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Satan


 彼は頂点に居た。
 今、彼は世界における最強の力を持っている。『権力』だ。

「首相、封建国家連合の第三陸戦大隊と第四大隊が合流しました。我が軍が展開している旧エジプト地域への侵攻の恐れが」
「現地のレジスタンスに因ると、総数は四万近いそうです。さらには発掘された兵器を再現したと思われる機甲部隊も……」

 彼は大臣達の報告に驚きもせず答える。
「……数で攻めようが、その戦術はもはや過去の遺物だろう。烏合の衆を集めたとて私一人に敵わない」
「ですが首相、旧エジプトの防衛戦力は数百名のサイキックしか……」
「彼らには核兵器を持たせてある。使用許可を出します。それより……」

 彼の表情は変わる。恐れていた。たった二匹のネズミの行動を。
「ソドムの火は見つかったか?」
「いいえ、手掛かりすら……」
「早く見つけるんだ。それさえあれば戦争は終わる。一瞬で……」

 彼は求めている。人類が生み出した、『神に挑む武器』を。

「ネズミの始末も急げ。何を仕出かすか解らん」
「はい。首相……」

 窓の外を見る。たった五十年で地球の様子は完全に変わった。
 国家も宗教も、あまつさえ生態系さえも。

 本来ならば回避出来ただろう。だが、彼がそれを許さなかった。
 だからこそ五十年前、彼はミニットマンとヒューストンを攻撃したのだ。
 全ては大いなる終末の為に。

 夜が来る。
 いまだ夜の能力は発現していない。まだ敵が現れては居ないからだろうか。
 だが、その時が近いのは感じている。

「もうすぐだ。現れるがいい」

 彼もまた天に選ばれた。彼の胸に刻まれた痣ははっきりとその役目を示している。

『666』
 悪魔の寵児は待っている。

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最終更新:2010年07月11日 08:35
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