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ローゼンメイデン百合スレまとめ@ウィキ
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ローゼンメイデン百合スレまとめ@ウィキ

マリオネット

最終更新:

rozen-yuri

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だれでも歓迎! 編集

 
 パチッ、と体に鋭い小さな電撃が走ったような感覚した。姉妹が争っている。でなければ。
「また一人、離脱した」
 戦いの盤上から。コマがまた一人狩られたのだ。
 お父様は王座から見守りながら、探している。アリスゲームの勝者を、自分の娘を、盤上の騎士を。
「次に狩られるのはだぁれ?」
 私?アノ子?それとも。
 その時、目の前に光る穴が広がった。その中央部から、手がズルリとはえてきた。
「だぁれ?」
 普段はなかなか動揺することのない私だが、この時ばかりは息を飲んだ。
 無機質な肌は私達と同じドールのものだが、その纏っている紫の服はかつて見たことのないものである。
 薄い銀色と水色を混ぜたような長い髪の毛も漂ってくる。
 その全貌が明らかになるにつれ、私の体に緊張が走る。
「…………っ!」
 琥珀色の虚ろな瞳がこちらを見ている。
 そのドールは、私ととても似ていた。薔薇の代わりに薔薇の刺繍の眼帯が、私とは反対の左目につけられている。
 服も色とデザインは少し違うが、ほとんど変わらない。髪型もほとんど同じだ。
 しかも、体が不完全なようで、この幻の世界でしか存在できないようだ。
 翠薔薇姉様と蒼薔薇姉様のように、私にも双子のドールがいたというのだろうか。
 いや、ローゼンメイデンシリーズは全部で七体なのだ。私が七番目だし、これ以上でも以下でもないのだ。
 ならば、目の前のドールは一体…?


 ──マリオネット


「ローゼンメイデン……」
 目の前の少女が小さな声で呟いた。これでこの少女は少なくとも私達を知っていることになる。
「ローゼンメイデン……第七ドール……」
 少女はまたも小さく呟いた。姉妹の誰にも会ったことない私のことを知っているのだろうか。
「私は……ローゼンメイデン第七ドール……薔薇水晶」
「第七ドール……」
 また新たなドールが生まれたというのだろうか。ならば先ほど走った戦慄はそれなのか。
 いや、ならば第八ドールと名乗るはずだ。それを第七ドールと名乗っているということは。
「貴女は誰?」
 薔薇水晶と名乗った少女はこちらをまっすぐと見てそう言った。
 ローゼンメイデンということは知っていても私個人は知らないらしい。
 それもそうか、そうでなければ本人の前で第七ドールとは名乗らないだろう。
「私、は……」
 返事を渋っているとこちらにコツコツと音を立てて歩いてきた。攻撃する気はないのだろうか。
「誰?」
 ふと考えた。この子は使えるかもしれない。
「私は第七ドール、雪華綺晶ですわ」
「第七ドール?……嘘をつかないで。第七ドールは私……」
 訝しげにこちらを見る薔薇水晶の両頬を捕らえ、さも愛しそうに見つめる。

「いいえ、聞いて下さい。薔薇水晶、貴女は確かにローゼンメイデン……ですが」
 不完全。はっきりと薔薇水晶の耳元で囁いた。
「このままではアリスにはなれない。ゲームに参加することもできない」
「何故……?」
 どうやら自分に実体がないことを知らないらしい。
「貴女には実体がない。他のドールがこちらにやってこないと貴女は戦えない」
「どうすれば……」
 いいの。と不安気に薔薇水晶が呟く。
「簡単ですわ。私が貴女に体を差し上げます」
 ニコリ、と笑って見せるが薔薇水晶はまだ警戒しているようだ。
「そんなことして、貴女は……」
「私はローゼンメイデンじゃないんです」
 そう言うと薔薇水晶は少しだけ目を見開かせた。表情変化の乏しい子らしい。


「人形師ローゼンの弟子が作った紛い物ですわ」
 たしかそういう男がいたはずだ。それを思いだしたので、口から出任せを言う。
「ですから私はもとよりアリスになる資格はない。どうぞ私の代わりになってくださいませ」
 そう言いながら、にこりと微笑むが、やはりあまり信用していないようだ。
「どうやって……体を……」
「こう、ですわ」
 薔薇水晶の顎を掬うとゆっくり口付けた。私は元々この幻の世界と現実世界を行き来できる能力があった。
 実体を渡しても現実世界は覗けるし、うまく行けば簡単にアリスになれるかもしれない。
 唇を放すと薔薇水晶は柔らかい光に包まれ、やがて収まる。実体が渡せたようだ。
「これで貴女はアリスになれる」
「……ありがとう」
「いいえ、早速他のシリーズを倒すべきですわ」
 そう言うと薔薇水晶は小さく頷いて光の穴に吸い込まれていった。
「ふふふ……」
 これから起こるであろうことを予想すると思わず笑みが溢れた。

 薔薇水晶の鋭い髪飾りが真紅の胸を貫いた。
「…………っ!」
 真紅は一回だけ体を痙攣させると薔薇水晶に跳ばされ床に仰向けに倒れた。
 真紅に集まった他の命が薔薇水晶に吸い込まれていった。真紅のミーディアムが彼女に駆け寄る。
「アリス……私が……アリス」
 自分の頬に手を当てる薔薇水晶。思わず私は笑みが溢れた。
「そうですわ、薔薇水晶。貴女がアリス」
 手のひらの水晶の中で演じられている喜劇に嘲笑する。
「本当に?……偽物の貴女が?」
 その時、薔薇水晶の頬に亀裂が入る。その後、次々と薔薇水晶の体は崩れていく。
 お父様の弟子──槐と言っただろうか──は物凄く慌てている。
 やがて薔薇水晶は見るも無惨な姿になってしまった。
 手のひらの水晶を消すとすぐ隣に光の穴が現れた。そこから最初出会ったときのようにズルリと手が伸びてきた。
 唯一、違うのはでてきた手の持ち主の薔薇水晶がガクガクと震えているところ。
 糸の切れた操り人形のように。
「何故……何故、私は……」
 こちらを恨めしげに見てくる彼女の手を優しくとり、唇を寄せる。

「可哀想な薔薇水晶。貴女にアリスになる資格はない」
 そう言うと、愕然とした表情を薔薇水晶は浮かべた。
「貴女はローゼンメイデンなんかじゃない。お父様に憧れた男が作った偽物」
 何か言いたいらしく薔薇水晶はパクパク口を動かしているが、辛そうだ。
 もう、耐えられないのだろう。寿命、という概念は人形にはない。じゃあ今の薔薇水晶を何と形容しようか。
「貴女は只のイミテーション」
「そ……んな……っ」
 薔薇水晶は低く呻くと、胸を苦しそうに押さえ、徐々に体が透けていく。
「ありがとう、薔薇水晶。手間が省けましたわ」
 完全に薔薇水晶が消えた後には二個のローザミスティカと真紅の胸を貫いた髪飾りが残っていた。
 すると背後からパチパチとハリのある拍手が聞こえてきた。
「やぁ、七番目のお嬢さんは策士のようだ。戦わずして手に入れた二つの命」
 所詮、イミテーションは貴女の駒、騎士だったわけですな。ラプラスの魔は帽子を被り直しながら言った。
 二個のローザミスティカを手のひらに掲げると、ラプラスの魔は妖しげな笑みを浮かべた。
「そんなことないわ」
 彼女が遺した髪飾りに優しく口付ける。
「私の愛しい愛しい妹ですわ」


終わり
 

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