37-576「駄洒落の『駄』ってどういう意味?」

「ふと思ったんだが佐々木よ、駄洒落の『駄』ってどういう意味だ?」

「……まず、『洒落』について説明しようか。
 洒落というのは言葉遊びの一種で、発音の似た言葉を代用して文を作るものだ。
 ただし、単に同じような響きを持たせるだけでは上手とは認められない。
 意味の上でも二重性を持たせる……つまり、和歌における掛詞のような技法が喜ばれる。
 語彙もさることながら、それ以上に機転と教養が求められる話芸ということだね」

「ふむ、なるほどな。原義では意外に高尚なもんなのか、洒落って。
 そうすると、駄洒落は蔑称ってことになるのか?」

「いや、そうとも言えないんだよ、キョン。
 洗練された文化は、人によっては嫌味なものに感じるものなんだ。
 そういった人からの皮肉が、『駄』の一字に込められていると言われている」

「要するに、『君たちのお上品な洒落と違って、俺たちのはどーせ下らないですよーだ』ってとこか。
 ……っておいコラ佐々木、何笑ってやがる」

「いや、『ですよーだ』の部分の言い方が何とも可笑しくて……
 くくっ、君も小さい頃にはそうやって子供っぽくいじけたりしたのかい?」

「まさか。俺は生まれたときからクールなのだけが取り柄でね」

「クールなキョン君、お顔が赤いよ?」

「何? 俺の顔が赤いって?
 いい眼科を知ってるんだ。紹介してやろうか」

「『下らないですよーだ」ね……。ふむ、可愛いじゃないか、『下らないですよーだ』。
 下らないですよーだ……よーだ……よーだ……」

「連呼するな! エコーも掛けるな!」

「……今日は僕の圧勝だね。精神を鍛えて出直して来たまえ。くっくっ」

「言ってろ!」

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2008年10月15日 11:33
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。