24-342「シャミセンが好きなのに?」

俺の家には今、ハルヒと佐々木がいる。
男一人に女二人で勉強会という、ベタなラブコメによくある、羨むべき状況のはずなのに、全然楽しくないのは何故かだろう。
二人はすごく仲が悪く、いつも喧嘩ばかりしている。そしていつも板挟みで俺が苦しむ。

「私はお義母さまに頼まれたのよ。またキョンの勉強みてくれって」
「あたしだって成績は良い方だし、博士君をみているので経験もあるのよ」
「博士君はあなたがみなくても成績優秀なのよ。天才肌のあなたは、教え方を知らないのよ」
お前ら、頼むから、いい加減にしてくれ。

「キョンくーん。教えてー、算数どりるーん」
おお、マイシスター。殺伐な空気を変えてくれ。
「妹ちゃん。お義姉ちゃんがみてあげるわ」
「ハルにゃんが―?」
「いえ、私に任せなさい」
お前ら俺から兄の威厳を奪い取るつもりか。
「どちらが良いかな?妹ちゃん」
「佐々木お義姉さんよね?」
妹はしばらく考えていたが
「んーとねー。キョン君が良いー」
よく言った妹よ。人参は残さず食べるんだぞ。

妹の宿題が終わった頃、シャミセンがトコトコとやって来た。
「シャミー遊ぼうー」
妹が来るのを見たシャミセンはひっくりして冷蔵庫の裏に隠れていまった。よくそんな狭い所に隠れられるな、全く。
「シャミー、出て来いー」
妹よ、それは嫌がらせだぞ。
「シャミセンのことは諦めて、部屋に帰りなさい」
「うん、わかったー」

そして気がつくとシャミセンは出て来て俺の股間の所に座った。
「シャミちゃん。ハルヒ奥さんの所にも来なさい」
ハルヒが呼び掛けるとシャミセンは逃げ出し、佐々木の膝に座った。
「キョン、やはり動物は心の悪い人や乱暴な人がわかるのだね。くつくつ。それとも涼宮さんが余所者だとわかるのか」
多分、シャミセンという、ネコとしては不吉千万の名前をもらった恨みだろうな。
「シャミセン。こっちに来なさい」
ハルヒは涙目になってシャミセンを呼ぶ。しかし、シャミセンは逃げるだけだった。


「帰る」
目にキラリと浮かぶ雫を浮かべながらハルヒは帰っていった。


「しかし、ハルヒがあんなにネコ好きとは知らなかったよ。シャミセンに相手されなくて泣くなんて」
「それはネコじゃなくて君の、いや何でもない」

その晩、ハルヒの閉鎖空間は発生しなかったが、代わりに皆に電話して愚痴をこぼしていたらしい。
みくる「あのー、私に何を求めているのでしゅか?」

古泉「僕には、残念ながら頑張れとしか言えません。頑張って下さい」

長門「そう・・・」

鶴屋「ハルにゃんには一樹君の方がめがっさ合ってると思うにょろ。キョン君はあたしに任せるっさ」

国木田「キョンは佐々木さんを好きだから、諦めた方が良いよ」

阪中「ネコに気に入られるにはスルメやマタタビが良いのね」

谷口「キョンが二股をかけて、まで聞いた。そろそろ寝て良いよな?」

岡部「何時だと思っているんだ。早く寝ろ」

生徒会長「不純異性交遊を取締まれだと?そんなの知らん。都合の良い時だけ生徒会を頼るな」

喜緑「わかったわ。長門さんに伝えておくわ。長門さんガンバ」

コンピ研部長「パソコン返してくれるなら力になってやっても良いが」

以上のようなやり取りが行なわれたらしい。
次の日、ハルヒは眠い眼をこすりながらも、何事も無く登校したので、大した事件では無かった。と思う。
シャミセンは、マタタビを使って、ハルヒにもなつくようになった。やれやれ

(終わり)

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2007年11月08日 11:37
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。