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薤露 - (2013/02/12 (火) 21:25:19) のソース

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*原文
曲調:相和歌辭 相和曲
出典:《漢魏六朝百三名家集(国デジ)》/《古詩源(近デジ)》《楽府詩集(台湾)》、ここでは主に古詩源より引用

惟漢廿二世。所任誠不良。沐猴而冠帶。知小而謀強。
猶豫不敢斷。因狩執君王。白虹為貫日。己亦先受殃。

賊臣執國柄。殺主滅宇京。蕩覆帝基業。宗廟以燔喪。
播越西遷移。號泣而且行。瞻彼洛城郭。微子為哀傷。 
*てけとーな日本語
これ漢の二十二世。高位に任ぜられた人が、誠に悪く。
何進という猿は、衣冠を着て。知は小にして、謀が強い。
なお都にありて、楽しむだけで宦官を捕えず。狩によって君王を捕え離さず。
為に白虹は日を貫き。おのれがまず、わざわいを受けた。

賊臣、國柄を執り。主を殺して、ときの都を滅ぼした。
帝の基業は、うたかたの泡のように滅びて。宗廟は焼け壊れてしまった。
逃亡して、都を西に遷移し。號泣して、また西へ行く。
彼の洛城郭を瞻(み)て。微子、為に哀傷せり。 

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*単語解説
【廿二世】漢代の帝位は前後で二十三世、そのうち最後の献帝を除けば二十二になる。
以下《楽府詩集(台湾)》より
《詩紀》卷一一では「二十世」、《宋書樂志》では「二十二世」とある。
《樂府正義》では、「考世系當從《宋志》。但全詩五言句。作『二十世』者亦舉成數。未為不可也」。
黄節《魏武帝詩注》:「按石經。凡經傳中二十字皆作廾。然則此詩『二十二世』。當作『廾二世』也」
(「二十世」と「二十二世」の説もあるが、詩紀は五言句の文字数上「二十世」としたものと思われる。当時の「二十」は「廾(廿)」と書くのが一般的で、「廾二世」とするのが正しいと思われる)

【沐猴】
猿。何進のたとえ。史記-項羽本紀「楚人沐猴而冠耳」

【知小而謀強】易経繁辞「知小而謀大」

【不敢斷】敢て断せず。政敵を処断せず。

【白虹為貫日】《戦国策-魏策》。臣下の白刃が皇帝に迫る。
([[Weblio辞書>http://www.weblio.jp/content/%E7%99%BD%E8%99%B9%E6%97%A5%E3%82%92%E8%B2%AB%E3%81%8F]])
または《史記-鄒陽列伝》で始皇帝暗殺など、内乱が起こる兆候。
当時の天文では、有名な自然現象だったのだろう

【己亦先受殃】《古詩源(近デジ)》「何進が宦官に殺されたこと」

【賊臣執國柄】《古詩源(近デジ)》「董卓が小帝と皇后を殺したこと」
《楽府詩集(台湾)》の魏樂所奏では、この部分を「賊臣持(または執)國柄」とする。

【燔喪】焼け、毀れる。焼失。

【播越】逃亡。流浪。西の長安に逃げる。

【微子】
《古詩源(近デジ)》「曹操が自らを例えたもの」

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