先日、メールをしていた時のことだ。
どんな話の流れだったのかは覚えちゃいないがこんなメールが来たんだ。
『じゃあ、佐々木と言ったら何を思い浮かべるんだい?くつくつ』
俺は「横浜、フォーク、大魔人」と返信した。
佐々木と言えば彼しか思い付かないからな。
だが、それまでテンポよく続いてたメールが途絶えた。
かと思ったらいきなり橘から
『キョンさんは死ねばいいと思います』
ってメールが100通も来やがった。
まったく、佐々木も橘も何を考えてるんだか?
メールの話だがまだ続きがあってな。
橘からのメールで鋭い俺は理由はわからんが佐々木が怒っていることを察した。
だから、とりあえず謝罪の言葉と御詫びを兼ねて休日の誘いのメールを送ったんだ。
ハルヒの奴を怒らせた時によく使う手なんだが面白いことにハルヒと同じ反応が返ってきたわけだ。
返信の内容は敢えて言う必要もないだろう。
性格は真逆と言えどどっちもはた迷惑な神様だからな、通ずるところがあるんだろう。
それで当日は佐々木の行きたいとこに付き合って最後に喫茶店で話をしていたわけだ。
すると突然佐々木が
「この前のことだがアレは僕の訊き方も悪かったと思ってね。
だから、改めて正々堂々訊こうと思う。
僕って言ったら何を思い浮かべるんだい?」
と切り出してきた。
この前というのはメールの件であろう。
しかし、何故いきなり『佐々木』から『僕』になったんだろうか?
理由はわからんがとりあえず『僕』について考えることにした俺に
「あまり深く考えずパッとでてきたことでいいから」
と佐々木。
だから、俺はパッとでてきた言葉を列挙したんだ。
「国木田。古泉。ついでに藤原……だな。
ほら?あいつら一人称がぼ……ヘブシッ!」するとどこからともなく現れた橘にスタプラも裸足で逃げ出す拳を撃ち込まれ、
更には佐々木にコップの水を頭にかけられた。
という散々な日曜を過ごしたわけなんだが、俺の回りの人間は本当にろくな奴がいないな。
俺はただ質問に答えただけなのに。やれやれだぜ
その夜橘から電話があり、俺が佐々木を怒らせてしまったことについて
その理由も含めてみっちりと説教された。
なるほど、あれは佐々木自身についての意見が聞きたかったのか。
次の日曜日、俺はまた佐々木と出かけることにした。
今度はちゃんと答えてやろう。
佐々木といえど、女の子だ。色々と気を使ってやった方がいいのかもな。
そして日曜、二人で映画館やデパートなどに行った後
俺達はバス停のベンチに座っていた。
「今日は楽しかったよ、キョン」
「そうか、それは良かった」
俺は笑顔の佐々木を見て少しホッとした。
「それにしてもたくさん歩いたなぁ」
俺が関節をコキコキ鳴らせてそう言うと、
「疲れたかい?もし良かったら横になったらどうだい?僕の膝でよければ貸すよ」
佐々木が微笑む。
しかし、今日は佐々木のために一緒に過ごしたのに、余計な苦労をかけたくはないな。
「いや、いいよ。枕なら俺の鞄で充分だ」
「…………」
「どうした?」
「いや、別に…」
佐々木は、ふぅ、とため息をつくと、
「そうだ、キョン。少し喉が渇いてしまったんだが、君のそのお茶を少し分けてくれないか?」
そう言って、俺の手にあるお茶のペットボトルを指差す。
「これか?でも、これ飲みかけだぞ?」
「ああ、構わない」
そうは言うが、今日は佐々木のための日なんだ。せっかくだから新しい飲み物を買ってきてやろう。
俺は席を立つと、近くにあった自動販売機で生茶を買って、佐々木に手渡した。
「ほら、せっかくだから新しいのを飲めよ」
「あ、ありがとう…」
佐々木は妙に渋い声で答えた。伊右衛門の方が良かったのだろうか。
「そうだ、キョン。今度こそちゃんと聞いておきたいんだが…。この僕、佐々木についてどう思う?」
来た。これだ。もう間違えないぞ。
「そうだなぁ…、鼻先にニキビが出来ててコピーロボみたいだw」
次の瞬間、俺は背後から何者かに固いもので殴られ、意識を失った。
まぁ、そんな訳で、これまた散々な日曜だったわけだが…。
おっと、佐々木からメールだ。
「キョン、君が神となった方が、これ以上無いほど平和でまともで平凡な世界になると僕は思うよ」
なんのこっちゃ。
最終更新:2008年01月13日 11:07