アットウィキロゴ
ローゼンメイデン百合スレまとめ@ウィキ
掲示板 掲示板 ページ検索 ページ検索 メニュー メニュー

ローゼンメイデン百合スレまとめ@ウィキ

『双子旅行記』

最終更新:

rozen-yuri

- view
だれでも歓迎! 編集



『双子旅行記』


「楽しみですねぇ」
「うん」

殆んど乗客のいない電車に、双子は揺られていた。車窓からは山や森、といった自然が見える。
事の発端は五日前に遡る。
とくに夏休みの予定もなく、普段通りだらだら過ごす筈だったのだが、翠星石が商店街の福引を行ったところ、見事一等の温泉旅行を引き当てたのだ。

「翠星石ってくじ運良かったんだね」
「なんか人生の運を此処で使いきった気分ですぅ……だからこそ、この一泊二日は楽しむですよ!」
「そうだね」
「(ふふふ…、今日こそ蒼星石とラブラブになって一線を……キャー)」

子供の様にはしゃぎながら、頭の中は欲望渦巻く翠星石と、はしゃぐ翠星石に笑みを溢す蒼星石。そんな二人を乗せて、電車は走り続けていた。

―――――

「あ、此処だね」
「お、やっと着いたです…か……そ、想像以上に古いですね……」

若干翠星石の顔が引きつった。翠星石の思い描いていたのは、もっと新しい感じのホテルだった。だが、目の前にあるのは古そうな和風の旅館。

「まぁまぁ。とりあえず行ってみよう」

とにかく、二人は足を進める事にした。
玄関に入ると、数人の旅館の人が出迎えてくれた。

「いらっしゃいませ。カップルですか?」
「カッ……そ、そうで…いだっ!?」
「姉妹です」

顔を赤くして頷きそうになった姉に、妹のチョップが下った。頭を抑えて涙を流す姉をスルーし、予約していた事を告げると、二人は部屋へ通された。

「わぁ……広い部屋ですぅ!」

落ち着ける和風の広い部屋。窓から覗く広大な景色。
先程の不満は何処へやら。すっかりお気に召した翠星石は、子供の様にはしゃいでいた。

「あちらが妹さんですか?」
「いえ、あっちが姉です」
「あらあら、すいません。可愛らしいお姉さんですねぇ」

ちょっとした会話をしていると、はしゃいでいた翠星石が勢いよく話し掛けてきた。

「蒼星石!温泉の方行ってみるです!」
「へ?良いけど…」
「では、ご案内致しますね」

ニコニコと微笑む旅館の人に案内され、二人は浴場に向かった。

浴場は大浴場と呼ぶにふさわしく、広い空間だった。

「お風呂場も広いんだね」
「これなら泳ぎ放題ですぅ!」
「駄目だからね」
「わ、分かってますよ…」

とは言うものの、翠星石の表情は残念そうなものだった。そんな翠星石に、蒼星石は溜め息を吐いた。

「と、とにかく、さっそく温泉に入るですぅ!」
「ま、まだ夕方にもなってないのに…」
「人気が少ない方がよろしいのなら、今が丁度良いと思いますよ」
「は、はぁ……」

確かに、周りに人がいてその人達に迷惑をかけるより、人気のない内に入ってしまった方が良いだろう。

「ほれ、早く脱ぐですよ!」
「ちょ…む、無理矢理脱がさないで……ど、どこ触ってるのさ!?」
「ではごゆっくり、うふふふふ~…」

いちゃいちゃする二人に、再びニコニコと笑みを浮かべて、旅館の人は去っていった。

―――――

「はぁ~……生き返るですぅ~……」

緩みきった表情で、何やら親父臭いを呟いた。
この大浴場で一番大きなお風呂を、翠星石は一人で独占していた。

「翠星石、いくら誰もいないからってはしたないよ」
「ん~?じゃあ露天風呂に行ってくるですぅ~」
「は、話が噛み合ってない……」

人の話を聞かず、翠星石は言った通り露天風呂へ向かった。
「……おぉ、良い景色です…」

目の前に広がる広大な景色を見て、漸く意識がまともになったらしい。

「蒼星石ー、此処良い景色ですよー!」
「本当?」

蒼星石も合流し、二人で露天風呂につかりながら、広大な景色を楽しんでいた。

「……来て良かったですねぇ」
「……そうだね」

しみじみと呟く二人は、暫くそのままだったとか。

―――――
「……………」
「……まぁ、双子の姉妹ですし…下手に意識しなければ、良いんじゃないですか?」

部屋に戻ると、二人は固まった。詳しく言うと、固まったのは蒼星石の方なのだが。
部屋には、ピッタリくっついて並べられた布団が二つあった。ご丁寧に、近くにはティッシュ箱とゴミ箱が。
机の上には手紙が置いてあり、「いくら若いとはいえ、明日動けるくらいに抑えて下さいね」と書いてあったのは、見なかった事にしておこう。

「……………」
「……………」
「………食堂、行くです?」
「………うん」

二人は見なかった事にして、食堂に向かった。
その後、本当に忘れたかの様に食事を楽しんでいた。横でニコニコしている旅館の人の視線も気にせず。
だが、部屋に戻るとやはりその現状は変わらなかった。

「……あの人、絶対誤解してるよ……」
「いや、間違ってはないと思いますけど」
「……………」

再び無言になり、少し視線をずらした。
一瞬だが、翠星石には見えた。真っ赤な顔が。

「と、とりあえず寝よう……」
「…そうですね」

ティッシュとゴミ箱と手紙は忘れて、布団に潜り込む。夏休みとは言え、夜は冷えていた。
布団に潜りながら、チラ、と蒼星石の方を見るが、反対方向を向いて寝ていた。
「(…やっぱり、一線を越えるのは無理がありますかねぇ……)」

意気込んで来たものの、蒼星石がそれを嫌がるなら無理強いは出来ない。急ぐ事はないのだが、やっぱり気分は落ち込んでいた。

「……ん?」

ふと、違和感に気付いた。自分の布団に自分以外の温もりを感じたのだ。

「……ふふ、」

優しい笑みを浮かべ、その温もりを抱き締めた。

「おやすみなさい、です」
「…おやすみ」



end

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最近更新されたスレッド
ウィキ募集バナー