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亜人大全

★亜人大全
ライルが所有していた亜人百科は数十年単位で昔の書物であり、現代に於いては時代遅れの情報も多く、そもそも言語が古くて読むのに難儀する物であった。(確か神代語)その後その学者と弟子によって新たに刊行されたのがこの亜人大全である。刊行されて半年も経っていないので複製も十分ではなく非常に高価な代物である。

  • 前書き
以前、私の師が出版した亜人百科は大変好評だったようで、世間の人々に我々と共に暮らす異種族民達の実情が少なからず認知されたことを大変嬉しく思う。しかしながら生物についての本である以上時と共に情報は劣化し、変わりゆく世界の実情と合致しない物となってしまった。故に我々は新たに世界に彼らの今を伝え残す為この亜人大全の執筆に着手したのである。

今回は亜人百科に於いて取材に協力して頂いた北方の吸血人貴族ファウスト家の多大なる援助の元、様々な地方に取材に出向き、また、私の友人である吸血人ライルの多数の寄稿によって前回より更に充実した内容となった。この場でお礼申し上げたい。
五年前に他界した師の為にも、読者方に異種族達への認知、理解が広まれば幸いである。

(注、ライルの寄稿が無駄に多いように見えるがそれは人口分布の推移みたいな冗長なデータや、そもそもエルフドワーフ獣人という三亜人に触れていないからである。)

目次
  • エルフ
    • ハーフエルフ
    • ダークエルフ
    • ハイエルフ
  • ドワーフ
  • 獣人
    • ワーウルフ
    • ケンタウロス
    • etc…
  • 吸血鬼(吸血人)
  • アンデッドマン
  • 竜人
  • 巨人
  • etc

(例によって現状に於いて優先され得る種族についてのみ記述する。)

  • ダークエルフ
0.基本事項
エルフが何らかの原因により体色が浅黒く変色した種。
彼らに交渉であるとか和平の余地は存在せず、同族(ダークエルフ)以外の全てを攻撃する危険な種族であるため、他種族からは駆除の対象として見られている。
通常おとなしいエルフに比べ怒りや憎悪を滾らせて襲い掛かってくる様は異様で、原因は迫害か、世界樹の損傷か、そういった外部からの攻撃によるものだと思われる。
エルフの一種ではあるので、住処はあくまで森であり、それ故にエルフとの衝突は多い。

1.現況
この種族に関して、新たに調査を行った結果以前に比べて目撃情報が極めて少なくなっていることが明らかとなった。
これが駆除の末の絶滅なのか、何処かに潜伏しているのかは不明だが、兎も角世間から姿を消している。

2.歴史
ダークエルフは他の種族と交流を持たない為、彼らの記録は必然目撃情報の蓄積、交戦の歴史となり、内容は極めて限定的となる。
第一次魔王軍侵攻以前には既に存在していたという文献が存在している。
これまでは主にカンディオン大陸の西側、世界樹の森の中に散発的に分布し、稀に他の文化圏に確認されるといった具合であった。

  • ハーフエルフ
0.基本事項
エルフと人間の混血によって生まれた種族。
エルフ種に共通の身体的特徴として尖った耳が挙げられるが、ハーフエルフとエルフを見分ける事は難しい。
また、人間の成人した辺りで老いが一旦止まるため、長い間一緒に生きる事でエルフと露呈する場合がある。
エルフからも人間からも差別の対象とされる悲惨な種族で、その為耳を隠すようにして生きている事が多い。

1.現況
今の世界は彼らにとって住みやすい物とは言えず、都市から離れた森や洞窟などに潜伏するような形でひっそりと生きている。
その境遇を改善するべく動いている団体もあるようだが、その効果はまだ確認できていない。

  • ハイエルフ
0.基本事項
保守的、排他的なエルフと、粗暴なダークエルフ族がもし和解するような事があれば、彼らの特性を上手く引き継いだハイブリッド・エルフが誕生するであろう、と半ば伝説のように主張されている種族。故にハイエルフとして確認された個体は無い。
もしこのような種族が発生すればそれは人間を完全に上位互換するものであるため、人間を駆逐する可能性のある亜人として警戒する者も居る。

1.ライルの見解
太古から受け継がれてきた伝統的なハイエルフ像は上記の通りであり、このような論がある事は多少亜人に詳しい人間なら簡単に知ることが出来るものである。
また別の箇所で述べるが、亜人はそれぞれ何処かに人間より優れた能力を有しており、それが合わさった種を想像するのは難しく無い事である。僕個人としてはこの「灰色のハイエルフ」の可能性は十分に高いと思う。
しかし、それとは別に、ハーフエルフという種もある意味もう一つのハイエルフなのではないかと僕は思う。
長寿であり、、一般的なエルフのように閉鎖的になる事無く人間社会に適応出来る存在。その他の種族が差別を行っているせいで徒党を組まざるを得なくなるなどして実感しにくくなっているが、彼らはある意味万能の種族として成立していると思う。
また、彼らの存在によって先の灰色のハイエルフ論も現実味が増すのである。

  • 吸血鬼(吸血人)
この項はライル・エルレインの寄稿を元に執筆されている。

0.基本事項
吸血鬼と言う名前は一般に悪魔種族としてのヴァンパイアが想起されるが、それとは全く別系統の「人の派生系」としての吸血鬼も存在する。
彼らは悪魔と混同されるのを忌み嫌い、自らを吸血人と名乗り、人との共存を求める種族である。(以下吸血人と表記)
エルフやドワーフに次いで知名度の高い種族であり、特に北方では違和感なく人に混じる彼らを見かけることが出来るだろう。
おおよそ人間と同じ体型をしているが、背丈が総じて高めで、客観的に見ても殆どが整った身体つき、顔つきをしているのが特徴。
肉体に奇形を生じているような個体は確認されたことがないし、肌に吹き出物の類が出ることすら稀である。
その完璧に人間の上位互換とも言える都合の良い種族がどうして生まれたのか、興味の尽きぬ所である。
また、彼らの中には自身が他人に寄生しないと生きられない事を嘆き、「呪われた種族」と呼称する者も居る。

1.「不死の種族」
彼らは長命であり、度々アンデッドと並べて「不死の種族」と語られる。
その理由は回復力の高さと寿命の長さに起因している。
血を吸う事で傷を癒やし、人では考えられないような時間を生きる。
吸血人の寿命が記録された書物は無い。何故か、それはつまり老衰によって死んだ吸血人が記録された事がないからである。
人と敵対していても、ファウストのような人と共存する者であっても、数百年生きた吸血人は名が広まる。
他者の血を必要とし、必ず人と関わり生きねばならないからである。
そして誰かに殺される事によって死を迎える。
決して不老不死の種族ではない。
「誰かに討たれるまで生き続ける」
これが吸血人がアンデッドと同じ不死の種族と言われる所以である。

2.吸血人の身体の仕組み
吸血人はまさに人間をそのまま強化したような身体能力をしており一人で熊を打ち倒す程の膂力を持っているが、代償として人間(これは亜人でも問題ないが、後述のアンデッドマンは除く)の血を定期的に摂取する必要が有る。
健康状態には段階があり、本来の吸血人としての能力を発揮するためにはほぼ毎日血を飲む必要が有る。(※1)
次に、血の量が本来より異常に少ない場合、人間と同等の身体能力しか発揮できなくなる。これを彼らは血を減らした状態と呼び、友好的な吸血人の中でも進んでこの状態になる者は稀である。
これは人間で言う栄養失調の状態で、決して彼らにとって自然な状態ではなく、相応の苦しみが伴う。この状態を維持するには1~2週間に一度の吸血。
また、表面上の身体能力だけでなく体内の機能も低下しており、病気にもかかりやすく、酒などを飲むのも不得手となる。
それより不足した場合、暫くの間苦しみながらも生き永らえるが、その内死ぬ。
吸血に於いて眷属が増えたりすることはなく、単純な食事でしかない。
※1 この本に於いて一度の吸血の量は約コップ一から二杯としているが、吸血人にとって血は至高の娯楽であり、生存とは別に常に吸血衝動は存在する。
彼らは相手の身体に噛み付き、そこから吸血する。しかし彼らが望むなら相手に痛みの無いようにすることも出来るし、傷跡を残さないようにも出来る。何らかの魔術的な要素が働いている可能性がある。
更に血を飲むことで傷を癒やすことも出来る。これについて、吸った血を何かに作り替えているのか、厳密には血ではない何かを吸っているのかは不明。
また、生まれながらに魔力を持つため、膂力を活かした肉体職だけでなく魔術師としても優秀である。しかしこれは血を減らした状態では失われる。恐らく吸血人の人間よりも強力な生命力が作用しているのだと思われる。

2.5吸血衝動について
そもそも吸血人にとって吸血行為は甘美な物であるが、抑えている人でも戦闘によって手傷を負ったり、血を絶つ、減らす等すると耐え切れず暴走する事がある。それでもある程度は本人の意志力次第では耐えられるが限度があり、命の危機に瀕すると目の前の人間から求めるがままに吸血してしまう。瀕死の吸血人は亜人とは言え常人でも簡単に振り払える程弱っているし、そうでない場合は簡単に正気に戻る他抑える気があるなら殺すまでには至らないので、どうか落ち着いて助けてやって欲しい。

3.吸血人の歴史
吸血人は古くは第一次魔王軍侵攻以前から存在しており、その頃はヴァンパイアと同等、血を吸い殺す悪魔も同然に扱われ、また事実そのように振る舞う吸血人も大勢居た。そのような情勢の中暗黒卿ファウストと呼ばれた一人の吸血人が英雄レオンと共に魔王軍を討ち取った事で世間の認識は変わっていく事となる。
ファウストと、彼と共に戦った吸血人達はグランディールを建国したレオンから対等の栄誉と地位を与えられ、ここに異端の貴族であるファウスト家が成立した。
以来、ファウスト家を主とする友好的な吸血人達によって敵対する同族を討伐したり、この本のように知識を広める等、様々な試みが成されている。

4.最後に
吸血人はその長命故に他の種族に比べ歴史が正確に残る傾向があるが、それでも彼らの祖先や、吸血の仕組み等、解明できていない事は多い。個人的に種々研究している事柄があり、それらとの関係が感じられるので、目処が立ったら追って何らかの形で書物にしたいと思っている。
それと、この種族について、共生、共存ではなくただの寄生であるという声があるのは知っている。またそれを否定する気はファウスト家にも僕にも無い。だが、どうか彼ら吸血人を許してやって欲しい。

  • アンデッドマン
この項はライル・エルレインの寄稿を元に執筆されている。

0.基本事項
この種族の説明にはまずアンデッドについての理解が必要である。
そもそもアンデッドは大別して二種類に分けることが出来、一つは魔術師が死体を使役している場合、もう一つが何らかの原因で自然に発生し、主無しに動く不死者である。
更にその後者の内、生前の意識をそのまま保ってアンデッド化する者が居る。それがアンデッドマンである。
外見は完全に死体で、青白く生気を失った皮膚など、見る者に不気味な印象を与える要素に事欠かない強烈な存在である。
そもそもとして生きているのか死んでいるのか、人として扱っていいのか、また種族と言っていいのか不明な程一般的な生物からかけ離れているが、ここでは一旦生きている人として扱う。

1.アンデッドマンの身体能力
まず特筆すべきはその不死性であろう。アンデッドマンも普通の生物同様身体に損傷を受けると動けなくなるが、それは一時的な物で、放っておくと再生して元の状態に戻る。これは常人なら致死的な傷であってもである。灰になるまで焼き尽くしたり、原型がわからないほど粉々にするとどうなるかは不明。
また、アンデッドマンは眠る必要が無い。

2.補足
先に種族として良いのかわからないと言ったが、僕が出会ったアンデッドマンは1人のみであり、他の個体でも同様の特徴を持っているかがわからないのである。人体で実験する訳にもいかないのでご容赦願う。

以下については過去の文献や伝説に名が残るだけでここ数十年北方及び南方では確認されていない種族
  • 竜人
0.基本事項
竜の特徴である鱗等を持った人間だが、獣人のように獣化や人間化をするのではなくそもそもその姿で生まれるという。
吸血人を凌ぐ膂力を持ち、戦闘力は他の亜人と比べても極めて優秀なものである。
特筆すべきはドラゴン種等と同様のブレスを吐くことが出来る点である。

1.歴史
かつては世界に分布し、武力を売りとする傭兵業で金銭を得て暮らしていたらしい。
しかし彼らにとってそのように金の為に力を振るい、人の世界で生き残るという道は竜としての誇りに反する物であり、その誇りに殉じて過酷な土地で生き抜く者も居たとの記録が残っている。
現在ではこの大陸東部では彼らの姿は見られず、伝説上の種族となっている。

  • 巨人
0.基本事項
かつての七柱の神々もそうだと伝えられているように、巨人の伝説は度々歴史上に登場している。
特徴は言うまでもなくその巨大な体躯である。

1.歴史
巨人の歴史はいつも何処からかやってくる彼らについて語られる。海の向こうからであるとか、死の砂漠を越えてきたとか、おおよそ常人が辿り着く事の出来ない地からやってきている場合が殆どである。
事実巨人の集落が発見された記録はなく、竜人以上に謎多き種族である。

  • ライルの疑問 ~何故亜人が存在するのか~
先にハイエルフの項で少し触れたが、亜人にはそれぞれ人間に比べて明らかに優れている特性がある。
エルフやドワーフ、或いは竜人のような神々が関与したとされる種族は兎も角、吸血人のような存在は明らかに人から生まれるとは思えない程異端の存在である。
全てに於いて人より優れている吸血人が、図ったように人に寄生せざるを得ない事であるとか、どうも何者かの作為のような物を感じることがあるのだ。
ただの偶然なのか、神の意志なのか、それとも何か別の存在が操作しているのかは僕には分からないが。

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最終更新:2015年09月06日 00:28