27-69「佐々木さんは引っ越しで少し不安になっているようです。(仮)」

「ああ、そのダンボールはそこに置いたままで構わない。
 …さてと。一応これで全部かな。ふむ、僕はあまり物を持たないほうだと思っていたんだけど、
 こうして見るとその認識を改めないといけないかもしれないね。
 しかし、本当に君に来てもらって良かった。男手があるのと無いのとでは全く違うからね。
 取り敢えず荷物はこのままでいい。この状況では食事もできないし、散策も兼ねて外食にしようか。

 …この荷物の片づけを手伝う? キョン、君は分類上女性である僕の私物をそんなに見たいのかい?
 例えば僕の下着やらを片付けるとして、君はそれを顔色も変えず淡々と箪笥に詰めてくれるとでも?
 流石にそれは困るな。君が僕をどう認識しているかという事と、君がその年齢にも関わらず所謂枯れた状態に
 なっているという事の二重の意味でね。

 …くっくっく、そんなに慌てて弁明しなくてもいいよ。君に他意が無いことはこの僕が一番知っている。
 まあ、他の女の子に対しては、そういう事を言わないほうがいいと忠告しておこう。

 さて、今度こそ食事をしに行こうか。このあたりで安くて美味しい店はどのあたりにあるんだろうね。
 食事が済んだら、近所の人達への引越し蕎麦を買っていこう。本当は事前に準備するべきなんだけど、
 如何せん急な事だったからね。ああ、引越しの際に何故蕎麦を配るのかというと…、ああすまない、その話は
 食事の間にすることにしよう。今はいい店を探すのが先決だ。

 それはそれとして、ご近所に挨拶に行くときは頼りにしているよ。…何故って、女の一人暮らしは何かと無用心だ。
 僕があの部屋に一人で住んでいる事が広まったら、何かと無用なトラブルが起きるかもしれないからね。
 …そんな顔をしないでくれ。その為に君と一緒に回ろうと言っているんじゃないか。
 別に馬鹿正直に一人暮らしをしていますと言う必要なんて無い。僕と君とで挨拶に行けば、普通は二人で
 越してきたと思うはずさ。それに実際、君は時々僕の部屋に来てくれるんだろう?

 …わかってるさ。万一彼氏なんかができたら、一番最初に君に報告するよ。
 だからそれまでは、このスペアキーは、君に預かっていて欲しい
 そうして、時々でいいから、君の都合のいい時には、ここに来て欲しい

 …寂しくない、不安なんて無い、なんて言ったら確かに嘘になる。
 一人暮らしなんていうのは、遅かれ早かれ誰もが経験することさ。
 人はね、一人でも生きていけるようにできているんだよ。
 …それとも、君が僕と一緒に暮らしてくれるとでも言うのかい? それはまるでプロポーズだね。
 …くっく、分かっているよ、冗談だ。だからこれからも頼むよ、『親友』」

 佐々木さんは引っ越しで少し不安になっているようです。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2007年12月31日 18:33
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。