感想コーナー・長編専用ページ
リレーも、とうとう始まったね。
というわけで、私の感想はここに分けて置いておくことにしたよ。
みんなが使うスレッドを、私の自己満足な長文で埋め尽くすのもあまり良くない。
そんなわけで、ここは企画主が好き勝手に感想を書く場所。
言ってしまえば、私の自己満足ページだね。
暇な時に読んでくれる程度で十分だよ。
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目次
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……
フリーレンは、強大な力を持つ魔法使いだ。
千年以上という、私たち人間には想像もできないほど長い時間を生きてきた。
けれど、その長い生涯の中でも、ヒンメルたちと旅をした十年間は、一人のエルフのその後を大きく変えていった。
ターボババアも同じだ。
長い年月を生きてきた妖怪。
本来なら人間を呪い、恐れられる側の存在だった。
それがオカルンたちと出会い、特に星子との日々を経て、本来なら持つはずもなかった『人情味』に、いつの間にか雁字搦めになっているんだ。
……じゃあさ。思うね。
宿儺は、どうだったんだろう、って。
千年以上を生きた者たちの激戦。
閃光が走り、命が削られ、やがて長い夜が終わって朝日が昇る。──その果てに、遺された若者たちが得たものは何だったのか。
前後編に渡る今回。勝敗を分けたその『一因』を紐解いていこうと思う。
冒頭。
嵐の前の静けさとはよく言ったもので、その『気配』が近づいてきた。ただそれだけで、戦場の空気は一変する。
────呪いの王・両面宿儺。
……この闘いさ、才人は、決して弱くないんだよね。
フリーレンの簡易領域。相棒たるデルフリンガー。身を包む帝具。そして何より、ガンダールヴのルーン。
異なる世界から持ち寄られた力を幾重にも重ね、降り注ぐ斬撃と雷撃を必死に捌いていく。
それでもなお、この戦いで一行が味わったのは、才人の頼もしさ以上に、宿儺へのどうしようもない絶望感だった。
だって、ほら宿儺の反応。「ほう」「良い呪具だ」「次はこれだ。凌いでみせろ」
……まるで試験官だもんね。
才人を試しているわけですらない。宿儺は、才人を使って『自分の手札』を試している。
この温度差がもっとも鮮明に現れたのが、以下の一節だった。
────中々に厄介だな。
才人が全力で捌く術式の雨を、涼しい顔で通常攻撃と言わんばかりに連発しながら。
呪いの王両面宿儺は才人の後方に控える術師、フリーレンをそう評した。
……宿儺は、才人を見ていない。その向こうを見ている。
ここで宿儺という怪物の『格』が、火力でも速度でもないところから滲み出してくるんだ。
強いから怖いんじゃない。才人が命を賭けてようやく立っている場所を、宿儺はもう通過しているから怖い。
宿儺は「もう分かったからどこか行ってろ」とでも言うように、顎吐で才人を盤上の端へ追いやってしまうし。
ゆかりんが生涯のすべてを懸けて選んだ抵抗すら、踏みにじったからね。
……思えば、千年前からずっと。宿儺という男は、人間を『いる/いらない』で切り分けながら生きてきたのかもしれない。
誰かと出会っても、その誰かによって自分を変えるのではない。
自分の世界へ引きずり込み、自分の尺度で値踏みするのみ。
その価値観は、フリーレンにとってある種の『既視感』……いや、これまでの魔族以上の脅威として映ったんだろう。
だからこそ、長い人生で積み上げてきた者同士の盤上が熱さを増す。
出しては、読まれ。読まれては、引っ込める。
そしてまた、次の一手を置く。
まるで互いの千年を盤上に並べるような、長い長い勝負が始まったんだ。
────葬送のフリーレン。
フリーレンの対宿儺は、まさしくこれまでの彼女を象徴するかの如し。
『彼を知っていく』スタンスとなる。
相手は明らかに、自分が今しがた覚えた簡易領域を熟知し、そのうえ高火力を持つ外道。
基本はゾルトラークを撃って見つつ、防御を中心として、その一手から宿儺という存在を読み解いていく。
老獪が、老獪を知ろうとするこの闘い。
決して、フリーレンは優勢とは言えないけども、これまでの積み重ねを使って、目の前の未知をまた新しい『積み重ね』へと変えていくんだ。
……ただ、このぶつかり合いさ。
以前、
ウサギとカメの感想でも似た表現を使ったけど、『読み物に殺される感覚』とでも言えばいいのかな。
フリーレンはポーカーフェイスを崩さない。だから一見すると、均衡ギリギリの攻防にも見える。
でも、読者から見える宿儺は、ほとんど
恐怖そのものだ。
領域展開を待てば、その狙いを読まれる。
わずかな隙を見つけて突けば、それまで見せなかった手札で塞がれる。
こちらが一枚めくるたび、その下からもっと嫌な札が出てくる。
おまけに本人は、死の香りでも嗅ぐように笑いながら、「お前の戦術は似ているな。前に闘ったマハトに」なんて、聞きたくもない情報まで付け加えてくる。
相手を理解することが攻略へ繋がるはずなのに、宿儺に限っては、掘れば掘るほど『まだこんなものを持っている』という真価ばかりが出土する。
……まるで、地獄絵図だ。
作品『地獄絵図』は、平安時代の無名の僧侶に描かれたけども、千年越しの呪いの筆先を表したかのような、地獄の輪郭があったんだ。
……でも、ここで一度、思い出しておきたい。
フリーレンは、これまでどうやって勝ってきたのか。
魔王討伐は、フリーレン一人で勝ったわけじゃない。
勇者がいて、僧侶がいて、戦士がいて、魔法使いがいた。
それぞれに出来ることがあって、それぞれに役割があったよね。
……じゃあ、今回はどうだろう。
少し意地悪な対比をするなら、宿儺の傍らにいたのは、傀儡同然の一人の少女だけだった。
宿儺はきっと、これまで数え切れないほどの人間から畏れられた。
認められた。一目を置かれた。
けれど。
『自分から信頼して、何かを託せる相手』は、果たしてどれだけいただろう。
……知ったような口を利くけどさ。たぶん、フリーレンの旅って、その答えを知っていくための旅でもあるんだろうね。
超高性能AIトダー。
フリーレンが信頼を置いた西住みほ。
才人に、デルフリンガー。
そして、筆頭格にあげられるほど、みんなから邪魔扱いされていた幸運の招き猫。
……正直に言う。
もう動けないはずの『そいつ』が現れて、才人に力を貸して、最後まで憎まれ口を叩く。
その一部始終を追っているうちに、涙を抑えて次の行へ進むことすら難しくなったよ。
────最後の老獪。ターボババア。
現れたのは、先ほど顎吐に相手をさせていた小僧だった。
だがその速度は明らかに違う。
「『───遅ぇんだよ。クソだらぁ』」
─────ドッッッッ!!!!!
ひねりも何もない。けれど多くの宇宙人を撃破してきた妖怪の体当たり。
そこにガンダールヴと超級危険種の速度を乗せる。
……ここが、本当に泣けた。
これまでのババアの戦況を踏まえて、本当に感動した。
思えばさ、戦闘が始まれば、ババアがまず使ったのは自身の原点とも呼べる都市伝説の呪い。
ゆかりんに撃たれた後は、『何故、こんな人間たちについてきたのか』自答し。
そして、助けたい人の元へ行きたい才人の身体へと、入り込む。
私には、この一連の流れそのものが、『ダンダダン』でのターボババア、その物語を走馬灯を辿っているように見えたんだ。
ダンダダンでの彼女は、「追い抜かされたものは呪われる」ことから始まり、オカルンに取り憑いて進んでいく。
次第に現れる宇宙人や妖怪は強大なものになっていくけども、増えていく仲間たちの総力があってこそ、窮地を脱せていた。
そして、そんな人間たちの輪の中にいたターボババア自身もまた。口では悪態を吐きながら、その温かさを、いつしか否定しきれなくなっていた。
だから今回。激戦の末、勝負を決めたのがテクニック0、勢いだけの体当たりというのも感慨深い。
宿儺戦は、『勝った』んじゃない。
『勝ち取った』。
妖怪と呪い。
似ているようで、歩いてきた道はまるで違うその二つのクロスオーバーバトルは、私が想像していたものを遥かに越えて熱かったよ。
三者三様。
長く生きた、人ならざる者たちの戦いは、その果てに残された若い人間たちへ、大きな分岐点を与えることになった。
……ここまで長々と語ってしまって、申し訳ない。
それでも、最後。ここだけはどうしても語って終わりたい。
一匹の妖怪が、一個の置物になってしまった。そんな地獄の時間、その幕引き。
常に死と隣り合わせの連続な、地獄を抜けた先にて。フリーレンの目の前には──天国にいる彼がいた。
……もちろん、これは再会なんかじゃない。
そこにいたのはヒンメル本人じゃないし、ただそこに建っている、像にすぎない。
でも、だからこそ、良いんだと思う。
像だからこそ良いんだ。
臨死体験を超えた先にも見えたのは、「ヒンメルに会うにはまだ早い」って、人生の長い道なんだ。
最終更新:2026年10月03日 19:07