水銀燈が翼をはためかせて飛んで行く。向かう先は桜田家である。
一週間ぶりだった。愛しい人に会いたい欲求と、周りと馴れ合う事を許さないプ
ライドを天秤にかけ続けて、遂に限界を迎えたのだった。
とは言えそのプライドも徐々に安売りを始めたのか、最近ではめぐとの会話にも
桜田家の話題が多く上るようになりつつある。
桜田家の庭が見えてきた。音も立てずに舞い降りる。
部屋ではドール達が何か話し合っている様子だった。
翠星石が眉根を寄せているのが見える。
真紅はいつも通りティーカップを片手に涼しい顔をしていた。
透き通るような金髪や陶器のように艶やかな肌。
日差しのせいで煌めくそれらに水銀燈は思わず目を細め、しばらく見惚れていた。
蒼星石がそれに気付いて声を上げた。
「あれ?水銀燈が来てるよ。」
「全くこの大変な時にわざわざ迷惑な奴ですぅ。」
そう言いながらも翠星石が窓を開け、水銀燈を迎え入れる。
水銀燈に席を用意するとすぐに皆は話し合いを再開したが、
真紅が不意に立ち上がり、水銀燈に近付いてきた。
真紅は顎に手を当てて少し俯き、何事か呟いていたが、顔を上げるとこう言った。
「水銀燈、今夜は泊まって行きなさい。私のベッドを使う事を許可するのだわ。」
余りに突拍子も無い一言に水銀燈は己が耳を疑い、他の人形達の顔色を窺った。
彼女達は一瞬怪訝そうな表情を見せたが、すぐに得心がいった様子。
水銀燈には益々訳が分からなかった。
そして迎えた夜、真紅のミーディアムの部屋に招かれると、
既に真紅がベッドに腰掛けていた。
「さあ、早くおいでなさい。」
そう言って真紅はマットレスを軽く叩く。
言われるままに横になったが、水銀燈は真紅の方を見る事が出来ずに背を向けていた。
まさか真紅と寝床を共にする日が来ようとは、
いや正直に言えば取り留めの無い妄想の中でそういう場面が無かったとは言わないが、
このような形で急に実現するとは思ってもみなかった。
現在自分が置かれた状況を考えれば考える程、
水銀燈の頬は紅潮し、肩は強張っていくのだった。
真紅が水銀燈の銀髪を手櫛で梳き、溜め息を一つ吐いた。
「そんなに恥ずかしがる事は無いのに。
まあいいのだわ…入ってらっしゃい!」
「うにゅー…眠いのよー…」
そう言って入ってきたのは雛苺だった。
「さあ、早くこっちに来るのだわ。」
雛苺は目を擦りながらベッドに入ってきて、水銀燈は真紅と雛苺に挟まれる形になった。
水銀燈の胸中では複雑な思いが渦巻いていた。
「し、真紅ぅ?あたしが呼ばれたのもそうだけど、何故この小さいのもいるのかしらぁ?
そりゃふ、二人だなんてそんな…だけども」
自分の理解の範疇を超えた事ばかり起きているせいか、その言葉にも全く纏まりが無い。
「水銀燈、動いては駄目よ。」
真紅は無視してそう言うと水銀燈の胸元を掴み、一気に膨らみをはだけさせた。
水銀燈の思考は完全に停止してしまった。
他ならぬ真紅に脱がされたせいもあるかもしれない。
「ほら雛苺、早くするのだわ。」
「うゅー…」
雛苺が水銀燈の乳房に吸い付く。そしてもう片方の乳首を指で弄り始めた。
放心したままの水銀燈に真紅が説明する。
「ごめんなさい水銀燈。雛苺、こうしないと寝付けないみたいなのだわ。
普段はめぐがやってるんだけれど…骨折して入院してしまったから。
あ、ジュンなら付き添いでいないからいくら騒いでも問題無いのだわ。」
いくらそんな話をした所で水銀燈の耳から入って反対側から抜けていくだけである。
「ちょっと水銀燈!聞いているの!?」
真紅が水銀燈の耳を摘まんで大声で呼びかける。
水銀燈の体が大きく跳ねる。
我に帰ったものの、相変わらず状況は理解出来ていないようだった。
「えぇ!?これは…えぇ!?」
「さっき説明したばかりでしょう…まあいいわ。
それにしても羨ましいばかりだわ。
人間にだってこれ程の大きさを持つ女性はそうはいないでしょうに。」
そう言うと真紅は水銀燈のバストを指でつついた。
「ちょっ、ちょっと!?何するのよぉ…」
「いいじゃない。減る訳では無いのだし。」
真紅はそのまま指先で撫でてみたり、軽く抓ってみたりした。
水銀燈の顔が見る見る内に紅く染まっていく。
真紅と自分の肌が触れ合っていると意識する度に鼓動は早まり、気は高ぶっていくのだった。
そうしている間にも真紅の悪戯はエスカレートしており、
既に乳房を鷲掴みにして揉みしだいていた。
「見て、水銀燈。雛苺、もう寝ているのにあなたに吸い付いて離れないのだわ。
よっぽど気に入ったのね。」
真紅は雛苺を完全に引き離す事を諦め、突起を触っていた指だけを離させると、
今度は自分がそれを指で挟んで扱き始めた。
「もうこんなに固くなってるのだわ。どうしたのかしら?」
真紅が意地悪く問い掛ける。水銀燈は荒々しく息を吐くのが精一杯で、答えることができない。
真紅はもう片方の手を水銀燈の股の間へ伸ばした。指が触れると、湿った音を立てた。
水銀燈が驚いて背筋を反らせた。
「し、真紅ぅ!?そ、そんな、そんな所…」
「雛苺に吸われてこうなったのかしら?
どうなの水銀燈?答えなさい。」
水銀燈は口を噤んだが、真紅が乳房を思い切り握り潰すと痛みに耐えかねた様で、
「し、真紅よぉ!真紅に弄られてこうなっちゃったのよぉ!」
と悲鳴に近い声を上げた。
「ふふふ。いやらしいのだわ、水銀燈。体にもそれが現れているもの。
まあそんな貴女も、嫌いではないわ。」
そう言うと真紅は乳房への愛撫を再開し、秘所へ指を挿し入れた。
「ゆ、指ぃ!?指、真紅の指が、入ってくる…ぅっ!」
乳頭を優しく弄る一方で、挿入された指は容赦なく水銀燈をかき回した。
水銀燈は我慢しきれず、声を漏らした。
「余り五月蝿くすると雛苺が起きてしまうのだわ。もっと我慢なさい。」
「そ、そんな、無理っ、無理よぉっ!んぅっ、ふぁっ!」
真紅は胸を責めていた手を離すと、指を二本水銀燈の口に入れた。
「んむぅっ!?」
「大人しくしなさい。貴女が騒がしいからこうしているのよ。」
指が水銀燈の舌に絡み付き、ぴちゃぴちゃと音を立てた。
「ついでにこちらも指を増やそうかしら。」
真紅はそう言うと新たに秘部に指を突き入れ、責め立て始めた。
「んぅっ!ふぅっ、ぅんっ!」
水銀燈はくぐもった声を出し続け、口からは唾液が大量に流れ出ていた。
目の焦点はぼやけ、ただ快楽に身を任せている。
「もう我慢できないのね?いいわ。おイキなさい。水銀燈。」
水銀燈は全身を大きく痙攣させると、絶頂に達した。
翌朝、水銀燈が目を覚ますと既にベッドから二人の姿は消えていた。
申し訳程度に身だしなみを整え、リビングに向かう。
皆は朝食の準備をしていた。
雛苺がこちらに笑顔を見せる。
「ありがとうなの!水銀燈!」
「いや、でも助かったよ。僕らじゃ全然駄目でさ。」
「ふ、ふん!ジャンクも偶には役に立つってことですぅ。」
何と返したらいいものか思案していると、キッチンから皿を持った真紅がやってきた。
「これ、貴女の分なのだわ。それとめぐが退院するまでは暫くお願いすることになるのだわ。」
これから毎晩楽しみなのだわ、と耳元で小さく囁きかけると、真紅は自分の席についた。
水銀燈は思わず身震いしたが、自分の中のどんな感情がそうさせているのかは、
幾ら考えても分からなかった。
(了)
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