雉野みほ

【名前】 雉野みほ
【読み方】 きじのみほ
【声】 新田桃子
【登場作品】 暴太郎戦隊ドンブラザーズ
【初登場話】 ドン1話「あばたろう」
【分類】 獣人
【名前の由来】 不明

【詳細】

キジブラザーに選ばれた雉野つよしの妻。

ドン1話の約3ヶ月前に結婚した新婚夫婦であり、仲睦まじく夫このことを大切に想う優しい女性。

美容師として働いており、その腕前は表彰されるほどで自分に自信のないつよしは優秀な妻に希望を見出している。
夫婦仲は良好だが、「ドンブラザーズ設定用語攻略本ペディア」では雉野つよしの項目にて、

「アイデンティティを妻=他人に仮託しているため、その精神は脆く危ういのだ。」


――――と書かれている。

そんな夫の弱さを知ってか知らずか、つよしのことはきちんと愛しているようで彼には愛妻弁当を拵え朝の見送りをしたりと熱々の新婚家庭を築いている。

放送開始直後から「倉持夏美」という女性と瓜二つであることが早々に明らかにされており、その女性はイヌブラザーにアバターチェンジする犬塚翼の恋人であった。
だが本編開始1年前より行方不明であり、翼もまた指名手配犯として警察に追われるなどその関係性には大いなる謎があった。

魔進鬼にとりつかれた榊という男性に絵のモデルとしてターゲットにされ、彼に監禁されるも、職業を生かしたとっさの判断でその場から逃走することに成功。
何とか自分を探していた夫の元へ戻り気を失うも、「愛する妻を傷つけた」榊を許せなかったつよしはソノイの攻撃を利用し、自分の手を汚さず榊を消し去ってしまう。

そしてドン11話では猫の獣人に寄生された狭山健児に折り紙を突っ込まれ体調を崩した翼は友人として交流していた雉野つよしの自宅に匿われることになる。
指名手配犯として警察に追われていることは知っていたが、「悪い人には見えない」というつよしは彼を布団に寝かせていたのだが、つよしがその場を離れている間に帰宅したみほがそれを発見。

「誰?」と見知らぬ他人が布団で寝ているという状況に困惑していたものの、翼の苦しむ様子を見た瞬間様子が一変する。

翼の口に手を突っ込むと口の中から猫を象った折り紙を取り出して握り潰し、体調が戻って目を覚ました彼が手裏剣鬼退治のためにいなくなった家の中で一人になった彼女はどこかイライラした様子を見せ、テーブルの上にあったメモ帳を破り取るとそれを折り紙として「鶴」を折っていた。

――――これが、「雉野みほ獣人疑惑」の持ち上がった瞬間である。
みほは翼の口の中に猫の折り紙があることに気がついた瞬間から人間らしからぬ首の動かし方を始めたり、取り出した折り紙を忌々しいとでもいうかのように握りつぶす等といった行動を見せていた。
彼女がドン11話ラストで折り上げた鶴は一体何に使うつもりだったのだろう…
翼が戻ってきたら飲み込ませるつもりだったのだろうか?

それまで「雉野みほ」と「夏美(倉持という名字と分かったのはしばらく後)」がイコールなのかそうでないのかは視聴者の中でも見解が分かれており、他人の空似説や、生き別れた双子説等様々あった。
有力なのは夏美に擬態したアノーニがみほを名乗って生活している、先代のドンブラザーズでキビ・ポイントを使って引退し別人として暮らしているという説だったのだが、
現実はそれを上回る程の衝撃的な事実だった。

「物語を紡ぐ」性質を持つというランクAの鶴の上位獣人、それが雉野みほの正体である。

それが確定したのはドン30話。
獣人の活動が活発化したため、餌として狙われる頻度が増えたアノーニらがドンブラザーズに助けを求めるため調査の末集めた獣人に寄生された人間のリストの中に、彼女の名前が記されていた。
つまり彼女が獣人であることは既に脳人側で知られたことであり、計測しているのかは定かではないが、その情報が確定するレベルで彼女は監視されていた可能性が考えられる。
ソノイはすれ違った狭山を即座に獣人と判別し問答無用で切りかかっていたあたり、脳人側は見ただけで獣人に寄生された人間を判別できるのかもしれない。
ヒトツ鬼が宿っているかどうかを見抜く術があるあたり、人間の欲望が

実はそれ以前から雉野みほ=獣人であるという確定情報は提示されており劇中で度々見られた要素からの推察に過ぎず状況証拠が揃いすぎているものの本編でそうである、と断定するシーンはほぼほぼ皆無であった中。
なんと東映公式サイトのドン27話の予告&26話解説ページにて「ドンブラザーズ設定用語攻略本ペディア」なる項目があり、その中の獣人の紹介文にて「鶴の獣人=雉野みほ」であることをしれっと暴露していた。
しかも「など」とかつけて

これに関してはその後複数の鶴獣人疑惑のある人間が登場しているため、他にも鶴の獣人がコピーした人間が複数人存在している意味での「など」表記である可能性が高い。

倉持夏美は恋人である翼や他友人と参加した合宿で謎の声に見出され鶴獣人のコピー元に選ばれ、適合できなかった翼はなぞの声との取引に応じる形で彼女を取り戻すため指名手配犯になりながらも逃げ続けていた。
全ては「事情を誰にも話さず一年間いれば恋人に会わせる」という声の主に従うために。

ドン30話ではついに翼は恋人とつよしの妻が同じ姿をしていることを知ってしまう。
そしてドン34話にてつよしに頼み込んだ翼はみほが夏美である確認するために彼女が作った料理を食べ、それを確信する。
そして帰りがけに呟いた「…などと申しており」という翼の言葉を聞いたみほは突如として倉持夏美としての意識を覚醒させ、雉野みほとしての人格や記憶の一切を消失してしまう。

再会出来た恋人同士。
しかし抱き合う二人を目撃してしまったつよしにしてみれば、友人と思い「悪い人には見えない」として度々警察から匿っていた翼が、自分からみほを奪い取る「悪人」に見方が変化するには十分な衝撃であり、ドン34話ラストにて、翼を呼び出した上で彼にみほを返せと詰め寄る。

つよし「返してくださいよ、みほちゃんを今すぐ!みほちゃんは、僕の命なんだ!」


翼「気持ちはわかる、同情もする。お前は悪くない!だが"みほ"はいない!存在しないんだ元々な!」


言い争う二人をいつの間にか警官が取り囲み、翼は逮捕されてしまった。
実は彼を呼び出すと共につよしは警察に通報し、翼との会合の場所を伝え、「悪人」を逮捕させ排除しようと画策していたのだ。
友人と思っていた男の裏切りに激怒し暴れる翼だが、複数の警官に取り押さえられ手錠をかけられ連行されていく。
そんな友人と思っていた男の醜態をつよしは、笑みを浮かべながら見送るのだった。




――――と、視聴者にも凄まじい衝撃を与える展開を迎えたドン34話「なつみミーツミー」(me罪?)。

翼の呟きで1年前の人格を蘇らせた夏美だったが、恋人が逮捕されてしまったことなどつゆ知らず。
彼女がみほであることを頑なに信じるつよしはどうにか彼女を元に戻そうと奮闘するも、今度は自分がストーカーとして逮捕されてしまう。
しかも自分の策略で逮捕された翼と同じ場所に交流される始末。

夏美としての人格が表に出ている間、みほとしての記憶は一切残っておらず、当然夫であるつよしのことなど一切覚えていなかった。

このことから獣人は「オリジナルである獣人本体の人格」をベースに、「寄生するためにコピーした人間の人格」を切り替える事ができるのではないかという見方もされている。
そうなると夏美の他に、「雉野みほ」の大本となる人格も誰かからコピーしたものであり、つよしと暮らしていた記憶を持つ人格が存在しているのではないか…という僅かな可能性も考えられるのだが…


ちなみに、テレビ朝日公式サイトのキャラクター項目において、雉野つよしの紹介文にはこう書かれている。

「他のメンバーと違って失うものがない」


ドンブラスターに選ばれドンブラザーズになったメンバーは皆何かしらを失っている。
漫画家としての名声を失ったはるかのように。
そんな中、放送開始時点からそう書かれていたつよしは、34話分もの話を積み上げた末、「妻の夢に描けている」と言われるほど入れ込んでいた愛する妻、そのものが存在しない虚構の存在だったという特大すぎる地雷をぶち抜いてしまうのだった。
何も失うものがない…確かに。彼が得ていたのは最初から何も無かったのだ。

その後ドン35話にて道を歩いていたところ夫に発見されるも、コピー元の人格が顕在化した状態であり、逆につよしのことを知らなかったため通報されてしまい、以後獣人(=みほ)としての意識に切り替わったようだが今度は翼に関しての記憶がなくなるという非常にややこしい話になってしまった。

なお翼は上記の一件でついに捕まってしまうも、獣人関連の騒動が警察の知る事となりその捜査を進める取引として無事?出所を果たす。
そして翼は夏美がアノーニを捕食しようとしている場面に出くわしてしまうが…


【余談】

結婚できたことから戸籍が存在する可能性が高く、「(旧姓)みほ」という人物がいたというのは考えられることである。
ただ、自分が婚姻届を出しておくと言ってみほが届けを預かり、そのままにしているということも考えられなくもない。

何も失うものがないどころか、実は何も得ていなかった雉野つよし。
そんな夫を後目に、みほである獣人は猫獣人の暴走に手を焼いているようで、桃井タロウと接触を持ったりしている。

「物語を紡ぐ」性質を語ったのもみほであるが、そんな彼女がどのような物語を紡いでいるのかは明らかにされていない。
しかし「鶴」と「紡ぐ」というワードから、モチーフは「鶴の恩返し」ではないかと見られており、その場合、鶴獣人はつよしに対し何らかの恩を感じている可能性がある。

その恩を返すため婚姻関係となり、数ヶ月とは言え新婚家庭を築いた獣人。
それをどのように感じていたのかは今のところはっきりと描写されていない。

最終更新:2023年02月04日 11:59