ひび割れは案外すぐ近く ◆vV5.jnbCYw
不運(アンラック)の持ち主、出雲風子。
地下組織『タンポポ』のメンバー、皮下真。
生まれ育った世界から見ても、生まれ持った性格から見ても、決して交わることの無いはずの2人だ。
だが奇妙な巡り合わせにより、同盟を組むことになった。
「まずは仲間を集めましょう。それで会議を開いて、あの男を倒す案を出し合います。
出なければ、また別の参加者をメンバーに入れます。皮下さんも協力してください。」
彼女がアンディと共に組織(ユニオン)に入ってからやっていた方法だ。
円卓会議と、黙示録から出される任務(ミッション)が、彼女の冒険の導となっていた。
「で、風子ちゃんはどこへ行くつもりだったんだ?」
「えーと……。」
今いる場所は殺し合いの会場の中でも、外れの外れだ。
おまけに辺りは見通しの悪い森と来ている。
静かに何もせずに朽ち果てていくにはうってつけの場所だが、何かを成すには不向きな場所だ。
この殺し合いを攻略するためには、ポイントを入手するにせよ、それ以外の手段を取るにせよ、どこかへ移動すべきだ。
「呆れた。地図さえ読んでねえのかよ。」
何処にも行く気は無かった皮下だが、一応会場の地図があることは把握していた。
一方で風子は、仲間のアンディや同じ組織に所属しているシェンを探そうとしていたが、地図どころかそれがあることさえ気づいてなかったようだった。
そもそもの話、彼女自身は少女漫画好き、ゲーム好きのインドア派だ。
アンディに会って、人生が大きく変わってからも、行き先は彼や他の組織(ユニオン)のメンバーに従ってばかりだったので、地図を読んだことは殆んど無かった。
「はーあ……しょうがねえなあ……。」
鞄から地図を取り出し、改めて2人で行き先を決めることにする。
(しっかし夜桜邸があるとは。あの縫い目男、一体何を考えてるんだ?)
真っ先に目に入って来たのは、彼が配下に侵攻を命じた場所だ。
「知っている場所があったんですか?」
「……まあ、そんなところかな。嬢ちゃんに行きたいところが無いなら、こっちの病院に向かわないか?」
皮下真は医者である。
その職業はあくまで表の顔であるが、それでも医学に関する知識は備えている。
この病院がかつてのホームグラウンドの1つ、皮下医院なのかは不明だが、少なくともこんな僻地よりかは参加者を集めるのに向いているはずだ。
それにこの地図にある病院は、夜桜邸とは対照の方角にある。
参加者全員が会場に無造作に配置された世界。
誰がどこにいるか分からない中、皮下の天敵たる夜桜家の住人たちは、他の家族との合流を図って夜桜邸に向かおうとするだろう。
当然、その場所から離れれば離れるほど、彼らに遭遇する可能性は下がる。
現在の目的、正確には出雲風子の目的を達成するに至って、夜桜の名の者の実力は確かに期待できる。
だからと言って、自分と協力できるとは到底思えなかった。
両親を自分の組織によって殺害された朝野太陽と、その妻である夜桜六美。
自分の家族の為なら何でもし、家族の為にならなくても何でもする夜桜凶一郎。
いまいち捉えどころのない夜桜四怨。
いずれも、行動方針が一致しているから昔のことは水に流して仲良くしようねで済むような相手ではない。
太陽とはほんの一時だけ協力出来たが、ここでもそれが出来ると考えるのは早急だ。
目が合った瞬間斬りかかられてもおかしくはない。
彼らが粗暴な性格という訳ではなく、自分はそのような態度を取られてもおかしくないことをしたという自覚はあった。
ならばこの殺し合いでどうすればいいか。単純な話、それは第三者からの信頼を勝ち取ればいいだけの話だ。
「そうしましょう。」
皮下真は、かつては自らの計画を実行するために、「葉桜」という薬を用いて仲間を集めていた。
「葉桜」は使わないにせよ、医者という立場を生かして殺し合いに負傷した者を治療していく。
かつての「タンポポ」ほど大規模でなくとも集団を築くことが可能なはずだ。
集団さえ作れば、よしんば夜桜家やその仲間と対立することになっても、対主催集団同士で争う訳には行かないと武器を収めてくれるはずだ。
あの時と違い、夜桜家は全員集合という訳ではないので、対主催集団といれば全面対決になる可能性は低い。
「嬢ちゃんは行きたい場所は無かったのか?」
この地図に載っている地名には、「夜桜邸」、「マルノヤ」、「雄英高校」などと固有名詞を持つ場所が多い。
恐らく、自分の世界から夜桜邸がチョイスされているように、風子の世界からも何かが切り取られて、ここに置かれているのではないかと勘繰った。
「いえ…目ぼしい場所は無いので、その病院へ行きましょう。」
皮下の予想とは異なり、風子にとってなじみの場所、少なくともそこへ行けばアンディ達と合流出来そうな場所は見当たらなかった。
南東にある「女神像」が、UMAスポイルに腐食させられた場所かもしれないし、西にある「豪華客船」が不治(アンリペア)に出会った場所かもしれない。
だが、どちらも固有名詞でない以上、行ってみれば全然関係ない場所だったという可能性もある。
なので、皮下に行きたい場所があるのなら、彼に付いて行こうと考えた。
「あの……皮下さん、さっきの話で一つ気になったことがあるんですが…」
まずは森から出ようとした所で、風子が1つ問うた。
「なんだい?」
既に自身の生前に起こった出来事や死因は粗方話した。
だというのに、このお嬢ちゃんはこれ以上何を聞こうというのか気になった。
「皮下さんって……どうしてそんなに長く生きられたんですか?」
出雲風子が皮下真の経緯を聞き、一番気になったのは『百云十年も生きた』という発言だ。
嘘をついている様子はない。だというのに、彼の見た目は二十歳かそこらの若い男性。
白髪こそ年を重ねた老人のものにも見えるが、それだけで100を超えた年齢と推定するのは難しい。
彼女は今の皮下と似たような、不死の呪縛から解き放たれようとした者を知っている。
そんな者と冒険した経験があるので、猶更気がかりだった。
「……どっから話すべきかな……。」
医者という職業柄、医学のイの字も知らない患者に病状を説明して、首を傾げられたことはある。
そんなこともあり、彼自身、専門用語を素人に話すのは好きではない。
夜桜の家の者に自身の計画を話したのは、相手が夜桜の血の持ち主で、ある程度知識を備えていると分かったからだ。
特に自身の不老長寿のルーツをたどるなら、戦前からあった夜桜家と、ソメイニンの力まで説明しなければならないので、面倒なことこの上ない。
「というか、そういう体質だから、じゃ駄目?」
「いやあの…ごめんなさい…話したくないことを聞いてしまって…。」
まずいことを聞いたと思って、目を逸らして罰の悪そうな顔をする風子。
彼女の表情を見て、そんなことでわざわざ気にするなと思ってしまう。
「別に今更墓場にまで独り占めしておきたい秘密なんて無いけどさ、どうしてそんなことを興味深げに聞くんだい?」
もしかするとうら若き彼女は、永遠に若く美しくありつづけたいのかと思った。
不老長寿とは、人類が長きに渡り夢見て、そして今日まで終ぞ到達できなかったことだ。
食べれば若返る果物や、途絶えることなく楽器を奏で続ける人魚、火山に飛び込めば若返る炎の鳥など、不老不死を題材にした伝説は枚挙に暇がない。
洋の東西を問わず、そんな物語が多いことは、人間が歴史を通して不老不死に憧れていた証左である。
中には不老不死など、祓われることのない呪いのようなものだと主張する者もいるが、それは酸っぱいブドウ理論でしかない。
だが、実際に死なぬ身になり、それより前に不老不死となった女性の隣にいた彼なら、そんな物に憧れるなと心から言える。
「良いんですか?」
彼の気持ちもつゆ知らず、風子は目をきらめかせる。
その表情は、ありふれたうら若き乙女と変わらない。
「だから、その理由を言いなよ。」
「私の友達にも、不死身の人がいるんです。彼は自分を殺してくれる人を求めてまして…」
風子は旅仲間の不死(アンデッド)、アンディのことを話す。
彼は数百年生き続け、そして自らを殺してくれる者を探していた。
彼女が旅仲間に選ばれたのも、自身の不運を活用出来れば死ねるのではないかと考えたからだ。
「あー、そういうことね。無理だわ。」
口元をニヒルに歪め、彼女の期待をにべもなく一蹴する。
当然、風子は笑顔から一転、驚いた表情になる。
「え?」
「一応聞いておくが、嬢ちゃんは『夜桜の血』とか『ソメイニン』なんてモノは知らないんだろ?」
彼が老いず、死なないのは夜桜家初代党首、夜桜つぼみから与えられたソメイニンがあるからだ。
「聞いたことさえ無いですね。」
「じゃあ、その不死身クンは俺の専門外だ。生かすも殺すも出来やしねーよ。」
不老不死の伝説は洋の東西を問わず言い伝えられてはいるが、そのタネはそれぞれ異なっていた。
同じように、風子の仲間と自分の不死のからくりは、同じである可能性は低いと考えた。
皮下の不死のタネが、アンディに応用出来ないと分かり、口元を残念そうに歪める風子。
「おいおい、勝手に期待しておいて、勝手に落ち込まないでくれよな。」
夜桜の婿といい、このお嬢ちゃんといい、どうして些細なことで一喜一憂するのかと疑問に思う。
「いえ、別に落ち込んだわけじゃないです。」
「なら良かった。俺は嬢ちゃんの手伝いをするとは言ったが、慣れ合うつもりはないからな。
お友達の死なせ方を探している間に、自分がぽっくり逝かないように気を付けなよ。」
「大丈夫ですよ。こう見えても死線はそれなりに潜ってますから。」
「そーかい。なら頑張れよ。」
言っていることは苦労しらずの娘そのもの、だというのに不死身の仲間との命がけの冒険を経験している。
それがハッタリや作り話ではないのは分かっていたが、だからこそ付き合い辛く感じた。
それからしばらく、無言の時が続いた。
辺りの風景が森から、木造の建物が立ち並ぶ里に変わる。
2人は病院に向かうついでに、この場所にも参加者がいるかもしれないと思って寄ることにした。
しばらく歩くと、杉やヒノキで作られた和風の建物の香りが、二人の鼻に入りこんでくる。
その木材の匂いの中に、温泉の硫黄の匂いが混ざる。
樹ばかりだった森から風景は一変。一昔前の日本を彷彿とさせる木造家屋が立ち並ぶ。
その家々から吊り下げられた提灯や行灯から漏れ出る光が、レトロな雰囲気に一躍買っている。
観光客がいないことを除けば、雰囲気はまるでひなびた温泉街のようだ。
風子としては歴史の教科書で読んだ昔の日本の街並みに。
皮下としては、自分が隠れ家として使っていた白骨島の地上部に似ていると思っていた。
刀鍛冶の里を歩く二人は、観光地を闊歩する若き男女のように見える。
だが、ぺちゃくちゃと談笑するはずの男女二人は、沈黙を貫いたままだった。
そして、誰が付けたか分からない行灯や提灯が照らしている場所を、避けながら歩いている。
この場は殺し合いの会場。
すぐ隣にある建物から、敵が襲ってきてもおかしくないからだ。
〇
場所は変わり、刀鍛冶の里の奥。
(しまった!)
入浴を済ませ、氷月を拘束した場所に戻った緑谷出久は、自分の判断が間違っていたことに気付いた。
そこには拘束していたはずの氷月はおらず、切れた布が置いてあっただけ。
自分の腕力で解いたのか、それとも何か奥の手を隠し持っていたのか。
だが、彼の脳裏に、最悪のパターンが思い浮かぶ。
心臓が高鳴る。
彼が一番危惧したのは、誰かが善意で氷月の拘束を解いた場合だ。
その場合は、氷月は良かれと思ってやった相手を殺すだろう。
槍は奪っているが、助けた人物の支給品を奪って、助けた相手を殺すかもしれない。
そうなったら自分のせいだ。
氷月の言葉に耳を傾け、僅かな間だからと汚れを取ったりしていたからだ。
(まだ遠くへは行ってないはずだ、探さないと!!)
あの男は個性は持ってはいない様子だったので、死柄木やトガヒミコといった連中よりかは恐れる必要はない。
勿論、この殺し合いに参加させられている爆豪や轟が出くわしても、脅威になるとは思えない。
逆に、個性を持たぬ者、出久らヒーローが守らねばならぬ者にとっては脅威になる。
彼は身体を拭くのも中途半端に、コスチュームを身に包み、すぐに温泉から離れた。
逃げた相手を捕まえようと、闇夜の温泉街を走り回る。
その頬からは、汗が流れていた。
(どうする……1軒1軒調べていくしかないのか?)
辺りに建物が林立しているのを見て絶望した。
これじゃどこに隠れているか分からないし、ここではなく森の方に逃げたかもしれない。
個性を使えば前時代的な建物など簡単に蹴り壊して炙り出すことも出来るが、別の人が隠れていた場合、誤って殺してしまうかもしれない。
「すいません!誰かいませんか!!」
最悪、敵を呼び寄せてしまうことも覚悟で、大声で叫ぶ。
しかし彼の視界に飛び込んできたのは、予想とは異なる二人組だった。
「おいおい、そんなに騒いでどうしたんだよ、道に500円玉でも落ちてたか?」
「いえ……違うと思います。」
街の角から現れたのは、二人組の男女。
幸いなことに誰かと争った様子は無いが、一応追いかけている人のことを聞くことにした。
「あの…「すいません!こう背が高くて、白髪の人、見ませんでした?」
赤いニット帽の少女の質問を遮り、出久の方が先に質問する形となる。
「え?俺も背が高くて白髪なんだが、お前と喧嘩なんかしたっけ?」
氷月に逃げられたことで焦る出久に対し、男の方がどこか力の抜けた様子で答える。
確かに出久が言った特徴だけ纏めれば、氷月と皮下の共通点だ。
「いやあの……違います!どちらかと言うとあなたとは違ってストレートで……そうだ。黒いマスクを付けてました。確か氷月って名前なんですけど……。」
頭の中で氷月の特徴を述べていく。
少女と青年は顔を見合わせて、誰だろうといった表情を浮かべる。
「俺が会ったのはこっちのお嬢ちゃんだけだ。とりあえず、そいつと何があったのか俺達に教えてほしいぜ。」
皮下の飄々とした態度は、どこか近寄りがたい雰囲気を醸し出していたが、少なくとも話して損は無いと考え、経緯を話すことにした。
こうしている間に、氷月とはどんどん距離を離されてしまうが、闇雲に辺りを探るぐらいなら、ここは情報交換をすべきだと考えた。
先程と異なり、ワン・フォー・オールの危機感知が反応することもない。
■
一度会話することにしてみると、風子と皮下、そして出久の3人の情報交換は問題なく行われた。
最初は互いの名前から始まり、そこから出久は氷月という殺し合いに乗った人物と出会った話をした。
「二人とも気を付けてください。この通り武器は奪いましたが、また誰かを襲おうとしていると思います。」
出久は彼から奪った大戦槍を見せながら説明する。
「へえ、坊ちゃん、そんなデカい槍を持った相手を良く倒せたな。何か手品でも使ったか?」
皮下は殺し合いに乗った者がいるということより、出久に何か持っているのが気がかりだった。
既に風子から不死の力を持った人物の話を聞いていたので、この殺し合いの参加者の多くは何かの能力の持ち主だと考えていた。
その流れで、互いに何があるのか話そうとした。
「はい。僕の“個性”のことなんですが……。」
氷月には、殺意を向けられていたから自身の個性については話をしなかった。
だがこの2人からはそのような物は向けられていないので、明かそうとした。
「いや、詳しく説明しなくていいぜ。要はソイツを倒せる力があるってことを知れただけで十分だ。」
「「え?」」
出久だけではなく、風子も驚いた。
「こんな世界だ。あんまり能力をヒトに教えない方がいいんじゃないか?」
「いえ……あ、はい。」
非常に理にかなった言い方だ。
自分の個性に、敵の殺意を察知できるものがあるから問題ない、と言おうとしたがやめておいた。
自分は氷月を追いかけたいし、わざわざそんなことで話を長くするのは良くないと思った。
続いて話し合うのは、それぞれの関係者。
「皮下さんの知り合いは、全員信用していいんですか?」
「ああ、何人かはちとコミュニケーションに難ありだが、殺し合いに乗ってない者をいきなり殺そうとしたりはしないだろうよ。」
確かに皮下の敵ではあったが、夜桜家の者達は殺し合いに乗るような人間ではない。
自分以外の第三者ならば、手を組むことも十分可能だと考えた上で、彼らを紹介した。
自分とどういう関係なのかは伏せたが。
一方で出久、風子の知り合いは殺し合いに乗った可能性の者が多い。
出久が生まれ育った個性社会を荒らそうとする敵(ヴィラン)の死柄木、トガヒミコ、マスキュラー、ステイン。
「この2人、爆豪と轟って人は僕のクラスメイトです。こっちのエンデヴァーさんも殺し合いに乗るような人じゃありません。
ですがこっちの4人には気を付けてください。」
一方で、風子も危険人物の名前を1人知っていた。
戦いを極める為ならば、他人を殺すことさえも厭わないファン。
彼はシェンの力を見極めるために彼の妹を殺し、そして自分も殺されそうになった。
協調よりも自らの目的を良しとする彼は、自分達3人と相容れない可能性が非常に高い。
「アンディとシェンさんとリップ、それとこの辺りで出会った真人さんって人は、緑谷君の力になってくれると思います。
けれど、このファンって人には気を付けてね。」
「教えてくれてありがとうございます。」
出会ったら倒すべき相手を事前に教えてもらい、風子に感謝する、
「個性社会に……否定者。ヒーローに敵連合に否定者狩り。次々知らねえ言葉が聞こえてくるな。
長生きはしてみるもんだぜ。」
108の年を生きた皮下でさえ、風子と出久の話は驚くべき話だった。
互いの情報の交換が終わり、そろそろ移動を始めようとする。
「緑谷さんは一緒に行かなくていいんですか?」
「はい。俺は氷月を捕まえようと思います。いっしょにいけなくてすいません。」
3人揃っての移動ではなく、出久は氷月や真人を探し、風子達は病院へ向かおうとする。
皮下や風子としては、頼れる仲間が1人でもいてくれればありがたいが、彼としては逃がしてしまった氷月を探したかった。
自分のせいで逃がしてしまった悪をのさばらしておくのは、自分のヒーローとしての矜持に反する行いだ。
それに、この殺し合いでも怖気づいた様子が見られないことから、皮下先生も風子も守られずとも自分の命を守れると考えた。
それに、彼の近くにいる可能性もある、真人という参加者も気がかりだった。
より多くの参加者を集めることを考えても、3人は2人と1人にばらけて移動することにした。
「ま、キリがいいとこまでヒーロー活動が出来たら、西側の病院に来なよ。」
「皮下先生も、ありがとうございます。」
出久は早速、風子達に背を向けて走り出す。
【B-5/刀鍛冶の里出口(東側)/1日目・黎明】
【緑谷出久@僕のヒーローアカデミア】
[状態]:焦燥(大) 目の周りにくま
[装備]:傷、血、泥のコスチューム@僕のヒーローアカデミア、ミッドガンドレット@僕のヒーローアカデミア
[道具]:基本支給品一式×2(氷月の含む)。ランダム支給品3(氷月の2つ含む) 大戦槍@ONE PIECE
[思考]
基本:袈裟の男による殺し合いの打破と死柄木並びにいるであろうオール・フォー・ワンを止める
1:逃げた氷月を探して、再度捕まえる。
2:一刻も早く死柄木を探し出して止める
3:トガヒミコ/マスキュラー/ステインも同様に探し出して止める
4:かっちゃんに轟君とはできたら顔を合わせたくないな……
5:エンデヴァーさんもいるのか……
6:目的を達成したら、西側の病院に行き、皮下たちと合流する。
[備考]
※参戦時期はNO316話後~NO317前。
※個性が日常ではない世界があることを知りました。
※名簿には載っていませんが、オール・フォー・ワンがいるのではと推測しています。
※皮下から夜桜家の者は安全、風子からはアンディ、シェン、リップ、真人は安全だという情報を得ました。
「行っちまったねえ……。」
皮下は出久の姿が見えなくなると呟く。
そもそも会話をしている間から、緑谷出久という少年は一刻も早く走りだしたそうにしていた。
とにもかくにも、エネルギーを感じさせる若者だった。
「私達も病院に向かいましょう。」
そして風子も東へと歩いていく。
彼女もまた、出久と同様に、若者特有の前へ前へといった意志が伝わって来た。
彼らに比べると、自分と言うのは油の切れたブリキ人形、はたまた葉っぱが全て落ちた枯れ木のようなものだと感じた。
「ところで、風子ちゃんよ。」
西へと歩く風子に、一つ思い浮かんだことを尋ねてみる。
「この世界の奴らが持ってる特異な能力で、嬢ちゃんのお友達を殺せると思うか?」
「……かもしれませんね。」
先の会話で、1つ気になったのが、出久から聞いた死柄木という男の個性。
触れた物を何でも灰のようにしてしまうという能力について、引っかかる所があった。
そもそも皮下は最初から、不死の力は羂索の根回しによって、奪われているか制限されていると考えていた。
そうでなければ、殺し合いというゲームのルール上、自分のような人間にとってのワンサイドゲームになってしまうからだ。
しかし出雲風子から否定者の話を聞かされ、緑谷出久から個性の話を聞かされると、不死の鎖を断ち切れるカギは羂索の力だけではないように思えて来た。
特別な力で、特別な力を壊す。
そして壊すのは参加者だけではない。羂索を倒せる力も、この殺し合いの世界にはあるかもしれない。
「もしこの世界で、そんな力を持つ人がいたとしても、彼は頼まないと思います。」
「えらく信頼しているんだな。どうしてそうだと言える?」
「それは………あんまり他人の関係に首を突っ込まないでくださいよ!」
急に顔を赤くして、皮下の質問を拒絶する風子。
「あーそう……何かすまないな。」
どうにもこの風子という少女は付き合いづらいと思っていたが、とりあえず謝ることにした。
恐らく、自分の力で殺してあげると言ったのだろう。あるいは、相手の方がその力で殺してくれと言ったのか。
しかし、皮下も風子も、この時はまだ知らなかった。
風子の旅仲間の不死の鎖は、既に断ち切られていることに。
【出雲風子@アンデッドアンラック】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ナイフ、ランダム支給品1
[思考]
基本:殺し合いには乗らない。
1:アンディやみんなを探す。
2:あの人(真人)、一体何だったんだろう……?
3:皮下さんにも協力してもらう。死んでほしくはない。
[備考]
※参戦時期は最低でもUNDER側に向かった後
※緑谷出久からヒーロー社会、および敵連合とその個性の内容のことを知りました。
※氷月という殺し合いに乗った者がいることを知りました
【皮下真@夜桜さんちの大作戦】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品2
[思考]
基本:必死こいて生きる理由もない。が…
1.とりあえず西側の病院へ向かい、そこを拠点に参加者を集める。
2:死滅跳躍に加担するつもりはない。
3:風子に同行する。馬鹿げたお人好しだな、この嬢ちゃんは。
4:夜桜の連中は…会いたくねえなー。百パー揉めるもんなー。
[備考]
※死亡後からの参戦です。
※緑谷出久からヒーロー社会、および敵連合とその個性の内容のことを知りました。
※氷月という殺し合いに乗った者がいることを知りました
最終更新:2025年08月11日 22:06