アットウィキロゴ
ローゼンメイデン百合スレまとめ@ウィキ
掲示板 掲示板 ページ検索 ページ検索 メニュー メニュー

ローゼンメイデン百合スレまとめ@ウィキ

「NEVER ENDING LOVE」

最終更新:

rozen-yuri

- view
だれでも歓迎! 編集



「NEVER ENDING LOVE」


「はぁ…やっと今日で終わるですか…」
「うん、この公演が終われば後は後夜祭だよ」

普段ならばこの日は休日と称されはずなのだが、翠星石と蒼星石は学校の体育館の舞台裏にいた。否、ただいる訳ではく待機中なのだ。
その証拠に二人は「台本」と呼ばれる本を手にしており、着ている服も制服でなく「衣装」である。

「二日間も劇なんて…」「まだ言ってる…いいじゃないか。
今日だけじゃなくて、昨日もやったんだから。
たかが二日間だよ。
劇なんて早々やる機会ないしさ」

二人の通う学校の文化祭は二日目を迎えていた。学校の三大イベントの一つ文化祭。
皆、この日のために張り切って準備をしその成果を発揮している。しかし、翠星石は乗り気でなかった。

「どうせ今日で終わるんだから」
「そうですけど…はぁ…コスプレ喫茶やりたかったですぅ」
「それは絶対駄目だ」
「め、目が怖いですよ」

今、二人が身につけている衣装は王子と姫の衣装。
二人のクラスの出し物は劇で「眠れる森の美女」。
翠星石は主役のオーロラ姫、蒼星石は王子役という二人共大役を担っている。

その他の配役は同じクラスの真紅が監督兼脚本係、水銀燈は魔女、雛苺と薔薇水晶と雪華綺晶は妖精役である。
因みに金糸雀は生徒会と被っているため、その他の生徒と共に演出などを担当する。
配役は監督兼脚本担当である真紅により決められた。

因みに翠星石が先程言ったコスプレ喫茶とはクラスの出し物を決める際に劇の他にもう一つ出された案である。
コスプレ喫茶という案を提案したのは水銀燈だった。
出し物は投票形式で決められ、コスプレ喫茶もクラス劇に引けを取らない票を集めたのだが…却下という形になってしまった。
理由は、ある二人の生徒から猛烈な抗議があったためである。

「水銀燈にコスプレなんてさせたらどんな際どい服を着てくるかわからないのだわ!そんなことになったら私たちのクラスだけ活動停止になってしまうわ!」
「当日は他校の男子も見に来るんだろう?男子だらけになるかもしれない!冗談じゃない」

…というような猛烈な抗議の結果、劇になったのだった。

(ただでさえ翠星石は可愛いって人気があるのにコスプレなんて…これ以上悪い虫が付いたら困る)

表面上クールな蒼星石の胸中で嫉妬の炎が激しく燃えていた。

「まあ、今日で最後ですし…いいですけど」

小さく溜め息をつきながら呟く翠星石の中でも実は嫉妬の炎が燃えていた。劇が嫌な訳ではない。姫という大役を貰えたことも、蒼星石が相手役だということも嬉しい。
…けれど

(また女の子たちが蒼星石を見てキャーキャー騒ぐじゃないですか…)

蒼星石は女子に人気がある。
その人気は絶大で、廊下を少し歩くだけで女の子たちが蒼星石を取り囲む。
ただでさえ格好いいと人気があるというのに王子様など演じてしまったら…そう考えると嫉妬と焦燥に駆られる。

小さく溜め息をつきながら呟く翠星石の中でも実は嫉妬の炎が燃えていた。劇が嫌な訳ではない。姫という大役を貰えたことも、蒼星石が相手役だということも嬉しい。
…けれど

(また女の子たちが蒼星石を見てキャーキャー騒ぐじゃないですか…)
蒼星石は女子に人気がある。
その人気は絶大で、廊下を少し歩くだけで女の子たちが蒼星石を取り囲む。
ただでさえ格好いいと人気があるというのに王子様など演じてしまったら…そう考えると嫉妬と焦燥に駆られる。
現に一日目がそうだった。
これが、彼女が劇に乗り気でない理由。

「…翠星石?」
「え!?な、なんですか?」
「なんだかさっきより浮かない顔してるけど、平気かい?」

顔を覗き込まれて心臓が跳ねる。

「へ、平気ですよ!大丈夫ですぅ」
「…そんなにコスプレ喫茶やりたかった?」
「え?そういう訳では…」
「本当?」

じっと見つめられて目が逸らせない。胸の鼓動を宥めながらやっとのことで口を開く。

「ほ…本当ですよ!
お姫様の役が出来るなんて嬉しいですし!
もう二回目ですし今更ですぅ!」
「そう…良かった。
本当によく似合ってると思うよ、そのドレス」
「え…」

「可愛い。…昨日は初日で忙しかったから言えなかったけど」

蒼星石の素直な言葉に翠星石の顔が真っ赤に染まった。

「なっなにを言って…」「本当だよ。僕は、嘘は言わない。それは君が一番知っていると思うけど?」

悪戯っぽい笑みを浮かべる蒼星石に翠星石は改めて思う。

(…そんなだから、モテちゃうんですよ…)

「…蒼星石だって、よく似合ってるです…格好いいです」
「…ありがとう」

お互い照れ臭くなって笑みを交わす。
辺りが和やかな空気に包まれたその時、ガチャッとドアを開ける音がした。
視線を移すとそこに立っていたのは気合いが入っているのか、頭に鉢巻きを締め、台本を手にしている真紅。

「二人共、そろそろ時間よ。準備して頂戴。
あと、仲が良いのは良いことだけれど劇にもそれを生かして頂戴ね」
「わかった。行こう、翠星石。これでラスト…頑張ろう」
「はいですぅ」

二人は手を繋ぎ舞台へと向かった。

―*―*―*―*―*―
「お前が姫に呪いをかけたという悪い魔女だな!?」

一日目は緊張や不安もあってかぎこちなかった劇が二日目は慣れたせいか皆、緊張も解けスムーズに進み、劇もラストへ向かっていた。

王子の衣装に身を包んだ蒼星石が黒い魔女の衣装に身を包んだ水銀燈に剣を向ける。

「おーほほほほ!
よくここまで来れたわねぇ。褒めてあげる。
けれどお前はここで死ぬのよ!
皆の者、やっちゃいなさぁい!」

王子が魔女の家来たちと剣を交え、次々と倒していく。そして、最後に残った魔女との激闘の末、とうとう魔女を倒した。

「おのれ…王子め…この私が負けるだなんて…」
倒れる魔女。王子にスポットライトが当たる。

「よし!魔女を倒したぞ!これで姫を…」

王子の目の前がスポットライトで照らされる。
照らし出されたのは呪いにより、ベッドで今も眠り続ける姫。

「なんと美しい姫君なんだ…!早く目覚めさせて差し上げなければ。
しかしどうすれば…」
「…案ずることは…ありません」

王子の前に三人の妖精が現れる。

「…姫にかけられた呪いは姫を本当に心から愛せる者の口づけで解くことが出来るのです」
「心から愛せる者の口づけ…?」

白い衣装に身を包む妖精の言葉を引き継ぐようにピンク色の衣装に身を包んだ妖精が言った。

「王子様がお姫様を本当に大好きなら、お姫様の口にちゅーするのよ!
そうすればお姫様は起きることができるの!」

「さあ…姫を心から愛せるのなら…口づけを…」
王子は三人の言葉に頷くと、眠る姫へと向き直る。

「僕は姫を心から愛している。
だからきっと、呪いを解いてみせる」

王子は眠る姫へと顔を寄せる。すると観客席から女子生徒たちの黄色い声が飛び交った。

(あ~もう!さっきからうるさいですぅ!
少しは黙りやがれですぅ!)

美しい面立ちで眠る姫はその面立ちとは裏腹に胸中では悪態をついていた。眠っている役というのは一見、楽そうに見えるが精神的に疲れる。否、彼女の場合、嫉妬心からというのもあるだろう。
そんな姫の胸中を知らない王子は続ける。

「姫よ、どうか目覚めて…」

徐々に蒼星石との距離が近づくのを感じる。
ここでキスをするフリをしてフィナーレ…などともう先のことを考えていた翠星石だが、何か違和感を感じた。
先程うるさかった観客席から何も聞こえない。
それに…なんだろう。
唇に柔らかい何かが当たっている。

( ? なんでしょう…この感じ…?)

気になって薄目を開けて見ると…

( !!? )

なんと目の前には蒼星石の顔。そして、自分の唇が蒼星石の唇に塞がれている…つまり本当にキスされているということを理解した。

(なっなななな!?
何がどうなってるんですか!?)

昨日は確かにフリだけだった。それなのに、今日は本当にキスされている。

「んっ…」

困惑している翠星石に気づいたのか、ようやく蒼星石は唇を離した。
翠星石はガバッと飛び起きると思わず自分の唇に触れる。
熱い。唇に残る感触。頬が後から熱を帯びてくる。誰もが驚き、暫しの間舞台に重苦しい沈黙が流れた。
その時、

『オーロラ姫が目覚めました!姫を心から愛する王子の口づけにより呪いは解け、姫は長い眠りから目覚めたのです』

機転を利かせた真紅がナレーションを始めた。
それをきっかけに皆それぞれ役割を思い出し動き始めた。客席からは歓声や拍手を浴び、フィナーレを迎え、劇は波乱を呼びつつも無事に終了した。

―舞台裏の控室―

「ちょっと蒼星石!」
「何?」
呼び止められた蒼星石は立ち止まる。

「何、じゃないですよ!さっきの…どうしてあんなことしたですか!?」「さっきの…?ああ、キスのこと?」

顔を真っ赤して抗議する翠星石とは反対に蒼星石は冷静である。

「なっ…そ、そうですよ!どうしてあんな…フリだけのはずですぅ!」
「確かに台本はフリだけっていう設定だったね」

「台本は、って…私たちは台本通りに…」
「翠星石は僕とキスするの嫌だった?」
「え?」

蒼星石がゆっくりと翠星石を振り返る。質問しているのはこちらなのに逆に返されてしまった。
無視しようとしたが、こちらを見る蒼星石の目は威圧的でそれを許さなかった。

「どうなんだい?」
「え…えっと…翠星石は…その…嫌じゃない…ですよ…日常茶飯事ですし」
「そう、良かった」
「良くないですぅ!
翠星石が聞いてるのはどうして人前であんなことしたのかと…きゃ!?」
突如、詰め寄られ、左手首を捕まれて壁に抑えつけられた。

「蒼星石!?何を…」
「したいからキスした。それが理由」
「なっ…だからって人前であんな…」
「人前だから、だよ。
ああすることで、君にも僕にも言い寄る人は減るはずだから」

そう言って翠星石を見る蒼星石の瞳は真剣だが、どこか楽しんでいるように見える。

「それに…言っておくけど、僕はあれだけで満足してないよ」
「そうせ…んむ!んっ…」
開こうとした唇に突如舌が入って来て、深く口づけられた。息が苦しくなる程口づけ、蒼星石は唇を離し唇と唇の間に架かる銀の糸を指で断ち切る。

「…本当はあの場でしても良かったんだけど、我慢したんだよ。これでも」
「はぁ…はぁ…蒼星石…」
「コスプレ喫茶でなくても結局は君は可愛い格好をするんだから劇に変わっても意味がない。
…だから、最後だから見せつけてやろうと思ったんだ。でも…ごめん。自分勝手なことして…」

申し訳なさげに言う蒼星石。しかし蒼星石には悪いが、正直嬉しいだなんて思っている自分がいることに翠星石は気づく。蒼星石も同じように嫉妬していたのかと。

「…今回は真紅がなんとか場を取り繕ってくれて終わったから…もういいですよ。無事に終わったことですし」
「ありがとう…。
…じゃあ、翠星石。今もしていい?」
「なにがですか?まだなにか…ひぁっ!」

お互い和解し、安堵したと思ったのも束の間。
再び強く壁に抑えつけられ、今度は首筋に舌が這って来た。

「なにして…あっ」
「言っただろう?
まだ満足してないって…続き、しようよ」
「ふぇ!?続きって…こんなところで…ちょっ…待つで…」
「嫌だ。まだ着替えてないけど、劇も終わったしね…」
翠星石が必死に抗議するものの、蒼星石は聞く耳を持たず、それどころか衣装に手をかけ始めた。

なんとかやめさせようと翠星石が声を張り上げたその時、

「やっ…本当に待って…」
『生徒会からのお知らせです。間もなく後夜祭が始まります。
まだ校内にいる生徒はホールへ移動して下さい。繰り返します。生徒会からの…』

文化祭最後のメインイベントの後夜祭の開始を告げる放送が流れた。

「あ…あの蒼星石…」
「……仕方ない。文化祭が終わるまでは劇と同じの純粋な王子様でいてあげる。
君も僕もまだ王子と姫の衣装着てるし」
「え…?」

まさかこんな素直にやめるとは思わなかった翠星石は驚きと共に内心安堵した。…が、

「だけど、悪魔で「終わるまでは」だよ。
終わったら…続きするから」
「えぇ!?」

端正な顔がにやりと笑みを浮かべる。
やはりそう来たかと翠星石は項垂れた。翠星石だけが知る、普段クールな蒼星石の裏の顔。
彼女がこの顔を見せた以上、逆らえる術はないに等しい。
「さて。そうと決まれば行こうか、翠星石。」
「?行くって更衣室ですか?」
「後夜祭だよ。今年は生徒会主催のダンスパーティーだろう?」

「へ!?この格好のままでですか!?」
「もちろん。どうせ皆も着替えるんだから目立たないよ。
それに、ダンスと言えば王子と姫の出番だよ」
「そうですけど~…」

劇であんなことがあったというのにこの格好でというのはかなり恥ずかしい。
翠星石が迷っていると、それを見透かしたように蒼星石が翠星石の前に手を差し出した。

「そ…蒼星石?」
「王子となれば、姫をダンスに誘わないとね」
「…!!」
「美しい僕のお姫様…僕と踊ってくれませんか?」

優しい眼差しで自分を見つめ、手を差し出して来る蒼星石に、翠星石の頬が再び赤く染まる。
先程迫って来たのが嘘のように思えてしまう。
けれど、この手をとればこの後に起こる事も了承したことになるだろう。強引で、意地悪な王子様。
…それでも、答えは決まっている。

(…望むところですぅ)翠星石はふわりと微笑んで手を延ばし、差し差し出された蒼星石の手に重ねた。

「はい、王子様」

聞こえてくるのはワルツの曲。
王子は姫をエスコートしながら光へと歩いていく。
例え劇が終わっても、二人の愛に終わりなどないのだから。

―*―*―*―*―*―
後日、クラス劇「眠れる森の美女」は校内人気投票で総合優勝一位に輝いた。
そして、新聞部による校内新聞の文化祭の記事には、禁断のベストカップル賞というタイトルと共に後夜祭での翠星石と蒼星石の写真、そして何故か探偵のコスプレをした真紅とそれに付き合わされている水銀燈の写真が載せられた。
また、劇の効果か、蒼星石の目論み通り、翠星石や自分に言い寄る者はいなくなり、校内ならず他校まで認める公認の恋人同士として有名になった…が、密かにファンクラブだけは増えつつあったのだった。
 
 
 


タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
添付ファイル
最近更新されたスレッド
ウィキ募集バナー