24-739「佐々木さんの雪山大作戦」

橘さんと九曜さんと一緒に藤原君家に突撃訪問した日のことでした。

「藤原さん?これは、もしかしてこれは、タイムテレビと言う物ですか?」
「―――タイム―――テレビ―――」
「頼むから、勝手にいじるな」
画面には僕達の未来の姿が映っていた。

・・・・・・・・・

うれしそうな顔で涼宮さん達が言う。
「佐々木さん残念ねー、風邪で旅行行けないなんてねー」
「心配いらない。彼の面倒は私が見る」
「そろそろ、時間ですよ。涼宮さん」
「焦らず、ゆっくり直すのだぞ、佐々木」
やっぱりキョンは優しい。

僕達は雪山に行く予定だったのに、僕は急に風邪を引いていまったのだった。
涼宮さんと長門さんはキョンとヤル気マンマンだ。発情したメス犬でも、そこまであからさまじゃないよ。

・・・・・・・・・

「それで、すったもんだの末、あいつだけが行方不明になるのだが。その後が観測不能なんだ」
「涼宮さんが変な計画立てるからですね。
荷物も持ってないですし、キョンさん大丈夫ですか?」
「一説によれば、あいつが死ぬ未来もあるらしいが」
そう言った藤原君は、『しまった』という顔をした。
キョンが死ぬなんて嫌だ。キョンは僕と結婚するんだ。
「そうだ、僕が行ってキョンを助けるんだ。
二人きりで親密度を深め、そして、恩義を感じたキョンは僕と結婚してくれる。
我ながら良いアイデアだ。準備してくるよ」

「ちょっと待て、タイムトラベルはそんな簡単なものでは無いぞ」
「ライター良し、携帯コンロ良し、タオル良し、毛布良し、食料良し、コン○ーム良し、
着替え良し、キョンの下着良し、ラジオ良し、懐中電灯良し、ナベ良し、割り箸良し、スプーン良し。
他に持っていく物あるかな?」
「佐々木さん。藤原さんに無理言ったら、かわいそうですよ」
「―――これが―――地図―――ここに―――小屋―――」
九曜さん気がききますね。ありがとう
「そんなつまらん理由の申請が許可されるわけ。え?許可された?」


「仕方が無い。行くぞ。あの雪山に」

・・・・・・・・・
目眩を覚えて目を覚ますと、目の前にキョンがいた。
「目を覚ましたか?佐々木、だな?」
「え?と、お早う、キョンここはどこ?今は何年の何日?」
僕達はあの日の雪山の薄暗い小屋の中にいた。隙間風が寒い。
キョンが気絶した僕をここまで運んでくれたらしい。
なお、九曜さんの地図は無駄になったらしい。
「その質問するということは、お前は高校生の佐々木で過去から来たのだな?
2年生、3年生どっちだ?」
「えーと、禁則」
「言えなかったら仕方無いけど、俺に手伝う事はあるか?」
「それは大丈夫。僕はキョンを助けに来た」

「それは、ありがとう。」
あー、その目は僕を馬鹿にした目だな
「寒いから火を起こさないとな。僕のリュック開けてくれ」
あれ、ライターの火が着かない。

「お腹すかないか?食べ物沢山持って来た」
缶詰あるけど缶切りが無い、残りはお湯が無いと食べれない物だし。

「そうだラジオ、今後の天気は」
しまった、電池が入ってない。僕は何と間抜けなんだよー。
「そういえば、何故明るいんだ?」
「これだ、鶴屋さんにもらった携帯万能機具だよ。
いろいろな機能が付いているのに、小さくて軽いんだ。電池は充電式で長保ちする」
まるで未来の秘密道具のような素晴らしい機械。そういえば、今は未来だった。

「佐々木、これ食え」
キョンは飴玉を差し出した。
「こんな物、隠していたんだ」
「遭難した時のために、いつも人数分用意しているんだ」
まるで予想していたような落ち着き
「キョンは今日、自分が遭難することを誰かから聞いたのか?」
「そうじゃない。いつか遭難すると予想していた。
ハルヒは山をナメているし、俺達を困らせて反応を見る連中がいるかもしれないしな」

「助けに来たのに、何も役立つもの持ってこれなくて、すまない」
「充分ありがたいよ。
ナイフ持っているから缶詰を開けよう。それから、万能携帯機具で火を起こそう」
そうか、僕のやること何も無いのだな。

お腹がふくれて、僕は少し元気になった。
「夜は寒い。キョン、一緒の毛布にくるまって寝よう」

その瞬間、僕はまた目眩を感じた。

・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

「大丈夫ですか?佐々木さん」
「戻った?良いところだったのに」
「―――どう―――だった―――」
「大失敗」
あーあ。これじゃ、何しに行ったのだろうか。僕はドジばかり。

・・・・・・・・・

雪山から帰ったキョンは、真っ先に佐々木の所を訪問した。
「佐々木、山で遭難した時はありがとう。これは御土産」
「え?僕はずっと寝ていて」
キョン、急に何を言い出すんだ
「高校生の佐々木が助けに来てくれたんじゃないか」
「あ、思い出した。そうだった」
ずっと忘れたままでいたかったよ
「佐々木、ありがとう、おかげで助かった」
「そんな、僕はドジで何も役に立たなくて、逆に助けられて」

キョンは照れたように顔を赤らめ、深呼吸を何回かした後こう言った
「お前がいたから、俺は助かった。
多分俺達は一人じゃ不完全で二人で二人前なのかもな。だから」
「だから?」
「結婚してくれ」

そして、僕達は梅の花が咲く頃、結婚した。

(終わり)

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最終更新:2007年11月13日 21:44
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