財政学
財政全般
アダムスミス - 自由放任主義
- 政府の活動は限定されている方が望ましい
- 財政の規模を小さくして、経済の効率性を高める。
- 国家の役割は、防衛や治安の維持などに限定
ワグナー - 経費膨張の法則
ピーコックとワイズマン - 転移効果
- 戦争などの特殊な事情を契機として経費が飛躍的に増加し、その後も経費が高水準を維持し続ける。
マスグレイブ - 財政の3機能
- 資源配分機能
- 所得再分配機能
- 経済安定化機能
資源配分機能
- 公共財(非競合性、排除不可能性)
- 外部経済
所得再分配機能
- 歳入面の政策:税制(累進所得税、相続税など)
- 歳出面の政策:介護・福祉サービス、社会保険、住宅政策、輸入規制など
経済安定化機能
- フィスカルポリシー(裁量的財政政策)
- 不況期の減税や公共事業の増加、好況期の増税や公共事業の減少
- ビルト・イン・スタビライザー(自動安定化機能)
- 累進所得税制度
一般会計 (約82兆円)
- 一般会計=一般歳出+国債費+地方港税交付金等
- 国債費と地方交付税交付金等は支出が義務付けられている。
- 一般歳出の中では、社会保障関係費が最も大きな割合を占める。次いで公共事業関係費。
小さな政府
- ニューディール政策(ルーズベルト)
- レーガノミクス(レーガン)
- ビバリッジ報告→サッチャリズム
国民負担率
日本:35.9%
アメリカ:35.9%
イギリス:51.2%
ドイツ:56.5%
フランス:64.8%
- 日本はアメリカに比べ社会保障負担率が高い。
- フランスがたかーい!わー!
日本の財政規模推移
戦後:均衡予算の原則
1965年:「40年不況」
1973年:福祉元年
1980年:財政再建と行政改革推進
1990年:1975年から15年続いた赤字国債の発行が、当初予算でゼロに
1991年:バブル経済崩壊
財政赤字の拡大による問題点
- クラウディング・アウト
公債の発行により金利が上昇。このため民間企業が資金調達を行う際の金利が高くなり、投資が抑制される。
このように、公的部門の支出が民間部門の支出を押し出すことをクラウディング・アウトという。
公債の発行と同時に金融緩和
→インフレが発生
財政の持続可能性(サステナビリティ)
→将来的には政府は借金を返せなくなる(デフォルト)?
- 世代間の不公平
- 財政の硬直化
予算の歳出のうち過去に発行した公債の償還に充てられる割合が高くなり、政策を実現するためのお金が少なくなること。
↑
プライマリー・バランス
プライマリー・バランス
- ある年度の国債発行額を、歳出予算のうちの利払い費と元本償還費の範囲内に抑えることにより、財政の硬直化を食い止めようとするもの。
- 2010年代初頭におけるプライマリー・バランスの黒字化が目指されている。
財政構造改革
1997年:財政構造改革元年。財政構造改革法制定。
1998年:財政構造改革法凍結。
2002年:「国債発行30兆円以下」という方針(小泉内閣)
各国の財政改革
- アメリカ
1993年:包括財政調整法(OBRA93) クリントン政権
- 増税などの歳入増加策、医療給付費削減などの歳出抑制策
1998年:29年ぶりに財政収支黒字化
ブッシュ政権の大型減税
- 2002年に財政収支は赤字に転落
- イギリス
ブレア政権-3年間の公共支出計画(1999-2001)
- 1998年財政収支黒字に
- 2002年、再び赤字に
予算制度
日本の予算は、一般会計予算、特別会計予算、政府関係機関予算の3つに分かれている。
- 全て国会の議決が必要
経費の分類
- 主要経費別分類:社会保障関係費、公共事業関係費など。
政府の重点政策の明確化 - 目的別分類:産業経済費、教育文化費など
歴史的比較に有効 - 所管省庁別分類
- 使途別分類:人件費、物件費など
- 経済効果別分類:移転的経費、非移転的経費など
予算原則
単一性の原則
ノン・アフェクタシオンの原則
予算の収入と支出の関係に着目し、特定の収入を特定の支出に充てることを禁じる原則
完全性の原則
収入と支出はすべて予算に計上されるべき
限定性の原則
- 質的限定性
予算の項目間で資金の融通をすることを禁じること例外.移転や流用
- 量的限定性
予算を超える支出や予算外の支出を禁じること
- 時間的限定性
予算単年度主義、会計年度独立の原則予算単年度主義の例外:継続費・国庫債務負担行為
会計年度独立の原則の例外:繰越明許費
明瞭性の原則
厳密性の原則
事前性の原則
公開性の原則
予算の内容
継続費
- 完成に数年度を要するものについて、国会の議決を経て、数年度にわたり支出をするもの
- 予算単年度主義の例外
- 期限は5ヵ年度以内に限定されている
- かつては公共事業に活用されていたが、現在は防衛費に活用されている。
- 工事・製造など特定の事業に限定
繰越明許費
- 年度内に支出が終わらないと見込まれるものについて、あらかじめ国会の議決を経て、翌年度に繰越して使用することができる経費。
- 会計年度独立の原則の例外
- 公共事業が大きな割合を占める
国庫債務負担行為
- 実際の支出は数年度にわたるものであっても、発注契約や賃借契約は初年度に行わなければならない場合、国会の議決を経て、債務を負担すること。
- 初年度に全額債務負担
- 年度ごとに歳出予算に計上して議決を経なければならない。
予算の編成
財務省主計局が各省庁から概算要求を受ける
↓
経済財政諮問会議
↓
復活折衝
↓
衆議院に提出・審議→参議員に→意見が一致しない場合両院協議会→それでも不一致なら衆議院の議決が国会の議決に
↓
経済財政諮問会議
↓
復活折衝
↓
衆議院に提出・審議→参議員に→意見が一致しない場合両院協議会→それでも不一致なら衆議院の議決が国会の議決に
- 暫定予算は本予算が成立すると将来に向けて失効し、本予算に吸収される。
- 移用:「項」と「項」の間で資金を融通すること。
国会の議決を経て、財務大臣の承認を得て移用できる。 - 流用:「目」と「目」の間で資金を融通すること。財務大臣の承認を得て流用することができる。
予備費
- 1度予算として成立すれば、内閣の責任をもって支出できるが、事後に国会の承認を求めなければならない。
- 地方公共団体の場合は、必ず予備費を設けなければならない。その使用は長の権限で行いうる。
政府と国会の関係
| 事前の承認 | 事後の承認 | |
| 本予算 暫定予算 |
○ | × |
| 繰越明許費 | ○ | × |
| 予備費の使用 | × | ○ |
| 移用 | ○ | × |
| 流用 | × | × |
社会保障制度
社会保障制度=公的扶助+社会福祉+社会保険+公衆衛生
公的年金制度
- 1961年、国民皆年金が確立。
- 1973年、福祉元年。「物価スライド制」が導入される。
自営業者:国民年金+国民年金基金(任意加入)
民間サラリーマン:国民年金+厚生年金(強制加入)
公務員:国民年金+共済年金(強制加入)
民間サラリーマン:国民年金+厚生年金(強制加入)
公務員:国民年金+共済年金(強制加入)
医療保険制度
- 1961年、国民皆保険確立。
「被用者保険」と「地域保険」
75歳以上の高齢者:老人保健制度の対象。
75歳以上の高齢者:老人保健制度の対象。
介護保険制度
- 2000年、介護保険制度創設。
- 2000-2004年度までの5ヵ年計画として、高齢者保健福祉施設の方向が策定(ゴールドプラン21)された。
少子化対策
- 1999年「少子化対策推進基本法」
- 新エンゼルプラン:保育サービスの充実などが計画的に進められている。
年金制度の改革
- 2000年の制度改正
- 厚生年金の給付水準の5%適正化
- 裁定後の年金額に対する賃金スライドの廃止
- 厚生年金の支給開始年齢の引き上げ
- 60歳代後半の在職老齢年金の導入
医療保険制度の改革
- 2002年の制度改正
- それまで2割であった被用者保険の自己負担率を3割に引き上げ
国債
超長期国債(15~30年)
長期国債(10年)
中期国債(2~5年)
短期国債(6ヶ月~1年)
長期国債(10年)
中期国債(2~5年)
短期国債(6ヶ月~1年)
政府短期証券(13週間)
建設国債:財政法4条1項に基づき発行する国債
特例国債(赤字国債):歳入不足を補うために、特例国際法に基づき発行する国債
特例国債(赤字国債):歳入不足を補うために、特例国際法に基づき発行する国債
償還期限が10年の長期利付国債が最も大きな割合を占める。
債権の形態
利付国債:償還期限までに定期的に支払いを約束
割引国債:償還期限までの利子相当額をあらかじめ額面金額から差し引いて発行
利付国債:償還期限までに定期的に支払いを約束
割引国債:償還期限までの利子相当額をあらかじめ額面金額から差し引いて発行
2003年、個人向け国債が発行される(償還期限10年)
2004年、物価上昇率に応じて元利払いの額が変動する物価連動国債の発行が予定される
2004年、物価上昇率に応じて元利払いの額が変動する物価連動国債の発行が予定される
国債発行の原則
建設国債の原則
- 公共事業等の財源を賄う場合にのみ国債を発行できるという原則。
- 建設国債を発行してもなお、歳入不足が見込まれる場合に、会計年度ごとに立法手続を経ることにより、初めて特例国債を発行できる。
市中消化の原則
- 財政法5条では、新規に発行された国債を日銀が買い取ることを禁止している。
- ただし、一度、企業や個人が買い取った国債を日銀が買い取ることは可能。
- 政府短期証券は、日銀も新規に引き受けることができる。
- さらに特段な理由がある場合、国会の議決を経た金額の範囲内で、日銀による国債引受が認められている。
- これを受けて、日銀が保有している国債の償還分に対応する借換債の引き受けが認められている。これを乗換えとよぶ。
国債の発行方式
- シ団引受方式
- 公募入札方式
財政投融資
- 財政投融資は有償資金
- 財政投融資計画は、国会の審議・議決を受ける。
郵便貯金・年金積立金の預託義務の廃止
→2001年からは、直接金融市場を通じて自主運用を行うこととされた。
→2001年からは、直接金融市場を通じて自主運用を行うこととされた。
財投機関の資金調達方法の改革
- 財投機関は、資金を財投機関債を発行して調達すべきとされる。
- 政府保証債の発行が限定的に認められている。
- 財投債資金による融資。
地方予算制度
地方財政計画
ポイント
- 地方財政の規模は国の一般会計を上回っている
- 地方交付税交付金を通じて国から地方への大規模な財政移転が行われている
- 2の財政移転は、交付税および譲与税配布金特別会計を通じて行われている
所得再分配と経済安定化
- 地方はマネーサプライをコントロールするなどの金融政策を実施できない。
- 減税や公共投資などの財政政策を行ったとしても、その効果は他の地域に漏れてしまう。
↓
- 所得再分配政策と経済安定化政策は国の政策として全国的に統一して実施される必要がある。
資源配分
- 公共財の供給といった資源配分機能は、地方自治体が中心的役割を担う(地方公共財)。
- 公共財の供給量は、それぞれの地域住民の好みに応じて決定する方が、効率的な供給量が実現される(オーツの「地方分権定理」)
- 住民は自分の好みに合った公共財を供給する地域に移り住み、公共財による便益を高めることができる。さらに各地域間で公共財の供給において競争が生まれ、その結果より効率的な資源配分が実現される(チボーの「足による投票」)
国から地方への財政移転
地方交付税:使途は限定しない
国庫支出金:使途を限定する
地方譲与税:本来、地方の財源となる税を、経済合理性などのために国税として集め、一定の基準に基づき地方に譲与するもの。使途は限定されない。
国庫支出金:使途を限定する
地方譲与税:本来、地方の財源となる税を、経済合理性などのために国税として集め、一定の基準に基づき地方に譲与するもの。使途は限定されない。
地方交付税の経緯
- 戦前:地方分与税制度
- 1948年:地方配布税と改称
- シャウプ税制使節団が、地方配布税の問題点を指摘し廃止。
地方財政平衡交付金制度を導入。
地方交付税の算定
- 交付税率
所得税・酒税 32.8%
法人税 35.8%
消費税 29.5%
タバコ税 25%
94%は普通交付税、6%は特別交付税
普通交付税≒財源不足額=基準財政需要額-基準財政収入額
- 基準財政収入額が基準財政需要額を上回る地方公共団体に対しては普通交付税は交付されない。
- このような地方公共団体を不交付団体という。
地方の財政支出
普通会計と公営事業会計
一般会計 → 普通会計 → 地方財政計画
↑
特別会計 → 公営事業会計
一般会計 → 普通会計 → 地方財政計画
↑
特別会計 → 公営事業会計
- 地方財政計画の歳出の分類では、給与関係費、投資的経費、一般行政経費、公債費の4項目が大きな割合を占める。
- 投資的経費とは、道路、公園、学校などの社会資本の整備に要する経費。
- 国直轄事業負担金
- 補助事業費
- 単独事業費
- に区分される。近年では単独事業費が最も大きい。
- 給与関係費は義務的経費。
- 地方債の発行が認められるのは、新たに大規模な事業を行う場合、臨時に災害復旧作業を行う場合などに限定されている。
- 指針は地方債計画。
- 地方債発行にあたっては、都道府県および政令指定都市は総務大臣の許可、市町村は都道府県知事の許可が必要。
- しかし、この許可制は地方分権一括法により、2006年度からは事前協議制に
地方財政と地方分権
自主財源と依存財源
自主財源:地方税、使用料、手数料など
依存財源:地方交付税、地方譲与税、国庫支出金など
依存財源:地方交付税、地方譲与税、国庫支出金など
一般財源と特定財源
一般財源:地方公共団体が自由に使用できる財源
- 地方税、地方交付税、地方譲与税、地方特例交付金
特定財源:使途が特定されている財源
- 国庫支出金、地方債、目的税など
| 一般財源 | 特定財源 | |
| 自主財源 | 地方税 | 使用料・手数料 |
| 依存財源 | 地方交付税 地方譲与税 地方特例交付金 |
国庫支出金 地方債 |
2000年、地方分権一括法により、機関委任事務が廃止された。