33-398「佐々木さん妊娠する!」

 宇宙的、未来的、超能力的なゴタゴタが去ってのある日の事だ。

「ねぇ、みんな、いっときは僕たちの事を観ていてくれたけど、今の状況は何だって言うんだい。
 僕の事はすっかり忘れ去られて今ではキョン子の方が人気だよ」

 あいつは少しばかりご立腹の様子だ。
以前ならば他人の目などは気にせぬ奴だったが、今は変わったのだろうか?
確かに以前は色んな事があって衆目に曝される事もしばしばあったがな。

・・・俺は今の方が落ち着いていいと思うのだが、お前は違うのか?
「すまない。栓の無い事を言ってしまった。
 忘れてくれないか」

 あいつは今でも堅苦しい言葉を使う。
俺は気にはしていなかったのだが、最近は自分自身でその口調を改めようとしている。
元々人間って、本能の上に知識と理性を上乗せして成り立っているような生き物だし、
俺自身の言葉が本当の自分を表している自信など全くありはしないのだが・・・。
 少しうつむいて、首を横に向けて俺の視線から逃れようとした。

 俺は手を伸ばして肩に手を置いた。無論、俺に近い方の肩に手を掛けた。
少し驚いたような表情で振り向き、深みのある特徴的な瞳で俺の顔を見上げた。
そうだ!この距離感だよ。
余計な物は何も無くした状態でも通じ合う事が出来るこの感覚。
 ゆっくりと俺の胸に頭を預けられ、いま必要と思う事を俺はあいつに施した。

 妊娠4ヶ月・・・。
元々細身のあいつには、少し目立つようになってきた。

まぁ、こんな事もあるさと俺は思った。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2008年06月18日 22:04
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。