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『新生シャドウ・コレクティヴ』






 雑草の間から立ち上る朝靄が大自然公園の残骸を白く覆っていた。
 崩れたベンチの傍らXオルタは大福の残り半分を見つめている。
 その隣に、いつの間にやら当然のような顔で腰を下ろしたコスミナが興味津々といった様子で顔を覗き込んできた。

「ねぇねぇ、えっちゃん。さっきの剣、すっごい格好良かったです。たしかネクロ……何でしたっけ」
「邪聖剣ネクロカリバー」
「私のマイクにも名前あるんですよ、大地鳴動ヘヴィプレッシャーです~~!」

 Xオルタは残りの大福を咀嚼した。
 頬が緩む様子は相変わらず薄いが目だけはわずかに満足げに細められている。
 コスミナはモールのデイパックから零れたままになっていた羊羹一本を手に取ると包装を剥がし、半分ほど齧ってからXオルタへ差し出した。

「はい、どうぞ」
「それマスターの羊羹では」

 コスミナがにやりと悪戯めいた笑みを浮かべる。

「細かいことは気にしないんです! 友情の証ってやつです♡」
「では、遠慮なく」

 もぐもぐとXオルタは羊羹を咀嚼する。
 コスミナの視線がふと瓦礫の上に座るモールへと流れた。
 赤黒い肌、鍛え上げられた上半身、そしてその視線が腰から下でぴたりと止まった。

「あれ?モールさんの下半身って……もしかして義足なんですか?」
「……戦いの中で失った」
「そう、なんですね」

 これまでの弾んだ声とは打って変わりコスミナの声が目に見えて萎んでいく。

「何だ、その反応は」
「いえ、その……コスミナの夜の相手ができないな、と」
「知ったことか」

 にべもなく切り捨てられコスミナはがっくりと肩を落とした。
 モールはスマートフォンを取り出して参加者名簿に今一度、目を通していく。
 名簿にはモールの記憶に深く刻まれた四つの名があった。

 一つ目の名前――ダース・シディアス。

 改めて文字列を見た瞬間、骨の髄まで染み付いた憎悪が瞬時に総身を駆け巡る。
 千載一遇の好機。この手でようやく復讐を果たせる。
 その昂りを押し殺すようにモールは深く息を吐いた。
 今、この三人だけでシディアスに挑めば待つのは敗北のみだ。
 かつてサヴァージと共に戦った時と同じ轍を踏むことになる。
 弟の死と己の敗北。二の舞を演じるつもりはない。
 同時に別の警戒が鎌首をもたげる。

(この命の授業の主催者は一体何者だ?)

 あのシディアスを参加者として島へ連れてくる。
 それがどれほど常軌を逸した所業かモール自身が一番よく理解していた。

 二つ目の名――ドゥークー伯爵。

 モールの目が僅かに細まる。
 ドゥークーもモールと同様にシディアスの弟子だった男だ。
 既に死んでいるはずだが主催者に蘇らせられたとでもいうのか。
 もしそうならば状況次第ではあるが手を組める可能性はある。
 クローン戦争では敵対したが、今は互いにシディアスへの遺恨を持つ者同士、利害さえ一致すれば共闘もあり得ない話ではない。

 三つ目の名――アナキン・スカイウォーカー。

 シディアスの計画を潰すためにモールが殺そうと画策したジェダイ。
 今はXオルタという新たな弟子がおり、理想を言えば迂遠な手段は取らずシディアスを直接叩き潰すことこそが本懐だ。
 故にアナキンを積極的に殺す気はない。
 だがあのジェダイが既にシディアスに取り込まれているのなら敵対は避けられないだろう。

 四つ目の名――アソーカ・タノ。

 モールの口元に皮肉げな笑みが浮かんだ。
 かつて共闘を持ちかけたモールを拒み、あろうことか捕縛した女。
 認めるのは癪だがライトセーバーの腕前だけは確かなものを持っていた。
 もし彼女の目的がシディアスの打倒にあるのならば手を組む余地はある。

「お前たちはどうだ。名簿に知り合いの名前はあったか」

 モールが端的に尋ねるとXオルタは気だるげに首を横に振った。
 一方、コスミナの反応は対照的だった。

「シュラっちの名前がありましたね」
「知り合いか」
「ワイルドハントのリーダーです。帝国大臣の御子息で私たちを集めてくれた人ってところですかね」
「お前がこの島で目を覚ました時、傍に誰かいたのか」

 モールの問いにコスミナは頷いた。

「イゾウさん、ドロテアちゃん、エンシンちゃん、チャンプちゃんの四人がいましたよ。でもシュラちゃんだけはいなかったんです」
「それで、その四人はどうした」
「んー、みんなでちょっと話し合って。それぞれ別行動することになりました」

 モールは腕を組んだまましばし黙考した。

「その中に首輪をどうにかできそうな者はいるか」
「それならドロテアちゃん。私たちの中でも一番の頭脳派って感じですよ。散開する前に首輪の解除方法を探すって言ってました」

 モールの目つきが僅かに鋭さを増した。

「その女は今も生きている可能性が高いか」
「んー、ドロテアちゃんはワイルドハント随一の力持ちですし、イゾウさんがついてるから大丈夫だと思いますよ」

 モールはしばし黙考した後、今後の方針を固めた。

「ならばまずはドロテアと合流する。首輪を外すことで他よりも優位に立つ」

 そのドロテアを探し出すまでの過程で弟子のXオルタを鍛え上げる。
 この殺し合いという舞台を弟子の修行場として利用しない手はない。
 それと並行して島に散らばる参加者の中に有用な人材がいるならば取り込んで勢力を拡大していく。
 ドロテアが駄目だった時の首輪解除要員もいた方がいい。

「この命の授業で再びシャドウ・コレクティヴを結成する」

 かつてモールは銀河のシンジケートを束ねて犯罪組織シャドウ・コレクティヴを築き上げた。
 あの組織は既に潰えたが、この殺し合いの場でそれを新生させる。
 単に部下を増やすのではなく、多数の対主催グループと同盟を結んで巨大組織を作り上げる。

「ワイルドハントとやらもシャドウ・コレクティヴに加わってもらう」

 コスミナはどこか楽しげにくすりと笑った。
 朝日が瓦礫の向こうから昇り始め、白んだ光が三人の影を長く伸ばした。
 モールは立ち上がると両刃のライトセーバーの柄を確かめるように腰の位置へ手をやった。

「行くぞ」

 短くそう告げるとモールは朝靄の晴れ始めた道の先へと迷いなく歩を進めた。
 その背を追うようにXオルタが立ち上がる。

「はいはい。マスターの気まぐれに付き合いますよ」
「あ、待ってくださいよ~~! 私も行きます~~!」

 コスミナも慌てて後を追いかける。
 三人の影が朝日に照らされた渋谷の公園をゆっくりと歩み去っていった。


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【E-4/大自然公園(跡地)/早朝/1日目】
【ダース・モール@スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ】
[状態]:下半身義足、疲労(少)
[装備]:両刃ライトセーバー(赤)
[道具]:基本支給品一式
[思考]:この殺し合いで権力を振るう者どもへ『復讐』を。……シディアス。貴様もだ。
1:弟子、Xオルタを鍛える。
2:ゲーム打破。立ちはだかる者に容赦はしない。俺に積み重なったこれまで全ての憎しみを見せてやる。
3:ドロテアと合流して首輪を解除する。
4:参加者を集めてシャドウ・コレクティヴを再編成する。
5:ドゥークー、アソーカとは状況次第で手を組む。
6:スカイウォーカーを積極的に殺す気はないが、シディアスに取り込まれているなら容赦はしない。
7:「あらゆる願いを叶える」、か。……弟の眠りを妨げるなど、冒涜に等しい。
8:コスミナへの警戒は解かない。だが、ああいう手合いを従える術なら心得ている。

【謎のヒロインX〔オルタ〕@Fate/Grand Order】
[状態]:疲労(少)、目の下に傷(小)、大福を食べている
[装備]:邪聖剣ネクロカリバー
[道具]:基本支給品一式、ドグラ・マグラ、不明支給品×2
[思考]:森口先生。ヴィランにも、それなりの流儀がありますので。
1:主催者へ、『真なる悪』の回答を。……ではマスター、あとはいい感じにお願いします。
2:マスターの命令や指図にはそれなりに従う。それなりに。
3:……面倒ごとは嫌いです。まぁ、その割には張り切って「クロスカリバァァ」とか叫んじゃう私なんですが。
4:コスミナさんも私も『悪』です。ならば信じ合うと書いて、ここでは『悪』と読ませてもらいます。
5:生きて帰り、Xさんと決着をつける。……それまで経験値は稼いでおかないと。


【謎のヒロインX〔オルタ〕の制限】
※全能力が通常時から約40%低下。
※特に邪聖剣ネクロカリバー使用時の消耗が大幅に増加しており、長時間の連続戦闘・大出力攻撃は困難。


【コスミナ@アカメが斬る!】
[状態]:疲労(少)、喉に軽い負担、上機嫌、大福を食べている
[装備]:帝具「大地鳴動ヘヴィプレッシャー」
[道具]:基本支給品一式、クロメのおかし@アカメ、不明支給品×1
[思考]:えっちゃんたちと、とりあえず一緒に行きま~す♡
1:Xオルタ(えっちゃん)とは仲良くしまーす!
2:モールさん、やっぱりすっごく好み♡だけど義足かぁ……。
3:主催者を倒す、かぁ……。ドロテアちゃんやイゾウさんなら、分かってくれる……かな? ふふ♡
4:…………。……『歌のお姉さん』。






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039『壊れた娘の使い道』 041『イゾウを斬る』
012『スタア誕生』 ダース・モール
012『スタア誕生』 えっちゃん
012『スタア誕生』 コスミナ

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最終更新:2026年10月16日 12:38