アットウィキロゴ
ローゼンメイデン百合スレまとめ@ウィキ
掲示板 掲示板 ページ検索 ページ検索 メニュー メニュー

ローゼンメイデン百合スレまとめ@ウィキ

酔も甘いも

最終更新:

rozen-yuri

- view
だれでも歓迎! 編集

 
 ある日のめぐの家にて、めぐはエプロンを着けて一人で台所に立っていた。
「えーと、砂糖と水がカップ一杯くらい…結構砂糖入るのね…」
 本に書かれているレシピ通り鍋へと材料を入れていくめぐ。
 その一人でキッチンに立つめぐを、のりは少し心配そうに見つめていた。
「…ねえめぐちゃん、やっぱ私も手伝おうか?」
「いいからいいから。私に任せてよ」
 何か手伝おうとやって来たのりを、めぐは笑顔で背中を押してリビングへと返す。
 少し心配になりながらも、のりはそのまま流されるように押し戻されてしまった。

 めぐが作っているのはサバランと言うケーキの一種。
 めぐが一人でこうしてキッチンに立って料理をするのは珍しいことだ。
 何でも「いつものりに料理とか作ってもらってるからたまには私が作る」と言う事である。
 最初はのりも手伝うと言っていたが「本見て作るから」と頑なに言われ、その熱意に負けてめぐに頼む事にした。
 …しかしその参考の本が某アゴの料理主夫の漫画と言うのが若干不安だ。

 そんな期待半分不安半分なのりの心中もつゆ知らず、めぐは作業を進めていく。
「これにラム酒を大さじ三杯ぐらい入れれば…あっ」
 本に従ってラム酒を鍋に入れていたが、最後の分で勢いが付きすぎて多めに入ってしまった。
「どうしたの?」
「え、ううん。何でもない」
 少し失敗したかなと思っていると、それに気付かれてのりから声を掛けられた。
 それを取り繕うと、少し小さく溜息を吐く。
「…まあいいか。四杯でも良いって書いてあるし」
 そう一人納得し、火を強めて鍋のシロップを煮詰める。
 数分間煮詰めると火を止めて、それにスライスしたフランスパンを浸していく。
 それを少し置いて少し冷ますと、ラップをして冷蔵庫の中に入れた。
 後はこれを二、三時間置いてからフルーツを盛り付ければ完成だ。
「よしっと…これで一区切り付いたわね」
「終わった?」
 パンッと手を叩くと、のりが様子見にやって来た。
「あとは二、三時間ぐらい冷蔵庫で冷やして、フルーツ盛り付けて完成ね」
「そう。じゃあその間にここ片付けて晩ご飯作ろうか」
「そうしようか。今日は何作る?」
「そうね、今日はミートソースのパスタにしようか」
「分かった。じゃあここ片付けるね」
「片づけは私も手伝うわ」
 そうして二人は片づけを始めて、それが終わると夕食の準備に取り掛かった。

―※―※―※―※―

 二人で作ったパスタで夕食を済ませて食器を片付けると、ちょうど頃合の時間になっていた。
「もうそろそろ良いかな」
「楽しみね。めぐちゃんが作ったケーキ」
「ケーキって言っても簡単なやつだけどね」
 ちゃんと出来てるだろうかとドキドキしながら冷蔵庫を開け、中からその鍋とフルーツの缶詰を取り出しテーブルに置いた。
 ラップを開けると、シロップの甘い香りが漂ってきた。
「ん…良い匂い」
「良かった、成功したみたいね。じゃあこれにフルーツ乗せていきましょう」
 鍋からシロップの染みたパンを取り出して器に乗せ、それぞれ好みでフルーツとクリームを盛り付けていく。
 盛り終わるとサバランは完成し、二人はテーブルに着いた。
「じゃあ食べようか」
「うん、いただきまーす」
 二人ともフォークを持ち、一口分をフォークで切り取って口に運ぶ。
 口に入れると、シロップが染みた甘いパンの舌触りとラム酒の香りが口の中いっぱいに広がって美味しかった。
 ゆっくりと咀嚼し飲み込むと、めぐはサバランの上出来さに笑顔になってのりを見る。
「どう、のり?」
「ふふ、とっても美味しいわよ」
「良かった。ちょっと不安だったけど美味しく出来たかな」
 のりに美味しいと言ってもらえて嬉しく、笑顔のままもう一口食べた。
 だけど、感じる事が一つ。
「…やっぱちょっとラム酒入れ過ぎたかな…。結構くるわね」
「でも美味しいわよ。私にはちょうど良いかも」
 あの時入れ過ぎたラム酒の風味が鼻に抜ける。
 とは言え程よく冷えていて食べやすく、二人ともそれをすぐに平らげてしまった。

 食べ終えてから十数分ぐらいすると、二人はリビングのソファに座ってボーっとしていた。
 心なしか頭がフラフラして、何だか心地良いような悪いような、よく分からない感じだ。
「…これが酔うってやつなのかな…。やっぱあんなに入れなきゃ良かった…」
 背もたれにだらしなくもたれて、そんな事を思う。あの量のラム酒はやはり多過ぎた。
 それに未成年だからお酒に免疫が無いめぐには効果覿面だったらしい。
「…めぐちゃん」
 うつらうつらしていると、不意に名前を呼ばれその方を見る。
 のりを見ると、頬は赤く目はトロンとしていて潤んでいるように見えた。
 のりもやはり酔っているのだろう。
「なに? のり」
「…だーい好き!」
「きゃ!」
 いきなり勢いつけて抱き付いてきて、倒れそうになる体を堪えて受け止めた。
 それからのりは力いっぱい抱きしめてきて、めぐの膝元へ幸せそうに顔を埋めてくる。
「うーんめぐちゃん可愛い~、世界一可愛いよ~」
「酔ってる…ね?」
「ええ、私はめぐちゃんにメロメロに酔ってるわよぉ~」
「そういう意味じゃなくて…。…甘え上戸なのかしら…」
 ただでさえ甘えたがりなのりが数割増しで甘えてくる、そんな様を見てそう感じた。
 同じく未成年とは言え年上なのに自分以上に酔っている、それに若干呆れながらも悪い気はしなく、頭を撫でてあげる。
「ん~、気持ち良いわぁ…」
 心底嬉しそうに目を細め、更に力を入れ抱きしめて来るのり。
 その姿が可愛くて、手を背中にずらして自分からも抱きしめ返す。

「もう今日はずっと離さないわよ~」
「いいわよ、ずっとこのままでも。気の済むまでこうしてて」
「うん、めぐちゃんだ~い好き、愛してる」
 ニコニコと心底幸せそうな笑顔で、何だかこっちも幸せな気分になってきた。
 分量は失敗したけど、これはこれで成功かな、と思った。

―※―※―※―※―

「…ねえのり、少しの間でいいから離れてくれない?」
「や~だ、ずっとこうしてるって決めたんだから」
「でも少しだけ退いてくれると嬉しいんだけど…」
「離れないわよぉ」
 のりに抱きしめられたまま数十分、めぐの体に異変が起きてきた。
 離れないのりを引き離そうとしながらモゾモゾと体を動かす…トイレに行きたくなってしまったのだ。
 最初の方はすぐに離れてくれると思ったが、これが全然退いてくれない。
 余裕があった初めの頃はまだ冗談かと思って余裕があったが、段々本気で焦ってきた。
「お願いだからちょっと離れてってば!」
「いやだ~、絶対に離れない!」
「冗談抜きでヤバイから! トイレ行かせて!」
「離れちゃやだぁ、だったらここですればいいじゃない!」
「なっ、何言ってるか分かってるの!?」
 何を言っても聞いてくれず、めぐの限界も近づいてくる。
 このままだと本当にのりの言うとおりここでしてしまう羽目になるかも知れない。
 世の中にはそういうのに興奮を覚えるという人もいるが、めぐにそんな趣味は無いしのりにもあって欲しくない。
 もしのりにそんな性癖があったらショックで立ち直れないだろう。
 口で言ってもダメ、ならば最後の手段。
「もうっ、退いてってば!!」
「あうっ! めぐちゃん!」

 力尽くでのりを退かすと急いでトイレへと駆け込んで行った。
 それで何とか間に合い、用が済んで安堵してリビングに戻る。
 その瞬間。
「めぐちゃ~ん!!」
「ぐえっ!」
 のりが泣きながら胸に飛び込んできて、耐え切れずにそのままソファーへ落ちるように座ってしまった。
「うぇぇ、めぐちゃん嘘吐いたぁ~!!」
「嘘って…あの場合しょうがないじゃない、泣かないでよ…」
「めぐちゃん離れちゃやだって言ったのに~!」
「トイレで少し離れただけじゃない。子供じゃないんだから…」
 尚も泣きじゃくって幼児のように抱きついてくるのりに、めぐは少し参ったように溜息を吐いた。
 甘え上戸の次は泣き上戸、この起伏に少し着いて行けなかった。
 少し呆れながらのりの背中をさすってあげると、その鳴き声が少し収まったように感じた。
「…落ち着いた?」
「えぐ…うん…」
「…もう大丈夫だから、今日はずっとこうしてあげるから安心して」
「…約束、よ?」
「…はい、約束します」
「…えへへ」
 それでのりはやっと笑顔に戻ったかと思うと、そのままめぐにもたれたまま眠ってしまった。
「…はぁ…子供を持つ親ってこんな感じなのかな…」
 のりが眠った事で気が抜けて、そのままソファーに倒れ、お酒のせいもあってか瞼が急激に重くなってきて目を閉じた。
 睡魔に飲み込まれる寸前、めぐはボンヤリと思った。
(…前言撤回。ちゃんと分量は守ろう…)
 と。

終わり
 

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最近更新されたスレッド
ウィキ募集バナー