れちゃったのよ。おやすみね」
「おやすみなのー」
 真紅は鞄を閉め目を閉じる。
 それからしばらくして真紅は夢の世界へ落ちていった。

 目を覚まし辺りを見ると、昨日の夢の世界と同じ洋室のベッドに来ていた。
 だがまだホーリエの姿は見えない。真紅はベッドから降りて昨日のテーブルに着く。
 それから少ししてから部屋のドアが開き、昨日と同じように紅茶を載せたトレイを持ったホーリエが現れた。
 真紅の姿を見たホーリエは少し驚いたような顔をしてテーブルに近付いて行った。
「こんばんは、ホーリエ」
「こんばんは。…ひょっとして、待たせてしまいましたか? すいません…」
 待たせたことを悪く思いホーリエは軽く頭を下げた。
 そんなホーリエに真紅は軽く微笑む。
「気にしないの。そんなに待ってないわ。だからそんな顔しないで頂戴」
「…はい。分かりました」
 真紅に慰められ、ホーリエも少し微笑んだ。
「やっぱりその顔の方が素敵よ、ホーリエ」
「や、やだ。からかわないで下さい…」
「あら、だって本当だもの」
 今度は耳まで赤くして真紅から少し顔を逸らした。
 そんな反応が真紅は面白く、可愛らしく感じられた。
「そ、その…紅茶をどうぞ…」
 俯いたまま紅茶を差し出し、ホーリエもテーブルに着いた。
 真紅はいただきますと言うと紅茶を一口飲んだ。
「アールグレイね? これも味がよく引き出せてるわ」
「そう言って貰えて嬉しいです」
 嬉しそうにホーリエも紅茶を飲み、それから二人は昨日と同じように談笑し始めた。
 やがて二人のカップが空になる頃、おもむろにホーリエは立ち上がった。

「どうしたの?」
「言いましたよね? 楽しい所にご案内しますって」
「…そういえば確かに言ってたわね。どこに行くの?」
「ついて来てください」
 ホーリエは出てきたドアとは別のそれに向かい、真紅もついていく。
「この向こうです」
 そう言いドアを開けて中へ入ると、そこはまるで中世の城にありそうなダンスホールだった。
 二人はそのままホールの真ん中まで行き、真紅は興味深そうに周りを見回している。
「凄い…こんな所があったなんて」
「私の夢の世界ですから、どんな場所でも私の思う通りに作れます。気に入っていただけました?」
「ええ。素敵な所ね」
「光栄です」
 一切のお世辞も無く、本心からそう答えた。
 ホーリエは嬉しそうに微笑み、それから指を鳴らす。
 するとどこからとも無くワルツが流れ出し、ホーリエは真紅と向き合うように姿勢を正す。
「踊っていただけますか?」
「ふふ、喜んで」
 真紅は手を取り、二人は曲に合わせてワルツを踊り始める。
 初めて踊り合うはずなのに、それは一点の狂いもない完璧なワルツ。
「真紅さま、お上手ですね」
「ホーリエこそ。とても上手よ」
 完璧に息のあったダンス。もし観客がいれば確実に魅入る事だろう。
 途中で曲調が変わっても、それに合わせて二人も華麗にダンスを変え踊り続っていく。

 時が経つのも忘れてダンスを踊り続けていると、音楽が止み壁に掛かっている時計が音を鳴らし始めた。
 昨日と同じ、いつも目覚める時間になっている。
「もうこんな時間…楽しいと時間が過ぎると早いものね」
「本当ですね。残念です…」
 二人ともダンスを止め、その時計を名残惜しそうに眺める。
 真紅はもう目覚めなければならない。
「…名残惜しいけど、もうそろそろ起きないと」
「分かってます。…なんだか、私達ってシンデレラみたいですね」
「確かにね」
 ホーリエの台詞に二人とも笑って、真紅は目覚める準備をする。
「じゃあ、また今日の夜にね」
「はい、お待ちしてます」
 ホーリエと約束と握手をして真紅は現実世界へと戻って行った。

 以来、夜は夢の世界でホーリエとデートするのが真紅の一番の楽しみになった。
 健気で自分に尽くしてくれ、一緒に居るだけで幸せにしてくれる。
 満天に輝く夜空の下、綺麗な湖畔、のどかな大草原…色んな素敵な場所にホーリエは連れて行ってくれる。
 そんなホーリエが大好きだった。

「何だか、最近思うわ」
「何をですか?」
 今日は大きな図書館で読み物を一緒にしていた。そんな時に、真紅がボソリとこぼした。
「…このまま、朝が来なければ良いのにって」
「え…」
「そうすれば起きなくていいから、ずっとあなたといられるでしょう? そうしたらどんなに素敵な事か…」
 本から目を上げ、そう言った。だが、それにホーリエは複雑な顔をする。
「…それは駄目ですよ…」
「え?」
「…私以外にも、真紅さまの事を大切にしてる方が沢山いらっしゃいます。ジュンさまやのりさま、雛苺さまも…」
「…ホーリエ…」
「その方々の為にも、私一人の為だけに起きたくないなんて仰らないで下さい…」
 真剣な目をして真紅の目を覗き込むホーリエ。
 その眼差しに真紅は心を打たれたのか、申し訳無さそうに口を開いた。
「…そうね。ごめんなさい、軽々しくこんな事言って…」
「…いえ…。でも、嬉しかったです。真紅さまにそう仰ってもらえて…」
「ホーリエ…」
 お互いに見つめ合う二人。と、真紅がホーリエの肩に手を置いた。
 ホーリエは一瞬それに驚いたようだが、何も言わず真紅に任せる。
 やがて真紅の方が動き出し、そのままホーリエに近付いていく…。 

 ボーン、ボーン。
 あと数センチ、というところで柱時計が音を鳴らし、ハッとその方を見る。
 もう別れの時間だ。二人はそれで気が削げてしまったのか名残惜しそうにそのまま体を離した。
「…時間、ですね」
「…そうね…」
 少し気まずく、珍しくぎこちない会話をして苦笑いを浮かべた。
 やがて真紅が咳払いをし、現実世界に戻る為の準備をする。
「…残念だけど、そろそろ行くわ。また夜にね」
「…はい」
 そう言って真紅は現実世界へ戻り、後にはホーリエが残された。
 ホーリエは今まで読んでいた本を片付けようと、机に残された真紅と自分の本を手に取った。
「あ…」
 だが一瞬手に違和感を感じて、取った本を床に滑り落としてしまった。
 屈んでそれを取り脇に挟むと、確かめるように手をもう一度動かしてみた。
 だが、その鈍い違和感は変わらず残ったままだ。
「……そろそろ、時間が…」 

「今日はどこに連れて行ってくれるのかしら?」
 夜、いつもと同じようにデートに来た真紅はホーリエにそう尋ねた。
 尋ねられたホーリエはいつもと同じように微笑む。だが、それに真紅は妙な違和感を感じ取った。
「…どうしたの?」
「え?」
「何だか、元気が無いように見えるのだけど…」
「…そう、ですか?」
 ホーリエはそう言うと、少し押し黙った。
 それから何も言わず、部屋のドアに向かって行き、真紅も同じように向かう。
「…今日は、取っておきの場所に案内します」
「取っておき?」
 そう前置きしてから扉の向こう側へと二人は向かった。
 出た先は薄暗い岬で、東の空が明るくなり始めている。
「ここは?」
「私が大好きな場所です。真紅さまと一緒に、ここから日の出を見たくて…」
 岬の先端に来るとホーリエはそこに座り、その隣に真紅も腰掛ける。
「…今日は、ここでお話しましょう。朝日が昇るまで…」
「それもたまには良いわね」
 ホーリエはポットとティーカップを呼び出すと、それに紅茶を注いで真紅に差し出した。
 それを真紅は受け取り、ホーリエも自分の分を注いで二人一緒に飲み始めた。
「潮風が心地いいわね…」
「ええ…」
 それから二人は時間を忘れ談笑し、空も少しずつ明るくなってきた。

「ん…」
「…昇ってきましたね」
 不意に陽射しが目に掛かった。見ると太陽の頭が海から現れ始めている。
「…素敵ね…」
「そうでしょう? だから取っておきなんです」
 二人は立ち上がり、太陽に見入る。やがて太陽も昇り完全に姿を現した。
「綺麗…」
 神秘的な光景に感動し、真紅が思わずそう漏らす。
「そうですね。…最後に、真紅さまと一緒に見れて良かった…」
「え?」
 ホーリエの台詞に真紅は思わず顔を覗き込む。
 その顔は悲しいそうで、涙を堪えているように見えた。
「…どういう事?」
 理解できない…いや、理解したくないといった感じで辛苦はホーリエに尋ねる。
 ホーリエは真紅と向き合い口を開いた。
「…お知らせするのが遅くなってすいません…。真紅さまと夢で会えるの…今日が最後なんです…」
「な…なんですって…?」
「…この体にあるネジが切れるまでっていう…お父さまとの約束があって…」
「そんな…!」
 真実を知ってショックで真紅は何も言えなくなってしまった。
「…今日で、もうネジが切れるみたいなんです…。…もっと早く…初めて会った時に言っておくべきでした…!」
「何で、何で言ってくれなかったの…?」
「真紅さまに、悲しい思いをさせるかと思って…。…いえ、今思うと自分の為だけだったのかも知れません…!」

 ホーリエの両目から幾つもの大粒の涙が溢れ出した。
 それを拭わず、ホーリエは続ける。
「…言えば、真紅さまは悲しむだろう…そんな姿は見たくない、私は楽しく話したい…! それだけ…!」
「…ホーリエ…」
「…今日がお別れです…。今までありがとうございました…」
「嫌っ! そんなの嫌!!」
 大粒の涙を流し、駄々をこねる子供のように首を横に振る真紅を見てホーリエは押し黙った。
 こんな姿の真紅はほとんど見たことが無い。
「私は…私はまだホーリエとたくさん話がしたい! いろんな所に行きたいの!」
「…真紅さま…」
「まだまだずっと一緒にいられると思ってたのに、こんな突然だなんて…! そんなの嫌よ…!」
 ホーリエの胸元に顔を埋めて嗚咽を漏らす。ホーリエはそんな真紅の両肩に手を添えた。
「あなたと…あなたと会えなくなるなんて…! そうしたら私は、何を楽しみにしていけば良いの…!」
「…! 馬鹿なこと仰らないで下さい!」
 突然声を張り上げたホーリエに驚いて真紅は顔を見た。
 その顔は怒っている、というより悲しんでいるという様子だった。
「…私以外にも、大切な人は沢山いるでしょう…? それに、前に言った通り真紅さまを大切にしてる人達が…」
「……」
「…大体、こうなった事がおかしいんですよ。人工精霊の私が、夢の中とはいえ真紅さまと同じドールになれたことが…」
 そこまで言ってホーリエは微笑んで見せた。両目には涙が浮かんでいるけども。
「…よく考えたら言い方が悪かったですね。私はいつも人工精霊として真紅さまの傍に居るんですから」
「人工精霊として…」
「…だから会えなくなる訳じゃないんです。そんな悲しい顔しないで下さい…」
「…ホーリエだって泣いてるじゃない…」
「…そうですね。人の事言えませんね」
 そう言って二人とも笑い、ホーリエは懐から懐中時計を取り出して中を見た。

「…もう時間です。それでは、先に向こうの世界で待ってますね…」
 懐中時計をしまい、先に現実世界へと戻ろうとするホーリエ。
 そして、その体が足元から少しずつ消えていく。
「待って…!」
 消えていくホーリエの肩を持ち、真紅はホーリエの顔に唇を近付けていく。
 そして、影が一つに合わさった。

「ホーリエ!」
 唇と唇が合わさった瞬間に、意識は現実世界に戻った。
 真紅は飛び起き、思わず鞄を勢いよく開けてしまった。
「ど、どうしたんだよいきなり…」
「真紅、泣いてるの…大丈夫?」
 ジュンと雛苺が驚いたように真紅を見た。
 その光景で真紅は夢から覚めたことを知る。
「…ジュン…雛苺…」
「悲しい夢見たのか? もう飯だから、先行って待ってるぞ」
 ジュンは雛苺を連れて出て行き、真紅は呆然としたまま鞄の中から出ようとしない。
 その場に座り込み、真紅の目から涙がまた流れ出した。
 もうあのホーリエには会えない。もういないのだということを知って。
『私はいつも傍にいます。だから、そんな悲しい顔をしないで下さい』
「っ!?」
 一瞬、ホーリエの声が聞こえて来たような気がした。
 驚き辺りを見ると、人工精霊姿のホーリエが目の前に飛んできた。
「…今のは…あなたなの?」
 そうホーリエに問いかける。だが今度は言葉では答えず、フワフワと回っただけだ。
 それでも真紅には十分だった。涙を拭い、いつもの笑顔になってからホーリエに語りかける。
「みんなが待ってるわ。行きましょう、私の大切な人工精霊、ホーリエ…」
 鞄から出て、リビングへと向かう。ホーリエと一緒に。

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