再会した後の佐々木が俺に冷たいのは何故かと思いながら昼寝をしていた時のことだった
中学時代は優しかったよなー。何であんなに変わったのだろうか?今でもハルヒに比べれば充分優しいけど
「若い者が昼間からゴロゴロするな」
どっかのおっさんに怒鳴られて叩き起こされた。
おっさんは親父の会社の株主の一人で、最近マスコミがうるさいので俺の家に避難してきたらしい。
「何日か泊めてくれる友達いるだろ。行って来い」
異常にくつろげるということで俺の部屋が占領され、俺は追い出された。
「あんた、佐々木ちゃんの家に泊めてもらいなさい」
おいおい、佐々木は一応女だろ。俺の母親の倫理観はどうなっているんだ
佐々木の家にて
「実はコレコレシカジカで」
「なるほどね、それは面白い」
「面白くないぞ、そこで頼みが有るのだが」
「良いよ。君の頼みなら大歓迎だよ」キョンとお泊り、お泊り。やったー
「それは良かった。電話を貸してくれ」
「どうぞ」実家に電話するのだね。そうだ、今から準備しなくては。同じベットで寝るのはさすがにアレだから客間が使えるようにして
トルルルトルルル
「俺だ、キョンだ。実はコレコレシカジカで佐々木の家から電話しているのだが」
『わざわざかけてくるな、馬鹿野郎。お前なんかEDになってしまえ』ガシャン
おいおい、何であんなに怒ってるんだ?
二人目だ トルルルトルルル
『佐々木か?今度お前の同級生紹介してくれないか?』
「佐々木じゃなくキョンだ。実はコレコレシカジカで佐々木の家から電話しているのだが」
『はーそうですか?ご馳走様、俺は忙しいから切るぞ』ガシャン
こいつも何で怒ってるんだ?
三人目 トルルルトルルル
『おう、佐々木か?株主優待の映画無料招待券が余っているんだ、2枚1000円、彼氏と一緒にどうだ?』
「佐々木の家からだが、佐々木じゃない」
『何だキョンか、久しぶり。どうだ?映画の券を2枚1000円で』
「いや、結構。実はコレコレシカジカで」
『あーそうですか。泊まる所無いから佐々木の家に泊まるのですか。わざわざ電話しなくて良いよ』ガシャン
「おい最後まで聞け」
そういや佐々木と同じ高校だったな。佐々木の彼氏?やっぱりいるのか?どんな奴なんだ?
いや、嫉妬じゃなくて純粋な好奇心から知りたいだけなんだが……
四人目 トルルルトルルル
「俺だ、キョンだ。実はコレコレシカジカで佐々木の家から電話しているのだが、そこで頼みがあるのだが」
『へー、それで?俺に何をしろと?残念ながら俺がお前に教わることは有ってもお前に教えることは無いぞ。
中学時代と同じことすれば良いだけだろうが。もう切るぞ』ガシャン
中学時代と同じことって何だ?
五人目、こいつも佐々木と同じ高校に行ってる トルルルトルルル
『佐々木か?最近恋人とうまくやっているらしいじゃないか。今日は何の用だ?』
「佐々木じゃなくて俺だ。実はコレコレシカジカで」
『なるほど、奥さんとはうまくやっているみたいだな。その調子で頑張れよ』
「ちょっと待て。最後まで聞け。高校に入ってからの佐々木の交友関係なんだが」
『あーそうか、佐々木に新しい男ができたか心配なんだな
今からお前が頑張れば問題無いと思うぞ。これまでみたいなのはヤバイけどな』
奴の言葉が正しいとして、佐々木の恋人は俺か。
誰かさんの言った佐々木の彼氏も俺の可能性があると思うけどどうなのかな?
普通に考えて女子の家に転がり込むことはできない。佐々木の家を含めて。
次の案は谷口、国木田などの今のクラスメートや中学時代のクラスメートで仲の良い男子に頼むということになる。
しかし、半数以上が年頃の妹か姉がいるので女子の家と同じで却下、谷口の家なんかは狭くて駄目だ。
何となく古泉の下宿は身の危険感じるから駄目。
残りの候補は5人ということで、電話番号わからないから、佐々木の家からかけたのだが
皆、話も聞かずにあんなに怒るのは何故なのだ?
「―――ということで、どうしたら良いかな?」
「君にはあきれたよ。そのおじさんが帰るまで僕の家に泊まりたまえ」
「ちょっと、それは」
「僕の方は問題無いよ。それとも涼宮さんか長門さんあたりの家に泊まるかな?」
あいつらの家に泊まるよりも、佐々木の家の方がくつろげるよな。迷うことないか
「ふつかものですが、よろしくお願いします」
「じゃ、今から食事を作るから待っていてくれ」
「俺にも手伝わせてくれ」
「ありがとう」
恋人どうしと誤解されていた頃の、俺に優しかった佐々木がそこにいた。
「それから、晩御飯の後でも良いから彼等に謝っておくことだ」
料理が出来上がった頃、佐々木の両親が帰ってきた。
「どうだい僕達の作った晩御飯は」
「うん、うまいなすごく」
「キョン君ずーっといて良いのよ」
「これからも娘をよろしく頼むぞ」
佐々木の作った飯(俺も少し手伝ったけど)はすごく旨くて何杯もお代わりした。
しかし、佐々木の家は落ち着くなー。一生いたいくらいだ。
でも、佐々木は高校で好きな男ができなかったのだろうか?そんな考えに取り付かれていた。
そうだ、奴等に謝っておかなければ。何で怒っていたのかが未だに理解できないのだがなー
トルルルトルルル
「さっきはすまん」
『まあ、良いぞ。久しぶりに佐々木の家に泊まって舞い上がる気持ちも理解できないことはない』
二人目だ
「本当にすまん」
『まー、明日を楽しみにしておけ』ニヤニヤ
こいつはクラスは違うが、俺と同じ高校だ。何するつもりだ?
三人目
『映画の前売り券を通常値段で買ってくれれば許してやる』
「すまなかった、ところで佐々木の彼氏というのは?」
『ははーん。自分が浮気していたから佐々木も同じだと思ってるんだろ。安心しろまだ大丈夫だ。
浮気のことはもうしないと約束すれば許してくれるはず。幸い涼宮とかいう女とはまだ最後まではやってないのだろう』
四人目
『許してやらんことは無いが、ちゃんとアレを使えよ。それだけだ』
五人目
『うまくやっているみたいで良いことだ』
「すまなかった」
『わかっていると思うけど、佐々木はモテるからしっかり機嫌を取らないと駄目だぞ』
その晩は佐々木と他愛の無い話で盛り上がったが、明日は学校なので早くに寝た。言っておくがちゃんと別々の部屋で寝たぞ。
次の日、妹のフライングアタックではなく佐々木の優しい言葉によって俺は起きた。
「え?俺達もう結婚したのだっけ?まだ夢?」
「そろそろ結婚しても良いかな?くつくつ」
笑うな佐々木。恥ずかしいぞ
佐々木に合わせて早く出勤する俺。佐々木の両親も出勤は早い。
「キョン、ネクタイが曲がっているよ」クイ
「直してくれてありがとう」
やっぱり結婚するなら佐々木だな。何たって優しくて気がきく。家庭的で料理もうまいし。俺は何を言ってるんだ?まだ高校生だぞ。まだ早い
学校に行くのはちょっと早いので町内を一回りしてから高校に行くことにした。結局いつもより少し早い時間に着いた。
高校に着くと皆がニヤニヤした目で俺を見つめる。何故なんだ?Why?
阪中だけは違ったな。俺が挨拶しても無視して親の敵のように俺を睨んだ。
あ、鶴屋さんだ
「鶴屋さんお早うございます」
「少年、年貢を納めたんだってねっ。身から出た錆だっさ。しっかりやるにょろ」
ケタケタ笑いながら去っていく鶴屋さんであった。
教室に入った時俺は自分の目を疑った。教室には山のように生徒がいた。
黒板には、俺と佐々木の相合傘が書いてあり、その横にデカデカとした文字で『祝☆再婚』とあった。
「良かったなーキョン。佐々木とよりが戻せて」
お前か、昨日の電話の仕返しに悪質な嫌がらせをして。
「再婚おめでとう」
「よりが戻って良かったね」
「もう浮気は止めたのだね」
「結婚式には呼んでね」
俺と同じ中学出身の連中が口々に言う。
こんなのをハルヒや長門に見つかれば現実世界でブチ殺されて、その上情報連結解除されるじゃないか。いや、ちゃんとハルヒと長門がいるな。
教室にはSOS団のメンバー全員がいて……ハルヒさん、長門さん、朝比奈さん、古泉さん恐いです。
(終わり)