SS, コピペ一覧/譲れない、もの - 【オリウマ】サクラグローリアを語るスレ@wiki

ベリザーナは激怒した
必ず、かの邪智暴虐のウマ娘を懲らしめねばならぬと決意した
ベリザーナには勉強がわからぬ
ベリザーナは元競争ウマ娘である
トレーニングを積み、レースに明け暮れて暮らしてきた
けれども約束を守る事に関しては人一倍に敏感であった」(走れウマスより)

『譲れない、もの』

皆さんこんにちは、プラネットセブンです
今私はトレセン学園のカフェテリアの床に正座させられています
リノリウムの床の冷たさが膝に染み入ります
そして私がこんな事になっている理由は、

「何を呆けておるか」
全身から怒りのオーラを垂れ流しにしたリザが仁王立ちして私を睨み付けているからです…

「ネットよ、汝には失望したぞ」
リザがもの凄く冷たい視線で私を見下ろしながら話しはじめました

「汝は我にサブトレーナーになれと懇願したときの事については忘れておらぬよな」
もちろんです、競争ウマ娘人生を賭けた一世一代の博打でしたから

「ならばその時我の告げた内容も覚えておろう
汝は我のトレーナー修行のモルモットに志願した
故にモルモットが前言を翻して逃げ出すようなことは認められぬ」
むちゃくちゃな言い分だとは思いますがそれを受け入れた私にも非があるので言い返せません

「で、何故に我の用意したメニューから逃げ出すような真似をしたのだ
我は汝のトレーナーとの協議の末、汝を強くするための理想的なメニューを完成させた
それは汝にも解っているはずだ」
トレーナーさんとリザの用意してくれたメニューは確かに効率を完璧に突き詰めたものでした
二人が私のためを思って粉骨砕身組み上げてくれたモノだと言うことは間違いありません

「汝が契約を忘れておらぬ事はわかった
なればこそ、納得できぬ
誰よりも速く、強くなるために汝はあのメニューを欲したのではなかったのか？」
確かにあのメニューは私の肉体改造のためのものとしては完璧でした、一つを除いては

「あり得ぬ！あのメニューは最新のデータと汝の肉体の変化に基づいて組まれた完璧なメニューだ！」
あのメニューが完璧である事は間違いないんです
アレが私を速くするための最適のメニューだと言うことは解っているんです
でも！私にはどうしてもアレだけは耐えられない！！

「己の我が儘で我等の組み上げた至高のメニューを無駄にするだと！？
汝は聞き分けのない童かあ！！」
私が悪いことは承知の上です！！
でも、アレだけは勘弁して下さい！！
一日5食の毎食後のロイヤルビタージュース一気飲みだけは！！！

「だからそれが童の理屈でしかないと言っておるのだ！！
我等の改造した至高のロイヤルビタージュースの何が不満だ！
汝に合わせた栄養価の調整、内蔵への負荷の軽減、筋肉の超回復の効率改善と論文にして発表できる完成度だと汝のトレーナーからもみとめられているのだぞ！！」
味に不満があるに決まってじゃないですかこの厨二病患者！！
効率が良いからってあんなもの毎食後に飲まされるコッチの身にもなって下さいよ！！
何を食べた後でもアレが来ると口の中が雑草と〇露丸の味しかしなくなるんです！！
しかも歯磨きや口臭対策をどれだけやっても臭いが消えないし！！
あんなもの飲んでトレーニングへのモチベーション保てと言う方が無茶ですよ！！

「ええい聞き分けのない！！
筋力増加のためのタンパク質増強メニューは内蔵負荷がキツいからあれが必須だと説明してあるだろうが！！」
ならアレがなくても大丈夫な程度に内蔵負荷の収まるメニュー開発して下さい！！
それがトレーナーの腕の見せどころってもんでしょう！！？？
それともアナタじゃあれ以上改善するのはムリなんですか？
厳しいトレーニングに励むウマ娘のモチベーションを下げるような食事しか用意できない！
アナタはその程度のトレーナーにしかなれないと自分で認めるんですね？！
このヘボサブトレーナー！

「言うに事欠いて逆ギレかこのポンコツがあぁ！！？？」

危うくつかみ合いが始まりそうになったその時

「お前達！公共のカフェテリアで何を騒いでいる！！」
エアグルーヴ先輩が割って入って来られました

「「だってコイツが悪いんですよ！(のであるぞ！)」」
「よし、話は生徒会室で聞いてやる貴様ら
これ以上周りに迷惑をかけるな」
心底面倒くさそうな顔をしたエアグルーヴ先輩に連行された私達が、事の経緯をルドルフ会長に説明し終わった後、私達にかけられたのは単純な一言でした

「唇歯輔車（しんしほしゃ）、トレーナーとウマ娘はお互いに助け合い、目標に邁進してこそだろう
不満があるとは言え互いに相手の言い分を聞かずにいてどうするのだ
君達は強くなるために協力しているのだろう？」
ルドルフ会長のお言葉が沁みますが、食事全てが拷問になる今の生活の辛さを何とかしてほしいのは変わりません

「ねえ、ちょっと良い？」
その時、横で呆れた顔で私達の話を聞いていたトウカイテイオーさんが言ってくれた一言がなければ、私達はまた大喧嘩を始めていたでしょう

「という経緯がありまして、私は毎食後にこのミックスジュースを飲んでるんです、ミホノブルボンさん」
「理解しました、筋力増加メニューによる内蔵負荷の軽減、私もマスターに進言してみようと思います」
「あの時のネットちゃんとベリザーナちゃんの剣幕と、解決したときの気の抜けた顔のギャップは凄かったモンネー」
「そんなにでしたか？トウカイテイオーさん」
「もーホント二人揃ってFXで全財産溶かしたみたいな顔をしてたよ」
「理解不能、それはどのような表情なのですか…？」

ミホノブルボンさんに先日の恥ずかしい騒動の内容を尋ねられ、トウカイテイオーさんと共に説明していたところ、私に声がかかりました

「ネットよ、食後のサプリとシャーベットであるぞ」
「はい、いつもありがとうリザ」
リザから食後のシャーベットを受け取ります
あの時トウカイテイオーさんに言われた一言

『そんなに飲むのが辛いなら小分けで凍らせて、クスリみたいに味わう前に飲み込んじゃえば良いじゃん
練習前のロイヤルビタージュースみたいに生じゃないと意味が無い訳じゃないんでしょ？』

確かにそう言われたときのリザの顔はなんとも言えない虚脱感に満ちていました、おそらくは私も

その後トレーナーとリザとの相談の結果、凍らせると栄養価の落ちる果物類は搾ってジュースにして、
野菜、サプリメント類はミキサーにかけた後に一口サイズのシャーベットにして
必要個数を水で飲み込む事で栄養を補給するようになりました
おかげさまであの拷問のような食事から解放されて最近はトレーニングも絶好調です
トウカイテイオーさんにはいくら感謝しても足りません

「で、ネットよ、すまぬが悪い報せがある」
「どうしたの、リザ？」
「トレーナー室の冷蔵庫が壊れた
このシャーベットは今日だけムリを言ってカフェテリアの厨房で凍らせて貰ったものだ」
…冷蔵庫が、壊れた…？
「つまり明日から冷蔵庫が修理を終えて返ってくる来週までは、またジュースに逆戻りだ」

ミホノブルボンさん曰く
「あの時のプラネットセブンさんはFXで全財産溶かしたような顔をしていました」とのことでした

「もうあの拷問は嫌あぁぁぁぁ！！？？」
「諦めろ」