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#contents(fromhere=true) ----- *「蒿里行」 関東有義士,興兵討群凶。初期会盟津,乃心在咸陽。 軍合力不斉,躊躇而雁行。勢利使人争,嗣還自相戕。 淮南弟稱號,刻璽於北方。鎧甲生蟣蝨,萬姓以死亡。 白骨露於野,千里無雞鳴。生民百遺一,念之斷人腸。 **てけとー訳:蒿里行 関東に義士あり、兵を興し群凶を討つ 初め盟津に会うを約束す、すなわち心は咸陽に在り 軍合流するも力揃わず、ためらいて雁行の陣のよう 権勢利欲は人を争わせ その後還ればおのずと乱れ相そこなう 淮南の弟は帝号をとなえ、(兄は)北方において璽を刻む 鎧甲にシラミは跳ね 萬姓もって死にたえる 白骨野において露となり、千里のはざまに鳴く鶏は無く 百いた生民も一を遺すのみ、思うにつけ心は痛む ----- *「却東西門行」 鴻雁出塞北,乃在無人郷。 舉翅萬餘里,行止自成行。冬節食南稻,春日復北翔。 田中有轉蓬,隨風遠飄揚。長與故根絶,萬歳不相當。 奈何此征夫,安得驅四方! 戎馬不解鞍,鎧甲不離傍。冉冉老將至,何時返故郷? 神龍藏深泉,猛獸歩高岡。狐死歸首丘,故郷安可忘。 **てけと訳:却東西門行 鴻雁塞北に出でて すなわち無人の郷に在り 翅を広げ万里を超え 行き戻りては再び出征す 冬の季節に南稲を食し 春日のなかを北へと翔る 田んぼの中を転がる蓬 風にしたがって遠く高く流離う 長く元の根と離れ 万の歳が過ぎても相合えぬ 此の兵士をいかにせん 四方を駆けるべき理想もなく 戎馬の鞍を解かず 鎧甲は傍を離れず 時は巡り老境に至り いつ故郷に帰れるか 神龍は深き泉にひそみ 猛獣は高き岡を歩く 狐も死すとき丘に首を向ける いかで忘れんふるさとを ----- *コメント:蒿里行、却東西門行 【蒿里行】 理想叶わず、戦乱が続くことを悲しむ詩。 志ある義人が集い反董卓連盟を組んだはずが、袁紹は偽の玉璽を彫らせ、袁術は偽帝を僭称し、民は百のうち一しか残らない。 【却東西門行】 故郷を懐かしむ志を詠んだ詩。 蒿里行で雁行とあるので、「鴻雁」も将軍と軍隊のたとえだと思われ。 蓬は兵士。西部劇でも転がる蓬玉が出てくる。 根っこ=家や家族から離され、年老いても帰れない。 これも蒼天航路で出たな、袁紹との官渡編。 ----- [[漢詩大会の漢詩全文/曹操]]インデックスに戻る
#contents(fromhere=true) ----- *「蒿里行」 関東有義士,興兵討群凶。初期会盟津,乃心在咸陽。 軍合力不斉,躊躇而雁行。勢利使人争,嗣還自相戕。 淮南弟稱號,刻璽於北方。鎧甲生蟣蝨,萬姓以死亡。 白骨露於野,千里無雞鳴。生民百遺一,念之斷人腸。 **てけとー訳:蒿里行 関東に義士あり、兵を興し群凶を討つ 初め盟津に会うを約束す、すなわち心は咸陽に在り 軍合流するも力揃わず、ためらいて雁行の陣のよう 権勢利欲は人を争わせ その後還ればおのずと乱れ相そこなう 淮南の弟は帝号をとなえ、(兄は)北方において璽を刻む 鎧甲にシラミは跳ね 萬姓もって死にたえる 白骨野において露となり、千里のはざまに鳴く鶏は無く 百いた生民も一を遺すのみ、思うにつけ心は痛む ----- *「却東西門行」 鴻雁出塞北,乃在無人郷。 舉翅萬餘里,行止自成行。冬節食南稻,春日復北翔。 田中有轉蓬,隨風遠飄揚。長與故根絶,萬歳不相當。 奈何此征夫,安得驅四方! 戎馬不解鞍,鎧甲不離傍。冉冉老將至,何時返故郷? 神龍藏深泉,猛獸歩高岡。狐死歸首丘,故郷安可忘。 **てけと訳:却東西門行 鴻雁塞北に出でて すなわち無人の郷に在り 翅を広げ万里を超え 行き戻りては再び出征す 冬の季節に南稲を食し 春日のなかを北へと翔る 田んぼの中を転がる蓬 風にしたがって遠く高く流離う 長く元の根と離れ 万の歳が過ぎても相合えぬ 此の兵士をいかにせん 四方を駆けるべき理想もなく 戎馬の鞍を解かず 鎧甲は傍を離れず 時は巡り老境に至り いつ故郷に帰れるか 神龍は深き泉にひそみ 猛獣は高き岡を歩く 狐も死すとき丘に首を向ける いかで忘れんふるさとを ----- *コメント:蒿里行、却東西門行 【蒿里行】 理想叶わず、戦乱が続くことを悲しむ詩。 志ある義人が集い反董卓連盟を組んだはずが、袁紹は偽の玉璽を彫らせ、袁術は偽帝を僭称し、民は百のうち一しか残らない。 蒿里は泰山の南(下)にある山。死んだ人の魂魄は、蒿里に帰るとされた。 死者へ手向ける鎮魂歌の一種。 【却東西門行】 故郷を懐かしむ志を詠んだ詩。 蒿里行で雁行とあるので、「鴻雁」も将軍と軍隊のたとえだと思われ。 蓬は兵士。西部劇でも転がる蓬玉が出てくる。 根っこ=家や家族から離され、年老いても帰れない。 これも蒼天航路で出たな、袁紹との官渡編。 ----- [[漢詩大会の漢詩全文/曹操]]インデックスに戻る

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