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ローゼンメイデン百合スレまとめ@ウィキ

エイプリルフール

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匿名ユーザー

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 今日は四月一日、休日。
 と言うわけでのりとめぐはのりの部屋で自宅デートをしていた。だが…。
「ね、ねえのり、この御菓子美味しいわよ。いらない?」
「…いらない」
「…あ、あのさ、今日の晩ご飯何かなーって…」
「…肉じゃが」
「……そ、そう。楽しみね…」
「……」
「……」
 いくらめぐが話し掛けても、のりはクッションを抱きしめたまま背を向けてベッドの上に座っている。
 その返事もそっけない物ばかりで、誰がどう見ても完全にご立腹と言うのが分かる。
 めぐは参ったといった様子でこっそり溜息を吐き、のりの後姿を見た。
(…完全にヘソ曲げちゃったわね…さすがに冗談が悪かったかな…)
 軽はずみで言った冗談を後悔して、その時の事を思い出す。

―※―※―※―※―

 さかのぼる事一時間以上前。
 それまでは二人とも何事も無くいつも通り楽しい二人だけの時間を過ごしていた。
 紅茶を飲みながら雑談に花を咲かす、そんな他愛の無い時間。
 その時にふとカレンダーを見て、今日が四月一日…つまりエイプリルフールだと言う事を思い出したのだ。
(そう言えば今日はエイプリルフールか…)
 これまでエイプリルフールなんて全く気に留めていなかった。
 入院中なんて嘘を吐いてからかう相手もいないし、そもそもその頃は荒れていてそんな事を考えたりもしなかった。
 下らない事をするものだ、とその時は冷めていたものだ。

 だがのりと付き合っている今、それが何だか面白そうに思えてきた。
 そうしているうちにムクムクと悪戯心が湧き上がってきて、ある一つの嘘が浮かんだ。
 これを間に受けて慌てるのりを想像すると、勝手に笑えてくる。
 だがこんな表情では何の意味も無い。
 めぐは静かに息を吸い込むと、さっきまでの笑顔を消して神妙な表情に変える。
「…それでね、その先生がね…。…めぐちゃん?」
 しばらくそうして黙っていると、計画通りのりがめぐの異変に気が付いた。
 のりも心配そうな表情になって、それを見計らい口を開く。
「……あのね、じつは私、先週病院に行ってたの…」
「病院? 調子悪いの?」
「…うん…。それで検査してもらったら…」
 そこで一旦間を置き、目を合わせ辛いようにのりの目を少し見てまた伏せる。
 心配そうなのりに内心笑いを堪えつつ、話を続けた。
「…言い難いんだけど…心臓の病気が再発してるって言われて…」
「えっ!?」
「…それも末期だって言われて…あと一ヶ月ぐらいしか生きられないって…」
「…う…嘘、そんな…!」
 絶望的なのりの声。顔を上げてのりの顔を見ると、顔面蒼白と言った様子で今にも泣き出しそうだ。
 それを見て、まさかここまで騙されるなんて、と込み上げてくる笑いを必死に堪えていた。
 のりはそんな魂胆に気付かず、目に薄っすらと涙を浮かべてめぐの顔を見ている。
「…そんな、嘘でしょ…! ねえ、めぐちゃんがそんな…!」
「……」
「ねえお願い、嘘だって言ってよ…!」
 悲痛なのりの声。これ以上やると本気で泣き出しそうだと感じて、めぐは口を開いた。

「嘘だよ」
「ねえめぐちゃ…嘘?」
 嘘、と言った瞬間、のりは狐につままれた様な表情を浮かべ時が止まってしまった。
 その様子がおかしくておかしくて、とうとうめぐは笑いの限界点を超えて思いっきり吹き出した。
「あっはははは! 今日はエイプリルフールよ!」
「エイプリル…フール…?」
「いやーあんなに騙されるなんて思いもしなかったわ、私って演技の才能あるのかも。ねえのり、どう思う?」
 笑い過ぎて浮かんだ涙を指で拭い、満足そうにのりの顔を見る。
 だがその顔はヒクついていて、肩も震えていた。
「あの…のり?」
 その様子に気付き、めぐの笑顔も引き攣っていく。
 これはヤバイ、そう思った次の瞬間。
「めぐちゃんのバカーーッ!!」
「っ!!」
 これまで聞いた事の無いのりの怒鳴り声に、めぐは思わず背筋がピンとなって全身が強張った。
「本気で心配したじゃない!! めぐちゃんがそういう事言うと冗談に聞こえないんだから!!」
「いや、だから今日は…」
「そんなの関係ないわよ!! 言って良い嘘と悪い嘘があるのも分からないの!?」
「え、えっと…その…ごめんなさい…」
 完全に怒らせてしまい、怒涛の勢いで叱り倒してくるのりに、めぐはもう何も言えなかった。
 ただただ正座で、のりの説教を聞くしか出来なかった。

―※―※―※―※―

 それからたっぷり説教され、それが終わるとのりは完全に拗ねて冒頭と同じ状態になってしまった。
 以来何を言ってもちゃんと返事をしてくれず、部屋の中には重苦しい空気がずっと流れている。
 考えてみれば確かに自分も悪乗りし過ぎたな、とも思うが後の祭り。
 軽はずみな事をした自分の愚かさを呪いつつ、のりの背中を見る。
 その背中からは未だに「まだ怒ってます」オーラが漂っている。
 めぐは頭を振り、真面目な顔で口を開く。
「…ねえのり、本当に悪かったと思ってる」
「……」
「まさかあそこまで怒るなんて思わなかったから…本当にごめんなさい」
「……」
 真剣に謝っていくが、のりは変わらず背を向けたまま。
 それでもめぐは話を続ける。
「…もうあんな事しないから…その…嫌わないで…」
 嫌わないで、と口に出したら何だかこっちが泣きそうになってきた。
 もしこれで嫌われたら、と思うと堪らない寒気がしてきた。
 それでめぐも言葉が詰まり、沈黙が二人に流れる。

 しばらく無言の状態が続いたが、それを破ったのはのりだった。
「…嫌う訳無いじゃない」
「え…?」
「…私がめぐちゃんを嫌うなんて事、ある訳無いじゃない」
 そう言い切ると、やっとのりがめぐの方を向いてくれた。
 その目は赤く充血していて、流れた涙の跡が頬に光っている。
 めぐはそれを見て、深い罪悪感を感じて胸が詰まる想いがした。
 それからのりは手招きをしてめぐを近付かせると、そのままギュッと抱きしめた。
「…私はめぐちゃんがいなくなったらダメなのよ…分かる?」
「のり…。私も、のりがいなくなったらダメだから…分かるわ」
「だから…冗談でもそういう事は言っちゃダメ。嘘でも、そういう事は聞きたくないから…」
「うん…ホントにごめん…」
 めぐからも抱きしめ返し、のりの胸元に顔を埋めた。
 少し早い鼓動の音が聞こえ、本気で心配してくれたんだという事を伝えている。
「言っておくけど、エイプリルフール関係無いからね。嘘でも何でもない…本当の気持ち」
「分かってるわ…」
 そう交わしてお互い見つめ合い、どちらからとも無くキスをした。
 その味は少ししょっぱくて、お互いの今の気持ちが溶けて味になっているような気がした。
 それからやっとのりが笑顔になり、めぐも少し笑顔を浮かべた。
「のり」
「なに?」
「…大好き」
「…知ってる」
 それが嘘の気持ちなど全く無い、お互い感じ会える本心だった。

終わり
 

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