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ローゼンメイデン百合スレまとめ@ウィキ
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ローゼンメイデン百合スレまとめ@ウィキ

第二話

最終更新:

rozen-yuri

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だれでも歓迎! 編集

 覚束ない足取りで自転車を引きながらのりは今の状況を考えようとしたが、全く理解出来ないでいた。
 大切な友達だと思っていた巴に武道館へ連れて行かれ、そこで無理矢理犯された…何故こんな事になってしまったのだろう。
 もしあの時断っていれば、いや、それ以前に巴の事にもっと早く気が付いていればこんな事にならなかったかも知れない。
 巴の異常な感情に…だがもはや手遅れだ。のりはこれまでに無く、自分の鈍感さを呪った。
 犯された挙句に写真を撮られ、それを出汁に自分の主導権を取られてしまった。
 もし破れば自分の写真がばら撒かれるだけじゃなく、めぐやジュンにまで被害が及ぶ。
 少し前の巴なら想像できないが、今の巴なら平気で手を下すだろう。自分だけじゃなく、あの二人も憎んでいるのだから。

「…雨…」

 ポツ、と顔に水滴が当たり空を見ると雨が振り出していた。
 だがもう、のりには歩く気力すら残っておらず、小降りだった雨もすぐに本降りに変わって体を濡らしていく。
 全身ずぶ濡れになって家に着き、玄関の戸を開けると見慣れた靴があるのに気が付いた。
 めぐの靴だ。今日は迎えに行くと言っておいたがこんな事になってしまい、先に帰ったと思っていたがここに来ていたのか。
 玄関を上がると香ばしい匂いが漂ってきて、開け放たれたキッチンのドアからめぐが料理しているのが見えた。

「めぐちゃん…?」
「あ、おかえり。遅かったね…って、ずぶ濡れじゃない!」

 のりに気が付き、めぐは笑顔でこちらに気が付いたが様子を見て驚いた様子で駆け寄ってきた。

「こんなに濡れちゃって…このままシャワー浴びてきたら? 後で着替え持っていくから」
「うん…」

 顔をハンカチで拭かれつつ、無理矢理笑顔を作って返事をする。
 そこでめぐはあることに気が付き、首を少し傾げた。

「…そういえば、何でジャージ着てるの?」

 そう聞かれて、のりは一瞬言葉に詰まった。
 制服は巴に破かれてしまったためにとても着れる状態じゃなく、鞄の中にあったジャージを来て帰ってきていた。
 だが真実を話せるわけが無い。

「ちょっと掃除の時に汚れちゃって。着て帰るの恥ずかしいからジャージ着てきたのよ」
「そう…大変だったわね」

 何の疑いも無くめぐはのりの言う事を信じ、それがまた辛い。

「さあさ、風邪ひいちゃうから早くシャワー浴びてきてよ。その間にご飯用意しておくから」
「ありがと…」

 力無くそれだけ言うと、のりは自分の部屋から着替えを持って浴室へと向かって行った。
 脱衣場でジャージを脱ぐと、ボロボロの制服が現れてそれがまた全て事実だと言う事を思い知らされた。
 犯されたのは夢じゃない、現実なんだと。

「…巴ちゃん…何で…」

 ボロボロの制服の下に、自分の肌に付けられた紅い痕が生々しく見える。
 その痕を指でなぞるとその時の感触を思い出し、背筋に冷たい物が走った。
 同時に、巴の狂気に満ちたゾッとするような目も。

「うっ…あぁ…わあぁぁ…!!」

 恐怖と後悔が胸を満たして行き、それは涙となって溢れ出した。
 何で、何でこんな事になってしまったのだろう。自分はただ、何も悪いことをしていなかったのに、どうして…。

 お風呂から出て来るとめぐによって夕食の準備がされてあり、既にみんながテーブルに着いていた。

「のり遅いのー、もうお腹ペコペコなのよ」
「ああ…ごめんね。うっかり長湯しちゃった」
「さ、みんな揃ったから食べよ。のりも座って」

 めぐに促されてイスに座ると、みんな揃っての夕食が始まった。
 めぐが作ってくれたのはナポリタンスパゲティ。
 みんな笑顔で食べていくが、のりはとてもそんな楽しい気分になれるわけが無く細々とスパゲティを食べていく。

「うん、なかなかですね。めぐも腕を上げたじゃないですか」
「美味しいのよ~」
「そう? よかった。ねえのり、美味しい?」
「……え? ええ…美味しいわよ」

 不意に話し掛けられて、のりは慌てて笑顔になって返事をした。だが、めぐは少し不安そうな顔のままだ。

「本当? その割にはあまり食べてないようだけど…」
「そんな事無いわよ。ほら、こんなに食べちゃうし」

 感付かれるのを防ごうと無理に元気を出し、スパゲティを口の中一杯に頬張る。
 それを見て、めぐはまだ少し不安そうだったがこれ以上深くまで追求してこなかった。
 そのまま夕食の時間は過ぎて行ったが、料理の味はほとんど覚えていない。
 せっかくめぐが丹精込めて作ってくれたのに、とても味わう気分になれなかった。

 夕食の片付けをして二人はのりの部屋へと移動し、一緒の時間を過ごしていた。

「今日はごめんね、迎えに行けなかった上に晩ご飯まで作ってもらっちゃって…」
「いいわよこれぐらい。…でも、どうして遅かったの?」
「それは…」

 そこまで言って言葉に詰まった。ここで全てをぶちまけられたらどれだけ楽になれるだろう。
 でも、そんな事を言える訳が無かった。

「…掃除が長引いて…。今日大掃除だったから」
「大掃除? 聞いてないわよそんな事」
「言うの忘れちゃってて…。ごめんね」

 絞り出すように出した声は自分の耳にすら入るか入らないかの大きさだった。
 これ以上言及されたらどうしようかと思ったが、めぐは納得したように頷き笑顔で頭を撫でてきた。

「いいわよ、のりがうっかりさんなのは今に始まった事じゃないもの」
「でも…」
「だからそんなに気にしないで。全然怒ってないから」

 どうやらめぐはのりの様子がおかしいのは、めぐが怒っているのを恐れている、と思ったようだ。
 笑顔のめぐに少し微笑み返すと、撫でていた手はそっと肩へと回された。
 そのまま体を近付けてきて二人の距離が狭まり、お互いに見つめ合う。

「…怒ってるように見える?」
「…ううん」
「だから大丈夫。怖がらないで…」

 めぐの顔が近付いて来て、のりも目を閉じて唇が来るのを待った。
 だが、その瞬間に巴に目を見据えられた時の光景がフラッシュバックし、全身にゾッとする寒気が走った。

「いっ、いやっ!!」

 同時にめぐの体を突き飛ばし、めぐは唖然とした様子でベッド上に手を付いてこっちを見つめている。

「の…のり…?」

 寒い、息が苦しい、怖い…あの時に感じた恐怖が全身を支配し、震えが止まらない。
 震える自分の体を抱いて、めぐと目を合わせないように俯くと声を絞り出す。

「…ご…ごめん…今日、そんな気分になれなくて…本当にごめん…!」

 もう頭の中も胸の中もグチャグチャで、それしか言えなかった。
 重苦しい沈黙が部屋の中を支配し、時計の秒針だけが音を立てていた。

―※―※―※―※―

 それから数日過ぎた週末、二人はデートで駅前のデパートに繰り出していた。
 あの日以来のりは巴が怖くてめぐを迎えに行けず、ずっと部活と言う事で通して誤魔化していた。
 めぐもあの日の事が気に掛かっているのだろう、二人の間は前と比べるとギクシャクした物になっていた。

「…ねえのり、このぬいぐるみ可笑しいと思わない?」
「へ? …そう、ね。鼻の辺りがヘンテコ」

 話題作りでめぐが見せてくれたブタのぬいぐるみを見て、少し笑うがどうも不自然な笑みになってしまう。
 巴の事を必死で忘れようとするのだがどうしても頭から離れてくれず、楽しい気分になれない。
 こんな重苦しいデートなんて初めてだ。
 巴とはあの日以来会っていないし、何のアクションも無い。だが、それがかえって不気味だ。

「ね、向こうにもぬいぐるみがあるわよ。行ってみましょうよ」
「そう、ね。行こうか」

 めぐに手を取られて一緒に向かうが、その時に見えた。
 その方にある本屋の中で、雑誌を立ち読みする巴の姿が。
 めぐは気が付いていないようでそのまま行こうとするが、のりはその場に立ち止まってめぐの手を引っ張った。

「どうしたの?」
「…あの、さ。ぬいぐるみより向こうで服が見たいなーって…行きましょう?」

 言うや否やめぐの手を引き、今度はのりが先導して行く。
 一刻も早くそこから離れたかった。巴に見つかる前に、遠くへと。
 やがて服売り場に着てもう巴の姿が見えないのを確認すると、内心ホッと溜息を吐いた。

「ごめんね、引っ張っちゃって」
「別にいいけど…。見たい服ってどれ?」
「あのね、これなんだけど…」

 そう目に付いた服に手を伸ばした瞬間、ハンドバッグの中から携帯の着信音が聞こえて来てのりは凍りついた。
 それはメールの物で、震える手で携帯を取り出す。
 そこのディスプレイには新着メールあり、と書かれてあり操作するとはっきり書いてあった。

“差出人:巴ちゃん”

 と。恐怖で足が崩れ落ちそうになるのを堪えつつ、メールを開くとただ一言。

『この階の女子トイレで待ってます』

 と書かれていた。

「どうしたの、顔蒼いわよ?」
「…ごめん、ちょっとお手洗行って来る…」

 それだけ言うと覚束ない足取りでそこへ向かう。出来る事なら行きたくない。だが、行かなければ…。
 逃げ出したい衝動を抑えつつその女子トイレへ行くと、意外なことに誰もいなかった。

「…巴ちゃん…?」

 もしかして場所を間違えただろうか、それともただのイタズラだったのだろうか。
 そう思った瞬間、後の個室トイレの扉が開き、口を手で押さえられてそのまま中へと引きずり込まれてしまった。

「んんっ、むーっ…!」
「静かにしてください、人に気付かれますよ?」

 耳元で囁かれた声は、間違いなく巴のものだ。顔を少し後ろに向けると、やはりあの時と同じ目をした巴の顔があった。

「奇遇ですね、こんな所で会うなんて…これはやはり、私達は運命の赤い糸で結ばれてるってことなんでしょうね」
「や…やだ…もう止めて…」
「…でも、相変わらず柿崎さんと一緒だなんて…あなたは私のものだって自覚がないんですか?」

 スカートの中に手を入れられ、ショーツ越しに秘所をなぞられて声を上げそうになるが、それも口を手で押さえられてしまう。
 声を上げなくなったのを確認すると、口を押さえていた手を離しのりのハンドバッグから携帯を取り出された。

「じゃあ、今ここで柿崎さんにデート中止の電話をしてください」
「そ、そんな…!」
「断るんですか? だったらあなたの写真をネット中に…。それだけじゃない。桜田君やあの女も…」

 ジュンとめぐを引き合いに出され、全身から血の気が引いていくのが分かった。

「こう見えて私、結構後輩とか従えてるんですよ? 私が一言命令すればあの二人なんて…」
「分かった! 分かったから…手を出さないで…!」

 卑怯な巴の脅迫に屈し、のりは涙を流しながら携帯を受け取った。
 それから携帯を操作し、めぐへと電話を掛けるとすぐに繋がった。

『のり? どうしたの?』
「…ごめん、めぐちゃん…。急用が出来て、家に帰らなくちゃいけないの…」
『ええっ? そんなちょっと待って、今更そんなのって…』
「…私もめぐちゃんと一緒にいたいの。でも、どうしても外せなくって…」
『外せないって…。…分かった、のりなんかもう知らないわよ!』
「めぐちゃ…!」

 怒鳴り声と共にブツッという音で通話は切れ、のりは深い絶望感に襲われ携帯を手から滑り落としてしまった。
 もう終わりだ、何もかも。
 そんな失意のどん底にあるのりを、巴は満足気に眺めていた。

「さあ、私の家に行きましょうか。たっぷり可愛がってあげますからね」

 そう言う巴の笑顔は、果てしなく濁っていて…そして、これほど無く輝いていた。

続く

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