24-796「佐々木さん、スイーツとは甘味類のことだろうか果物の複数形だろうか、の巻 」

ある日、所用であまり通らない繁華街を通っていると、佐々木に出くわした。
珍しい。完全に固まっている。
「どうした佐々木、バシリスクと視線でもあったか」
「き、キョン、助けてほしい。僕にはこの空間は理解不能だ」
「橘さんにアドバイスされて、もっと積極的に君を落と……ゴホンゴホン。
 たまには気分転換するといいと言われて、この雑誌と共に送り出されたのだけれど、
 どうにもこうにも、ここに氾濫しているのは本当に日本語なんだろうか」
あのダディアーナザン……じゃなくて橘めまた余計なことを。
しかしまあ、あの博識の佐々木にも分からないことがあるとは驚きだな。
「ハッピースピリチュアルメイクアップアドバイザーというのは、
 南米や東南アジアの一部未開(失礼)民族の間での、精霊と交信する呪術医(シャーマン)と
関係があるようなんだ。おそらくメイクアップというのも、ある種の化粧を施すことで、
戦闘における意欲を高めたりする呪術的な儀式で、多くの地域でシャーマンの権能とされているものだ。
ほら、ヒンディー教の人も、額に朱を塗っているだろう。あれも同類だ。
ただ、どうしても「ハッピースピリチュアル」というのがどの民族のシャーマンのことだか分からず、
気になって気になって……」
……佐々木。
「あと、ホットヨガというのも気になるよ。もともとヨガというのは肉体的な苦行に耐えることで、
 高い精神性を追求したり、不随意筋のコントロールに成功したりすることを目指すもので、
 これがさらにホットヨガというのは、一体日本の法体系、とりわけ消防法上、される施設なのだろうか。
 どれだけの業火を用意すれば、ホットヨガと言えるのだろうか。
 いや、そもそも人間を構成するたんぱく質は高温では崩壊するのであって、
 だからこそ体温計は42度までしかないんだよ。ホットヨガなるものがそれを上回らない保障はないよ。
 なんといってもヨガで、ホットだよキョン。
 一体、どういう裏の筋が介入すれば、日本で白昼堂々とこんな恐るべき代物が開業できるものなんだい。
 キョン、僕はこの一体が恐ろしくてたまらないよ。なんという無国籍・無法地帯なんだ!」
……佐々木、もういい、もういいんだ。
誰だって苦手なものはある。
俺だってふわモテカールとカール大帝の関係は知らんし、小悪魔メイクとブラックデビルのコスプレの違いもわからん。
だがな、わからなくても世界はまわっていくし、スイーツ達は生きていくんだよ。たくましく。
お前みたいに、全てに意味と整合性を求める生き方は称揚に値するが、たまには商業主義の存在も認めてやれ。

てなわけで、見知らぬ単語の波に、まるでドーベルマンを目の前にしたシャミのようにおびえた佐々木をつれて、
大戸屋で和昼食を取り、図書館にしばらくつきあって、佐々木が落ち着いてから一緒に帰宅した。
ああ、神様、完璧な人なんていないですよね。今チョット俺、あなたに対して優しい気分でいられます。

翌日、
「昨日佐々木さんと何してたのよ!」とハルヒに難詰され、古泉がまた一週間バイト(ry
神様、昨日の発言はナシにしといてください。何故俺ばかり。

佐々木さん、スイーツとは甘味類のことだろうか果物の複数形だろうか、の巻

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2007年11月13日 22:31
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。