中学生の頃、まだみんながみんな携帯を持っていたわけではなかった。
だから、俺と佐々木に連絡を取るときは専ら家の電話だった。
あるとき、こんなことがあったんだ。
プルルルル……ガチャ
キョン「もしもし」
佐々木「もしもし。あぁ、その声はキョンだね。僕だよ」
キョン「おお、佐々木。ちょっと良いか?」
佐々木「僕なら構わないよ」
キョン「あのな、ちょっと物理でわからないところがあってな
明日にでも、また図書館で……」
佐々木「明日かい?そうだね、僕は特に予定は……」
そんな折、電話の向こうの佐々木の後ろで、
「もう胸も出てきたんだから私っていいなさい!」
って怒鳴る声が聞こえた(多分、母親かな?)。
佐々木「ご、ごめんキョン……明日だけどね、ぼ……いや、わた……ぼ……」
キョン「佐々木よ……別に焦んなくて良いから……」
佐々木「そ、そうよね……ハハハ……」
キョン「ん?……で?明日のお前の予定はどうなんだ?」
佐々木「うん、私はオッケーだよ」
キョン「おい!そっちが本性なのか?」
佐々木「え?あ!?……いや、これはお母さんが居るからわざと言ってるの……だよ?」
翌日、図書館にやってきた佐々木は、俺が知っている普段と変わらずの『僕』口調で、
それから中学卒業するまで、ずっとそのままだったから、疑問に思わなかったけど……
約1年振りに再会してみて、改めて佐々木の話し方には違和感を感じていた。
キョン「で?佐々木よ……お前の本当の喋り方と言うか、性格はどっちなんだ?」
佐々木「ふふふ……それはね……
ひ ・ み ・ つ(はぁと)」
キョン(かわいい……)
最終更新:2007年08月14日 10:37