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送應氏(曹植) - (2012/05/28 (月) 08:46:37) の編集履歴(バックアップ)




原文

其一

歩登北芒阪,遙望洛陽山。
洛陽何寂寞,宮室盡燒焚。
垣牆皆頓擗,荊棘上參天。
不見舊耆老,但睹新少年。
側足無行徑,荒疇不復田。
遊子久不歸,不識陌與阡。
中野何蕭條,千里無人煙。
念我平常居,氣結不能言。

其二

清時難屢得,嘉會不可常。
天地無終極,人命若朝霜。
願得展嬿婉,我友之朔方。
親昵並集送,置酒此河陽。
中饋豈獨薄,賓飲不盡觴。
愛至望苦深,豈不愧中腸!
山川阻且遠,別促會日長。
願為比翼鳥,施翮起高翔。

訳「送應氏」

其の一

歩いて北芒の坂を登り 洛陽の山を遥かにのぞむ
洛陽の何と寂寞なこと 宮室は尽く焼焚してしまった
垣根も塀もみな崩れさり ただイバラが茂り天にのびる
街には元から住む古老は見えず ただ新参の若者だけを見る
避けようにも行ける径が無く 荒れた畝が耕され田んぼに戻ることもない
旅に出て久しく帰らぬ者は 今の道や通りを識ることもない
寂静なる荒野の中心から見渡せば 千里の果てにも民が暮らしを営む煙は無い
かっての住処は今いずこ 気がつまり言葉を失う

其の二

平和な時はしばしと得がたく 良き会合も常にあるものではない
天地に終極は無く 人の命は朝霜のごとし
安らかで素直な生活を共にしたいのに 我が友は北方に向かう
昵懇の友が並びつどい 送別の酒をこの河陽に置く
酒肴が一人だけ少ないのか 主賓の酒盃はいっこうに空く事がない
いつくしむゆえに私への望みも苦しく深く 君に報いえぬ我が身の情けなさ
険しい山河は我らを遠く隔てる 別れは迫り再会は長くのちのこと
願わくは君と比翼の鳥となり 翼を広げ起ち高く翔けたい


解説

【北芒】洛陽の北東にある山。墓地として名高い。
ここで引用したのは、昭明文選版。
ゲームだと其一ラストの「念我平常居、氣結不能言」が「念我平生親、気結不能言」になっている。
「曹子建集評注(世界書局)」でも「居」が「親」になっているので、素人ではどれが違うとは言えない。

関連?:
古詩十九首 其の五 西北有高樓
應(応)氏が「西北有高樓」のように清商曲を奏でたので、この詩を作ったのかもしれない。