今日の日記:「今日はなかなかいい日だったよ」 9/27 (土)
今日は朝から大学の講習会。 うちの高校の行事、ではなく塾のそれだ。
朝10時から昼2時まで。 長かった…。
4時間講習を聞く程度の集中力なら持ち合わせているけど、問題はそこに行くまでの手段。
今回の講習会はこの市の2つほど隣の市なのでバスで行かなければならなかった。
しかも、バスは塾の生徒を乗せるための貸し切りバスだ。
わたしは乗り物酔いをしてしまう。 しかも貸し切りバスに限っての事である。
なぜかは分からない。 とりあえず、みんなには申し訳ないけれど、前方窓際の席を譲ってもらった。
「佐々木なら別にいいよな」 なんて、「何を根拠に」 と思う発言をしていたが、その時には既に話す気力もなかった。
具合が悪かったわけではなく、ただ単に気が滅入ってしまっていただけだ。
こんないい方は日本語としておかしいかもしれないが、精神的にきつかった。 理由は不明。
気分を紛らすために、持ってきた本を読む事にした。
ああ、これはちょっとした自慢でもあるが、乗り物に乗っている時に本を読んでも、私は酔わない。 これも理由は不明。
言うなれば、本好きの特性(?)だろうか。 実際、酔わない人は多いと思う。
彼は…乗り物に乗っていなくても「字」に酔うなんて言っていたかな。 橘さんはこの間、普通に酔ってたみたいだ。
それからしばらくして、会場に着き、すぐさま公演が始まったわけだけれど…。
うーん…これはとても退屈だった。 公演に面白さを求めるわけじゃないけど、表面が違うだけで話の内容はずっと同じ。 これはないよ。
1パートが終わると、外の空気を吸うために外へ出た。 休憩時間は20分間。
ここから突然考えられなかった事態に遭遇するわけだけど、今考えると笑えてくるなあ。
会場から出ると、ある人物と出逢ってしまった。
お互いあまりに突然の事なので絶句…の後に、人目を気にせず大爆笑しあってしまったわけだ。
時々、突然の事に大爆笑してしまうことがある。 人間の心理は分からないものだ。 この時は自分でもびっくりするほど笑っていた。
「やあ、キョン」 涙で濡れた目を拭きながら、まだ痙攣している腹筋辺りをさすりながら言った。
「まさかこんな所で会うとはな。びっくりだ」 彼もまたわたしと同じ様子だった。
「僕はこの会場で催されている大学の講習会に来ているところだ。塾の差し金でね。 …君は?」 私は尋ねた。
「俺か? なんか今日はテンションが高かったんでな。 友達呼んで、あそこの映画館で見たかった映画を見る事にしたんだ」 と、すぐ近くにある映画館を指差しながら頭をかいていた。
「へえ、もう見たのかい?」 再度新しい質問を投げかける。
すると、彼はバツの悪そうな顔をして、「…ちょっと問題があってな」 と言った。
ここでやっと気付いたんだけど、普通、遠くに映画を見に行くときには駅の辺りで待ち合わせをするものだと思う。 行った先で待ち合わせはないだろう。
そう、彼は普通ならいるはずの友達といなかったわけだ。
「とりあえず先に来たのはいいが、友達が2人とも来れなくなっちまってな」 と、苦笑い。
「それで、どうしたらいいか考えていたというわけだね。くっくっ…全く、君らしいと言えば君らしいね」 と、ここでいい考えを思いついた。
「むぅ…」 と本気で考え込んでいる彼に、 「僕で良ければ一緒に付き添ってもかまわないけど、どうだい?」 と言ってみた。
「え、でも…」 と目を点にする彼は可笑しかったけれど、笑いをこらえて(今日は彼と会ったせいか、笑い上戸になっていたみたいだ)、
「実はね…」 と今日の自分の状態などを話し、「僕にもたまには息抜きが必要だとは思わないかい?」 と言ってにこりと笑ってみせた。
多分、この時のわたしはずるがしこい笑い方だっただろう。 とりあえず、普段は言わないような言葉がスラスラと口から出てきた。
すると彼も、「じゃあ行くか」 と言って、にやっと笑った。
わたしは先生に体調が優れないことを話した。 バスでの事もあり、先生は快く許してくれた。
帰りは偶然会った友達が一緒に帰ってくれるので大丈夫、と話しておいた。
それから、外に出て彼の元へ。
「待ったかい?」 「2分ちょっとな。さすが佐々木だな、うまく先生を言いくるめたんだろ?」
「失敬な。 普段の行いが良いと、少々無理があっても信じてもらえるんだよ」 「はは、なるほどな。…それじゃあ行く事にするかね」
それに応じて歩き出し、そろそろ空気も冷たくなってきたなあ…、なんて思いながら彼と二人で歩いて映画館まで向かった。