24-114「お医者さんごっこ」

その日、佐々木の家に行ったら、聴診器が置いてあった。
「君とお医者さんごっこをするために、親戚の医者から古い聴診器もらったんだよ」
「おいおい、お医者さんごっことは不穏当な響きの遊びだな」
佐々木は小悪魔的な笑みを浮かべて言った。
「僕は将来医者になることも考えているからね。今の内に練習するのも良いと思ってね。くつくつ」
もしかしなくても、俺が実験台だな。勉強みてもらっている恩もあるからしょうがないか。

その日から、佐々木が俺の胸を聴診したり、俺の腹を打診したりすることが日課となった。
そして、毎日のように佐々木に勉強を教えてもらったため、俺の成績はようやく下げ止まりを見せた。
どした谷口?何か言いたいか?
「下げ止まり?それは俺のセリフだ。お前のは、ウナギ昇りと言うんだ」
軽い冗談を真に受けるなよ

・・・・・・・・・

「キョン、夕飯は食べていくかい」折角だから食べていくか
「だいぶ汗をかいているな、風呂に入って汚れを落とした方が良いよ。何なら僕が背中を流してあげようか」それは遠慮しておきます
「夕飯の買い物に一緒に行こう」今日は何を作るんだ
「今夜は泊まっていくかい?」ありがたいが、自分の家で寝るよ

「というわけで、キョンと私はお医者さんごっこを毎日する関係なのよ。キョンの胸板は意外と厚くて。
聞いている?涼宮さん」
(注:上のやり取りもデフォルメされて伝わっています)
「聞いているわよ」(キョンは明日死刑よね)
「もしかして、涼宮さん妬いている?自分が恋しているキョンが私と仲が良いから」
「そんなことないわよ。あんな奴ただの団員その1なんだから」
(何よ、キョンなんて佐々木さんと同じ高校行けば良かったのよ)

・・・・・・・・・

次の日より、俺は佐々木と同じ進学校に行くことになった。
驚くべきことに、最初から佐々木と同じ高校に行っていたことになっている。
「期限は三日。私という個体もあなたには戻ってきて欲しいと思っている」
別に戻りたいとは思わないぞ。

(終わり)

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最終更新:2007年11月05日 09:00
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