いつからだろうか自分を僕と呼び出したのは──
『親友の意味』
憂鬱な雨が世界を支配していた
母がなくなったのはそんな日だった
優しい、そして笑顔が美しい理想の母親だった
ただ一つ、一人称が僕という特殊な癖があった
その事について尋ねた時
「お父さんといつまでも親友のような仲でいたいからよ」
と笑顔で答えてくれたのを今でも鮮明に覚えている
しかし、神様は「いつまでも」という言葉が
嫌いみたいだ
母は、ガンで死んでしまった
最後にお父さんをよろしくねといって息を引き取った
それ以来だったと思う父に対して一人称が僕になったのは
さらに、無意識のうちに初めて好きになった子に対しても、
僕と言い出した
これでは気付かれてしまうそう焦った私は
男子全員に僕と使うことにした
そう、その好きな子が──
「どうした佐々木?黙りこんじまって」
いや、少し昔の事を思い出していたのさ
「俺達が初めて出会ったときのことか?」
そうだよ、僕と君が初めて出会ったときのことさ──
『親友』