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『約束』

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rozen-yuri

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『約束』


「ヒナ~、ちょっといいかしら?」

 ふわり、と風に乗って来た少女人形は、とある家の二階の窓に降り立った。降り立った窓がある部屋には、もう一体少女人形が見上げていた。

「うぃ?どうしたの?」
「いいからいいから!」

 窓からひょっこりと顔を出した雛苺を、少々強引に引っ張り、金糸雀は再び風に乗って何処かへと連れ去った。
 ちなみに、決して誘拐ではない。 

 暫くして、二体はとあるマンションの一室の、ベランダに降り立った。

「ここ、みっちゃんさんのおうち?」
「そうよ。今みっちゃんはいないけど、上がって」

 ベランダの窓を開けて、堂々と部屋に入った。慌てて、雛苺も部屋に入る。
 ちなみに、決して不法侵入ではない。

「みっちゃんさんのおうち、相変わらずドレスがいっぱいなの」
「先月もまたいっぱい買っちゃって。さ、雛苺。早く脱ぐかしら」

 有無を言わさず、戸惑う雛苺のドレスを脱がし始めた。時々、雛苺の肌を見てうっとりしているのは気のせいだろうか。
 ちなみに、決してセクハラでは……多分、ない。

「カナぁ…ちょっと寒いの…」
「大丈夫よ。さ、このドレスを………」
「か、カナ…目が怖いの……!!」

 何処かの誰かを想像させる形相で、徐々に雛苺に迫っていき……そして。

「ヒナ可愛すぎるかしらぁ~~~!!」
「ほ、ほっぺが摩擦熱でまさちゅーせっつ~~!」

 頬と頬の間に煙が登り始めたのは、恐らく気のせいでは無いだろう。
 やはり、何処かの誰かを想像させる形相で、というか何処かの誰か瓜二つだった。

「……は!ご、ごめんなさい…。大丈夫かしら?」
「だ、大丈夫なの……」

 若干涙目なのは、スルーの方向で。

「で、でも、やっぱり似合うかしら」
「本当?えへへ…」

 誰もがKOされるような笑顔を見せ、くるりと一回転した。
 桃色と白のドレスが、雛苺の愛らしさを強調させていた。しかも、愛らしさの中に気品さもあり、さながら良家のお嬢様か、お姫様の様だった。

「みっちゃんに必死にお願いした甲斐があったわ。…でも、無理矢理着せてごめんなさい…。絶対着させたいと思ってたんだけど、つい目の前が見えなくなっちゃって……」

 いつも元気な金糸雀が、珍しく俯き、しゅん、としていた。ほぼ暴走に近い自分に無理矢理付き合わせた事を、反省していたのだ。

「……カナ、このドレス、似合う?」
「? うん」
「…ありがとう、なの」

 ギュ、と金糸雀を抱き締めた。
 雛苺は嬉しかった。どんな経緯があったとしても、金糸雀が自分の為にこのドレスを選んでくれた事を。
 抱き締められた金糸雀は、顔を微かに紅くさせていた。だが、ふ、と優しい笑顔になり、雛苺を抱き締めた。

「また、ヒナのドレス選んでね?」
「勿論!約束かしら」

 にっこり、お互いは笑いあった。



end

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