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ハッピーニューイヤー!

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rozen-yuri

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だれでも歓迎! 編集

 
 のりはもうすっかり通い慣れためぐの家へ向かっていた。時刻は午後十一時過ぎ。
 普段ならこんな時間に外を女の子が出歩くのは危ない事だが、今日は人通りも多めだ。
 今日は十二月三十一日、大晦日。
 そしてこれからはめぐと初詣で、家に迎えに行く所だった。

 程無くしてめぐの家に着き玄関のチャイムを鳴らすと、足音が聞こえて来て扉が開いた。
 中から現れたのはめぐの父親で、のりの顔を見ると微笑んだ。
「こんばんは、おじさん」
「こんばんは。めぐならもうすぐ来ると思うから、ちょっと待っててください」
 父親はそう言い切ると、家の中へと振り返った。
「めぐ、のりさんがみえたぞ」
「はーい」
 めぐが返事をしながら廊下へ姿を出し、のりの姿を確認すると笑顔を浮かべて玄関へと駆け寄ってきた。
 その首にはクリスマスにプレゼントしたのり手編みのマフラーが首に巻かれている。
「ありがと、迎えに来てくれて」
 そう言いながら靴を履き終えてのりの下へとやってきた。
 そのまま自然に手を繋いで、二人はめぐの父親へと軽く体を向ける。
「それじゃパパ、行ってくるわね」
「行ってらっしゃい、気をつけて行けよ」
「分かってるわよ。のりがいるから大丈夫よ」
「そうか。のりさん、お願いします」
「ええ、分かりました」
 玄関の戸が閉められ、いざ出発しようとしたら上空から音が聞こえた。
 その方を見ると、水銀燈がめぐの部屋の窓の縁に座って見下ろしている。
 
「こんな寒い中、よくもまあ行く気になるわねえ。年が変わるだけなのに…」
「あなたはなんとも感じないの?」
 めぐからの質問に、水銀燈は若干呆れ気味にフッと笑った。
「私はあなた達よりもずーっと長く存在してるのよぉ? 今更年が変わろうが何だろうか、どうでもいいわぁ」
「そうか、すっかり忘れてたけどそうだったわね…。人間にとっては大きな事よ」
「私は人形だから関係ないわぁ。ま、気を付けて行ってらっしゃぁい。のり、私のミーディアムをお願いねぇ」
「分かってるわ。ちゃんとエスコートしていくから」
「それじゃ、留守番頼んだわよ」
 水銀燈に手を振り、そう挨拶を交わすと二人はめぐの家を後にした。

 道を歩いていると除夜の鐘が聞こえて来て、改めて今日が大晦日なんだという事を実感する。
 その音の発信源である神社に近付くにつれて、人通りが多くなって来た。
 その中には和服を着ている人もちらほら見て取れた。
「のりは和服着ないの?」
 和服を着ている女性を目で追いながら、めぐがそう言った。
「和服ねぇ…私持ってないのよ。持ってても、着付けとか出来ないしね」
「そう…和服姿ののり、見てみたかったかな」
 ちょっぴり残念そうな顔で、もう一度和服の女性へと視線を向ける。
 のりの格好はロングスカートにコートと、和とは無関係な服だ。
 そう言うめぐだって、ダウンジャケットにジーンズと、同じく和とは無関係な服なのだけど。
「いつか着る機会があったら、見せてあげるわよ」
 クスッと笑ってそう言うと、めぐの表情が少し輝いたように見えた。
 期待の篭った目で、のりの顔を見返してくる。

「約束、よ」
「もちろん。代わりに、めぐちゃんも和服着る時は私にも見せてね」
「分かった、約束するわ」
 二人とも笑顔で頷き、それからも談笑しながら先へと歩いていった。

―※―※―※―※―

 神社に近付くにつれて人の往来も増えて行き、目的地に着くと真夜中だというのにそこは人で溢れかえっていた。
 予想以上の人の数に若干驚いたのか、めぐの表情が少し強張ったように見えた。
「凄い人ね…」
「毎年こんな感じよ。地元で一番大きな神社だからね」
 圧倒され気味のめぐに気付き、のりは繋いでいた手を一旦離すと腕を腕を絡め合わせた。
 突然密着度が高まった事に、めぐは少し驚きながらのりの顔を見上げる。
「これならちょっとやそっとじゃ離れないわよ」
「…うん」
 のりからのアクションに、めぐは少し照れて微笑んだ。
 その様子が可愛く、ポンポンと頭に手を添えると甘えるようにのりにもたれてくる。
 本当に可愛いなあもう、そんな事を思った。
「しかし、本当に凄い人ね。日本人は信仰心が無いって言うけど、これだけ来るなんてね」
「まあ半分お祭りみたいなものだからね。それで騒いでる人もいるかもしれないけど」
 携帯の時計を見るともう年が変わるまで十分を切っている。
 もう既に人が大勢並んでいる参拝の列へ同じように並び、年が明けるのを待つ。

「もうすぐ今年も終わりね…。今年は激しかったなぁ…」
 思い返すと、今年一年は濃い年だったと思う。
 真紅や雛苺達が来て様々な騒動が起き、ジュンも何とか引き篭もりを脱し、何より、めぐという恋人が出来た。
「ね、めぐちゃんは今年一年どうだった?」
 思い返すのを止め、めぐに聞いてみる。
「私? …そうね…私もやっぱり、今年は激動の年だったわね…」
 宙に目をやり、懐かしむような表情で口を開く。
「水銀燈が来たのが最初で…。それからのりと出合って恋人になって、手術して退院して、学校にも行き始めて…」
 そこで区切ると、頬を少し赤らめてのりの方へと顔を向けてきた。
「初めて、エッチな事して」
「…、もう、めぐちゃんたら…」
 恥ずかしい事を言われ、のりも頬を赤らめる。
「…でも、水銀燈もだけど、のりと出会えて本当に良かった。それが今年一年で最高の出来事よ」
 屈託の無い純粋な笑顔をめぐは浮かべ、のりは優しく微笑み軽く肩に頭を寄せる。
「今年一年、ありがとうね」
「こちらこそ」
 携帯の時計を見ると、年が変わるまでもう後数分も無い。
 どこか緊張してきて、周りの参拝客もどこかワクワクしているように見える。
「めぐちゃんほら、もうすぐ新年よ」
「本当。カウントダウン、てとこね」
 二人して一つの携帯を覗き見て、刻一刻と時刻が過ぎるのを待つ。

 そして、携帯の表示が「01/01 0:00」になった瞬間、二人は少しテンション高めでハイタッチをした。
「新年おめでとう!」
「ハッピーニューイヤー!」
 周りからも歓声が湧き上がり口々に祝いの言葉を発していく。
 辺り一面お祝いモードだ。
「今年もよろしくね、めぐちゃん」
「のりも、今年一年よろしくね」

―※―※―※―※―

 年が明けて十分近く過ぎた頃、ようやく二人に参拝の番が回ってきた。
 お賽銭を投げてお祈りをし、順番を後の人に回してそこを離れていく。
「ね、めぐちゃんは何お祈りした?」
「そう言う、のりは何をお祈りしたの?」
「めぐちゃんが先に言ってよぉ」
「のりが先に言ってよ」
 イチャイチャしながら無意味な問答をし合い、少ししてのりが一つ提案を上げた。
「じゃあ、同時に言いましょう」
「それが良いわね。それじゃ、せーの…」
 めぐが合図し、二人同時に口を開く。
「今年もめぐちゃんと仲良く出来ますように!」
「のりともっと幸せになれますように!」
 二人同時にお祈りの内容を聞き取り、その意味が分かるとおかしくなってきた。
 二人ともほぼ内容的には同じ内容。考える事はやはり一緒だ。
「…っぷ。あはは、似たもの同士ね」
「本当。おかしいわね、あはは」
 最高の笑顔で迎えた新年。
 二人一緒なら今年一年も最高の年になる、そんな確信が二人の中にあった。
 

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